レインボーアーク

上野佐栁

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ナチュラルアイドル⁇凛花帆奈‼︎

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 ドッペルゲンガーことリップがアイドルになり、数週間が経過した。
 「リップちゃんって可愛いよね」
 「本当に!」
 「杉川さんの妹なんて、思えないくらい冷静だけど、可愛さもあるからギャップがいいよね」
 「そうだね」
 「だって。よかったね」
 「嬉しくない。だって、遠回しに私、冷静も無ければ可愛くもないって言われているようなもんじゃん」
 「そ、そんなことありませんわ。わ、私はラリアのことは可愛いと思いますわ」
 「な、何を企んでるの!?」
 「いや、そこは純粋に喜びなよ」
 「無理無理無理無理無理‼︎だって‼︎ローズがそんなこと言うはずかない!」
 「残念だね」
 「あの......もしかして、安化っち⁇」
 「えっ⁇あっ‼︎帆奈みん‼︎」
 「何そのダサいな......むぐっ‼︎」
 「月乃。これ以上は言うのだめよ」
 「むむむ‼︎むーぐ‼︎んん‼︎」
 「なんか、喚いてる」
 「何を言ってるのかは、わかりませんね」
 「そうですわ」
 「なんだか、面白そうなんだね」
 「んんん‼︎んー‼︎むーぐ‼︎むむむ!んんんんん‼︎むー‼︎」
 「やばい。何を言ってのか全然、理解できない」
 「安心して、ろろもわからない」
 「んんん‼︎むむぐ‼︎んんんー‼︎むーぐ‼︎んんんんんん‼︎んー‼︎むぐっ‼︎むむむむぐぐむむ‼︎」
 「月美、そろそろ離してあげたら⁇」
 「だね。何言ってるのか、理解できないんだね」
 「んん‼︎んー‼︎むむぐ‼︎んんんんんんんんん‼︎むーぐ‼︎ぶっは」
 「あっ。離した」
 「月乃。うるさい」
 「月美が、私の妹が、あんなこと言うなんて‼︎」
 ポン
 「大丈夫。普通の人が思う。普通の反応だよ」
 「リップ、厳しい‼︎」
 「ねぇねぇ、安化っち。この人達誰⁇」
 「私の先輩方だよ。アイドルなんだよ」
 「安化っちもアイドル⁇」
 「そうだよ」
 「じゃあ、帆奈も約束守らなきゃ‼︎」
 「もしかして、私がアイドルになった、帆奈みんも、アイドルになるってやつ⁇」
 「そうだよ」
 そんなこんなで、帆奈のライブを見ることになった。
 「こんにちは‼︎凛花帆奈です‼︎よろしくね。聞いてください。天の想い」
 「雨の日に悲しい気持ちになるのは、何故、それは天の涙だから。天が泣けば、皆も、泣く。天が笑えば、皆も笑う。天が、怒れば、皆も、怒る。天が、悲しめば、皆も悲しむ。天を仰げば、雨がきれいですー。天の思いは、誰にも届かいよ。みな、自分の思いがあるから。天の思いは、小さくて儚い。梅雨の日に君の声が聞こえてくる気がする。天の想いは、皆の想いだから。どうかこの想いだけは誰かに届いて欲しいです」
 「レインボーステージは出なかったけど、安化よりもずっと才能がある」
 「磨けば、私よりも凄いアイドルになるよ」
 「月美先輩よりも?」
 「うん」
 「嘘」
 「安化っち‼︎見てくれた⁇」
 「うん。見たよ」
 「お願いがあるの‼︎」
 「帆奈みん⁇どうしたの⁇お願い⁇何⁇」
 「チームを組んで‼︎」
 「チーム‼︎」
 「うん」
 「ストレートな子だね。ナチュラルに凄い」
 「ライブしたその日、チーム申し込みなんてしないよ。普通」
 「そうなんだね」
 「いいよ。夜空と一緒なら」
 「え?私!?」
 「うん。夜空とは此処に来てからずっと仲良くしてくれる友達だから」
 「いいよ」
 「よろしくね。夜空らん」
 「凄い。あの子、全部をあだ名にしちゃうね」
 「でも、いい機会かも。もうすぐ、レインボーショップも出来上がるから、アイドルはたくさん居てほしい」
 「そうだね」
 「楽しみですね」
 「ローズ⁇どうしたの⁇」
 「私、ランキング八位に落ちてしまったんですの」
 「あー。四位の座をるんかに取られたもんね」
 「......」
 「ローズ、前にも言ったけど、今の自分を変えないといけないよ」
 「わかってますわよ‼︎そんなこと最初からわかっていましたわよ‼︎」
 「ローズ」
 「でも、私、来月ロンドンに行くことになりましたの。だから、アイドルは続けられないのですわ」
 
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