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私の恐怖はこれから メロディーの呪い編
皆んなの所へその1
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いつからだろう⁇人を信じられなくなったのはきっとあの時、あの場でたった一言言われただけの事で誰も信じられなくなった。そう。小学六年生までは信じられたのだ。中学生になった少し経った頃に妹の小雪を亡くしてからだ。高校に上がっても誰も信じられなかった私に手を差し伸べてくれた霊感総合部。あの出会いがなかったら私はいつまでも人を信じられなかっただろう。初めて霊と関わった時、逃げられなくてもう死んでもいいやって思っていた自分に追い打ちをかけるように、鈴木篤美は現れた。嬉しかった。こんなにも私を想ってくれる人は、霊感総合部だけだ。正確には霊感総合部、霊力才能部だけだ。少しだけ昔話をしよう。あれは中学生に進学してまだ、二ヶ月が経った頃......。
「おねえちゃん‼︎ちょうちょさん‼︎」
「小雪‼︎あっちは信号だよ‼︎ちゃんと確認しなきゃ‼︎」
「はーい」
私にとっても家族にとっても愛らしくて天使みたいな存在の妹はこれからも先、元気に生きていくものだと思っていた。だけど違った。
「あっ。信号が青になったね。右左を確認して渡るよ」
「うん‼︎」
あの時しっかりと確認したのに......。
「お嬢さん達逃げて‼︎」
「え?」
あの時、足を止めてなければこうはならなかったはず。
キュルウウウ
「小雪!?」
「......え?」
ドン
「あ、ああ......あああ。こ、小雪⁇嘘だよね?こんなにも早く死んじゃわないよね?小雪......返事してよ」
ズキッ
「うっ!?」
「君‼︎大丈夫か?足怪我をしているじゃないか‼︎早く救急車を‼︎」
なんで?私の足の怪我は破損した車の破片が飛んで来ただけだ。なのになんで?なんで妹が轢かれるの?意味わからないよ。そのまま妹は一度も目覚めることなく病院に着いた一時間後に息を引き取った。
「深雪‼︎小雪は!?小雪は無事なの?」
フルフル
「そ、そんな......」
「深雪は足平気か?」
コクリ
「......あんたのせいよ」
「お、お母さん⁇」
「あんたが、あんたが......小雪を殺したのよ‼︎返しなさいよ‼︎人殺し‼︎」
「やめないか‼︎深雪が悪いんじゃない‼︎居眠り運転をしていたあっちに非があるんじゃないか‼︎深雪を責めるんじゃない‼︎」
「あんたなんか生まれてこなきゃ良かった。あんたさえいなきゃ......小雪が死ぬことなんてなかったのに......あんたが死ねばよかったのよ‼︎」
バシッ
「いい加減にしろ‼︎深雪にこれ以上深い傷を与えるな‼︎」
「......はっ!?わ、私は一体......み、深雪⁇あ、あのごめんなさい。こんなこと言うつもりじゃ......」
「いいよ。私のせいだもん。妹を守れなかった私に落ち度があるから。気にしないで」
「そんなこと言わないでくれ。深雪」
「......」
もうどうでもいい。だって、私はいらない子だもん。誰を信じるとか信じられるとかもうどうでもいい。
「私達友達だよね⁇」
「......うん。ずっと友達だよ」
嘘つき。私は知っている。陰で人を虐めていくことを知っている。私の悪口を言いふらしているのも貴方だと知っている。
「最高の仲間だね!」
「うん」
仲間なんて要らない。欲しくない。もう誰も信じられない。
「好きです‼︎付き合ってください」
私には人を愛しいって思う気持ちはもうない。てか、わからない。
「......ごめんなさい」
「今の言葉を撤回しなさい‼︎貴方が死ぬべきだった⁇ふざけた事を言うんじゃないわよ‼︎霊感総合部には、深雪‼︎貴方が必要なのよ‼︎だから生きなさい‼︎何がなんでも争いなさい‼︎」
どうして?どうしてそんなふうに......そんなに真っ直ぐな瞳で言えるの?何がなんでも争う?私が?生きてほしい⁇私が必要......そんな言葉を信じられないはずなのに......どうしてこんな気持ちになるの?なんでこんなにも暖かいの?わからないよ。
