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迷子のアリス
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五年後
ザァー
「まだ戻らないのですか?アリスさん」
「戻る?どこに?」
「レイトン家に、冬の騎士団に戻られないのですか?」
「もうあそこは捨てたところなの」
「そう......ですか」
「今の居場所は赤き同盟団だから」
「......」
五年前
「あははは!わたくしたち赤き同盟団は必ず世界を作り変えるのです!」
「早く処刑しろ!」
「死ね!」
「私のお母さんを返して!」
「わたくしたちは滅びることもない怒りと憎しみであなた方を殺す!」
「罪人、アステニアを処刑する」
「亡き魂たちがわたくしの願いを!そして赤き同盟団の野望を叶えてくれますのよ‼︎クスクス。あははは!おっほほほほ」
ザクッ
「えっ?」
「あなたはまだ死なせない」
「ど、どうしてですの⁇どうしてあなたがわたくしを助けるのですか⁉︎」
「本当にいいんですね?アリスハートさん」
「うん」
「すぐにバレますわよ?」
「安心してあなたの偽物を作ってそれを処刑されたから」
「......」
「私も赤き同盟団に入るわ」
「えっ?えええーっ⁉︎」
「でも勘違いしないでよ。あなたを......いいえ。あなたたち赤き同盟団に協力するつもりもないし、いつ裏切るかもわからない」
「本気で言っているのですの⁇」
「本気。後あなたには呪いをかけさせてもらったから」
「呪い?」
「うん。もし私に不利なるようなことをしたら殺す呪い」
「やってくれるじゃありませんことよ」
「私はあなたを許さないから」
「そうですの」
そして現在
「今日の任務はこれで終わり?」
「はい」
「......」
「アステニア⁇」
「なんでもありませんわ」
この街は故郷。もう一度あそこに戻りたいですわ。
「アステニアの故郷なの⁇」
「どうしてわかったですの⁉︎」
「見ていればわかる」
「そうですの」
「寄りたい?」
「いいえ。もうあそこには帰れる場所も迎えてくれる人たちもいませんわ」
「そう」
「アリスさん。あんまり強がらないでくださいね」
「強がってないから」
嘘だ。本当は帰りたい。でもまだ終わっていない。あの日のことは今でも胸を締め付けられる。
「あの日のことを悔いているのならあれはアリスさんのせいではありません」
「わかってる。わかってはいる」
「だったら!」
「もう捨てたよ言ったでしょ‼︎」
「......ごめんなさい」
あの日ことはもう思い出さない。そう決めた。
「アステニア。明日の予定は?」
「明日は南区にいる赤い目の人たちを救いに行きますわ」
「わかった」
これが本当に救いになるの⁇ただの自己満足じゃないの⁇
「アリスさん」
「ステファニー。あなたはもう休んでいいよ」
「えっ?まだ動けます」
「駄目よ。アステニアが亡き魂たちを暴走させたせいで今もあちこちで戦争が起きているの」
「それはそうですけど......」
「あなたがいなければ何も解決しない。早死にされちゃ困るの」
「......」
「だからもう休んで。後のことは私とアステニアに任せて」
「わかりました」
「ステファニーさん。気をあまり落とさないでくださいね」
「はい」
深夜
「で?僕に何の用なの?ステファニー」
「あなたにしかできないことです。アリスさんを止められるのも帰らせるのも兄であるカーラル.レイトンしかいないのです」
「僕でなくても父上もいるけど?」
「あの方では冷静な判断することなく、アリスさんを無理やり連れて帰ろうとします」
「それもそうだな?」
「アリスさんの心に直接触れられるのはきっとカーラルさんしかいません」
「アリスはどこにいるの⁇」
「......赤き同盟団です」
「......っ!」
「今のアリスさんはアリスさんじゃない」
「アリスが敵の味方するなんて......」
「そうではないのです!」
「えっ⁇」
「アリスさんは赤き同盟団の活動を続けてあなた方に有利に動けるようにしてくれているのです」
「アリスがそんなことを」
「だからアリスさんにこれ以上やる必要ないって言ってください‼︎」
「わかったよ」
「私は戻ります。このことはアリスさんには秘密にしてください。どうか内密に......」
「わかった。だが、お前を信用したわけじゃない」
「そんなこと重々承知です」
「......アリス」
一体お前は何がしたいんだ?
「母上が死んだのはアリスのせいではないのに」
そっとそう呟くカーラルなのであった。
ザァー
「まだ戻らないのですか?アリスさん」
「戻る?どこに?」
「レイトン家に、冬の騎士団に戻られないのですか?」
「もうあそこは捨てたところなの」
「そう......ですか」
「今の居場所は赤き同盟団だから」
「......」
五年前
「あははは!わたくしたち赤き同盟団は必ず世界を作り変えるのです!」
「早く処刑しろ!」
「死ね!」
「私のお母さんを返して!」
「わたくしたちは滅びることもない怒りと憎しみであなた方を殺す!」
「罪人、アステニアを処刑する」
「亡き魂たちがわたくしの願いを!そして赤き同盟団の野望を叶えてくれますのよ‼︎クスクス。あははは!おっほほほほ」
ザクッ
「えっ?」
「あなたはまだ死なせない」
「ど、どうしてですの⁇どうしてあなたがわたくしを助けるのですか⁉︎」
「本当にいいんですね?アリスハートさん」
「うん」
「すぐにバレますわよ?」
「安心してあなたの偽物を作ってそれを処刑されたから」
「......」
「私も赤き同盟団に入るわ」
「えっ?えええーっ⁉︎」
「でも勘違いしないでよ。あなたを......いいえ。あなたたち赤き同盟団に協力するつもりもないし、いつ裏切るかもわからない」
「本気で言っているのですの⁇」
「本気。後あなたには呪いをかけさせてもらったから」
「呪い?」
「うん。もし私に不利なるようなことをしたら殺す呪い」
「やってくれるじゃありませんことよ」
「私はあなたを許さないから」
「そうですの」
そして現在
「今日の任務はこれで終わり?」
「はい」
「......」
「アステニア⁇」
「なんでもありませんわ」
この街は故郷。もう一度あそこに戻りたいですわ。
「アステニアの故郷なの⁇」
「どうしてわかったですの⁉︎」
「見ていればわかる」
「そうですの」
「寄りたい?」
「いいえ。もうあそこには帰れる場所も迎えてくれる人たちもいませんわ」
「そう」
「アリスさん。あんまり強がらないでくださいね」
「強がってないから」
嘘だ。本当は帰りたい。でもまだ終わっていない。あの日のことは今でも胸を締め付けられる。
「あの日のことを悔いているのならあれはアリスさんのせいではありません」
「わかってる。わかってはいる」
「だったら!」
「もう捨てたよ言ったでしょ‼︎」
「......ごめんなさい」
あの日ことはもう思い出さない。そう決めた。
「アステニア。明日の予定は?」
「明日は南区にいる赤い目の人たちを救いに行きますわ」
「わかった」
これが本当に救いになるの⁇ただの自己満足じゃないの⁇
「アリスさん」
「ステファニー。あなたはもう休んでいいよ」
「えっ?まだ動けます」
「駄目よ。アステニアが亡き魂たちを暴走させたせいで今もあちこちで戦争が起きているの」
「それはそうですけど......」
「あなたがいなければ何も解決しない。早死にされちゃ困るの」
「......」
「だからもう休んで。後のことは私とアステニアに任せて」
「わかりました」
「ステファニーさん。気をあまり落とさないでくださいね」
「はい」
深夜
「で?僕に何の用なの?ステファニー」
「あなたにしかできないことです。アリスさんを止められるのも帰らせるのも兄であるカーラル.レイトンしかいないのです」
「僕でなくても父上もいるけど?」
「あの方では冷静な判断することなく、アリスさんを無理やり連れて帰ろうとします」
「それもそうだな?」
「アリスさんの心に直接触れられるのはきっとカーラルさんしかいません」
「アリスはどこにいるの⁇」
「......赤き同盟団です」
「......っ!」
「今のアリスさんはアリスさんじゃない」
「アリスが敵の味方するなんて......」
「そうではないのです!」
「えっ⁇」
「アリスさんは赤き同盟団の活動を続けてあなた方に有利に動けるようにしてくれているのです」
「アリスがそんなことを」
「だからアリスさんにこれ以上やる必要ないって言ってください‼︎」
「わかったよ」
「私は戻ります。このことはアリスさんには秘密にしてください。どうか内密に......」
「わかった。だが、お前を信用したわけじゃない」
「そんなこと重々承知です」
「......アリス」
一体お前は何がしたいんだ?
「母上が死んだのはアリスのせいではないのに」
そっとそう呟くカーラルなのであった。
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