私の恐怖はこれから

上野佐栁

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私の恐怖はこれから 過去の恐怖編

高熱

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 「お姉ちゃん!私ねぇ、高等部に入ったらお姉ちゃんの部活の部員になる」
 「本当に!」
 「うん。私、お姉ちゃんみたいに誰かを助けられる人になりたい」
 「お姉ちゃん嬉しいよ」
 「えへへ」
 「深雪、小雪!ちょっといいかしら」
 「ん?お母さん⁇」
 「どうしたの?」
 「急の話だけど、お母さんねぇ、明日は叔母様の所に行かなちゃいけない用事が出来たから二人でお留守番出来る」
 「うん!」
 「あれ?明日ってお父さんも出張って言ってたなかったっけ⁇」
 「そうなのよ。だから明日は貴方達二人だけになるのよ」
 「私はお姉ちゃんと一緒ならなんだっていいよ」
 「そう。なら良かったわ」
 次の日
 「何かあったらお母さんに連絡するのよ」
 「はーい」
 「じゃあ行ってくるね」
 「いってらっしゃい」
 数分後
 「あれ?お母さんってばスマホ忘れてる」
 「あらら。お母さんって私に似て少しドジっ子だよね?」
 「そうだね」
 「......」
 「小雪⁇」
 「お姉ちゃん早く学校行こう!」
 「え、あっうん」
 なんだろ?この違和感は。
 四時間目
 バーン
 「はぁはぁ!」
 「あれ?中等部の先生じゃねぇ?」
 「何しに来たんだろ?」
 「な、苗木深雪さんは居るか!」
 「えっ?苗木深雪は私ですけど?」
 「大変なんだ!妹さんが熱で倒れんだ」
 「えっ⁉︎」
 あの時感じた違和感はこれだったの?
 中等部の保健室
 「はあっはぁはぁ......うゔっ」
 「小雪‼︎」
 「しー!今寝たところだから静かにね」
 「す、すみません」
 「小雪さん少し熱があるのね。だからもう帰って休んだ方がいいわ」
 「はい」
 「親御さんに連絡取るから待っててね」
 「あっ!」
 「苗木さん?」
 「えっとその、父は今、出張中で母はお叔母様の所に行ったのはいいんですけど、スマホを忘れていまして......」
 「家には貴方達だけ?」
 「はい。お爺ちゃんも行方がわかりませんし」
 「そう。なら苗木さんも帰りなさい」
 「えっ!」
 「今は貴方が小雪さんの保護者でしょ?」
 「はい!」
 「安静にして風邪を治すのよ」
 「わかりました」
 帰り道
 「......お姉......ちゃん⁇」
 「あっ!小雪起きた?」
 「なんで、お姉ちゃんが此処に⁇」
 「それはねぇ、小雪が倒れたから私が来たの」
 「ごめんなさい」
 「なんで?なんで小雪が謝るの?」
 「だって、お姉ちゃんに迷惑かけちゃったし、早退させちゃって申し訳なくて......」
 「そんなこと気にしなくていいの」
 「でも......」
 「具合が悪い時はちゃんと悪いって言わなきゃ余計に心配になるよ」
 「うん。わかった」
 「後で病院に行ってお薬貰おうね」
 「うん......」
 お姉ちゃんの背中暖かい。
 風邪を引いた小雪だったが、大好きな深雪と居られて少し嬉しかったのであった。
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