私の恐怖はこれから

上野佐栁

文字の大きさ
上 下
97 / 104
私の恐怖はこれから 過去の恐怖編

深雪と小雪二人の呪いその1

しおりを挟む
 「お姉ちゃん」
 「......小雪」
 「私のことは助けてくれないの⁇」
 「ごめん。小雪が皆んなを傷付けるのならそれはもう......私の敵よ」
 「......」
 「お姉ちゃんなんて大っ嫌いなんだから‼︎」
 「......」
 次の日の放課後
 「せーんぱい!」
 「あら?桃凛さん達また来たの?」
 「もちろんですよ!鈴木先輩と苗木先輩は憧れなんですから」
 「あは、あはは......ありがとう」
 私が知っている桃凛さんなんだけど......なんで私まで尊敬されているの?
 「お姉さん」
 「もも‼︎」
 ギュウウウウ
 「お、お姉さん!く、苦しいよ」
 「苗木先輩ってほんとにもものこと大好きですよね?」
 「きっと妹と重ねているのよ」
 「そうなんですかね?」
 「自覚がなくても重ねているのよ」
 「......苗木先輩」
 「僕のことも忘れないでよね?」
 「原技君!」
 「ねぇねー深雪。僕は君を守るために七柱六番目結界を守る者になったんだからもっとなでなでしてよ」
 「だああああ‼︎何やってるんすか⁉︎深雪先輩に手を出さないでっす‼︎」
 「光君?」
 「あれ?川咲君って苗木先輩のことを名前で呼んでましたっけ?」
 「再会してから呼ばれたのは今日が初めてだよ」
 「ふーん」
 「な、なんすか?」
 「ガンバ!」
 「なんなんすか⁉︎」
 「ヤッホー!苗木ちゃん!鈴木ちゃん!遊びに来ちゃった」
 「僕達も居るのだけど?」
 「あっそう」
 「愛組さん......」
 「お姉ちゃんだけ幸せそうにするのずるい」
 「え......」
 「深雪後ろ⁉︎」
 「何これ?体が動かない?」
 これって金縛り?まずい。境界に引き摺り込まれる。
 「深雪先輩‼︎」
 ギュッ
 「う、嘘⁇川咲君と一緒に境界に行っちゃった」
 「......」
 「お、お姉ちゃん⁇」
 「追いかけるんよ」
 「え?」
 「今すぐにでも追いかけてあの呪いを完膚なきまでぶっ潰すわよ‼︎」 
 「あらら......お姉ちゃん完全にキレてる」
 「え?キレた?鈴木先輩が?」 
 「そんナことあルんデースね!」
 「原技君。早く霊力を使いなさい」
 「で、でも何処にいるのかわからなっ......」
 「江原君ならわかるはずよ?」
 「う、うん。今、深雪達がいるのは鳴らずの境界」
 「鳴らずの境界⁇」
 「うん。言葉通りであの世界には僕達が喋る以外の音がないんだ。たとえ攻撃しても音はしないと思う。少しでもヒビが入れば別だけど......」
 「行くわよ」
 「は、はい!」
 「此処は何処⁇」
 しーん
 すごく静かで不気味。
 ドクンドクン
 「......」
 心臓の音がうるさい。背骨が軋む音ですら大きく感じる。わかった。この世界には音が無いんだ。私が喋る度に反響するみたいにこの世界はとても静かで寂しい。
 ピカッー
 「な、なに⁉︎眩しい⁉︎」
 今攻撃されたら防げない。
 「......」
 しーん
 「何も起こらない?」
 「ぐるるる」
 「声?私以外にも誰かいるの?」
 「ぐるるる」
 「え......小雪なの?」
 見た目は化け物だ。その核の中心に小雪が光り輝いている。まるでそこに居るのが当たり前のようにピクリとも動かない。
 「小雪‼︎私の声聞こえる?」
 「......」
 「私だよ!お姉ちゃんだよ‼︎」
 「ぐるるる......ぐがるぐがる!」
 「......っ⁉︎」
 何なんなの?こいつを見ていると妹を取られた気持ちになる。
 「返してよ。私の......妹を小雪を返してよ⁉︎」
 そう叫ばずにはいられなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

二人称・短編ホラー小説集 『あなた』

シルヴァ・レイシオン
ホラー
普通の小説に読み飽きたそこの『あなた』 そんな『あなた』にオススメします、二人称と言う「没入感」+ホラーの旋律にて、是非、戦慄してみて下さい・・・・・・ ※このシリーズ、短編ホラー・二人称小説『あなた』は、色んな"視点"のホラーを書きます。  様々な「死」「痛み」「苦しみ」「悲しみ」「因果」などを描きますので本当に苦手な方、なんらかのトラウマ、偏見などがある人はご遠慮下さい。  小説としては珍しい「二人称」視点をベースにしていきますので、例えば洗脳されやすいような方もご観覧注意、願います。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 だが夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

怪異の忘れ物

木全伸治
ホラー
千近くあったショートショートを下記の理由により、ツギクル、ノベルアップ+、カクヨムなどに分散させました。 現在、残った作品で第8回ホラー・ミステリー小説大賞に参加し、それに合わせて、誤字脱字の修正を行っています。結果発表が出るまでは、最後まで推敲を続ける予定。 さて、Webコンテンツより出版申請いただいた 「怪異の忘れ物」につきまして、 審議にお時間をいただいてしまい、申し訳ありませんでした。 ご返信が遅くなりましたことをお詫びいたします。 さて、御著につきまして編集部にて出版化を検討してまいりましたが、 出版化は難しいという結論に至りました。 私どもはこのような結論となりましたが、 当然、出版社により見解は異なります。 是非、他の出版社などに挑戦され、 「怪異の忘れ物」の出版化を 実現されることをお祈りしております。 以上ご連絡申し上げます。 アルファポリス編集部 というお返事をいただいたので、本作品は、一気に削除はしませんが、順次、別の投稿サイトに移行することとします。 まだ、お読みのないお話がある方は、取り急ぎ読んでいただけると助かります。 www.youtube.com/@sinzikimata 私、俺、どこかの誰かが体験する怪奇なお話。バットエンド多め。少し不思議な物語もあり。ショートショート集。 ※タイトルに【音読済】とついている作品は音声読み上げソフトで読み上げてX(旧ツイッター)やYouTubeに順次上げています。 百物語、九回分。【2024/09/08順次削除中】 「小説家になろう」やエブリスタなどに投稿していた作品をまとめて、九百以上に及ぶ怪異の世界へ。不定期更新中。まだまだ増えるぞ。予告なく削除、修正があるかもしれませんのでご了承ください。 いつか、茶風林さんが、主催されていた「大人が楽しむ朗読会」の怪し会みたいに、自分の作品を声優さんに朗読してもらうのが夢。

ラヴィ

山根利広
ホラー
男子高校生が不審死を遂げた。 現場から同じクラスの女子生徒のものと思しきペンが見つかる。 そして、解剖中の男子の遺体が突如消失してしまう。 捜査官の遠井マリナは、この事件の現場検証を行う中、奇妙な点に気づく。 「七年前にわたしが体験した出来事と酷似している——」 マリナは、まるで過去をなぞらえたような一連の展開に違和感を覚える。 そして、七年前同じように死んだクラスメイトの存在を思い出す。 だがそれは、連環する狂気の一端にすぎなかった……。

どうやら俺は悪役令息らしい🤔

osero
BL
俺は第2王子のことが好きで、嫉妬から編入生をいじめている悪役令息らしい。 でもぶっちゃけ俺、第2王子のこと知らないんだよなー

今世ではあなたと結婚なんてお断りです!

水川サキ
恋愛
私は夫に殺された。 正確には、夫とその愛人である私の親友に。 夫である王太子殿下に剣で身体を貫かれ、死んだと思ったら1年前に戻っていた。 もう二度とあんな目に遭いたくない。 今度はあなたと結婚なんて、絶対にしませんから。 あなたの人生なんて知ったことではないけれど、 破滅するまで見守ってさしあげますわ!

婚約破棄されなかった者たち

ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。 令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。 第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。 公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。 一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。 その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。 ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。

続・骸行進(裏怪談)

メカ
ホラー
本作で語る話は、前作「骸行進」の中で 訳あって語るのを先送りにしたり、語られずに終わった話の数々である。 前作に引き続き、私の経験談や知り合い談をお話しましょう・・・。 また、前作では語られなかった「仲間たち」の話も・・・是非お楽しみください。

処理中です...