132 / 508
第6章 王家の森
第131話 大司教の申し出
しおりを挟む
ミルトさんから差し出された本を手に取ったフィナントロープさんは、その中の一番薄い一冊をパラパラめくりながら言った。
「これは、子供向けの本かい。
なになに、『初めて学ぶ人体の仕組み』、これがどうし……。」
何か言いかけたフィナントロープさんはそのまま固まってしまった。
「一年前ウンディーネ様からいただいた大量の本、やっと少し翻訳できたの。
医療関係で翻訳できたのは今のところその三冊だけ、専門用語が多いらしくて翻訳が難航しているの。」
固まっているフィナントロープさんを尻目にミルトさんはわたしに本の説明をしてくれた。
精霊の森を訪問したときにもらった旧魔導王国の本なんだ。
旧魔導王国の言葉で書かれていたんで翻訳が必要だったのね。
その時我にかえったフィナントロープさんが言った。
「子供向けの平易な言葉を選んでいて、絵よる説明もたくさんあってわかり易い、確かに子供向けの本だ。
しかし、この内容を子供に読ませるのかい、肺や心臓の役割とかならともかく肝臓や腎臓の役割なんて創世教の研究でもやっと最近わかったことだよ。
脳の部位ごとの役割とか免疫細胞の役割に至っては、創世教の研究の題材にも上がっていない未知の領域さね。私も今初めて知ったよ。
ミルト様、この本はどこで手に入れなさった。」
わたしには何のことかサッパリわからないけど、旧魔導王国が進んでいたことだけはわかったよ。
「それは、旧魔導王国の書物です。
二千年前の魔導王国の言葉で書かれていたもので、翻訳に難儀しました。
この子の母親が大切に保存していたものを一部譲っていただいたのです。」
ミルトさんはわたしを指差していった。
「この本が二千年も前に書かれたものだって……。
しかし、そもそもこの本に書いてあるのは本当のことなのかい。実証できているのかい。」
フィナントロープさんはミルトさんの返答に驚きながらも、至極当然の疑問を呈した。
「ご存知かと思いますが、この国はあまり工業とか医療とかが進んでいないのです。
翻訳が終ったとき、この本に書かれている内容が正しいのか検証できなくて困りましたわ。
ところが、何の偶然かこの国に侵攻してきた南の大陸の軍艦に軍医が乗っていましたの。
南の大陸は治癒術が存在していない代わりに医学、医療技術が進歩していると聞きました。
それで捕虜にしたその軍医を王都に呼んでこの三冊について検証させたところ、今の南の大陸の通説と照らして齟齬はないそうです。」
その軍医さん、魔導王国の書物に関心を持ってしまい今は翻訳作業を手伝っているらしい。
コルテス王国の人、何気に役に立っているな…。
「そうかい、でも、たった三冊の本の知識じゃ治癒術師を育てることはできないだろう?」
フィナントロープさんの指摘にミルトさんは自信たっぷりに答えた。
「もちろんです。実は旧魔導王国の医療関係の本は数百冊あるんです。
リストを作るため表題だけ翻訳させたところ医療分野の多岐にわたって網羅されていることがわかりました。
元々私の計画は創世教が治癒術師の独占を止めてもらえないと実現ができないものです。
それは、一年や二年で叶うものだとは思っていません。
その間に翻訳を進めて教材を揃えるつもりなのです。
幸い、今は捕虜の身である軍医がこの国に帰化して協力すると言ってくれています。
軍医には南の大陸の最新の医学を指導してもらうつもりです、治癒術の方はマリアさんに協力を仰ぐつもりです。
それで、最初は少人数から始めて、徐々に増やしていければと計画しているところです。」
黙って聞いていたフィナントロープさんがにっこり笑って言った。
「そうかい、貴重な文献がそんなにあるのかい。
そりゃあ、知的好奇心が刺激されるねえ。
ミルト様、あなたが治癒術のことをお手軽に考えている訳じゃないことはわかった。
でも、正直なところ手が足りていないだろう。
老い先短い最後の奉公だと思って、私が手を貸そうと思うがどうだい。」
今度はミルトさんが驚く番だった。
「それはどういう意味でしょうか?」
「私が、創世教をやめてミルト様に仕えるといってるんだよ。
まあ、今はグラウベの尻拭いをしなきゃならんので、すぐにとは行かないがな。
そのかわり、創世教が治癒術師を独占している問題な、それは私がきっちりかたをつけてやるよ。
数年後には、ミルト様の計画が始まるから準備を急ぎなよ。」
フィナントロープさんの話では、グラウベ司教の数々の失言もあって今王都では創世教を脱退したいと申し出る信者が急増しているそうだ。それこそ千人単位で。
そうなると毎年税金のように徴収していたお金が激減することになる。
フィナントロープさんは信者のご機嫌を取るために治癒術に対する対価を減額することを決めたらしい。現在最低金貨一枚の浄財を求めているのを一割の銀貨十枚にまで下げるそうだ。
たまにしか入らない金貨一枚よりも、毎年多くの人から定期的に入る銀貨数枚の方が大事だそうだ。
教会の利益を考えると銀貨十枚で治癒術を施すと、現在のように多大なコストをかけて治癒術師の独占にこだわるのは割が合わないそうだ。
単価を十分の一にしても、患者さんが十倍に増えれば問題ない気がするんだけど、違うのかな?
幼少の頃から治癒術の素養があるものを囲うことによる養育費の負担が大きいみたいなことを言っている。
詳しいことはわからないけど、フィナントロープさんの話では数年のうちには治癒術師の独占は放棄することになるって。
それにあわせて、フィナントロープさんは創世教の大司教を辞するつもりらしい。
創世教を辞めて商売敵のミルトさんに肩入れして大丈夫かと聞くと、
「最近の私の仕事は、思い上がった司教達があっちこっちでやらかした不始末の尻拭いばかりだ。
今回なんか、この年寄りに大陸の西の端から東の端まで行けとぬかしやがった。
もううんざりだし、これだけ骨を折ったんだ、誰にも文句言わせないよ。」
と言っている。
フィナントロープさんは現在唯一の女性大司教だそうだ。
大司教になってからの主な仕事が苦情処理係なんだって、あちらこちらの教区で信徒や為政者と衝突する司祭がおり、とりなしをして歩くんだって。頭を下げるのは女性の方が良いそうだ。
「金の亡者から離れて、初心に戻って治癒術師を育てられるなんて有り難いことだよ。
それに、旧魔導王国の貴重な書物に触れられるなんて、久し振りに胸が躍るよ。」
フィナントロープさんは、良い顔をして言っている。
なんか、ミルトさんのプランがいきなり走り出しちゃったよ…。
「これは、子供向けの本かい。
なになに、『初めて学ぶ人体の仕組み』、これがどうし……。」
何か言いかけたフィナントロープさんはそのまま固まってしまった。
「一年前ウンディーネ様からいただいた大量の本、やっと少し翻訳できたの。
医療関係で翻訳できたのは今のところその三冊だけ、専門用語が多いらしくて翻訳が難航しているの。」
固まっているフィナントロープさんを尻目にミルトさんはわたしに本の説明をしてくれた。
精霊の森を訪問したときにもらった旧魔導王国の本なんだ。
旧魔導王国の言葉で書かれていたんで翻訳が必要だったのね。
その時我にかえったフィナントロープさんが言った。
「子供向けの平易な言葉を選んでいて、絵よる説明もたくさんあってわかり易い、確かに子供向けの本だ。
しかし、この内容を子供に読ませるのかい、肺や心臓の役割とかならともかく肝臓や腎臓の役割なんて創世教の研究でもやっと最近わかったことだよ。
脳の部位ごとの役割とか免疫細胞の役割に至っては、創世教の研究の題材にも上がっていない未知の領域さね。私も今初めて知ったよ。
ミルト様、この本はどこで手に入れなさった。」
わたしには何のことかサッパリわからないけど、旧魔導王国が進んでいたことだけはわかったよ。
「それは、旧魔導王国の書物です。
二千年前の魔導王国の言葉で書かれていたもので、翻訳に難儀しました。
この子の母親が大切に保存していたものを一部譲っていただいたのです。」
ミルトさんはわたしを指差していった。
「この本が二千年も前に書かれたものだって……。
しかし、そもそもこの本に書いてあるのは本当のことなのかい。実証できているのかい。」
フィナントロープさんはミルトさんの返答に驚きながらも、至極当然の疑問を呈した。
「ご存知かと思いますが、この国はあまり工業とか医療とかが進んでいないのです。
翻訳が終ったとき、この本に書かれている内容が正しいのか検証できなくて困りましたわ。
ところが、何の偶然かこの国に侵攻してきた南の大陸の軍艦に軍医が乗っていましたの。
南の大陸は治癒術が存在していない代わりに医学、医療技術が進歩していると聞きました。
それで捕虜にしたその軍医を王都に呼んでこの三冊について検証させたところ、今の南の大陸の通説と照らして齟齬はないそうです。」
その軍医さん、魔導王国の書物に関心を持ってしまい今は翻訳作業を手伝っているらしい。
コルテス王国の人、何気に役に立っているな…。
「そうかい、でも、たった三冊の本の知識じゃ治癒術師を育てることはできないだろう?」
フィナントロープさんの指摘にミルトさんは自信たっぷりに答えた。
「もちろんです。実は旧魔導王国の医療関係の本は数百冊あるんです。
リストを作るため表題だけ翻訳させたところ医療分野の多岐にわたって網羅されていることがわかりました。
元々私の計画は創世教が治癒術師の独占を止めてもらえないと実現ができないものです。
それは、一年や二年で叶うものだとは思っていません。
その間に翻訳を進めて教材を揃えるつもりなのです。
幸い、今は捕虜の身である軍医がこの国に帰化して協力すると言ってくれています。
軍医には南の大陸の最新の医学を指導してもらうつもりです、治癒術の方はマリアさんに協力を仰ぐつもりです。
それで、最初は少人数から始めて、徐々に増やしていければと計画しているところです。」
黙って聞いていたフィナントロープさんがにっこり笑って言った。
「そうかい、貴重な文献がそんなにあるのかい。
そりゃあ、知的好奇心が刺激されるねえ。
ミルト様、あなたが治癒術のことをお手軽に考えている訳じゃないことはわかった。
でも、正直なところ手が足りていないだろう。
老い先短い最後の奉公だと思って、私が手を貸そうと思うがどうだい。」
今度はミルトさんが驚く番だった。
「それはどういう意味でしょうか?」
「私が、創世教をやめてミルト様に仕えるといってるんだよ。
まあ、今はグラウベの尻拭いをしなきゃならんので、すぐにとは行かないがな。
そのかわり、創世教が治癒術師を独占している問題な、それは私がきっちりかたをつけてやるよ。
数年後には、ミルト様の計画が始まるから準備を急ぎなよ。」
フィナントロープさんの話では、グラウベ司教の数々の失言もあって今王都では創世教を脱退したいと申し出る信者が急増しているそうだ。それこそ千人単位で。
そうなると毎年税金のように徴収していたお金が激減することになる。
フィナントロープさんは信者のご機嫌を取るために治癒術に対する対価を減額することを決めたらしい。現在最低金貨一枚の浄財を求めているのを一割の銀貨十枚にまで下げるそうだ。
たまにしか入らない金貨一枚よりも、毎年多くの人から定期的に入る銀貨数枚の方が大事だそうだ。
教会の利益を考えると銀貨十枚で治癒術を施すと、現在のように多大なコストをかけて治癒術師の独占にこだわるのは割が合わないそうだ。
単価を十分の一にしても、患者さんが十倍に増えれば問題ない気がするんだけど、違うのかな?
幼少の頃から治癒術の素養があるものを囲うことによる養育費の負担が大きいみたいなことを言っている。
詳しいことはわからないけど、フィナントロープさんの話では数年のうちには治癒術師の独占は放棄することになるって。
それにあわせて、フィナントロープさんは創世教の大司教を辞するつもりらしい。
創世教を辞めて商売敵のミルトさんに肩入れして大丈夫かと聞くと、
「最近の私の仕事は、思い上がった司教達があっちこっちでやらかした不始末の尻拭いばかりだ。
今回なんか、この年寄りに大陸の西の端から東の端まで行けとぬかしやがった。
もううんざりだし、これだけ骨を折ったんだ、誰にも文句言わせないよ。」
と言っている。
フィナントロープさんは現在唯一の女性大司教だそうだ。
大司教になってからの主な仕事が苦情処理係なんだって、あちらこちらの教区で信徒や為政者と衝突する司祭がおり、とりなしをして歩くんだって。頭を下げるのは女性の方が良いそうだ。
「金の亡者から離れて、初心に戻って治癒術師を育てられるなんて有り難いことだよ。
それに、旧魔導王国の貴重な書物に触れられるなんて、久し振りに胸が躍るよ。」
フィナントロープさんは、良い顔をして言っている。
なんか、ミルトさんのプランがいきなり走り出しちゃったよ…。
5
お気に入りに追加
2,292
あなたにおすすめの小説
突然シーカーになったので冒険します〜駆け出し探索者の成長物語〜
平山和人
ファンタジー
スマートフォンやSNSが当たり前の現代社会に、ある日突然「ダンジョン」と呼ばれる異空間が出現してから30年が経過していた。
26歳のコンビニアルバイト、新城直人はある朝、目の前に「ステータス画面」が浮かび上がる。直人は、ダンジョンを攻略できる特殊能力者「探索者(シーカー)」に覚醒したのだ。
最寄り駅前に出現している小規模ダンジョンまで、愛用の自転車で向かう大地。初心者向けとは言え、実際の戦闘は命懸け。スマホアプリで探索者仲間とダンジョン情報を共有しながら、慎重に探索を進めていく。
レベルアップを重ね、新しいスキルを習得し、倒したモンスターから得た魔石を換金することで、少しずつではあるが確実に成長していく。やがて大地は、探索者として独り立ちしていくための第一歩を踏み出すのだった。
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
異世界最強の賢者~二度目の転移で辺境の開拓始めました~
夢・風魔
ファンタジー
江藤賢志は高校生の時に、四人の友人らと共に異世界へと召喚された。
「魔王を倒して欲しい」というお決まりの展開で、彼のポジションは賢者。8年後には友人らと共に無事に魔王を討伐。
だが魔王が作り出した時空の扉を閉じるため、単身時空の裂け目へと入っていく。
時空の裂け目から脱出した彼は、異世界によく似た別の異世界に転移することに。
そうして二度目の異世界転移の先で、彼は第三の人生を開拓民として過ごす道を選ぶ。
全ての魔法を網羅した彼は、規格外の早さで村を発展させ──やがて……。
*小説家になろう、カクヨムでも投稿しております。
異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!
アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。
->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました!
ーーーー
ヤンキーが勇者として召喚された。
社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。
巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。
そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。
ほのぼのライフを目指してます。
設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。
6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~
うみ
ファンタジー
恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。
いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。
モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。
そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。
モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。
その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。
稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。
『箱を開けるモ』
「餌は待てと言ってるだろうに」
とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる