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何故かお昼ご飯に誘われました。
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ーーキーンコーンカーンコーン
「やっと昼だー!」
「一緒に食堂行こーぜ」
「今日は私、お弁当なんだよ」
「へー、おいしそう!」
賑やかな周りの声を聞きながら、私は思いっきりのびた。
初めての授業では、さっそく魔法を使うものも多かった。
それと、初めてわかったことが、私の魔力は、同年代の貴族の子たちと比べても、強い方らしいということ。
さすがヒロインの魔力。
「アーク、昼飯食いに行くぞ」
「ああ」
攻略対象の1人であるキアン様が、アーク様に話しかけた。
その時、敵意とまではいかなくても、怪しい者を見る目で私の方を見てきた。
ああー、本当にどうしよう…。
このまま怪しい人のままだと、いずれメアリー様の敵に認識されてしまう。
……ま、とりあえず今のところは、早くお昼ご飯を食べよう!
食堂を自分で見つけて、買いに行こうとすると。
「エマ様!お昼ご飯、ご一緒にどうですか?」
「え……メアリー様…」
目の前に立ちはだかるようにして私の前に現れたのは、メアリー様と、メアリー様に呼ばれていたことで名前が判明した、メアリー様の友達のグレイシー様だった。
何故お昼ご飯……?
もしかしてメアリー様は、3年前に私と会ったことを覚えていないのだろうか。
もしくは、覚えていたとして、その上で声をかけてきているのか。
どちらかはわからないけど、メアリー様は公爵家令嬢、グレイシー様は伯爵家令嬢。
それに対して、私はただの平民。
先生は、『身分なんて関係なく仲良くしろ』と言っていたけれど、この学園はそんなに甘くないことくらい、ゲームをプレイしていた前世の頃から知っている。
つまり、ただの平民の私が貴族に逆らうことは、自分で自分を破滅させようとしているのと同義だ。
だから、誘われたら私に拒否権なんてものはないのだ。
「……お誘い頂き、光栄です。ぜひご一緒させてください」
なるべく頬が引き攣らないように、上品な笑顔を意識して浮かべる。
「メアリー様!」
「おい、平民と昼ごはんを一緒にするとか……それに3年前のことも…」
私をお昼ご飯に誘ったメアリー様に、クレイ様とキアン様が咎めるように声をかける。
「でも、彼女は情報を悪用したりはしなかったでしょう?」
「それはそうですけど……」
もしかしたら、3年前の出会いイベントのあと、メアリー様たちは私のことを調べていたのかもしれない。
じゃなければ、こんな風に、私が情報を悪用していないことを断定して言うことはできないから。
……てことは、攻略対象の人たちも、私が情報を悪用していないことは知っているんじゃない!?
ちゃんと『メアリー様に害のない人物』として生活していけば、そのうち私の悪いイメージは払拭できるかもしれない。
何をすればいいのか、正直わからなかったから、心の中で安堵する。
「メアリー様、私の自己紹介の時は、助けてくださりありがとうございました」
「あら、私は当たり前のことをしただけよ?」
メアリー様が本当に不思議そうな表情で私に返事をする。
「やっと昼だー!」
「一緒に食堂行こーぜ」
「今日は私、お弁当なんだよ」
「へー、おいしそう!」
賑やかな周りの声を聞きながら、私は思いっきりのびた。
初めての授業では、さっそく魔法を使うものも多かった。
それと、初めてわかったことが、私の魔力は、同年代の貴族の子たちと比べても、強い方らしいということ。
さすがヒロインの魔力。
「アーク、昼飯食いに行くぞ」
「ああ」
攻略対象の1人であるキアン様が、アーク様に話しかけた。
その時、敵意とまではいかなくても、怪しい者を見る目で私の方を見てきた。
ああー、本当にどうしよう…。
このまま怪しい人のままだと、いずれメアリー様の敵に認識されてしまう。
……ま、とりあえず今のところは、早くお昼ご飯を食べよう!
食堂を自分で見つけて、買いに行こうとすると。
「エマ様!お昼ご飯、ご一緒にどうですか?」
「え……メアリー様…」
目の前に立ちはだかるようにして私の前に現れたのは、メアリー様と、メアリー様に呼ばれていたことで名前が判明した、メアリー様の友達のグレイシー様だった。
何故お昼ご飯……?
もしかしてメアリー様は、3年前に私と会ったことを覚えていないのだろうか。
もしくは、覚えていたとして、その上で声をかけてきているのか。
どちらかはわからないけど、メアリー様は公爵家令嬢、グレイシー様は伯爵家令嬢。
それに対して、私はただの平民。
先生は、『身分なんて関係なく仲良くしろ』と言っていたけれど、この学園はそんなに甘くないことくらい、ゲームをプレイしていた前世の頃から知っている。
つまり、ただの平民の私が貴族に逆らうことは、自分で自分を破滅させようとしているのと同義だ。
だから、誘われたら私に拒否権なんてものはないのだ。
「……お誘い頂き、光栄です。ぜひご一緒させてください」
なるべく頬が引き攣らないように、上品な笑顔を意識して浮かべる。
「メアリー様!」
「おい、平民と昼ごはんを一緒にするとか……それに3年前のことも…」
私をお昼ご飯に誘ったメアリー様に、クレイ様とキアン様が咎めるように声をかける。
「でも、彼女は情報を悪用したりはしなかったでしょう?」
「それはそうですけど……」
もしかしたら、3年前の出会いイベントのあと、メアリー様たちは私のことを調べていたのかもしれない。
じゃなければ、こんな風に、私が情報を悪用していないことを断定して言うことはできないから。
……てことは、攻略対象の人たちも、私が情報を悪用していないことは知っているんじゃない!?
ちゃんと『メアリー様に害のない人物』として生活していけば、そのうち私の悪いイメージは払拭できるかもしれない。
何をすればいいのか、正直わからなかったから、心の中で安堵する。
「メアリー様、私の自己紹介の時は、助けてくださりありがとうございました」
「あら、私は当たり前のことをしただけよ?」
メアリー様が本当に不思議そうな表情で私に返事をする。
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