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第二三章 時は緩やかに流れて…
第833話 嫁さんに相談してみた(前)
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ギルドの仕事を定時で切り上げて帰宅すると、都合の良いことに嫁さん達が全員揃ってリビングで寛いでたぜ。
「タロウ君、お帰りなさい。お疲れ様、今日は早く帰れたんだね。」
最近お腹の膨らみが目立って来たシフォンが、俺の帰宅に気付いて労ってくれたよ。
「ああ、ちょっと嫁さんみんなに相談があってな。」
「あら、相談って何かしら?
ダーリンがそんな真面目な顔をするなんて珍しい。」
なんて、何気に人をディスって来たのは、生後半年になる娘を抱いたマリア姐さん。その言い方じゃ、俺が何時も締まりのない顔をしているみたいじゃねえか。
本当は先に夕食を済ませてから、ゆっくり腰を落ち着けて話し合うつもりだったのだが。聞けばまだ夕食の準備が整うまでしばらく掛るとのことなので、この場で話し合うことにしたんだ。定時で帰ったおかげでまだ日の入り前、夕食って時間でもなかったしな。
「今日、マロンがふらっと訪ねて来てな。」
「ふらっとって…。相変わらずあの女王様、自由ですね。」
いや、カヌレ、そこのツッコミで話の腰を折られてらた困るんだ。マロンの行動に一々ツッコミ入れてたら話が進まんから。
俺はカヌレのツッコミをスルーして本題を切り出すことにしたよ。
「マロンが言うことには、俺に爵位をくれるらしいぜ。
何でも、『銀貨引換券』が国の発展に貢献したとかでよ。」
「わぁ!タロウちゃん、お貴族様になるんですか!
凄いです! そうなると、私も貴族夫人になるんですよねぇ。」
ミヤビの奴、子供のように目を輝かせやがった。貧しい家に生まれたミヤビにとって貴族ってのは憧れだったのかも知れないな。
「まあ、最後まで話を聞けって。
貴族にならないかって話は、マロンが女王になった時にもあったんだ。
孤児時代のマロンを助けたってことでな。
アルト姐さんと交わした誓約で、マロンの護衛みたいなことをしてたから。」
まあ、実際は護衛と言うより肉の盾だったけどな…。
「でも、タロウちゃん、今でも平民のままだよね。
その時、断っちゃったの? 勿体ない…。」
「だって、貴族なんてしがらみが多くて大変だろうが。
そん時はシフォンさえ養えれば十分だったし。
そんな面倒臭い立場なんてゴメンだと思ってな。
実際、こうして貴族と変わらない暮らしをしている訳だし。
平民の方が気楽でいいだろう。」
実際のところ、今の俺って、下手な貴族よりはずっといい生活していると思うぞ。キーン一族が離宮として使っていた屋敷を下賜されて、嫁さん四人も養っているんだから。マロンのお供ってことで旅行にも連れてってもらえるしな…。大陸中どころか、別の大陸まで行っちまって、貴族でさえ体験できない旅行をしてるから。
「それじゃ、今回も断っちゃうの?」
貴族身分に憧れがあるらしいミヤビが、物欲しいそうな目で俺を見詰めて言うのだが…。
「それを相談したいんだ。
俺自身としては、貴族になりたいとは思わないんだが。
ドルチェが生まれたし、もうすぐ子供も増える。
子供の将来を考えたら、貴族身分があった方が良いのかなって。
俺、こういうことは詳しくないから、みんなの意見を聞かせて欲しいんだ。」
ぶっちゃけ、民主主義社会の日本で生まれ育った俺には貴族なんてぴんとこないぜ。そんなの歴史上の存在か、物語の世界の存在だからな。
ここは、身分制度にどっぷり浸かって暮らしてきたシフォン、カヌレ、ミヤビの意見を酌まないとならんだろうって。
**********
「私は平民のままでも良いよ。貴族なんて柄じゃ無いし。
アトリエ・シフォンがあるからね。
ぶっちゃけ、今のままでも生活に困ることは無いと思うんだ。」
シフォンは四つ年上の姐さん女房。出逢った十八歳の頃と変わらぬ若々しさで、とても二十代半ば過ぎには見えない俺の嫁第一号だ。
元々はトアール国の王都でパパ活と美人局をして生活していた不良娘だった。この世界に迷い込んだ十四歳の時、俺はシフォンの美人局のカモになっちまってな。その時はアルトの不興をかった冒険者ギルドをとっちめに王都を訪れてたんだけど、偶々シフォンに美人局をさせた黒幕が目的のギルドで。ギルドを締め上げた時に、アルト姐さんからシフォンを俺の世話係として宛がわれたんだ。もっぱらシモの世話に積極的だったシフォンは、直ぐに世話係から嫁さんに昇格することになって今に至っているって訳なのさ。
それだけ聞くと奔放な淫乱娘みたいだが、手先が器用で裁縫や料理が得意といった家庭的なところもあるんだ。
特に裁縫は、にっぽん爺がデザインしたアイドル衣装やキャンギャル衣装を手掛けたのを切っ掛けにちょっとした売れっ子になっちまった。
マロンの女王即位を機に俺達もこの国に誘われたのだけど、その際シフォンはマロンから即位の際に着用するフォーマルドレスを依頼され。更には王都の一等地に店舗まで下賜されたものだから、一気にひのき舞台に躍り出ることになったんだ。
シフォンは王室御用達のテラーとして有名となってるし。アトリエ・シフォンはフォーマルドレスからカジュアルウェアまで揃えたブティックとして馬鹿みたいに繁盛しているんだ。にっぽん爺の内縁の奥さんであるミント公爵の引きで、いつの間にかトアール国の王都と辺境の街にまで支店を出しているし…。
まあ、そんな訳でシフォンは特に貴族身分に執着している様子は見られなかったよ。今でもしょっちゅう王宮に呼び出されているから、貴族社会が面倒臭いって知っているんだよな。
「あっ、でも…。」
「何か気になることでもあるのか?」
「ほら、私の店って店員さんの殆どが耳長族じゃない。
みんなの安全を考えたら、貴族の看板は良いかも知れないって。」
見目麗しい長命種である耳長族、何時までも若々しい容姿であるが故に歴史上しばしば狙われたらしい。特にトアール国の冒険者連中が、耳長族狩りを大々的にやって一時は絶滅の危機に追いやったとか。
長らく絶滅したと思われていたんだけど、遭難したマロンの育ての父親が耳長族の隠れ里で保護されたのを切っ掛けにアルト姐さんの森で保護されることになったんだ。保護されたとはいえ、耳長族だって何がしかの仕事をしないと生活は成り立たない訳で…。
耳長族の人々はおしなべて手先が器用なため、お針子さんとしてシフォンの仕事を手伝ってもらうことになったんだ。王都に店を構えてからは、その見目麗しい容姿を活かしてお店の売り子さんも耳長族のお姉さんに任せている。
王室御用達の金看板を入り口に掲げているし、マロンを怒らせたら苛酷な目に遭うことが知れ渡っているので、今のところ耳長族の店員さんに粗相をする愚か者は居ないけど喉元過ぎればなんとかだからな。
マロンがキーン一族とその取り巻き貴族相手に大暴れした記憶が風化してくると、耳長族のお姉さん達に悪さする『勇者』が出てこないとも限らんからな。幾らマロンの御用達とは言え俺達は所詮平民だから、勘違い貴族共が悪さをしてくる恐れは幾らでもあるのだろう。
シフォンは言うんだ。俺が貴族になれば、冒険者崩れは勿論のこと、馬鹿貴族共も手出しは出来ないだろうって。流石に貴族家の使用人に手出しする『勇者』は居ないはずって。
**********
「私はどうでもいいわ。ダーリンの好きにして。
何人たりとも、この家のみんなに手出しはさせないし。
今更、貴族身分なんて骨とう品を貰ってもね。」
マリア姐さんは心底興味なさげに言ってたよ。
実際、この屋敷の中だけなら何処よりも安全なのは確かだと思う。なんて言っても、この屋敷にはアルト姐さん級の妖精が群れを成して住んでいるのだから。
マリア姐さんが押し掛け女房としてやって来た頃のことだ。この屋敷に耳長族のお姉さん十人以上と居候を含めて沢山の若い女性、それに中庭の池に住む『海の民』二人を見てマリア姐さんが言ったんだ。この屋敷は無用心極まりないと。
俺の留守中は護りが脆弱だってことで、マリア姐さんは『始まりの森』から一群の妖精を護衛として連れて来たんだ。アルト姐さんと同じくハイスペックな第一世代の妖精さんばかりを。基本、屋敷の敷地からは出ないのだけど、女性だけで外出する時は護衛として付き添っている。
まあ、マリア姐さんは地球より遥かに進んだ文明を持っていた惑星からの来訪者だし、貴族なんてものに興味は無いのだろうな。
それに、マリア姐さんの『積載庫』にはこの世界からしたらオーパーツもののアイテムが沢山収納されているらしい。その気になれば幾らでも富が築けるみたいで、お金にも全く執着が無いんだ。
定職につかずにブラブラしているけど、この屋敷の中での貢献度が一番大きいのもマリア姐さんだしな。
妖精の護衛もそうだけど、マリア姐さんのおかげでこの屋敷は世界中で唯一の電化住宅だから。『積載庫』に保存してあったソーラーパネルを設置して、各部屋にLED照明を設置してくれたし、冷蔵庫もあるんだぜ。流石に屋敷が大きすぎてエアコンは無理だったけど、元々ここは常春の気候で夏と冬が無いからエアコンは不要だしな。
それに定職について無いとは言っても、子供が産まれるまではしょっちゅうトアール国の辺境の街まで行ってカレッジの設立に協力してたし。『積載庫』にあった服飾技術の資料とか、惑星テルルで流行したドレスの資料とかをシフォンに提供してアトリエ・シフォンの経営に協力もしているんだ。
マリア姐さんの言では、この大陸に生命を根付かせるまで身を粉して働いたのだから、余生はのんびり暮らしたいそうだ。
そんな訳で、貴族になるならないに関しては他の三人の希望を優先するようにと、マリア姐さんは言ってたぜ。
「タロウ君、お帰りなさい。お疲れ様、今日は早く帰れたんだね。」
最近お腹の膨らみが目立って来たシフォンが、俺の帰宅に気付いて労ってくれたよ。
「ああ、ちょっと嫁さんみんなに相談があってな。」
「あら、相談って何かしら?
ダーリンがそんな真面目な顔をするなんて珍しい。」
なんて、何気に人をディスって来たのは、生後半年になる娘を抱いたマリア姐さん。その言い方じゃ、俺が何時も締まりのない顔をしているみたいじゃねえか。
本当は先に夕食を済ませてから、ゆっくり腰を落ち着けて話し合うつもりだったのだが。聞けばまだ夕食の準備が整うまでしばらく掛るとのことなので、この場で話し合うことにしたんだ。定時で帰ったおかげでまだ日の入り前、夕食って時間でもなかったしな。
「今日、マロンがふらっと訪ねて来てな。」
「ふらっとって…。相変わらずあの女王様、自由ですね。」
いや、カヌレ、そこのツッコミで話の腰を折られてらた困るんだ。マロンの行動に一々ツッコミ入れてたら話が進まんから。
俺はカヌレのツッコミをスルーして本題を切り出すことにしたよ。
「マロンが言うことには、俺に爵位をくれるらしいぜ。
何でも、『銀貨引換券』が国の発展に貢献したとかでよ。」
「わぁ!タロウちゃん、お貴族様になるんですか!
