25 / 508
第2章 オストマルク王立学園
第24話 ウンディーネの加護
しおりを挟む
「おかえりなさい!勉強お疲れさま!二人とも今日も可愛いわ!!」
リビングのドアを開くといきなり、ミーナちゃんと一緒に抱き寄せられた。
どうやら、ウンディーネおかあさんが、わたし達の帰りを待っていたみたいだ。
「ウンディーネおかあさん、苦しい、苦しいってば…。」
「あら、ごめんなさいね。二人が可愛いもんだからつい力が入っちゃって。」
「ただいま、ウンディーネおかあさん。」
「こんにちわ、ウンディーネ様。」
ミーナちゃんは抱擁から解放されると姿勢を正してウンディーネおかあさんにお辞儀した。
「ミーナちゃんはいつも礼儀正しいのね。
でもそんなに畏まられると壁があるみたいで悲しいわ、もっと気軽に接して欲しいと思うの。
そうだわ、様付けはやめて、ウンディーネおばさんと呼んでもらおうかしら。」
「ウンディーネおば…さま」
「結局、様付けなのね。でも、『おばさん』よりも『おばさま』の方が聞こえはよいかしら。」
**********
「それで、ウンディーネおかあさんがわざわざ寮まで来て待っていたということは何か用があるんだよね。」
「いやだわ、その言い方だと用がなければ来ちゃいけないように聞こえるわよ。
私、ターニャちゃんにそんな風に言われると悲しいわ。
まあ、実際、用があるから来たのだけど。
二人に一緒に来てもらいたいところがあるの。」
そう言うとウンディーネおかあさんは、わたしとミーナちゃんの手を取った。
するとあっという間に目の前の景色が変わった。大精霊はバスタブの水を使わないんだね。
「ここは……精霊の泉?」
ミーナちゃんが目の前の泉を見て呟いた。
そうだ、入学式の前の晩にウンディーネおかあさんを迎えに来た精霊の泉だ。
ウンディーネおかあさんが、王宮に向かって歩き出そうとしたとき、王宮の方から初老の男性が走ってくるのが見えた。
あ、王様だ、ヴァイゼさんフットワーク軽いな。
「これは、泉の精霊様、今日はいかがなご用件で、こちらにお越しいただいたのでしょうか?」
王様が息を整えながらウンディーネお母さんに問いかけた。
「おお、ヴァイゼか。入学式のときは世話になった。
おかげで娘の晴れ姿を誰にも邪魔されずに見ることができた。感謝するぞ。
今日は、ちとその礼をしようかと思い訪ねて来たのだ。」
「あれしきのことで、泉の精霊様に礼などと言っていただけるのは恐れ多いです。」
「そう畏まるでない。
礼と言っても大したものではないし、こちらにも益のあることだ。
お前の孫娘、具合を悪くしているだろう、ちと見せてみろ何とかしてやろう。」
**********
そういうとウンディーネおかあさんは、王様に王宮を案内させた。
精霊の泉に面した王宮の裏口から入ってすぐの区画が王族の居住区画となっていた。
王族の居住区画に入ってすぐの部屋、正面から見ると王宮の最奥に私たちはいる。
「泉の精霊様、本当にフローラを助けてくださるのですか?」
「この娘はどうしてこうなったのだ。」
私たちの目の前には豪華な天蓋付きのベッドで苦しそうに横たわるフローラ姫の姿があった。
「数ヶ月前、西部の街に行幸した際に倒れまして、それ以来この通りの容態なのです。
医者も原因がわからないと申すし、教会の治癒術師に施術させても効果がないのです。」
「なるほど、西部の街に行ったか。それは、この娘にはきつかっただろうな。」
「泉の精霊様、フローラはどうしてこうなったのですか?」
「西部の濃い瘴気に中てられたのだよ。
この娘、私の愛しいティターニアと同じ、『色なし』であろう。
『色なし』は清浄なマナを体に蓄積するのだ。
そのため、体が瘴気を受け付けず弾こうとするのだが、濃い瘴気に晒されると瘴気が無理やり体に滲入するのだ。
この娘は、体に滲入した瘴気に拒絶反応を起こしておるのだな。
もっとも、ここまでひどい拒絶反応を示すのは珍しいのだがな。
よっぽど瘴気に対する耐性がないらしい。
では、ティターニアよ勉強の成果を母に見せてみるのだ。」
やっぱり、私がやるのね、このために連れて来たのか。
(光のおチビちゃん達、この子の中の瘴気を全部残らず浄化してしまって。)
「浄化の光!!」
わたしの体からすうっとマナが抜かれていく、相変わらず遠慮しないな光のおチビちゃん。
目の前に横たわるフローラ姫の体がまばゆい光に包まれた。
光が収まるとそこには呼吸が安定し、穏やかな寝息を立てるフローラ姫の姿があった。
でも、かなり衰弱しているね。もう少し、手をかけようか。
「じゃあ次だ、この娘は大分衰弱しているから、体力を回復した方が良いな。
出来るな、ミーナよ。」
「はい、ウンディーネおばさま、やってみます。」
ミーナちゃんは、手なれた様子で『癒しの水』を、直接体内に流し込むイメージで行使した。
青白かったフローラ姫の顔色は頬が薄紅色となり、やつれも幾分取れたようだ。
「うむ、二人ともよくやった。私は、二人がきちんと勉強の成果が上がっていて誇らしいぞ。
ヴァイゼよ、これで後は栄養のあるものを食べさせておけば、数日で元通りになるぞ。」
ウンディーネおかあさんに声をかけられて、呆気にとられていた王様が我に返って言った。
「泉の精霊様、孫娘を治していただき有り難うございます。
そちらのお嬢さん二人もフローラを治してくれて本当に有り難う。
素晴らしい治癒術でした。これが王祖様が使ったという奇跡なのですね。」
「ときにヴァイゼよ、この娘、大分瘴気に弱い体質をしておる。
このままでは、また瘴気中りを起こすぞ。
そこで、この娘に精霊を一人つけて瘴気から守らせようと思う。
それと、チビ精霊たちにこの娘の前に姿を現し、力を貸しても良いと言っておこう。
ルナ、出てまいれ。」
ウンディーネおかあさんが呼びかけると、穏やかな笑みを浮かべる精霊さんが現れた。
「光の上位精霊のルナだ。これからはルナがこの娘の周りの瘴気を浄化するので安心せい。」
「おお、ルナ様、孫娘のことよろしくお願いします。
泉の精霊様、これは、再び王家に精霊の加護が頂戴できると言うことでしょうか?」
「誤解するなヴァイゼよ。
私達精霊は二千年前の人の行いを今尚許してはおらぬ。
お前の孫娘、フローラには特別に精霊の加護を与えた、例外だと認識しておけ。
最初にこちらにも益が有ると言ったであろう。
今、精霊の加護を持つものはこの二人しか世の中に存在せぬ。
二人だけしかおらぬというのは、あまりに目立つし、悪い輩を寄せ付ける恐れもある。
そこに王家の娘が加われば、相対的にこの二人は霞むであろう。それが狙いなのだ。
まさか王家の娘に手を出す輩もおらんだろうて。
この二人の存在をなるべく目立たなくするため、もう数名加護を与えようかとは考えておるがの。
それと、もう一つ誤解があるぞヴァイゼよ。
この国から一度として私の加護が失われたことはないぞ。
この国は、精霊の加護が失われたとされる二千年前からこっち一度も飢饉が起こってないだろう。
旱魃も冷害も一度として起こっていないはずだ。
精霊は、人の行いに嫌気がさして、人と関わるのをやめ、力の行使により直接助けるのは止めた。
しかし、古の教えを守り、私が愛する精霊の森と精霊の泉を守っているこの国の加護をどうして取り上げねばならぬ。
この大陸の西を見てみよ。毎年何処かで飢饉が起こっている。あれが精霊の加護なき姿よ。」
「知りませんでした。泉の精霊様は、いつでも私たちを守ってくださってたんですね。
国を統べる者として心から感謝いたします。」
「私の愛しき娘が作った国だ、そのくらいのことはする。
ただし、それはおぬしら子孫の行いが正しい限りにおいてだぞ、努々忘れるでないぞ。
フローラだが、精霊の力の使い方は、そこの二人に習うとよい。出来ればよき友人になってくれ。」
ウンディーネおかあさんは、フローラちゃんが元気になった頃に、もう一度来るといって王宮を辞去することにした。
今度来るときはフローラちゃんとお話ができる、楽しみだな。
リビングのドアを開くといきなり、ミーナちゃんと一緒に抱き寄せられた。
どうやら、ウンディーネおかあさんが、わたし達の帰りを待っていたみたいだ。
「ウンディーネおかあさん、苦しい、苦しいってば…。」
「あら、ごめんなさいね。二人が可愛いもんだからつい力が入っちゃって。」
「ただいま、ウンディーネおかあさん。」
「こんにちわ、ウンディーネ様。」
ミーナちゃんは抱擁から解放されると姿勢を正してウンディーネおかあさんにお辞儀した。
「ミーナちゃんはいつも礼儀正しいのね。
でもそんなに畏まられると壁があるみたいで悲しいわ、もっと気軽に接して欲しいと思うの。
そうだわ、様付けはやめて、ウンディーネおばさんと呼んでもらおうかしら。」
「ウンディーネおば…さま」
「結局、様付けなのね。でも、『おばさん』よりも『おばさま』の方が聞こえはよいかしら。」
**********
「それで、ウンディーネおかあさんがわざわざ寮まで来て待っていたということは何か用があるんだよね。」
「いやだわ、その言い方だと用がなければ来ちゃいけないように聞こえるわよ。
私、ターニャちゃんにそんな風に言われると悲しいわ。
まあ、実際、用があるから来たのだけど。
二人に一緒に来てもらいたいところがあるの。」
そう言うとウンディーネおかあさんは、わたしとミーナちゃんの手を取った。
するとあっという間に目の前の景色が変わった。大精霊はバスタブの水を使わないんだね。
「ここは……精霊の泉?」
ミーナちゃんが目の前の泉を見て呟いた。
そうだ、入学式の前の晩にウンディーネおかあさんを迎えに来た精霊の泉だ。
ウンディーネおかあさんが、王宮に向かって歩き出そうとしたとき、王宮の方から初老の男性が走ってくるのが見えた。
あ、王様だ、ヴァイゼさんフットワーク軽いな。
「これは、泉の精霊様、今日はいかがなご用件で、こちらにお越しいただいたのでしょうか?」
王様が息を整えながらウンディーネお母さんに問いかけた。
「おお、ヴァイゼか。入学式のときは世話になった。
おかげで娘の晴れ姿を誰にも邪魔されずに見ることができた。感謝するぞ。
今日は、ちとその礼をしようかと思い訪ねて来たのだ。」
「あれしきのことで、泉の精霊様に礼などと言っていただけるのは恐れ多いです。」
「そう畏まるでない。
礼と言っても大したものではないし、こちらにも益のあることだ。
お前の孫娘、具合を悪くしているだろう、ちと見せてみろ何とかしてやろう。」
**********
そういうとウンディーネおかあさんは、王様に王宮を案内させた。
精霊の泉に面した王宮の裏口から入ってすぐの区画が王族の居住区画となっていた。
王族の居住区画に入ってすぐの部屋、正面から見ると王宮の最奥に私たちはいる。
「泉の精霊様、本当にフローラを助けてくださるのですか?」
「この娘はどうしてこうなったのだ。」
私たちの目の前には豪華な天蓋付きのベッドで苦しそうに横たわるフローラ姫の姿があった。
「数ヶ月前、西部の街に行幸した際に倒れまして、それ以来この通りの容態なのです。
医者も原因がわからないと申すし、教会の治癒術師に施術させても効果がないのです。」
「なるほど、西部の街に行ったか。それは、この娘にはきつかっただろうな。」
「泉の精霊様、フローラはどうしてこうなったのですか?」
「西部の濃い瘴気に中てられたのだよ。
この娘、私の愛しいティターニアと同じ、『色なし』であろう。
『色なし』は清浄なマナを体に蓄積するのだ。
そのため、体が瘴気を受け付けず弾こうとするのだが、濃い瘴気に晒されると瘴気が無理やり体に滲入するのだ。
この娘は、体に滲入した瘴気に拒絶反応を起こしておるのだな。
もっとも、ここまでひどい拒絶反応を示すのは珍しいのだがな。
よっぽど瘴気に対する耐性がないらしい。
では、ティターニアよ勉強の成果を母に見せてみるのだ。」
やっぱり、私がやるのね、このために連れて来たのか。
(光のおチビちゃん達、この子の中の瘴気を全部残らず浄化してしまって。)
「浄化の光!!」
わたしの体からすうっとマナが抜かれていく、相変わらず遠慮しないな光のおチビちゃん。
目の前に横たわるフローラ姫の体がまばゆい光に包まれた。
光が収まるとそこには呼吸が安定し、穏やかな寝息を立てるフローラ姫の姿があった。
でも、かなり衰弱しているね。もう少し、手をかけようか。
「じゃあ次だ、この娘は大分衰弱しているから、体力を回復した方が良いな。
出来るな、ミーナよ。」
「はい、ウンディーネおばさま、やってみます。」
ミーナちゃんは、手なれた様子で『癒しの水』を、直接体内に流し込むイメージで行使した。
青白かったフローラ姫の顔色は頬が薄紅色となり、やつれも幾分取れたようだ。
「うむ、二人ともよくやった。私は、二人がきちんと勉強の成果が上がっていて誇らしいぞ。
ヴァイゼよ、これで後は栄養のあるものを食べさせておけば、数日で元通りになるぞ。」
ウンディーネおかあさんに声をかけられて、呆気にとられていた王様が我に返って言った。
「泉の精霊様、孫娘を治していただき有り難うございます。
そちらのお嬢さん二人もフローラを治してくれて本当に有り難う。
素晴らしい治癒術でした。これが王祖様が使ったという奇跡なのですね。」
「ときにヴァイゼよ、この娘、大分瘴気に弱い体質をしておる。
このままでは、また瘴気中りを起こすぞ。
そこで、この娘に精霊を一人つけて瘴気から守らせようと思う。
それと、チビ精霊たちにこの娘の前に姿を現し、力を貸しても良いと言っておこう。
ルナ、出てまいれ。」
ウンディーネおかあさんが呼びかけると、穏やかな笑みを浮かべる精霊さんが現れた。
「光の上位精霊のルナだ。これからはルナがこの娘の周りの瘴気を浄化するので安心せい。」
「おお、ルナ様、孫娘のことよろしくお願いします。
泉の精霊様、これは、再び王家に精霊の加護が頂戴できると言うことでしょうか?」
「誤解するなヴァイゼよ。
私達精霊は二千年前の人の行いを今尚許してはおらぬ。
お前の孫娘、フローラには特別に精霊の加護を与えた、例外だと認識しておけ。
最初にこちらにも益が有ると言ったであろう。
今、精霊の加護を持つものはこの二人しか世の中に存在せぬ。
二人だけしかおらぬというのは、あまりに目立つし、悪い輩を寄せ付ける恐れもある。
そこに王家の娘が加われば、相対的にこの二人は霞むであろう。それが狙いなのだ。
まさか王家の娘に手を出す輩もおらんだろうて。
この二人の存在をなるべく目立たなくするため、もう数名加護を与えようかとは考えておるがの。
それと、もう一つ誤解があるぞヴァイゼよ。
この国から一度として私の加護が失われたことはないぞ。
この国は、精霊の加護が失われたとされる二千年前からこっち一度も飢饉が起こってないだろう。
旱魃も冷害も一度として起こっていないはずだ。
精霊は、人の行いに嫌気がさして、人と関わるのをやめ、力の行使により直接助けるのは止めた。
しかし、古の教えを守り、私が愛する精霊の森と精霊の泉を守っているこの国の加護をどうして取り上げねばならぬ。
この大陸の西を見てみよ。毎年何処かで飢饉が起こっている。あれが精霊の加護なき姿よ。」
「知りませんでした。泉の精霊様は、いつでも私たちを守ってくださってたんですね。
国を統べる者として心から感謝いたします。」
「私の愛しき娘が作った国だ、そのくらいのことはする。
ただし、それはおぬしら子孫の行いが正しい限りにおいてだぞ、努々忘れるでないぞ。
フローラだが、精霊の力の使い方は、そこの二人に習うとよい。出来ればよき友人になってくれ。」
ウンディーネおかあさんは、フローラちゃんが元気になった頃に、もう一度来るといって王宮を辞去することにした。
今度来るときはフローラちゃんとお話ができる、楽しみだな。
41
お気に入りに追加
2,315
あなたにおすすめの小説

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる