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第9話 ボーイッシュな同期生とデート①
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――土曜日。
今日も朝から駅前で待ち合わせ。
3人目のデートの相手は俺と同じ大学3年生の七瀬 美緒さんだ。
しかし俺、最近出かけてばっかりだな。それもすべて美人な女性とのデートとか、今までの俺だったら天地がひっくり返ろうが信じられない出来事だ。
というか今でもなにか悪いことが起こる前触れなんじゃないかとか思ってしまう。ここで運をすべて使い果たしてる気がする。
最初はあいつら3人の罠だと思って実行したデートだったんだけど、ここ数日の動向を見ているとどうやらあいつらはこの件に関わっていないようなのだ。
じゃあどうして彼女たちは俺なんかをデートに誘ってきたのかということに関しては、いくら考えても理解できないということを理解したのでもう考えるのはやめた。
と、俺が待ち合わせ場所にたどり着いたとき、ちょうど同じタイミングで相手も反対側から歩いてきた。
「あ、伊山くんおはよ」
「う、うん……おはよう」
こちらに向かって手を挙げる七瀬さんは、いつのもボーイッシュな雰囲気もあるんだけど、同時に可愛らしい女性ってイメージのファッションをしていた。
ブラウンのコートにお洒落な帽子、耳にはイヤリングもつけている。
今まで見たときはずっとズボンは長めのジーンズだったのに、今日は裾がヒラヒラしたショートパンツで、綺麗な脚を惜しげもなく出している。
「やっぱり、変だよね……わたしがこんな格好してるの」
「えっ……!?」
や、ヤバい……つい見とれてしまっていた。
七瀬さんは恥ずかしそうにイヤリングを手で隠したり、太ももをコートで隠したりしている。
違う! 変だと思って見てたわけじゃないんだ! むしろ……
「そ、そんなことないよ。むしろ似合ってて、すごく可愛いっていうか……」
「なっ、ちょっ、えっ? か、かわいっ……っ!?」
あっ……。七瀬さんが両手で顔を隠してしまった。しかも顔がどんどん赤く染まっていく。
やばい、つい。七瀬さんの女性らしい格好が似あっていないということを本気で否定しようとしたら、結果的に可愛いということを伝えるしかなく、めちゃくちゃストレートに言ってしまった。……き、キモいと思われたかな?
「その、ごめ――」
「あ、ありがと!」
「えっ……」
俺が謝るよりも先に、なぜか七瀬さんにお礼を告げられた。
「その、か、かわ……可愛いって、言ってくれて……」
「う、ううん……本当に、そう思ったから……」
その後、お互いにモジモジと自分の手を触ったり意味もなくバッグの中を漁ったりしながら、そろそろ行こっかという感じになり並んで歩き始めた。なんかわからないけど、めちゃくちゃ顔が熱い……。
けど、七瀬さんと一緒にいるのは本当に居心地のよさを感じる。まぁ、今までのデートが刺激的過ぎたっていうのもあるかもだけど。
「人、多いね」
「うん、今日クリスマスだしね~」
そういえば今日クリスマスじゃん……。出かける予定も何かする予定もなかったから完全に忘れてた。
というか七瀬さん、せっかくのクリスマスを俺なんかと過ごしちゃっていいの!? たしか合コンのときは付き合ってる相手はいないって言ってたけど……。
もっとよく考えてデートの日程を決めるべきだったか……。
あ、でも確か七瀬さん、デート日の候補として俺が空いている日にちを全部送ったらものすごい速さで25日を指定して来たんだった。25日以外はすべて予定が埋まってたのかな。
そう言えばそれで思い出したけど、他の3人もそのあと立て続けに25日を希望するメッセージを送って来たんだった。結局早い者勝ちってことで別の日に変えてもらったんだけど。
みんなモテそうだし友達も多そうなのに、なんで25日を俺なんかとのデートに使おうとするのだろうか。不思議だなぁ……。
今日も朝から駅前で待ち合わせ。
3人目のデートの相手は俺と同じ大学3年生の七瀬 美緒さんだ。
しかし俺、最近出かけてばっかりだな。それもすべて美人な女性とのデートとか、今までの俺だったら天地がひっくり返ろうが信じられない出来事だ。
というか今でもなにか悪いことが起こる前触れなんじゃないかとか思ってしまう。ここで運をすべて使い果たしてる気がする。
最初はあいつら3人の罠だと思って実行したデートだったんだけど、ここ数日の動向を見ているとどうやらあいつらはこの件に関わっていないようなのだ。
じゃあどうして彼女たちは俺なんかをデートに誘ってきたのかということに関しては、いくら考えても理解できないということを理解したのでもう考えるのはやめた。
と、俺が待ち合わせ場所にたどり着いたとき、ちょうど同じタイミングで相手も反対側から歩いてきた。
「あ、伊山くんおはよ」
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こちらに向かって手を挙げる七瀬さんは、いつのもボーイッシュな雰囲気もあるんだけど、同時に可愛らしい女性ってイメージのファッションをしていた。
ブラウンのコートにお洒落な帽子、耳にはイヤリングもつけている。
今まで見たときはずっとズボンは長めのジーンズだったのに、今日は裾がヒラヒラしたショートパンツで、綺麗な脚を惜しげもなく出している。
「やっぱり、変だよね……わたしがこんな格好してるの」
「えっ……!?」
や、ヤバい……つい見とれてしまっていた。
七瀬さんは恥ずかしそうにイヤリングを手で隠したり、太ももをコートで隠したりしている。
違う! 変だと思って見てたわけじゃないんだ! むしろ……
「そ、そんなことないよ。むしろ似合ってて、すごく可愛いっていうか……」
「なっ、ちょっ、えっ? か、かわいっ……っ!?」
あっ……。七瀬さんが両手で顔を隠してしまった。しかも顔がどんどん赤く染まっていく。
やばい、つい。七瀬さんの女性らしい格好が似あっていないということを本気で否定しようとしたら、結果的に可愛いということを伝えるしかなく、めちゃくちゃストレートに言ってしまった。……き、キモいと思われたかな?
「その、ごめ――」
「あ、ありがと!」
「えっ……」
俺が謝るよりも先に、なぜか七瀬さんにお礼を告げられた。
「その、か、かわ……可愛いって、言ってくれて……」
「う、ううん……本当に、そう思ったから……」
その後、お互いにモジモジと自分の手を触ったり意味もなくバッグの中を漁ったりしながら、そろそろ行こっかという感じになり並んで歩き始めた。なんかわからないけど、めちゃくちゃ顔が熱い……。
けど、七瀬さんと一緒にいるのは本当に居心地のよさを感じる。まぁ、今までのデートが刺激的過ぎたっていうのもあるかもだけど。
「人、多いね」
「うん、今日クリスマスだしね~」
そういえば今日クリスマスじゃん……。出かける予定も何かする予定もなかったから完全に忘れてた。
というか七瀬さん、せっかくのクリスマスを俺なんかと過ごしちゃっていいの!? たしか合コンのときは付き合ってる相手はいないって言ってたけど……。
もっとよく考えてデートの日程を決めるべきだったか……。
あ、でも確か七瀬さん、デート日の候補として俺が空いている日にちを全部送ったらものすごい速さで25日を指定して来たんだった。25日以外はすべて予定が埋まってたのかな。
そう言えばそれで思い出したけど、他の3人もそのあと立て続けに25日を希望するメッセージを送って来たんだった。結局早い者勝ちってことで別の日に変えてもらったんだけど。
みんなモテそうだし友達も多そうなのに、なんで25日を俺なんかとのデートに使おうとするのだろうか。不思議だなぁ……。
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