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第1話 街中で襲われている女子高生を助ける①
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意識が呼び覚まされたとき、なぜか俺は街中にたたずんでいた。
街と言っても、俺の知っている街ではない。
見上げれば太陽の光が差し込んで最上階まで見えない建物や、路上を高速移動する乗り物。
そして、そこかしこを行き来している人間たちもみな、俺が知っている人たちとはずいぶんと顔立ちが違っていて、黒い髪に白い肌をしている。
けれど、同時に俺はなぜかそれらのことを理解できるのだ。建築物はビルで高速移動する乗り物は車、ここにいる人たちは日本人。
そして自分は男子高校生、流線 遥人だと。
おかしい、なぜこんなことになってるんだ?
俺――ラインハルトはたしか、ダンジョンをソロで攻略中に死んだはずなのに……。
頭の中でそんなことを考えていると――
「いやあっ! 離してっ!!」
ふと、悲鳴に近い女の子の声が響いてきた。
――なんだ、女の子が魔物か山賊にでも襲われているのか?
そんな推測と共に、それとは真逆の考えが頭の中に流れ込んでくる。
――いや、ここは日本なんだから常識的に考えて魔物も山賊もいるわけがないだろう。
まるで自分とは違う、別世界の人間の意識が頭の中に入り込んでいるかのような感覚だ。
「ああ、もう、わけがわからん!!」
混乱する頭で半ばやけくそになりながら、俺は悲鳴が聞こえる方へと走った。すると、路地裏の入り口付近で、1人の女子高生がガタイのいいチャラチャラした男3人に取り囲まれている光景が遠目にも視界に入った。
「いいじゃんかよ~、お兄さんたちと遊ぼうぜ?」
「遊びません! いい加減に離さないと警察呼びますよ!」
女子高生は腰のあたりまで真っ直ぐに伸びたサラサラな黒髪で、目鼻立ちの整ったやや強気な印象を与える顔立ちをしていた。
実際、口調からも彼女の気の強さが感じられるが、男たちを睨みつける目元には涙が浮かんでいる。
いくら強気とは言え、女子高生が1人でガタイのいい男3人から囲まれているんだ、無理もない。
それにしても、異常なのは周りの光景だ。
いくら路地裏付近とは言え、通行人たちは彼らとの距離わずか数メートルのところを歩いており、そこで行われていることを目撃しているのだ。なのに、なにもせず通り過ぎていく。
中には「あれヤバくね?」とかいいながら気にかけている者もいるが、結局なにもせず遠目に見ているだけだ。
「は? 街中で女の子が襲われてたら普通は助けるだろ? なんでみんな素通りすんの?」
普通、街中にゴブリンが出現して女の子をさらおうとしたら助けるだろ? 見て見ぬふりとかしないだろ? なんでそんな我関せずって顔してんだよ。
俺は通行人の行動に対して理解に苦しみながらも、彼女の元へ全力で走った。
「くくくっ、強気なとこもそそるねぇ!」
「JKにしてはずいぶん肉付きもいいしなぁ!」
そう言って、1人の男が彼女のスカートの中に手を這わせる。
「いやっ」
女子高生が怯えるように目をつぶる。
「うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!」
その瞬間、俺は全力で叫びながら男に向かって突撃し、不意を突かれた男は地面に叩きつけられた。
街と言っても、俺の知っている街ではない。
見上げれば太陽の光が差し込んで最上階まで見えない建物や、路上を高速移動する乗り物。
そして、そこかしこを行き来している人間たちもみな、俺が知っている人たちとはずいぶんと顔立ちが違っていて、黒い髪に白い肌をしている。
けれど、同時に俺はなぜかそれらのことを理解できるのだ。建築物はビルで高速移動する乗り物は車、ここにいる人たちは日本人。
そして自分は男子高校生、流線 遥人だと。
おかしい、なぜこんなことになってるんだ?
俺――ラインハルトはたしか、ダンジョンをソロで攻略中に死んだはずなのに……。
頭の中でそんなことを考えていると――
「いやあっ! 離してっ!!」
ふと、悲鳴に近い女の子の声が響いてきた。
――なんだ、女の子が魔物か山賊にでも襲われているのか?
そんな推測と共に、それとは真逆の考えが頭の中に流れ込んでくる。
――いや、ここは日本なんだから常識的に考えて魔物も山賊もいるわけがないだろう。
まるで自分とは違う、別世界の人間の意識が頭の中に入り込んでいるかのような感覚だ。
「ああ、もう、わけがわからん!!」
混乱する頭で半ばやけくそになりながら、俺は悲鳴が聞こえる方へと走った。すると、路地裏の入り口付近で、1人の女子高生がガタイのいいチャラチャラした男3人に取り囲まれている光景が遠目にも視界に入った。
「いいじゃんかよ~、お兄さんたちと遊ぼうぜ?」
「遊びません! いい加減に離さないと警察呼びますよ!」
女子高生は腰のあたりまで真っ直ぐに伸びたサラサラな黒髪で、目鼻立ちの整ったやや強気な印象を与える顔立ちをしていた。
実際、口調からも彼女の気の強さが感じられるが、男たちを睨みつける目元には涙が浮かんでいる。
いくら強気とは言え、女子高生が1人でガタイのいい男3人から囲まれているんだ、無理もない。
それにしても、異常なのは周りの光景だ。
いくら路地裏付近とは言え、通行人たちは彼らとの距離わずか数メートルのところを歩いており、そこで行われていることを目撃しているのだ。なのに、なにもせず通り過ぎていく。
中には「あれヤバくね?」とかいいながら気にかけている者もいるが、結局なにもせず遠目に見ているだけだ。
「は? 街中で女の子が襲われてたら普通は助けるだろ? なんでみんな素通りすんの?」
普通、街中にゴブリンが出現して女の子をさらおうとしたら助けるだろ? 見て見ぬふりとかしないだろ? なんでそんな我関せずって顔してんだよ。
俺は通行人の行動に対して理解に苦しみながらも、彼女の元へ全力で走った。
「くくくっ、強気なとこもそそるねぇ!」
「JKにしてはずいぶん肉付きもいいしなぁ!」
そう言って、1人の男が彼女のスカートの中に手を這わせる。
「いやっ」
女子高生が怯えるように目をつぶる。
「うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!」
その瞬間、俺は全力で叫びながら男に向かって突撃し、不意を突かれた男は地面に叩きつけられた。
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