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第二章
幻影その2
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「いい。目を閉じて会いたい人の顔を思い浮かべるんだ」
「はい」
こんにちは。アリスです。私は今、ファークトと一緒に幻影の中心部⁇に来ています。
「アリス。あーしは幻影で死者の気持ちを伝えることしかできない。そして、その死者......いや、幻影には触れない」
「わかりました」
「心を強く持つんだ」
「はい」
ステファニーにも言われた気がする。
一方で外の方々はと言うと。
「ねぇ、やっぱりアリスの体を隅々まで調べていい?いいよね?」
「駄目に決まってるでしょが⁉︎あんたはまじで、人の心があるんですか‼︎」
「えー!やっぱり体を調べた方が実験......早く目覚めていいと思うよ?」
「今、実験って言いました⁉︎やっぱりあんたは血も涙もない魔物の研究オタクだ!」
「やだなぁ。血もあれば涙もあるよ」
「エルビス諦めろ」
「で、ですが!」
「こいつを黙らせたいなら気絶させろ」
「えっ、ヴィーナ⁇ちょっと待ってよ。その木の棒はなにかなぁ?」
「これで脳天ぶっ叩く」
「いや、やめっ......ぎゃあああ⁉︎」
ゴンッ
「痛っ!ヴィーナこそ血も涙もない⁉︎」
「もう一発だな?」
「いやああ‼︎」
「あれは止めなくていいのですか?」
「いいだろ?」
「モンゴル団長⁇私は止めた方が......」
「自業自得だ」
「......」
その後気絶はしなかったものの、ウリエルは頭をしこたま殴られたのであった。
その頃アリスは
深い深い闇の中に光が感じる。
「アリス⁇」
私は私の名前を呼ぶ声に鼓動がさらに早くなる。何故ならこの声は私が心の底から会いたいと思った人......いや、ドラゴンなのだから。
「ほ、本当にネスなの?」
怖い。目を開けたらネスが死んだ時の姿だったら私は耐えられない。
「アリス大丈夫だから、あーしを信じて」
その言葉には何か確証があるわけでもなく、信頼できるかもわからない。でもいつまでもこのままじゃ前に進めないから目を開けよう。そう思った。
「......」
恐る恐る目を開け、ネスの姿を見た。
「......っ」
「アリス!」
嬉しそうに笑うネスを見ていると涙がこぼれそうになる。どんなに悲しくてもどんなに苦しくても涙がこぼれ落ちることはなかった。そんな日々が一番辛かった。
「......ネス」
視界が揺らぐ。やっと泣ける。やっとネスの顔を見れた。嬉しい。嬉しいよ。ネス!
「ネス‼︎」
スカッ
そうか。ネスには触れられない。でも、それでもネスに会えた。だからそれだけでも満足。
「アリス!僕ずっと、アリスに会いたかったよ」
「私も......私もネスに会いたかった。ずっと、ずっと!あなたを片時も忘れなかった。うわあああん!」
「アリス!アリス‼︎」
「ごめん。ごめんなさい!私があの時、ネスを守っていれば!ううん。あなたを戦いに巻き込むべきじゃなかった。なのに巻き込んだ。本当にごめんね」
「なに言っているの?確かに僕は死んじゃったけど、アリスを守れたからよかった。アリスが怪我しなくてよかった」
「うぅうう!」
「僕はアリスのこと全然恨んでないよ。むしろ感謝してるんだよ?だから胸張って生きて」
「......ネス」
「だから......」
ネスは最後に私にある言葉を言った。私をもう一度、立ち上がらせる言葉だ。その言葉は......。
「はい」
こんにちは。アリスです。私は今、ファークトと一緒に幻影の中心部⁇に来ています。
「アリス。あーしは幻影で死者の気持ちを伝えることしかできない。そして、その死者......いや、幻影には触れない」
「わかりました」
「心を強く持つんだ」
「はい」
ステファニーにも言われた気がする。
一方で外の方々はと言うと。
「ねぇ、やっぱりアリスの体を隅々まで調べていい?いいよね?」
「駄目に決まってるでしょが⁉︎あんたはまじで、人の心があるんですか‼︎」
「えー!やっぱり体を調べた方が実験......早く目覚めていいと思うよ?」
「今、実験って言いました⁉︎やっぱりあんたは血も涙もない魔物の研究オタクだ!」
「やだなぁ。血もあれば涙もあるよ」
「エルビス諦めろ」
「で、ですが!」
「こいつを黙らせたいなら気絶させろ」
「えっ、ヴィーナ⁇ちょっと待ってよ。その木の棒はなにかなぁ?」
「これで脳天ぶっ叩く」
「いや、やめっ......ぎゃあああ⁉︎」
ゴンッ
「痛っ!ヴィーナこそ血も涙もない⁉︎」
「もう一発だな?」
「いやああ‼︎」
「あれは止めなくていいのですか?」
「いいだろ?」
「モンゴル団長⁇私は止めた方が......」
「自業自得だ」
「......」
その後気絶はしなかったものの、ウリエルは頭をしこたま殴られたのであった。
その頃アリスは
深い深い闇の中に光が感じる。
「アリス⁇」
私は私の名前を呼ぶ声に鼓動がさらに早くなる。何故ならこの声は私が心の底から会いたいと思った人......いや、ドラゴンなのだから。
「ほ、本当にネスなの?」
怖い。目を開けたらネスが死んだ時の姿だったら私は耐えられない。
「アリス大丈夫だから、あーしを信じて」
その言葉には何か確証があるわけでもなく、信頼できるかもわからない。でもいつまでもこのままじゃ前に進めないから目を開けよう。そう思った。
「......」
恐る恐る目を開け、ネスの姿を見た。
「......っ」
「アリス!」
嬉しそうに笑うネスを見ていると涙がこぼれそうになる。どんなに悲しくてもどんなに苦しくても涙がこぼれ落ちることはなかった。そんな日々が一番辛かった。
「......ネス」
視界が揺らぐ。やっと泣ける。やっとネスの顔を見れた。嬉しい。嬉しいよ。ネス!
「ネス‼︎」
スカッ
そうか。ネスには触れられない。でも、それでもネスに会えた。だからそれだけでも満足。
「アリス!僕ずっと、アリスに会いたかったよ」
「私も......私もネスに会いたかった。ずっと、ずっと!あなたを片時も忘れなかった。うわあああん!」
「アリス!アリス‼︎」
「ごめん。ごめんなさい!私があの時、ネスを守っていれば!ううん。あなたを戦いに巻き込むべきじゃなかった。なのに巻き込んだ。本当にごめんね」
「なに言っているの?確かに僕は死んじゃったけど、アリスを守れたからよかった。アリスが怪我しなくてよかった」
「うぅうう!」
「僕はアリスのこと全然恨んでないよ。むしろ感謝してるんだよ?だから胸張って生きて」
「......ネス」
「だから......」
ネスは最後に私にある言葉を言った。私をもう一度、立ち上がらせる言葉だ。その言葉は......。
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