私の恐怖はこれから

上野佐栁

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私の恐怖はこれから 呪われた者たち編

呪いの始まり

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 私は十年前にももの呪いを受け継ぐ者だ。ももの言う通り自我が保つ事が難しくなった。そこで私は心と体を引き離した。引き離せば体は動く事が出来なくなるからだ。今では生き霊として、私が居た世界に来ている。
 「へぇー。私......死んだ事になっているんだ」
 「......」
 「わかっているわ」
 「もう此処には居場所が無い。光君元気かな?素敵な相手見つかったかなぁ⁇見つかってほしいけど......嫌だな。私まだ、諦められて居ないもん」
 ザァー
 「......雨」
 「鈴木先生‼︎」
 「あら?村海さん。どうしたのかしら⁇」
 「霊感総合部ってもうないんですか?」
 「......そうね。もうないわね」
 「じゃあ私、部活を復活させたいです‼︎」
 「え?」
 「霊感総合部ってなんか憧れるじゃないんですか‼︎だからやってみたいんですよ」
 「......そうね。掛け合ってみるわ」
 「わーい‼︎ありがとう先生‼︎」
 ポン
 「先生には敬語よ」
 「はーい」
 「......」
 「いいんっすか?」
 「......川咲君」
 「あの時、先輩を失って、部活を廃部にさせたじゃないっすか」
 「......わかっているわよ‼︎そんな事はじめからわかっているわよ‼︎」
 「なんか......すみませんっす」
 「いいのよ別に......私の方こそ怒鳴ってしまって申し訳なかったわ」
 「はいっす‼︎」
 放課後
 「此処に来るもの久しぶりだな」
 「......」
 「はいはい。わかりました。すぐに退散し......」
 「み、深雪先輩!?」
 ビクッ
 この声は間違えない。川咲光君だ。でもなんで⁇もう二十二時のはずなのに......。
 「あ、会いたかったっす‼︎」
 「......」
 「深雪先輩⁇」
 ダッ
 「あっ!?待ってっす‼︎」
 「......」
 「はぁはぁ。わかったから‼︎てか、私は貴方の言う通りに動くと思う⁇」
 「......」
 「はっきりと言われると腹立つな‼︎」
 ガシッ
 「い、行かないでっす‼︎」
 「......」
 「俺にはわかるっす!深雪先輩‼︎今まで何処に居たんす⁇」
 おかしい?生き霊の私を触れられるわけないのに......光君は簡単に触れられた。十年前よりもずっと霊力が強くなっている。あの時とは比べ物にならないぐらい強くなっている。
 「先輩‼︎」
 ギュッ
 「......強くなったんだね。川咲君」
 「......はいっす」
 「素敵な人出来た⁇」
 「出来るわけないっすよ‼︎」
 「え?」
 「ずっと先輩だけが好きなんす‼︎他の誰でもない先輩だから好きなんす‼︎」
 「この気持ちは一時の迷いだよ」
 「なんでわからないっすか‼︎」
 「......ごめん」
 「謝ってほしいんじゃなくて‼︎俺は先輩の気持ちが知りたいっすよ‼︎」
 「......」
 「答えてほしいっす‼︎」
 「......好きだよ」
 「先輩‼︎」
 「私の時間はあの日止まったからね」
 「それって......」
 「ばいばい」
 「ま、待ってっす‼︎行かないでっす‼︎俺の側に行って欲しいっす‼︎深雪先輩‼︎」
 私は何も言わずに違う空間に移動した。光君には悪いけど、私もうこの世の者ではない。だから違う人を好きなって......でも私だけが好きって言われて嬉しかったよ。
 「川咲君⁇何をしているのかしら⁇」
 「......鈴木先輩」
 「鈴木先生でしょ?」
 「居たんすよ」
 「居た?誰が居たのかしら⁇」
 「......深雪先輩」
 「え?嘘よね?」
 「ほんとっすよ‼︎いつさっきまで居たんすよ‼︎」
 「呪いに勝てなかったのかしら⁇」
 「いやそんな感じではなかったっす。何処か悲しそうな顔をして居たっす」
 「......霊感総合部を復活させる必要があるわね」
 「はいっす‼︎」
 こうしてまた、始まってしまった。恐怖で満ち溢れた世界の始まりである。
 
 
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