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第14章 四度目の春、帝国は
第380話【閑話】ポルトの孤児院にお世話になる前のこと
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ここはポルトという港町にある孤児院、私は半月ほど前からここでお世話になっている。
三食の温かい食事と清潔な衣服それに柔らかいベッド、そんなものを無償で与えてくれる施設があるなんて夢にも思わなかったわ。
以前私が暮らしていた帝国は酷い国で、貧富の差が大きく生活に窮した者がスラムに子供を置き去りにすることが後を絶たなかったの。
また、帝国では『黒の使徒』という無法者の集団が幅を利かせていて、領主ですらそいつらの言いなりだった。
美人で評判だったわたしの母さんが、あろうことか『黒の使徒』に目を付けられてしまったことから、私は父さんを殺され、ありもしない借金を負わされた母さんは『黒の使徒』の娼館で働かされた末に命を落とした。
そんな非道なこととすら見逃される、帝国はそれほどまで不平等な国だった。
母さんは亡くなる前に私に『黒の使徒』から逃げるように言い残したの。
逃げろと言われても、まだ十歳になったばかりの私に遠くに逃げのびる術があるわけもなく、私は町のスラムに逃げ込んだ。
スラムは想像を絶するほど酷いところだった。その辺に汚物が捨てられ酷く臭うし、住む場所を無くした人たちが路上に寝転んでいるの。
薄暗くジメジメとした路地を進んでいくと行き止まりに身を寄せ合って動かない五人の小さな子がいたの。男の子三人と女の子二人、みなガリガリに痩せていて顔色が悪かった。
具合が悪いのかと尋ねるとお腹が空いて動けないと言う。
私は家を逃げ出すときに持ってきた僅かばかりのお金で食べ物を買ってきて、五人の子供達と少しずつ分け合ったの。
家にあったお金の大部分は借金の返済だと言って『黒の使徒』に取上げられてしまって、カツカツな生活を強いられていたため、持ってこられてお金はほんの僅かだった。
今思えば、借金なんかでっち上げだったのだから、お金を取り上げたのは私達親子が逃げ出せないようにするためなのだろう。
そんな訳で僅かばかりのお金では節約しても子供六人が食べ繋ぐことが出来た期間は短かった。
でも、春から秋まではまだ良かったの、海岸まで出かければ貝や小エビや海草など食べられる物が手に入ったから。
私はこの時ほど魔法が使えて良かったと思ったことはなかったわ。
飲み水と火種を確保できることがこんなに有り難いことだとは思いもしなかったもの。
大きな貝殻と石を拾ってきて、石で簡単な炉を組み貝殻を鍋の代わりにして、貝や小エビ、海草でスープを作ってお腹を満たすの。海岸に流れ着いた木の破片を薪にすることが出来たのが幸いだったわ。
でも、何とかなったのは秋の終わりまでだったわ。冬はどうすることも出来なかったの。
秋も終わりに近づいたころ、海の水が身を切るくらいに冷たくなったことに身の危険を感じた私は、とにかく貝や小エビを獲りまくったの。
そして、見よう見まねで干物を作った、冬になったら海に入れないと思ったから。
同様に、海岸に落ちている木切れを片っ端から拾い集めたの。
冬は本当の地獄だった。路地の片隅に山のように集めた木切れはどんどん減っていくの。
焚き火はぎりぎり暖が取れる最小まで小さくして薪を節約したわ。そのぶん身を寄せ合って少しでも凍えないようにしていたの。
でも、雪が積もる時期はそれで乗り越えることは出来なかったわ。路地のどん詰まりは風は余り吹き込まないけど、雪は容赦なく降るの。
雪が積もらない壁際に身を寄せ合って寝た翌朝、寒さが酷いなと思ったら雪のせいで焚き火が消えていたの。
そして、一番小さな男の子が一人息をしていなかった…。
私は目の前が真っ暗になった、小さな命を守れなかったのが悔しかった。
その冬はそれを三度繰り返すことになった、春が訪れたとき男の子は一人も残ってなかったわ。
いつも私に寄り添っている二人の小さな女の子を見て、私はすごい不安を感じていたの。
この子達二人を欠くことなく無事に次の冬を越すことが出来るのだろうかと。
**********
冬が終って何とか海岸で食べ物を調達できるようなったので、ホッと一息ついた頃、あいつらがやって来たの。
「おいソフィよ!こんなところに逃げ込んでいたのか!
