私の恐怖はこれから

上野佐栁

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支配その1

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 お爺ちゃんの葬式が終わって一週間が経ちました。
 「皆んな、突然だけど目覚めの世界に行くわよ」
 「はっ?」
 「あそこに居る霊を一匹残らず退治をするわよ!」
 「わ、わかったよ。でも命の保証はあるよね?」
 「ないわ」
 「えっ?じゃあ私、幽霊退治なんて嫌なんだけど......」
 「苗木さんに拒否権なんてないわよ」
 「酷い‼︎」
 夜
 「うぅ。此処には二度と行きたくなかったよ」
 「泣き言を言っても無意味よ」
 「そうだけど‼︎」
 「まあまあ。落ち着いてっす。苗木先輩は俺が守るっす」
 「ありがとう。川咲君」
 「はいっす」
 「そろそろ、無駄口を言ってるわけにはいないわ」
 「えっ?」
 「来たわよ」
 「ひとつ思ったんだけど、なんで私達だけ?他の部員は?」
 「今日は三人で足りるわ」
 「いや、足りないでしょ?」
 「ああああ‼︎」
 「苗木さん、お願いね」
 「はいはい‼︎」
 グサッ
 「よし、命中‼︎」
 「流石、苗木先輩っす‼︎」
 「川咲君‼︎」
 「わかってるっすよ」
 ゴロゴロ
 「天気を操るって聞いてたけど、ここまで強いんだ。凄い」
 シュッー
 「ここここ、氷。さささ、寒い。ヘックシュン‼︎」
 「まあ、こんなもんね」
 「それにしても、数が多い‼︎」
 「体力が持つといいね」
 「やるしかないわ。これ以上犠牲者を増やすわけにはいないわ‼︎」
 「了解」
 「了解っす」
 スルー
 「え?おばあちゃん⁇」
 「待って‼︎おばあちゃん‼︎」
 「お前のせいだ‼︎」
 「えっ?」
 「私が死んでしまったのも夫が亡くなったのもここに居る人達が亡くなったのも全部、深雪のせいだ‼︎」
 「そうだ‼︎そうだ‼︎」
 「許さない‼︎」
 「深雪。わしならを見捨てるのか?あの時みたいに......」
 「ご、ごめ、ごめんなさい。ごめんなさーい‼︎」
 「苗木さんは?」
 「鈴木先輩何っすか⁇」
 「苗木さんは何処?」
 「知らないっす」
 コツコツ
 「苗木さん‼︎何処に行ってたの?早く霊を退治しなさい」
 シュッ
 「えっ?」
 「鈴木先輩!?大丈夫っすか⁇」
 「えぇ。少しだけかすった程度よ」
 「苗木先輩‼︎何してるっすか!?」
 「あ、あははは‼︎キャアハハ‼︎」
 「苗木さん⁇もしかして貴方、霊に取り憑かれたんじゃ......」 
 「!?苗木先輩‼︎しっかりするっす‼︎」
 「あははは。私のせいで皆んな死んだ。私が悪いんだ。だから此処は消さない。クスクス」
 「苗木さん‼︎気をしっかり持つのよ‼︎」
 「今度は外さない」
 「苗木先輩‼︎やめるっす‼︎」
 「いやいやいやいやいや‼︎キャアハハ‼︎誰も殺したくない‼︎あははは‼︎」
 「苗木先輩!?目から血が出てるっす‼︎」
 「今回は私のミスよ。此処で辛い思いをしている、苗木さんを連れて来てしまった、私の責任よ」
 「此処を消すんでしょ⁇だったら私を殺してよ‼︎キャアハハ‼︎」
 「そんなこと出来るわけないっす‼︎」
 「二人なら出来るよ‼︎だって最強の霊力者でしょ⁇クスクス」
 「まずは、苗木さんの体から霊を追い出さないといけないわ‼︎」
 「了解っす‼︎」
 「あははは‼︎この体、傷つけられるのか?無理だろうな⁇うふふ」
 「川咲君。苗木さんを殺すわけにはいないわ」
 「そうっすね」
 「だから苗木さん人身に追い出してもらうしかないわ」
 「でもどうやってなるっすか⁇」
 「何か強い思い出とか、そういうのが欲しいわね」
 「苗木先輩‼︎爺さんが泣いてるっすよ‼︎」
 「お爺ちゃんが⁇」
 「はいっす‼︎そんな事して欲しくないって言ってるっす‼︎」
 「そんなわけない。だってお爺ちゃんもおばあちゃんも私がこうなるのを望んでいる。というよりもこの娘が望んでる‼︎」
 「何言ってるっすか?」
 「この娘は罪悪感でいっぱいなんだよ‼︎バーカ‼︎」
 「なっ!」
 「この戦いは私の勝ち‼︎」
 私の意思とは関係なく、勝手に体が動いて矢を解き放った。
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