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一筋の光

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 また眠りの世界に落ちてからいつも通りの夢を見る。生まれ変わった時からずっと変わらない夢。
 「お、お父様......」
 「無礼者め。余をそのような呼び方をするな」
 「......え?私は貴方のたった一人の娘ですよ?」
 「娘?はっ?笑わせるな!其方を娘だと思った事はないと何度言えばわかる?頭の悪いやつだな?アリアスと違って、其方は神に嫌われているんじゃないのか?」
 「......」
 「失せろ。其方の顔を見るだけで虫酸が走る」
 「......皇帝陛下に煌めく星々の祈りを捧げます」
 何度も繰り返される日々。夢の中の私はいつも絶望した顔だった。死ぬ瞬間まで、お父様を愛していたのに......アリアスが羨ましい。妬ましい。いつも嫉妬していた。アリアスが誰かに愛される度に嫉妬し続けていた。アリアスは今年で、八歳のはず⁇前世では私と九つ歳が離れていた。だから今の私と七つ離れている。社交界デビューは十一歳と決まっている。だからもすぐで、デビューするのだろう?時期皇后として。
 「......アリアス」
 「あ!ニーアスお姉様!」
 「お父様と仲良くしてるの?」
 「クスクス。ニーアスお姉様は愛してもらえずに可哀想ね?」
 「は?」
 「当然か......神様に嫌われているだからね!あははは!キャアハハ!」
 「......っ‼︎」
 パチィッ
 「......」
 「ふざけないでよ!神様に嫌われてなんか無いんだから!」
 ニヤリ
 「ニーアス」
 「はっ!?お、お父さ......きゃあっ!?」
 「余は其方を甘やか過ぎた様だな?ニーアスは今後一切、アリアスと会ってはならぬ。もし破れば、其方はこの宮から出て行ってもらう」
 「......はい」
 耳を貫く様な冷たい声。もうなにも望めない。アリアスは泣くふりをしてこっちを見ている。嘲笑った様な顔で、勝ち誇った顔で、私の見下ろしている。光なんて何処にもないって思ってた。だけど、生まれ変わった時に一筋の光が見えた気がする。誰も見向きもしてくれなくてもいい。だけど、本当は見てほしい。誰かに疎まれる人生はもういらない。私は求めてしまう。愛を求めてしまう。心を開きそうになる。あんなにも温かくて居心地が良い所は他には無いだろ。そう思ってしまうほどに......。
 「う......?」
 もう朝だ。熱は引いたみたい。
 「ラティス!?よかった。もう大丈夫みたいだな」
 「......うん」
 この気持ちはそっと胸に仕舞おう。こんなのいっときのの迷いでしかない。でもこの光だけは手放したくない。
 「ラティス‼︎元気になったの?じゃあ遊ぼうよ!」
 「いやぁ!」
 「そんなぁ!」
 病み上がりの人に無理をさせようとしてるんじゃないわよ!馬鹿!
 「セス。ラティスは回復したばかりだ。だから今日は安静だ。明日遊んでやれ」
 「は?」
 「わーい。明日遊ぼうね」
 数日はゆっくりと出来るって思ったのに!でもこうやって構われるのは嬉しい。
 「......ニーアス。貴方、生まれ変わったのね?でも残念。私が貴方の家族も何もかも奪ってあげるわ。社交界デビューが楽しみね。ニーアスお姉様......いや、ラティス!クスクス。いひひひひひ‼︎」
 
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