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プロローグ
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○ ある地方の民間伝承
この世界の大気にはマナという清浄なエネルギーが存在する。
マナは森の木々により生み出される。
世界には、その理を調律する存在として精霊が存在した。
精霊は、マナを糧として奇跡をもたらした。
精霊は乾いた大地に慈雨をもたらし、痩せた土地を豊穣の地へ変えた。
かつて人々は、精霊と共にあった。
精霊のもたらす恵みに感謝し、森を木々を大切にした。
あるとき、精霊の奇跡の源がマナにあると気付いた者たちがいた。
彼らは、大気中のマナを濃縮し結晶化してエネルギーとして活用することに成功した。
人々はこのエネルギーにより、森を切り土地を耕し活動領域を広げていった。
人々はこのエネルギーにより、巨大な都市を築き上げていった。
いつしか人々は精霊への感謝を忘れ、精霊は人と共にあることをやめた。
無知なる人は知らなかった。マナは大気中を漂う間に不純物を取り込み清浄さを失うことを。
無知なる人は知らなかった。森の木々が穢れたマナを吸い、清浄なマナを生み出すことを。
無知なる人は知らなかった。精霊が穢れたマナを浄化していたことを。
あるとき人々は、より大きな都市を作るためより多くのマナを濃縮しようとした。
それは、同時に大量の穢れをも集めて濃縮することになった。
そして、限界を超えて濃縮された穢れたマナは、ある日突然暴発した。
暴発した穢れたマナは、都市を飲み込み生きとし生けるものの命を奪った。
暴発した穢れたマナは、周辺の生物を変質させた、獣は魔獣に、木々は瘴気を生む木々に。
そしてかつて栄華を誇った都市は、瘴気の森に飲み込まれた。
月日は流れ、生き残った人々は穢れに順応していった。
そしてある時、マナの力を操れる人々が生まれた。彼らは自らを魔導士と呼んだ。
***********
伝承の時代から、永い時が過ぎた。
瘴気の森に程近い辺境の村では、瘴気の影響かここ数年作物の実りが悪く、人々は恒常的に飢えていた。
辺境の村の窮状は、領主に採り上げてもらえず、民は重税に苦しめられた。
ある者は、村を捨てて流民となり、またある者は娘を娼館に売り飛ばして一時の糊口を凌いだ。
ここにも生活に困窮する民が一人、口減らしのため幼子を障気の森の入り口に捨てに来た。
何の躊躇いもなく、幼子をそこに置き去りにした。
幼子は、白銀の髪、色素の薄い碧眼、そして抜けるような白い肌をしていた。
帝国では、強い魔力を持つ黒髪、黒目、褐色の肌が至高とされており、幼子のような形質を持つ子は魔力を殆ど持たないため忌子と呼ばれ、差別や間引きの対象となっていた。
取り残された幼子に、興味を引かれて近づく存在が一つ、
「本当に帝国の馬鹿共は度し難いわ。我らが愛し子の資格を持つものを捨てるなんて。」
その場にふぁっとそよ風が吹いた次の瞬間には、そこに幼子の姿はなかった。
*読んでくださって有り難うございます。
1時間後の20時に第1話を投稿します。
引き続き読んでいただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。
○ ある地方の民間伝承
この世界の大気にはマナという清浄なエネルギーが存在する。
マナは森の木々により生み出される。
世界には、その理を調律する存在として精霊が存在した。
精霊は、マナを糧として奇跡をもたらした。
精霊は乾いた大地に慈雨をもたらし、痩せた土地を豊穣の地へ変えた。
かつて人々は、精霊と共にあった。
精霊のもたらす恵みに感謝し、森を木々を大切にした。
あるとき、精霊の奇跡の源がマナにあると気付いた者たちがいた。
彼らは、大気中のマナを濃縮し結晶化してエネルギーとして活用することに成功した。
人々はこのエネルギーにより、森を切り土地を耕し活動領域を広げていった。
人々はこのエネルギーにより、巨大な都市を築き上げていった。
いつしか人々は精霊への感謝を忘れ、精霊は人と共にあることをやめた。
無知なる人は知らなかった。マナは大気中を漂う間に不純物を取り込み清浄さを失うことを。
無知なる人は知らなかった。森の木々が穢れたマナを吸い、清浄なマナを生み出すことを。
無知なる人は知らなかった。精霊が穢れたマナを浄化していたことを。
あるとき人々は、より大きな都市を作るためより多くのマナを濃縮しようとした。
それは、同時に大量の穢れをも集めて濃縮することになった。
そして、限界を超えて濃縮された穢れたマナは、ある日突然暴発した。
暴発した穢れたマナは、都市を飲み込み生きとし生けるものの命を奪った。
暴発した穢れたマナは、周辺の生物を変質させた、獣は魔獣に、木々は瘴気を生む木々に。
そしてかつて栄華を誇った都市は、瘴気の森に飲み込まれた。
月日は流れ、生き残った人々は穢れに順応していった。
そしてある時、マナの力を操れる人々が生まれた。彼らは自らを魔導士と呼んだ。
***********
伝承の時代から、永い時が過ぎた。
瘴気の森に程近い辺境の村では、瘴気の影響かここ数年作物の実りが悪く、人々は恒常的に飢えていた。
辺境の村の窮状は、領主に採り上げてもらえず、民は重税に苦しめられた。
ある者は、村を捨てて流民となり、またある者は娘を娼館に売り飛ばして一時の糊口を凌いだ。
ここにも生活に困窮する民が一人、口減らしのため幼子を障気の森の入り口に捨てに来た。
何の躊躇いもなく、幼子をそこに置き去りにした。
幼子は、白銀の髪、色素の薄い碧眼、そして抜けるような白い肌をしていた。
帝国では、強い魔力を持つ黒髪、黒目、褐色の肌が至高とされており、幼子のような形質を持つ子は魔力を殆ど持たないため忌子と呼ばれ、差別や間引きの対象となっていた。
取り残された幼子に、興味を引かれて近づく存在が一つ、
「本当に帝国の馬鹿共は度し難いわ。我らが愛し子の資格を持つものを捨てるなんて。」
その場にふぁっとそよ風が吹いた次の瞬間には、そこに幼子の姿はなかった。
*読んでくださって有り難うございます。
1時間後の20時に第1話を投稿します。
引き続き読んでいただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。
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