私の恐怖はこれから

上野佐栁

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廊下の恐怖その1

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 「苗木さん。ちょっといいかな⁇」
 「はい」
 「これ、教室までよろしくね‼︎」
 「わかりました......」
 放課後
 「なんで、忠告というか、脅されたその日に、先生の手伝いが沢山あるのよ‼︎」
 スマホで時間を確認すると
 「げっ。もう七時!?早く帰らないと......」
 ペタッペタッ
 「えっ?今なんか、聞こえたような。き、気のせいだよね⁇」
 私は慌てて教室を出て階段の近くまで来た。
 ペタッペタッペタッペタッ
 「ひぃ。なんか居る。でも、振り返らない方がいいよね⁇」
 「苗木さん。悪いんだけど、これ、運んでくれる⁇」
 「なーんだ。先生か。はい。いいです......よ」
 「あ、あああああ‼︎」
 「き、きゃあああ!?」
 そこに居たのは廊下の天井に張り付いた。女の子の霊だ。それだけじゃない。腕と顔半分がないのだ。
 「嘘嘘嘘嘘嘘嘘!?」
 「ああがが‼︎」
 「いやああ‼︎こっち来ないで‼︎」
 私はその場を離れたくて、無我夢中で階段を降りた。
 「はぁはぁはぁはぁ。やばい!マジでやばい‼︎」
 玄関まで来て出ようとしたら、
 「嘘。開かない‼︎なんで‼︎お願い‼︎開いてよ‼︎」
 ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ。
 「ああああ‼︎」
 「こ、来ないで‼︎」
 「ヒャヒャヒャヒャ‼︎」
 霊の女の子がこっちに向かって飛んで来た。
 「いやあああ‼︎」
 「苗木さん‼︎こっち‼︎」
 「えっ?」
 ドンガシャーン
 「鈴木さん。あ、ありがとう。本当にありがとう。助かったよ」
 「苗木さん。言ったはずよ。遅くまで残るなって言ったよね⁇」
 「ご、ごめん。先生の手伝いをしてたら遅くなって......」
 「言い訳はいいわ。今朝言ったこと覚えてる⁇」
 「今朝⁇なんのこと⁇」
 「殺してよって、いう声聞こえたかって。本当は聴こえていたんじゃないの⁇」
 「うん。実はそうなの。でも怖くて言えなくてごめん」
 「謝罪はもういいわ。そんなことよりも、まずい状況になってるわ」
 「え?」
 「貴方。あの霊の姿見た⁇」
 「見たけど......それがなに⁇」
 「あの霊は、自分の体を探しているのよ」
 「体!?」
 「えぇ。この学園の何処かにまだあるはずよ」
 「いやいや‼︎そんなのあるわけないよ。」
 「あるわ。だって此処は、私達の知っている世界じゃないもの」
 「は?何言ってるの⁇じゃあ此処は、違う世界だって言うの⁇」
 「そうよ」
 「あああ‼︎」
 「チッ。見つかった。苗木さん。全力で走りなさい‼︎いいわね⁇」
 「わ、わかったよ」
 タッタッタッタッタ
 「はぁはぁ。ねぇ何処に、逃げるの⁇」
 「逃げ道なんてないわ」
 「じゃあ、何処に向かってるの⁇」
 「仲間のところよ。一時的に、あいつを撃退できるわ。それまで全力で逃げることね」
 「はぁはぁ。わ、わかった」
 「鈴木先輩‼︎右か左に避け欲しいっす‼︎」
 「苗木さん‼︎」
 「えっ⁇ちょっと、わ、わー‼︎」
 バーン数分後
 「はぁはぁ。ゲホッゲホッ。はぁはぁ」
 「鈴木先輩。この人誰っすか?」
 「この人は苗木深雪さん。私と同じクラスメイトよ。話したことはあまりないけどね」
 「そうっすか」
 「苗木先輩。はじめましてっす。俺、川咲光って言うっすよ。敬語とか堅苦しいの苦手なんで、すって言わせてもらうっすね」
 「はっきり言って、言葉の使い方は正直ダサいわ」
 「厳しいっすね」
 「あの、此処から出るにはどうしたらいいの⁇」
 「さっきも言ったけど、あの霊の体を探すか、殺されるか、どちらかね。選びなさい‼︎私達に協力するなら、守ってあげるわ。今のターゲットは貴方みたいだしね。どうする⁇」
 「死にたくない。だから、鈴木さん達に協力する‼︎」
 「成立ね」
 別の空間に飛ばされた私は鈴木さんの仲間として協力することになった。
 
 
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