上 下
22 / 41

狂気のリリアその1

しおりを挟む
 「リリア?」
 「あははは!」
 「せ、精神が崩壊した?」
 「精神が崩壊することがあるのか?」
 「あ、ああ......」
 「デイモン!」
 ビクッ
 「すまない。俺には止められない」
 「わかってるよ」
 「リリア!リーリエが目を覚ました時にそんなお前の姿を見てどう思うんだよ!」
 「あははは!リーリエ?リーリエが死ぬの?」
 「は?誰もそんな話してなっ......」
 「リーリエが死ぬなんて許さない。そうだ。リーリエが死ぬなら私が殺してしまえばいいのよ‼︎」
 「何を言っているかわかっているのか?」
 「あははは!そうだよ。リーリエが死ぬかもなんて思うなら壊してしまえばいいのよ‼︎キャアハハハ」
 「デイモン。帰るぞ。いい収穫だった」
 「......はい」
 リーリエすまない。お前の姉を狂わしてしまった。何もできない自分にも腹が立つ。    
 ガシッ
 「あははは!」
 「リリアを離せ!」
 「貴様如きに倒される俺ではない。消え伏せろ」
 「リリアとリーリエを引き離すつもりか!」
 「ああ」
 「このっ!」
 ボオッ
 「なっ⁉︎」
 何が起きた?風圧で吹き飛ばされた?そんなことあるのか?魔法すら使ってない奴に押された?
 「俺のことも忘れてもらっちゃ困るぜ!」
 バンッ
 「ぐっ!」
 「クリフ⁉︎」
 「じゃあな。リーリエ.クロムラムにもよろしくと伝えろ」
 「くそ!」
 リリアを守れなかった。リリアをひとりになんてするんじゃなかった。どれだけ後悔してももう遅い。
 「俺にもっと力があれば......」
 「おい。エースあれ......」
 「ん?な、なんだよあれ?結界か?」
 「いや。結界ではない。結界は魔力の暴走や魔獣や魔物によって作らされるものだ。あいつは強いが魔族の人間ではない」
 「......じゃあなんだ?」
 「魔法の盾ってところか......」
 「リーリエになんて説明すればいいんだ」
 「ありのままを伝えるしかないだろ?俺達は負けた。リリアを連れて行かれた。それだけだ」
 「お前はなんでそんなに冷静なんだよ!悔しくねぇのよか⁉︎」
 「悔しいに決まっているだろ‼︎俺だって、リリアを助けたかった。リーリエを傷付けた償いをしたかった。なのに......なのになのになのになのに‼︎何もできなかった。シルクロードに指一本触れることさえできなかった。悔しくないわけないだろうがよ‼︎」
 「ご、ごめん」
 「この先に行くぞ」
 「お、おう」
 そしてリーリエが目を覚ましてリリアを連れて帰ると約束をして今現在に至る。
 「なんなんだよ?リリアにこんなに強い力があったのか?」
 「シルクロードによって強化された可能性が高い。だが、此処で食い止めなければ皆を危険に晒すことになる。此処で耐えるぞ!」
 「当たり前だ。俺達は四人で最強の冒険者パーティーだ!」
 「あははは!私からリリアを取るの⁇許さない。リーリエは私のものなんだから!」
 「リリア!俺達が本当にわからないのかよ?」
 「うふふ。エースもクリフも私の手で殺してあげる。そうすれば全て私の手の中にあるの」
 「そんなわけないだろ!」
 「目を覚ませよ!」
 「エース⁉︎後ろだ!」
 「え......」
 剣が⁉︎いつの間に後ろに⁇まずい。これは避けられない。剣を振り上げるのですら間に合わない。死ぬのか⁇こんなところでこんなにもあっさりと死んでしまうのか?
 バンッカラン
 「は?」
 「剣が落ちた?」
 「エース。クリフ。二人とも怪我してない?」
 「り、リーリエ⁉︎」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~

イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」   どごおおおぉっ!! 5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略) ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。 …だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。 それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。 泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ… 旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは? 更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!? ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか? 困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語! ※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください… ※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください… ※小説家になろう様でも掲載しております ※イラストは湶リク様に描いていただきました

目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。 1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。 「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」 「…あなた誰?」 16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。 シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。 そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。 なろう様でも同時掲載しています。

私が死んだあとの世界で

もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。 初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。 だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。

君を愛することは無いと言うのならさっさと離婚して頂けますか

砂礫レキ
恋愛
十九歳のマリアンは、かなり年上だが美男子のフェリクスに一目惚れをした。 そして公爵である父に頼み伯爵の彼と去年結婚したのだ。 しかし彼は妻を愛することは無いと毎日宣言し、マリアンは泣きながら暮らしていた。 ある日転んだことが切っ掛けでマリアンは自分が二十五歳の日本人女性だった記憶を取り戻す。 そして三十歳になるフェリクスが今まで独身だったことも含め、彼を地雷男だと認識した。 「君を愛することはない」「いちいち言わなくて結構ですよ、それより離婚して頂けます?」 別人のように冷たくなった新妻にフェリクスは呆然とする。しかしこれは反撃の始まりに過ぎなかった。 

前世は婚約者に浮気された挙げ句、殺された子爵令嬢です。ところでお父様、私の顔に見覚えはございませんか?

柚木崎 史乃
ファンタジー
子爵令嬢マージョリー・フローレスは、婚約者である公爵令息ギュスターヴ・クロフォードに婚約破棄を告げられた。 理由は、彼がマージョリーよりも愛する相手を見つけたからだという。 「ならば、仕方がない」と諦めて身を引こうとした矢先。マージョリーは突然、何者かの手によって階段から突き落とされ死んでしまう。 だが、マージョリーは今際の際に見てしまった。 ニヤリとほくそ笑むギュスターヴが、自分に『真実』を告げてその場から立ち去るところを。 マージョリーは、心に誓った。「必ず、生まれ変わってこの無念を晴らしてやる」と。 そして、気づけばマージョリーはクロフォード公爵家の長女アメリアとして転生していたのだった。 「今世は復讐のためだけに生きよう」と決心していたアメリアだったが、ひょんなことから居場所を見つけてしまう。 ──もう二度と、自分に幸せなんて訪れないと思っていたのに。 その一方で、アメリアは成長するにつれて自分の顔が段々と前世の自分に近づいてきていることに気づかされる。 けれど、それには思いも寄らない理由があって……? 信頼していた相手に裏切られ殺された令嬢は今世で人の温かさや愛情を知り、過去と決別するために奔走する──。 ※本作品は商業化され、小説配信アプリ「Read2N」にて連載配信されております。そのため、配信されているものとは内容が異なるのでご了承下さい。

処理中です...