「......篤美に何がわかるの⁇目の前で誰も救えなかった気持ち。それも二回も。私の気持ちなんて知らないくせに勝手な事を言わないでよ‼︎」
ああ。私はなんであんなことを言ったんだろ⁇あんなにも嬉しかったのに......もう一度だけでいい。皆んなを信じてみたい。信じよう。そう心に決めた。
「......此処は病院⁇」
「おねえちゃん‼︎ちょうちょさん‼︎」
「小雪‼︎あっちは信号だよ‼︎ちゃんと確認しなきゃ‼︎」
「はーい」
私にとっても家族にとっても愛らしくて天使みたいな存在の妹はこれからも先、元気に生きていくものだと思っていた。だけど違った。
「あっ。信号が青になったね。右左を確認して渡るよ」
「うん‼︎」
あの時しっかりと確認したのに......。
「お嬢さん達逃げて‼︎」
「え?」
あの時、足を止めてなければこうはならなかったはず。
キュルウウウ
「小雪!?」
「......え?」
ドン
「あ、ああ......あああ。こ、小雪⁇嘘だよね?こんなにも早く死んじゃわないよね?小雪......返事してよ」
ズキッ
「うっ!?」
「君‼︎大丈夫か?足怪我をしているじゃないか‼︎早く救急車を‼︎」
なんで?私の足の怪我は破損した車の破片が飛んで来ただけだ。なのになんで?なんで妹が轢かれるの?意味わからないよ。そのまま妹は一度も目覚めることなく病院に着いた一時間後に息を引き取った。
「深雪‼︎小雪は!?小雪は無事なの?」
フルフル
「そ、そんな......」
「深雪は足平気か?」
コクリ
「......あんたのせいよ」
「お、お母さん⁇」
「あんたが、あんたが......小雪を殺したのよ‼︎返しなさいよ‼︎人殺し‼︎」
「やめないか‼︎深雪が悪いんじゃない‼︎居眠り運転をしていたあっちに非があるんじゃないか‼︎深雪を責めるんじゃない‼︎」
「あんたなんか生まれてこなきゃ良かった。あんたさえいなきゃ......小雪が死ぬことなんてなかったのに......あんたが死ねばよかったのよ‼︎」
バシッ
「いい加減にしろ‼︎深雪にこれ以上深い傷を与えるな‼︎」
「......はっ!?わ、私は一体......み、深雪⁇あ、あのごめんなさい。こんなこと言うつもりじゃ......」
「いいよ。私のせいだもん。妹を守れなかった私に落ち度があるから。気にしないで」
「そんなこと言わないでくれ。深雪」
「......」
もうどうでもいい。だって、私はいらない子だもん。誰を信じるとか信じられるとかもうどうでもいい。
「私達友達だよね⁇」
「......うん。ずっと友達だよ」
嘘つき。私は知っている。陰で人を虐めていくことを知っている。私の悪口を言いふらしているのも貴方だと知っている。
「最高の仲間だね!」
「うん」
仲間なんて要らない。欲しくない。もう誰も信じられない。
「好きです‼︎付き合ってください」
私には人を愛しいって思う気持ちはもうない。てか、わからない。
「......ごめんなさい」
「今の言葉を撤回しなさい‼︎貴方が死ぬべきだった⁇ふざけた事を言うんじゃないわよ‼︎霊感総合部には、深雪‼︎貴方が必要なのよ‼︎だから生きなさい‼︎何がなんでも争いなさい‼︎」
どうして?どうしてそんなふうに......そんなに真っ直ぐな瞳で言えるの?何がなんでも争う?私が?生きてほしい⁇私が必要......そんな言葉を信じられないはずなのに......どうしてこんな気持ちになるの?なんでこんなにも暖かいの?わからないよ。
「......篤美に何がわかるの⁇目の前で誰も救えなかった気持ち。それも二回も。私の気持ちなんて知らないくせに勝手な事を言わないでよ‼︎」
ああ。私はなんであんなことを言ったんだろ⁇あんなにも嬉しかったのに......もう一度だけでいい。皆んなを信じてみたい。信じよう。そう心に決めた。
「......此処は病院⁇」
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