私の恐怖はこれから

上野佐栁

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私の恐怖はこれから メロディーの呪い編

霊力の覚醒その1

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 「......暗い部屋?ううん。うっすらだけど、扉が見える?」
 扉のドアを開けようとした時、啜り泣く声が聞こえた。
 「ううっ。シクシク。ゔぅぅ」
 「だ、誰か居るの?」
 「来ないで」
 「え?」
 「この扉を開けないで‼︎」
 「なに?どういう事?」
 「だって、苗木深雪は檻の中から出られていない‼︎」
 「......えっ⁇」
 その言葉を聞いた瞬間周りに鉄の棒が囲っている事に気付いた。扉はぎりぎり届く距離みたいだ。
 「な、なんで?なんで檻の中に居るの?」
 「もう此処から出ないで‼︎人間なんて信じないで‼︎」
 「何言っているの?私も人間だよ?」
 「本当に信用出来るの⁇」
 「そ、それは......」
 その頃未来の深雪
 「篤美‼︎」
 「深雪!?」
 「ごめんね。今の私は未来の深雪だから」
 「そう。今はどっちでもいいわ」
 「それと......」
 「逃げるな卑怯者‼︎」
 「何故あいつがいるのかはあとで説明してもらうわよ」
 「了解」
 「でも今は......」
 「......この霊達をなんとかしないとだね」
 「そうね」
 「先手必勝‼︎」
 シュッグサッ
 「あああああ‼︎」
 「でしゃばり過ぎるもの駄目よ?」
 「わかってるってば‼︎」
 「愛組さん早く」
 天之川学園
 バーン
 「なんだ?」
 「はぁはぁ。天堂君、区事務君をお借りします‼︎」
 「は?」
 「行くよ‼︎」
 「え?えっ?え?ちょっ......」
 「時間がないのよ‼︎」
 「は、はい」
 「桃凛さん達のクラスに行くよ」
 「はい」
 こちらも同様に強引に、桃凛さん、光君、江原君、霊力才能部を連れて行った。
 「ワープお願いね」
 「何があったんですか?」
 「霊が襲って来たのよ‼︎」
 「はああああ!?」
 「深雪先輩は無事っすか?」
 「それが......行方不明なのよ」
 「は?」
 「何処に行ったかわからないのよ」
 「......先輩」
 「た、多分生きているよ。きっと多分」
 「行きます」
 メロディー大学
 「はぁはぁ。数が多い」
 「くっ......」
 そろそろ限界が......まだなの?お願い。早く戻って来て!
 「さっきよりも弱っているみたいだな?」
 「......本当にそれでいいの?」
 「は?」
 「苗木深雪‼︎本当にそれでいいの?何もかも忘れて生きていくだけでいいの?」
 「......っ!?」
 「自分自身を信じなさい‼︎」
 「......どうして⁇どうして、私を見捨てないの?」
 「何を言っているの?私は貴方‼︎貴方は私でしょ?だから何があっても‼︎たとえ悪霊になっても見捨ててやらないんだから‼︎」
 「何を言ってる⁇誰に向かって叫んでいるのかなぁ⁇」
 あいつの言葉を無視をして、未来の私は叫び続けた。
 「そこから出るの‼︎出なきゃいけないの‼︎」
 「私は......」
 「行きなさい‼︎七柱七番目世界の歯車、苗木深雪‼︎」
 「......っ‼︎」
 その言葉は私の心に深く突き刺さる。なんで?なんでその言葉が一番心に響くの?
 「本当に此処から出るの?」
 「私は......人を信用出来ないかもしれない。でもね、信じたい。だって、私をこんなにも大切にしてくれる人達が居るんだよ。だから人を信じたい」
 「......そう。それがあなたの答えなの⁇だったらその檻から出てよ?」
 「......」
 バタン
 「深雪‼︎」
 「......ここまでか。あとは私自身に任せるよ」
 「大丈夫だぜ。気を失っているだけだ」
 「......良かった」
 「よくねぇよ‼︎苗木が居なくなって、こっちはかなりのピンチだぜ!」
 「その割には楽しそう?」
 「うっせ‼︎」
 檻を壊す?違う。壊すんじゃなくて、そうすり抜けるように行くんだ。
 「檻から出たよ」
 「ひとつだけ約束して」
 「......」
 「心を壊さないで」
 「......約束する」
 「絶対だよ」
 「うん」
 キィー
 「この記憶を返すよ」
 「......」
 走馬灯のように記憶が蘇ってくる。少し気持ち悪い。ぐるぐると流れていく記憶。悔しかったこと、苦しかったこと、嫌だったこと、嬉しかったこと、楽しかったこと、悲しかったことそして、愛しい気持ち。
 「......思い出した。私は、川咲光君のことが大好きなんだ」
 そんな気持ちも忘れてたなんて情け無い。大丈夫。今度は迷わない。間違わない‼︎呪いを解くんだ‼︎
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