私の恐怖はこれから

上野佐栁

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神社の恐怖

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 こんにちは深雪です。私は最近ついていないことばかりです。ここ数日、霊力才能部にしつこく、入らないかと誘われるし、霊には襲われるし、なんだか、家に居る幽霊が段々と増えたような感じがする。
 「はぁー。お祓い行こうかな。ブツブツ」
 「苗木さん。どうしたんだろう⁇」
 「最近ずっとこの調子だよね?」
 「うん」
 「寝不足でおかしくなったのかな?」
 「それはないと思うよ」
 「だよねー」
 家
 「ただいまー」
 「お帰りなさい」
 「お母さん。またなんか増えた?」
 「ん?なんの話?」
 「なんでもないよ‼︎」
 「あ、ああああ」
 「なんで‼︎こんなに幽霊が増えるのよ?うちはお化け屋敷じゃない‼︎」
 「まあまあ。落ち着いてよね。深雪」
 「いつの間にか、江原君には呼び捨てされるし、幽霊は増える一方だよ。もう嫌ー‼︎」
 神社
 「お爺ちゃん。元気にしてるかなぁ⁇近くにお寺もあるし、いいところよね」
 実は祖父がお寺のお坊さんで、神社も管理しているのだ。
 「深雪⁇いきなりどうした⁇」
 「お爺ちゃん‼︎いきなり来てごめんね。実はお祓いをして欲しいんだけ......ど」
 「た、助けて‼︎」
 「ご、は、ん」
 グチャ
 「ぐああああ‼︎」
 「ひぃ!?」
 「助けっ。ガハッ‼︎」
 バリバリグチャ。
 「お、お爺ちゃん。あれ見えるの?」
 「深雪、もしかしてお前にも見えるのか⁇」
 「う、うん」
 「そうか。それは残念じゃ......」
 「えっ?」
 「ご、馳、走⁇」
 「まあ。少し待たんかい」
 「お、お爺ちゃん⁇」
 「孫に食わせるのは本当に嫌だったじゃか。仕方ないのう」
 「え?えっ?」
 「食っていいぞ‼︎」
 「ご、は、ん」
 「ご、馳、走」
 「あ、ああ」
 私は恐怖のあまり動くことが出来なかった。
 「だ、誰か助けて‼︎」
 「いい、ただ、き、ます」
 「い、いやあああ‼︎」
 叫んだおかげで、体が動くようになった。霊の攻撃をなんとか、避けて、
 「お爺ちゃん‼︎なんで⁇どうして?人を犠牲にするの?」
 「何って、これがわしの仕事だからじゃよ」
 「そんなの間違ってるよ‼︎」
 「ぐふふ。そんなふうに言われたのはいつぶりかのう?婆さんに言われて一時的にやめておったが、彼奴はもう居ない。好きなだけ、食えばいいのじゃよ」
 「ああああ‼︎」
 「きゃああ‼︎」
 私は反射的に反対側に逃げた。
 ピロロピッ
 「もしもし。苗木さん?今、何処?話したいことがあるんだけど今いいかしら⁇」
 「今無理‼︎こっちは死ぬ気で走ってるのよ‼︎」
 「何?何かあったのね⁇」
 「あの神社に来て!」
 「あの神社ってこの近くで、街並みが見える場所よね?」
 「そうだよ!いいから早く来て!」
 「わかったわ。五分くらいでつくからなんとか耐え抜きなさい‼︎」
 「言い方!本当に言い方酷いんだかっ......ぶぎゃっ‼︎」
 「苗木さん!?苗木さんどうしたの?返事をしなさい‼︎苗木さーん!?」
 「ツーツーツー」
 「電話が切れている」
 ポチッポチッ
 「はいっす。鈴木先輩、どうしたっすか⁇」
 「川咲君!貴方今、神社の前に居るわよね?」
 「え?居るっすけど、どうしたっすか?」
 「今すぐに、苗木さんを助けに行きなさい‼︎苗木さんが危ない‼︎」
 「よくわからないっすけど、了解っす‼︎」
 「苗木先輩‼︎何処っすか?」
 「ご、馳、走。」
 「人間、美味、そう」
 「......あ、アガガガ‼︎ギイイイ‼︎ヒューヒュー」
 「苗木先輩!?」
 「人、間⁇」
 「ご、は、ん」
 「おやおや。また、ガキが迷い込んで来たのう。お前達、そいつも食っていいぞ。」
 「美味、し、そう」
 「苗木先輩から離れろ‼︎」
 「ぐあああ‼︎」
 「ふむ。天気を操る。霊力者か、面倒いのう」
 「何が面白いんだよ‼︎」
 「其方、深雪のことが好きなのか?」
 「なんだよ。いきなりそんな言い方して、何企んでるんだ‼︎」
 「深雪のことはどうでもいい存在でいいな?」
 「意味わからない‼︎っておい!苗木先輩を何処に連れて行く気だ‼︎」
 「あっちの世界に行くだけじゃ。其方は邪魔だからのう」
 「先輩を返せ‼︎」
 私は微かに残る意識で最後に見たのが、川咲君が怒りに顔を真っ赤にしているところだった。

 
 
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