薄汚れているんで分からなかったぜ、ベッピンが台無しじゃねえか。
まったく、手間をかけさせてくれる。
おまえの親父の借金、まだ残っているんだぞ。
おまえに払ってらわないと、俺たちゃ大損だぜ。」
どうやら、海岸に食べ物を獲りに行っているところを見付かって、後をつけられたらしい。
私の腕を掴んで強引に連れて行こうとする『黒の使徒』の連中に何とか懇願したの。
「少しで良いから待ってください。
この子達を置き去りする訳にはいかないの、誰か他のスラムのグループに預かってもらうから少しだけ時間をください。」
『黒の使徒』の連中はいやらしい笑みを浮かべながら言ったんだ。
「そうかい、そうだな俺たちゃ優しいから別れを惜しむ時間くらいはくれてやるとするか。
四、五日したらまた来るそれまでに別れを済ましておくんだぞ。
いいか、逃げ出そうなんてするんじゃねえぞ、そんときゃそっちのガキ共もタダじゃ済まさねえからな。」
立ち去る連中を見送りながら私は途方にくれていたの。
私に残された道は二つ、あいつらの言いなりになって働くか、この子達を連れて逃げるか。
逃げる?どこに?本当は私に選択肢などないことなど、とっくに気が付いていたの。
それから二日後、二人の預け先を探しに歩いていると、スラムの悪ガキのリーダーが周りに声をかけながら走り回っていた。
彼は、何処かのお金持ちがスラムの子供にお腹いっぱいご飯を食べさせてくれるから集まれと言う。
私は半信半疑だったが、空腹には勝てず付いていくことにしたわ。
スラムの中にある小さな空き地、そこに身なりの良い女性が五人いたの。
一番背が高く年上に見える女の人はテーテュスと名乗り、貿易商を営んでいると言った。
なんでも、スラムから見習いを雇ってくれるつもりらしい。
真面目に働く気があって、悪さをしなければ誰でも良いと言う。
私は光明を見つけた思いだった、ここで雇ってもらえれば奴らから逃げれるかもと。
でも、そんなに甘くはなかったわ。
雇って欲しいと申し出た私にテーテュスさんはバツの悪い顔をして、謝りながら男の子に限ると言いなおしたの。
そして、一緒にいる女の人が私達女の子に話があるとテーテュスさんは言った。
私は貴族のご令嬢という雰囲気の女性に向かって、働き口を紹介してくれるのかと尋ねた。
前もって娼館で働くのはイヤだと言ったら、その女性はそんな仕事を紹介するほど非常識な人間ではないと笑って、用があるのは隣にいるわたしと同じ年頃の女の子だと言う。
貴族のお嬢様らしき女の子は、わたし達を孤児院で保護するために来たと言ったわ。
孤児院と言う聞きなれない言葉の意味を尋ねたら、わたし達のような身寄りのない子供を保護して大人になるまで世話をしてくれる施設だと説明されたの。
私はそれを聞いてそんな虫の良い話はないと思ったわ。
その時思ったの、こいつら『黒の使徒』とグルなんじゃないかと。
私が渋っているのでお人好しそうな女の人を使いにして、私を騙そうとしているのではないかと。
私はそのことをこの人達にぶつけると、慌てて詳しい話が聞きたいといってきた。
この人たちは隣の国からわざわざ『黒の使徒』を潰すためにきたらしい、昨日町が騒がしいと思ったらこの人たちが扇動して町の人が『黒の使徒』を追い出す騒ぎだったそうだ。
この人たちはわたしの話を聞くとすぐに『黒の使徒』の残党の捕縛に動いてくれた。
そこで初めて父さんが『黒の使徒』に殺害されているだろうと言うことと母さんが娼館で働かされることになった借金がでっち上げだろうと知らされた。あいつらが良く使う手なんだそうだ。
そうして、もう『黒の使徒』から逃げ回れなくて良いと言われたとき、私はあふれる涙が止まらなかった。
その時、私の頭を父さんがいなくなった三年前からの出来事が次々と過っていったの。
この人達が三年前に来てくれれば父さん無事だったかも、いえ、せめて一年前に来てくれればあの子達は冬を越せたかもしれない。
そう思ったら、つい言ってしまったの。
「どうして、どうして、もっと早く来てくれなかったの……。」
この人達が悪いわけじゃないのに、助けに来てくれた人に八つ当たりしてしまった…。
**********
私が泣き止むのを待って、再び孤児院の説明を聞かされたの。
ターニャと名乗った私と同じ年頃の女の子が主体となって色々な事を説明してくれたわ。
わたしが最初に話しかけた大人の女性はリタさんと言って、本当にターニャちゃんの付添いできただけらしい。
リタさんは貴族家の当主で、この町には交易の仕事で来たそうだ。
まだ、子供のターニャちゃん一人を治安の悪いスラムに行かせる訳にも行かず、また大人が付いて行った方が信用され易いだろうという事でここに付き添ったと言っていた。
信じられないことだけど、『黒の使徒』を追い出す運動も、孤児を保護する活動もターニャちゃんが先頭に立って行っていることらしい。
色々と聞かされたが、私にとって大切だったのは、ポルトの孤児院が国によって運営されている施設で、いかがわしいとこで働かせる目的で孤児を集めている訳ではないと言うこと。
ターニャちゃんは贅沢はさせられないと言っているが、私に言わせてもらえば三食のご飯が当たって屋根のあるところで眠れる、それに加えて娼館で働かされる訳でないのならそれで十分だ。
相談の結果、私達女の子十二人がポルトの孤児院でお世話になることになった。
いつも傍に寄り添っている小さな二人の命を冬に奪われる心配が無くなったことに、私は心から感謝したわ。
そうして、はるばる海を渡って私たちはポルトまでやってきたのだけど…。
ポルトの孤児院は私の想像とはかけ離れたところだった…。
三食の温かい食事と清潔な衣服それに柔らかいベッド、そんなものを無償で与えてくれる施設があるなんて夢にも思わなかったわ。
以前私が暮らしていた帝国は酷い国で、貧富の差が大きく生活に窮した者がスラムに子供を置き去りにすることが後を絶たなかったの。
また、帝国では『黒の使徒』という無法者の集団が幅を利かせていて、領主ですらそいつらの言いなりだった。
美人で評判だったわたしの母さんが、あろうことか『黒の使徒』に目を付けられてしまったことから、私は父さんを殺され、ありもしない借金を負わされた母さんは『黒の使徒』の娼館で働かされた末に命を落とした。
そんな非道なこととすら見逃される、帝国はそれほどまで不平等な国だった。
母さんは亡くなる前に私に『黒の使徒』から逃げるように言い残したの。
逃げろと言われても、まだ十歳になったばかりの私に遠くに逃げのびる術があるわけもなく、私は町のスラムに逃げ込んだ。
スラムは想像を絶するほど酷いところだった。その辺に汚物が捨てられ酷く臭うし、住む場所を無くした人たちが路上に寝転んでいるの。
薄暗くジメジメとした路地を進んでいくと行き止まりに身を寄せ合って動かない五人の小さな子がいたの。男の子三人と女の子二人、みなガリガリに痩せていて顔色が悪かった。
具合が悪いのかと尋ねるとお腹が空いて動けないと言う。
私は家を逃げ出すときに持ってきた僅かばかりのお金で食べ物を買ってきて、五人の子供達と少しずつ分け合ったの。
家にあったお金の大部分は借金の返済だと言って『黒の使徒』に取上げられてしまって、カツカツな生活を強いられていたため、持ってこられてお金はほんの僅かだった。
今思えば、借金なんかでっち上げだったのだから、お金を取り上げたのは私達親子が逃げ出せないようにするためなのだろう。
そんな訳で僅かばかりのお金では節約しても子供六人が食べ繋ぐことが出来た期間は短かった。
でも、春から秋まではまだ良かったの、海岸まで出かければ貝や小エビや海草など食べられる物が手に入ったから。
私はこの時ほど魔法が使えて良かったと思ったことはなかったわ。
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でも、何とかなったのは秋の終わりまでだったわ。冬はどうすることも出来なかったの。
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そして、見よう見まねで干物を作った、冬になったら海に入れないと思ったから。
同様に、海岸に落ちている木切れを片っ端から拾い集めたの。
冬は本当の地獄だった。路地の片隅に山のように集めた木切れはどんどん減っていくの。
焚き火はぎりぎり暖が取れる最小まで小さくして薪を節約したわ。そのぶん身を寄せ合って少しでも凍えないようにしていたの。
でも、雪が積もる時期はそれで乗り越えることは出来なかったわ。路地のどん詰まりは風は余り吹き込まないけど、雪は容赦なく降るの。
雪が積もらない壁際に身を寄せ合って寝た翌朝、寒さが酷いなと思ったら雪のせいで焚き火が消えていたの。
そして、一番小さな男の子が一人息をしていなかった…。
私は目の前が真っ暗になった、小さな命を守れなかったのが悔しかった。
その冬はそれを三度繰り返すことになった、春が訪れたとき男の子は一人も残ってなかったわ。
いつも私に寄り添っている二人の小さな女の子を見て、私はすごい不安を感じていたの。
この子達二人を欠くことなく無事に次の冬を越すことが出来るのだろうかと。
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冬が終って何とか海岸で食べ物を調達できるようなったので、ホッと一息ついた頃、あいつらがやって来たの。
「おいソフィよ!こんなところに逃げ込んでいたのか!
薄汚れているんで分からなかったぜ、ベッピンが台無しじゃねえか。
まったく、手間をかけさせてくれる。
おまえの親父の借金、まだ残っているんだぞ。
おまえに払ってらわないと、俺たちゃ大損だぜ。」
どうやら、海岸に食べ物を獲りに行っているところを見付かって、後をつけられたらしい。
私の腕を掴んで強引に連れて行こうとする『黒の使徒』の連中に何とか懇願したの。
「少しで良いから待ってください。
この子達を置き去りする訳にはいかないの、誰か他のスラムのグループに預かってもらうから少しだけ時間をください。」
『黒の使徒』の連中はいやらしい笑みを浮かべながら言ったんだ。
「そうかい、そうだな俺たちゃ優しいから別れを惜しむ時間くらいはくれてやるとするか。
四、五日したらまた来るそれまでに別れを済ましておくんだぞ。
いいか、逃げ出そうなんてするんじゃねえぞ、そんときゃそっちのガキ共もタダじゃ済まさねえからな。」
立ち去る連中を見送りながら私は途方にくれていたの。
私に残された道は二つ、あいつらの言いなりになって働くか、この子達を連れて逃げるか。
逃げる?どこに?本当は私に選択肢などないことなど、とっくに気が付いていたの。
それから二日後、二人の預け先を探しに歩いていると、スラムの悪ガキのリーダーが周りに声をかけながら走り回っていた。
彼は、何処かのお金持ちがスラムの子供にお腹いっぱいご飯を食べさせてくれるから集まれと言う。
私は半信半疑だったが、空腹には勝てず付いていくことにしたわ。
スラムの中にある小さな空き地、そこに身なりの良い女性が五人いたの。
一番背が高く年上に見える女の人はテーテュスと名乗り、貿易商を営んでいると言った。
なんでも、スラムから見習いを雇ってくれるつもりらしい。
真面目に働く気があって、悪さをしなければ誰でも良いと言う。
私は光明を見つけた思いだった、ここで雇ってもらえれば奴らから逃げれるかもと。
でも、そんなに甘くはなかったわ。
雇って欲しいと申し出た私にテーテュスさんはバツの悪い顔をして、謝りながら男の子に限ると言いなおしたの。
そして、一緒にいる女の人が私達女の子に話があるとテーテュスさんは言った。
私は貴族のご令嬢という雰囲気の女性に向かって、働き口を紹介してくれるのかと尋ねた。
前もって娼館で働くのはイヤだと言ったら、その女性はそんな仕事を紹介するほど非常識な人間ではないと笑って、用があるのは隣にいるわたしと同じ年頃の女の子だと言う。
貴族のお嬢様らしき女の子は、わたし達を孤児院で保護するために来たと言ったわ。
孤児院と言う聞きなれない言葉の意味を尋ねたら、わたし達のような身寄りのない子供を保護して大人になるまで世話をしてくれる施設だと説明されたの。
私はそれを聞いてそんな虫の良い話はないと思ったわ。
その時思ったの、こいつら『黒の使徒』とグルなんじゃないかと。
私が渋っているのでお人好しそうな女の人を使いにして、私を騙そうとしているのではないかと。
私はそのことをこの人達にぶつけると、慌てて詳しい話が聞きたいといってきた。
この人たちは隣の国からわざわざ『黒の使徒』を潰すためにきたらしい、昨日町が騒がしいと思ったらこの人たちが扇動して町の人が『黒の使徒』を追い出す騒ぎだったそうだ。
この人たちはわたしの話を聞くとすぐに『黒の使徒』の残党の捕縛に動いてくれた。
そこで初めて父さんが『黒の使徒』に殺害されているだろうと言うことと母さんが娼館で働かされることになった借金がでっち上げだろうと知らされた。あいつらが良く使う手なんだそうだ。
そうして、もう『黒の使徒』から逃げ回れなくて良いと言われたとき、私はあふれる涙が止まらなかった。
その時、私の頭を父さんがいなくなった三年前からの出来事が次々と過っていったの。
この人達が三年前に来てくれれば父さん無事だったかも、いえ、せめて一年前に来てくれればあの子達は冬を越せたかもしれない。
そう思ったら、つい言ってしまったの。
「どうして、どうして、もっと早く来てくれなかったの……。」
この人達が悪いわけじゃないのに、助けに来てくれた人に八つ当たりしてしまった…。
**********
私が泣き止むのを待って、再び孤児院の説明を聞かされたの。
ターニャと名乗った私と同じ年頃の女の子が主体となって色々な事を説明してくれたわ。
わたしが最初に話しかけた大人の女性はリタさんと言って、本当にターニャちゃんの付添いできただけらしい。
リタさんは貴族家の当主で、この町には交易の仕事で来たそうだ。
まだ、子供のターニャちゃん一人を治安の悪いスラムに行かせる訳にも行かず、また大人が付いて行った方が信用され易いだろうという事でここに付き添ったと言っていた。
信じられないことだけど、『黒の使徒』を追い出す運動も、孤児を保護する活動もターニャちゃんが先頭に立って行っていることらしい。
色々と聞かされたが、私にとって大切だったのは、ポルトの孤児院が国によって運営されている施設で、いかがわしいとこで働かせる目的で孤児を集めている訳ではないと言うこと。
ターニャちゃんは贅沢はさせられないと言っているが、私に言わせてもらえば三食のご飯が当たって屋根のあるところで眠れる、それに加えて娼館で働かされる訳でないのならそれで十分だ。
相談の結果、私達女の子十二人がポルトの孤児院でお世話になることになった。
いつも傍に寄り添っている小さな二人の命を冬に奪われる心配が無くなったことに、私は心から感謝したわ。
そうして、はるばる海を渡って私たちはポルトまでやってきたのだけど…。
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