1 / 9
第1話
しおりを挟む
「貴方の婚約者はいただきました。私のほうが好きになったから結婚してくれるそうよ。だから彼と別れて頂戴。ジェシカ」
突然の告白に、私は相手の発言を飲み込むのに永遠とも思える時間を過ごしました。。。
急な話の展開にビックリさせてしまいましたね。失礼しました。
私の名前はシャルドネーク・ル・ジェシカ。
デジカ帝国のシャルドネーク家第3代伯爵シャルドネーク・ル・ベルモンテの息女ですわ。
伯爵の娘として恥じないように厳しく育てられた私には、立派な家柄の婚約者がいますの。
いえ、正確には「いました」になるのかしら?この女の発言が真実とするのならば。。。
そして、このあまりにも理解不能な言葉を発した相手は、「あの」悪役令嬢として名高いジルベール家のチェルシー・エルグラ・リゼロット。
彼女とは、そう、旧知の仲。いわゆる幼馴染という間柄ですわ。
もっとも、幼少の頃から仲の悪さは帝国中に響き渡っていましたが。
リゼロット。みんなからはリゼって呼ばれています。
リゼは何かと突っかかってくる人です。
学術会の講義では、ジェシカの論文よりも優れていると学長様がおっしゃられましたと自慢してきましたわ。
もっとも、陰ではジルベール家と学長との間で怪しい取引があったと噂されていますが。
ホラ吹きのリゼが「また」私の気を引こうと突っかかってくるたびに流していましたが、
今回の発言はちょっと度が過ぎますわね。見過ごせません。
私には婚約者がいます。彼の名前はエリオット。
レオルージュ家の長男レオルージュ・イエ・エリオット。
背が高く聡明で、学術会では常にトップの成績を収めていたエリオット。
この方も私が幼少の頃から野原を駆け巡って遊んでいた旧知の仲なのよ。
子供の頃から情熱的で、常に彼の方から遊びに誘ってくれたものね。
結婚の約束も彼からしてきてくれたから、このままエリオットと結ばれるものだと思っていたわ。
その平穏な日常をぶち壊してくれたのが、リゼ。
「なぜウソを付くの?リゼ。今までは目を瞑ってあげたけど、今回の発言は冗談では済まされないわよ?」
エリオットは私のことを愛している。そう信じ切っていたからこそ、確信をもってリゼに伝えました。
私の覇気に気圧されたのか、少したじろぐリゼ。
でも、一呼吸おいて我に返ったのか、満面の笑みを浮かべて言ってきたわ。
「ジェシカ。冗談ではないわよ。認めたくないのは分かるけれど、素直に現実を受け止めることね。
エリオットは、私が子供の頃からずっと好きだったそうよ。
ジェシカとの婚約も、家の存続のために仕方なく結んだとおっしゃっていたわ。」
・・・まるで私が政略結婚の道具にでもされたような言い草ね。
頭が痛くなってきたわ。。。
でも、この女の言っていることは本当なのかしら?
エリオットに確かめなくちゃ。
突然の告白に、私は相手の発言を飲み込むのに永遠とも思える時間を過ごしました。。。
急な話の展開にビックリさせてしまいましたね。失礼しました。
私の名前はシャルドネーク・ル・ジェシカ。
デジカ帝国のシャルドネーク家第3代伯爵シャルドネーク・ル・ベルモンテの息女ですわ。
伯爵の娘として恥じないように厳しく育てられた私には、立派な家柄の婚約者がいますの。
いえ、正確には「いました」になるのかしら?この女の発言が真実とするのならば。。。
そして、このあまりにも理解不能な言葉を発した相手は、「あの」悪役令嬢として名高いジルベール家のチェルシー・エルグラ・リゼロット。
彼女とは、そう、旧知の仲。いわゆる幼馴染という間柄ですわ。
もっとも、幼少の頃から仲の悪さは帝国中に響き渡っていましたが。
リゼロット。みんなからはリゼって呼ばれています。
リゼは何かと突っかかってくる人です。
学術会の講義では、ジェシカの論文よりも優れていると学長様がおっしゃられましたと自慢してきましたわ。
もっとも、陰ではジルベール家と学長との間で怪しい取引があったと噂されていますが。
ホラ吹きのリゼが「また」私の気を引こうと突っかかってくるたびに流していましたが、
今回の発言はちょっと度が過ぎますわね。見過ごせません。
私には婚約者がいます。彼の名前はエリオット。
レオルージュ家の長男レオルージュ・イエ・エリオット。
背が高く聡明で、学術会では常にトップの成績を収めていたエリオット。
この方も私が幼少の頃から野原を駆け巡って遊んでいた旧知の仲なのよ。
子供の頃から情熱的で、常に彼の方から遊びに誘ってくれたものね。
結婚の約束も彼からしてきてくれたから、このままエリオットと結ばれるものだと思っていたわ。
その平穏な日常をぶち壊してくれたのが、リゼ。
「なぜウソを付くの?リゼ。今までは目を瞑ってあげたけど、今回の発言は冗談では済まされないわよ?」
エリオットは私のことを愛している。そう信じ切っていたからこそ、確信をもってリゼに伝えました。
私の覇気に気圧されたのか、少したじろぐリゼ。
でも、一呼吸おいて我に返ったのか、満面の笑みを浮かべて言ってきたわ。
「ジェシカ。冗談ではないわよ。認めたくないのは分かるけれど、素直に現実を受け止めることね。
エリオットは、私が子供の頃からずっと好きだったそうよ。
ジェシカとの婚約も、家の存続のために仕方なく結んだとおっしゃっていたわ。」
・・・まるで私が政略結婚の道具にでもされたような言い草ね。
頭が痛くなってきたわ。。。
でも、この女の言っていることは本当なのかしら?
エリオットに確かめなくちゃ。
0
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
幼馴染のために婚約者を追放した旦那様。しかしその後大変なことになっているようです
新野乃花(大舟)
恋愛
クライク侯爵は自身の婚約者として、一目ぼれしたエレーナの事を受け入れていた。しかしクライクはその後、自身の幼馴染であるシェリアの事ばかりを偏愛し、エレーナの事を冷遇し始める。そんな日々が繰り返されたのち、ついにクライクはエレーナのことを婚約破棄することを決める。もう戻れないところまで来てしまったクライクは、その後大きな後悔をすることとなるのだった…。
お望み通り、別れて差し上げます!
珊瑚
恋愛
「幼なじみと子供が出来たから別れてくれ。」
本当の理解者は幼なじみだったのだと婚約者のリオルから突然婚約破棄を突きつけられたフェリア。彼は自分の家からの支援が無くなれば困るに違いないと思っているようだが……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる