53 / 56
白蛇の怨念
しおりを挟む
を差し上げました。私くしは、山形で農業を営んでいる瀧本と申す者で御座います。実は、私くしの
末娘の夏の事で、どうしても先生のお力をお貸し頂きたくて、筆を取らせていただきました。夏は
普段は東京で美容師をしております。所が夏休みが取れたとの事で、我が家に里帰りしてきたのです。
その3日後に、朝ご飯ができても一向に起きてこないので、お越しに行った時のことでした。布団を
丸めてその中ですやすや寝ているのです。いくら起こしても起きようとしません。暑いのに布団をあ
んなふうにくるんで寝ているのも変だと思っていたのですが、昼になっても夜になって起きてくる様子
ありません。おかしいと思い、娘の部屋を覗き込んでみたら、夏の姿がないのです。何処に行ってしま
ったのかと思っていたその時でした。何やら屋根を這いずるような音が聞こえてきました。私は、何だ
か怖くなって、夫に、屋根裏部屋から変な音がするので、見てきて欲しいと頼みました。すると、夫は
しぶしぶ言いながら、屋根裏部屋へ向かったのです。しばらくして夫は、大声出しながら戻って来たの
です。そして夫は怯えた様子で、夏がおかしくなっている。ネズミを加えているんだと。それを聞いた
私は、とても信じ難い思いでおりました。ですが確かめねばと、我が家の長男と一緒に屋根裏部屋に行
きました。すると夏は、夫が言うように、口の周りを血だらけにしながら、ネズミを食べていたのです。
次の日に、精神内科に連れて行き、診察をしてもらいましたが、異常は認められないと言われました。
先生、私の娘夏に一体何が起きているのでしょうか。どうか一度娘の様子を見に来て頂く訳には行か
ないでしょうか。お忙しいところ申し訳ありませんが、お願い致します。」
と、言った内容であった。手紙を終える前からちずるは、何やらとてつもない妖気を感じていた。その日仕事を終えて帰宅するなり、神棚の部屋に入り、またもや瞑想の世界に入った。何時ものように五体から魂となって抜け出ると、問題の瀧本家を探しに出た。やがて、一軒の家に目がいった。近ずいて見ると、とてつもない強い妖気を感じ取った。玄関の表札には瀧本と書かれてある。間違いなくこの家である事を確認すると、ちずるは家の中入り込んだ。当然ちずるは魂の存在になっているため、瀧本家の人達にはちずるの姿が見えてはいない。ちずるはそのまま屋根裏部屋へと急いだ。すると、屋根裏部屋の隅の方で、体を丸めてジッとちずるを睨み付けている夏の姿があった。
「お前は誰だ“何しにここへ来た」
と、地から聴こえてくるかのような声で、ちずるに言った。魂である姿のちずるを見る事が出来るのは、同じ魂の
末娘の夏の事で、どうしても先生のお力をお貸し頂きたくて、筆を取らせていただきました。夏は
普段は東京で美容師をしております。所が夏休みが取れたとの事で、我が家に里帰りしてきたのです。
その3日後に、朝ご飯ができても一向に起きてこないので、お越しに行った時のことでした。布団を
丸めてその中ですやすや寝ているのです。いくら起こしても起きようとしません。暑いのに布団をあ
んなふうにくるんで寝ているのも変だと思っていたのですが、昼になっても夜になって起きてくる様子
ありません。おかしいと思い、娘の部屋を覗き込んでみたら、夏の姿がないのです。何処に行ってしま
ったのかと思っていたその時でした。何やら屋根を這いずるような音が聞こえてきました。私は、何だ
か怖くなって、夫に、屋根裏部屋から変な音がするので、見てきて欲しいと頼みました。すると、夫は
しぶしぶ言いながら、屋根裏部屋へ向かったのです。しばらくして夫は、大声出しながら戻って来たの
です。そして夫は怯えた様子で、夏がおかしくなっている。ネズミを加えているんだと。それを聞いた
私は、とても信じ難い思いでおりました。ですが確かめねばと、我が家の長男と一緒に屋根裏部屋に行
きました。すると夏は、夫が言うように、口の周りを血だらけにしながら、ネズミを食べていたのです。
次の日に、精神内科に連れて行き、診察をしてもらいましたが、異常は認められないと言われました。
先生、私の娘夏に一体何が起きているのでしょうか。どうか一度娘の様子を見に来て頂く訳には行か
ないでしょうか。お忙しいところ申し訳ありませんが、お願い致します。」
と、言った内容であった。手紙を終える前からちずるは、何やらとてつもない妖気を感じていた。その日仕事を終えて帰宅するなり、神棚の部屋に入り、またもや瞑想の世界に入った。何時ものように五体から魂となって抜け出ると、問題の瀧本家を探しに出た。やがて、一軒の家に目がいった。近ずいて見ると、とてつもない強い妖気を感じ取った。玄関の表札には瀧本と書かれてある。間違いなくこの家である事を確認すると、ちずるは家の中入り込んだ。当然ちずるは魂の存在になっているため、瀧本家の人達にはちずるの姿が見えてはいない。ちずるはそのまま屋根裏部屋へと急いだ。すると、屋根裏部屋の隅の方で、体を丸めてジッとちずるを睨み付けている夏の姿があった。
「お前は誰だ“何しにここへ来た」
と、地から聴こえてくるかのような声で、ちずるに言った。魂である姿のちずるを見る事が出来るのは、同じ魂の
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
強制憑依アプリを使ってみた。
本田 壱好
ミステリー
十八年間モテた試しが無かった俺こと童定春はある日、幼馴染の藍良舞に告白される。
校内一の人気を誇る藍良が俺に告白⁈
これは何かのドッキリか?突然のことに俺は返事が出来なかった。
不幸は続くと言うが、その日は不幸の始まりとなるキッカケが多くあったのだと今となっては思う。
その日の夜、小学生の頃の友人、鴨居常叶から当然連絡が掛かってきたのも、そのキッカケの一つだ。
話の内容は、強制憑依アプリという怪しげなアプリの話であり、それをインストールして欲しいと言われる。
頼まれたら断れない性格の俺は、送られてきたサイトに飛んで、その強制憑依アプリをインストールした。
まさかそれが、運命を大きく変える出来事に発展するなんて‥。当時の俺は、まだ知る由もなかった。
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
夜の動物園の異変 ~見えない来園者~
メイナ
ミステリー
夜の動物園で起こる不可解な事件。
飼育員・えまは「動物の声を聞く力」を持っていた。
ある夜、動物たちが一斉に怯え、こう囁いた——
「そこに、"何か"がいる……。」
科学者・水原透子と共に、"見えざる来園者"の正体を探る。
これは幽霊なのか、それとも——?
紙の本のカバーをめくりたい話
みぅら
ミステリー
紙の本のカバーをめくろうとしたら、見ず知らずの人に「その本、カバーをめくらない方がいいですよ」と制止されて、モヤモヤしながら本を読む話。
男性向けでも女性向けでもありません。
カテゴリにその他がなかったのでミステリーにしていますが、全然ミステリーではありません。
【完結】Amnesia(アムネシア)~カフェ「時遊館」に現れた美しい青年は記憶を失っていた~
紫紺
ミステリー
郊外の人気カフェ、『時游館』のマスター航留は、ある日美しい青年と出会う。彼は自分が誰かも全て忘れてしまう記憶喪失を患っていた。
行きがかり上、面倒を見ることになったのが……。
※「Amnesia」は医学用語で、一般的には「記憶喪失」のことを指します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる