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私の恐怖はこれから 過去の恐怖編
最初の出会いは再会
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「あ、篤美‼︎高い高い高い⁉︎」
「これぐらいじっとしていなさい。それと私の名前は鈴木篤子よ。篤美なんかじゃないわ」
「......」
校舎裏
「流石に追っては来ないみたいね」
「......」
「それで貴方は誰なの?」
「え......」
「私のこと知っているようなその口ぶり......貴方は人間?それとも霊なの?どっちでもない存在なんて言わないわよね?」
「......私は人間だよ。人間なんだけど......」
「ん?何故口ごもるの?何かやましいことでもあるのかしら⁇」
「そ、そうじゃないけど......その......」
「焦ったいわね。一体何を言おうとしているのかしら?」
「私はその......七柱の力も持っていたんだけど......今はその......使えないの」
「七柱?貴方人間なのよね?」
「そうだよ」
「人間が七柱の力を手に入れたっていうの?そんなの奇跡と同じ......いいえ。それ以上の力を手に入れたことになるわ」
「だけど今は使えないの」
「使えない?」
「......うん。嘘だって思うかもしれないけど......私は未来から過去に引き摺り込まれたの」
「は、はぁ?な、何かの冗談よね?未来から過去に引き摺り込まれるなんてそんな話聞いたことがないわ」
「そのはずだよ。私も今回が初めて。だけど......未来の私さえ居れば何かいい案を出してくれるはずなのに......」
「未来の自分?」
「うん。私は未来の私に生かさせた苗木深雪なの」
「そんな話信じられないわ」
「そうなるよね?」
「だけど信じるしかないみたいね」
「え?」
「貴方の目を見て嘘を言っているようには見えないの。真実しか言っていないようにしか見えないわ。だから今回だけは貴方を信じるわ」
「......ありがとう篤美」
「だから篤子よ」
「ねぇ......どうして?どうしてそんなに双子の姉である貴方を否定するの?」
「何を言っているのわからないわね」
「貴方は鈴木篤美なのに!何故、鈴木篤子になりたがるの?貴方は妹じゃないのに......篤美なのに自分を押し殺すの?そんな駄目だよ」
スッ
「......」
「これ以上デタラメなことを言うなら容赦はしないわ」
「......わかった。鈴木さん」
「そう。それでいいのよ」
「......いつか気付くことになる。今この瞬間の出来事がとても恥ずかしくて惨めになるって気付くことになるから」
「そんな日は来ないわ」
「......」
「苗木さん。貴方は何処まで未来を知っているのかしら?確かに私は篤美よ。それだけは認めるわ。だけど学校の中でその名前を呼んだら私は貴方を敵と見做すわ」
「......」
「私はもう行くわ。またね。苗木深雪さん」
「うん。またね......」
未来の私に呼びかけても応答してくれない。どうして?いつもならすぐに返事をくれるのに......。
「......篤美。貴方の憎しみも怒りも知っているから余計に心配になる。ももを消滅させたとしてもその苦しみは消えない」
私は知っている。篤子になりたがっているのは死んでしまった事実を消したいから。姉ではなく妹になれば誰かに甘えられるって思っているから。
「その気持ちはわかるよ。私も小雪だったらよかったのに......」
そう思ってしまう。
私の高校生としてまた天之川学園に通うことになったのであった。
「これぐらいじっとしていなさい。それと私の名前は鈴木篤子よ。篤美なんかじゃないわ」
「......」
校舎裏
「流石に追っては来ないみたいね」
「......」
「それで貴方は誰なの?」
「え......」
「私のこと知っているようなその口ぶり......貴方は人間?それとも霊なの?どっちでもない存在なんて言わないわよね?」
「......私は人間だよ。人間なんだけど......」
「ん?何故口ごもるの?何かやましいことでもあるのかしら⁇」
「そ、そうじゃないけど......その......」
「焦ったいわね。一体何を言おうとしているのかしら?」
「私はその......七柱の力も持っていたんだけど......今はその......使えないの」
「七柱?貴方人間なのよね?」
「そうだよ」
「人間が七柱の力を手に入れたっていうの?そんなの奇跡と同じ......いいえ。それ以上の力を手に入れたことになるわ」
「だけど今は使えないの」
「使えない?」
「......うん。嘘だって思うかもしれないけど......私は未来から過去に引き摺り込まれたの」
「は、はぁ?な、何かの冗談よね?未来から過去に引き摺り込まれるなんてそんな話聞いたことがないわ」
「そのはずだよ。私も今回が初めて。だけど......未来の私さえ居れば何かいい案を出してくれるはずなのに......」
「未来の自分?」
「うん。私は未来の私に生かさせた苗木深雪なの」
「そんな話信じられないわ」
「そうなるよね?」
「だけど信じるしかないみたいね」
「え?」
「貴方の目を見て嘘を言っているようには見えないの。真実しか言っていないようにしか見えないわ。だから今回だけは貴方を信じるわ」
「......ありがとう篤美」
「だから篤子よ」
「ねぇ......どうして?どうしてそんなに双子の姉である貴方を否定するの?」
「何を言っているのわからないわね」
「貴方は鈴木篤美なのに!何故、鈴木篤子になりたがるの?貴方は妹じゃないのに......篤美なのに自分を押し殺すの?そんな駄目だよ」
スッ
「......」
「これ以上デタラメなことを言うなら容赦はしないわ」
「......わかった。鈴木さん」
「そう。それでいいのよ」
「......いつか気付くことになる。今この瞬間の出来事がとても恥ずかしくて惨めになるって気付くことになるから」
「そんな日は来ないわ」
「......」
「苗木さん。貴方は何処まで未来を知っているのかしら?確かに私は篤美よ。それだけは認めるわ。だけど学校の中でその名前を呼んだら私は貴方を敵と見做すわ」
「......」
「私はもう行くわ。またね。苗木深雪さん」
「うん。またね......」
未来の私に呼びかけても応答してくれない。どうして?いつもならすぐに返事をくれるのに......。
「......篤美。貴方の憎しみも怒りも知っているから余計に心配になる。ももを消滅させたとしてもその苦しみは消えない」
私は知っている。篤子になりたがっているのは死んでしまった事実を消したいから。姉ではなく妹になれば誰かに甘えられるって思っているから。
「その気持ちはわかるよ。私も小雪だったらよかったのに......」
そう思ってしまう。
私の高校生としてまた天之川学園に通うことになったのであった。
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