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皇太子

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 私の名前は、マリア.リスルだ。此間まではとある公爵家のメイドをしていたのだが「お前クビ!」っといきなり言われてしまったのだ。
 「こんな事ある‼︎」
 そして、一時的に実家に帰っているがその両親からは
 「全く役に立たない娘だ」
 「ほんとにね?この親不孝者!」
 「ご、ごめんなさい」
 罵倒の嵐だ。元々両親は私に興味がないみたいで、幼い頃からほぼ放置されてた身だ。
 「うぅぅ。生まれてくる場所を間違えたかも......」
 そんな事を考えていたある日
 「ちょいとそこのあんた」
 「えっ?私ですか?」
 「ああ。あんた以外おらんだろう?」
 「は、はぁ?」
 周りにめちゃくちゃ人が居るんですけど!?
 「お主、王宮のメイドになる気はあるか?」
 「は、はい!?王宮のメイドですか?」
 「うむ。わしは、殿下から直々にメイドを探して来るように言われたんじゃ」
 「そ、そうなんですか......」
 うさん臭い‼︎
 「お主の魔法変わってるのう」
 ギクッ
 「そ、そうですか?」
 「うむ。それにその瞳の色まるで......ピンクダイヤモンドみたいじゃ」
 「そ、そうですか?」
 見抜かれた!?私の目は宝石眼だ。どうしてその瞳になったかはわからない。でもこの目は目立つから普段は魔法で普通の目にしている。
 「それに王宮のメイドになれば、一千ゴールドの給料を出そう」
 「い、一千ゴールド!?」
 説明しよう。この世界には銅、銀、金、プラチナと四種類に分けられた硬貨があるのだ。銅は百円、銀は千円、金は一万円、プラチナは十万円の価値があるのだ。
 そして、一千ゴールドは金と同じ意味を示している。なので言うまでもない。この仕事はとんでもなく優良物件なのだ!
 「やる!やります‼︎」
 「おっほほほ。お主、食いつきがいいのう」
 「ゔっ!」
 まるで、お金にがめついって言われた気分。
 「明日のこの時間に迎えに来るぞ」
 「......え。家は知らないんじゃ......」
 私の言葉を最後まで聞かずに変な老人は去って行った。
 「王宮のメイドに選ばれた!?」
 「よくやった」
 「あんたなら出来るって信じてたわ」
 「あ、ありがとう」
 いきなり態度を急変されたわね。
 「この仕事は何がなんでも続けなさい‼︎」
 「これで働く理由はないな」
 「え......でもこの先何があるかわからなし......」
 「うるさい‼︎黙れ!」
 殴られる!
 ピタッ
 「チッ‼︎」
 「え?」
 「怪我をしたってばれたら雇ってもらえんかもしれんな」
 「そうね。我慢しましょう」
 「......」
 私はただ、親の言う通りに動く人形だ。親には逆らえない。何をされても何を言われてもただただ黙っているしかないのだ。だから息を潜めて生きるしか選択肢はないのだから。
 次の日の夕方
 「お前が推薦されたメイドか?」
 「は、はい!マリア.リスルです!」
 ボソッ
 「陛下にご挨拶を」
 「こ、この国の希望そして光。皇帝陛下に精霊の加護がありますように」
 「挨拶はそのぐらいでいい」
 「......」
 この人の瞳、私と同じだ。宝石眼でピンク。髪色は違うけど、それを除けば似ている気がする。ちなみに私の髪色はハニーブロンド。皇帝は真っ赤の髪だ。
 「で、では不出来な娘ですが、どうぞよろしくお願いいたします」
 「ああ」
 陛下と馬車に乗り(めちゃくちゃ緊張した!)王宮に着き、陛下にこう言われた。
 「何があっても驚くな。逃げ出すな。いいな?」
 「は、はい?」
 逃げ出すな?此処って過酷なの?
 主人の部屋まで、陛下が直々に案内をしてくれた。歩く事十分
 「此処がお前の主人の部屋だ」
 「は、はい!」
 どんな人なのだろうか?
 「俺は行く。何かあったら執事に......アーヌンに頼れ」
 「わかりました!」
 「ではまたな」
 「は、はい!この国の希望そして光。皇帝陛下に精霊の加護がありますように」
 陛下は静かにその場を立ち去った。
 よし!私も頑張るぞ!
 ガチャ
 「失礼します」
 いざ主人の元に!
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