凄いです! そうなると、私も貴族夫人になるんですよねぇ。」
ミヤビの奴、子供のように目を輝かせやがった。貧しい家に生まれたミヤビにとって貴族ってのは憧れだったのかも知れないな。
「まあ、最後まで話を聞けって。
貴族にならないかって話は、マロンが女王になった時にもあったんだ。
孤児時代のマロンを助けたってことでな。
アルト姐さんと交わした誓約で、マロンの護衛みたいなことをしてたから。」
まあ、実際は護衛と言うより肉の盾だったけどな…。
「でも、タロウちゃん、今でも平民のままだよね。
その時、断っちゃったの? 勿体ない…。」
「だって、貴族なんてしがらみが多くて大変だろうが。
そん時はシフォンさえ養えれば十分だったし。
そんな面倒臭い立場なんてゴメンだと思ってな。
実際、こうして貴族と変わらない暮らしをしている訳だし。
平民の方が気楽でいいだろう。」
実際のところ、今の俺って、下手な貴族よりはずっといい生活していると思うぞ。キーン一族が離宮として使っていた屋敷を下賜されて、嫁さん四人も養っているんだから。マロンのお供ってことで旅行にも連れてってもらえるしな…。大陸中どころか、別の大陸まで行っちまって、貴族でさえ体験できない旅行をしてるから。
「それじゃ、今回も断っちゃうの?」
貴族身分に憧れがあるらしいミヤビが、物欲しいそうな目で俺を見詰めて言うのだが…。
「それを相談したいんだ。
俺自身としては、貴族になりたいとは思わないんだが。
ドルチェが生まれたし、もうすぐ子供も増える。
子供の将来を考えたら、貴族身分があった方が良いのかなって。
俺、こういうことは詳しくないから、みんなの意見を聞かせて欲しいんだ。」
ぶっちゃけ、民主主義社会の日本で生まれ育った俺には貴族なんてぴんとこないぜ。そんなの歴史上の存在か、物語の世界の存在だからな。
ここは、身分制度にどっぷり浸かって暮らしてきたシフォン、カヌレ、ミヤビの意見を酌まないとならんだろうって。
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「私は平民のままでも良いよ。貴族なんて柄じゃ無いし。
アトリエ・シフォンがあるからね。
ぶっちゃけ、今のままでも生活に困ることは無いと思うんだ。」
シフォンは四つ年上の姐さん女房。出逢った十八歳の頃と変わらぬ若々しさで、とても二十代半ば過ぎには見えない俺の嫁第一号だ。
元々はトアール国の王都でパパ活と美人局をして生活していた不良娘だった。この世界に迷い込んだ十四歳の時、俺はシフォンの美人局のカモになっちまってな。その時はアルトの不興をかった冒険者ギルドをとっちめに王都を訪れてたんだけど、偶々シフォンに美人局をさせた黒幕が目的のギルドで。ギルドを締め上げた時に、アルト姐さんからシフォンを俺の世話係として宛がわれたんだ。もっぱらシモの世話に積極的だったシフォンは、直ぐに世話係から嫁さんに昇格することになって今に至っているって訳なのさ。
それだけ聞くと奔放な淫乱娘みたいだが、手先が器用で裁縫や料理が得意といった家庭的なところもあるんだ。
特に裁縫は、にっぽん爺がデザインしたアイドル衣装やキャンギャル衣装を手掛けたのを切っ掛けにちょっとした売れっ子になっちまった。
マロンの女王即位を機に俺達もこの国に誘われたのだけど、その際シフォンはマロンから即位の際に着用するフォーマルドレスを依頼され。更には王都の一等地に店舗まで下賜されたものだから、一気にひのき舞台に躍り出ることになったんだ。
シフォンは王室御用達のテラーとして有名となってるし。アトリエ・シフォンはフォーマルドレスからカジュアルウェアまで揃えたブティックとして馬鹿みたいに繁盛しているんだ。にっぽん爺の内縁の奥さんであるミント公爵の引きで、いつの間にかトアール国の王都と辺境の街にまで支店を出しているし…。
まあ、そんな訳でシフォンは特に貴族身分に執着している様子は見られなかったよ。今でもしょっちゅう王宮に呼び出されているから、貴族社会が面倒臭いって知っているんだよな。
「あっ、でも…。」
「何か気になることでもあるのか?」
「ほら、私の店って店員さんの殆どが耳長族じゃない。
みんなの安全を考えたら、貴族の看板は良いかも知れないって。」
見目麗しい長命種である耳長族、何時までも若々しい容姿であるが故に歴史上しばしば狙われたらしい。特にトアール国の冒険者連中が、耳長族狩りを大々的にやって一時は絶滅の危機に追いやったとか。
長らく絶滅したと思われていたんだけど、遭難したマロンの育ての父親が耳長族の隠れ里で保護されたのを切っ掛けにアルト姐さんの森で保護されることになったんだ。保護されたとはいえ、耳長族だって何がしかの仕事をしないと生活は成り立たない訳で…。
耳長族の人々はおしなべて手先が器用なため、お針子さんとしてシフォンの仕事を手伝ってもらうことになったんだ。王都に店を構えてからは、その見目麗しい容姿を活かしてお店の売り子さんも耳長族のお姉さんに任せている。
王室御用達の金看板を入り口に掲げているし、マロンを怒らせたら苛酷な目に遭うことが知れ渡っているので、今のところ耳長族の店員さんに粗相をする愚か者は居ないけど喉元過ぎればなんとかだからな。
マロンがキーン一族とその取り巻き貴族相手に大暴れした記憶が風化してくると、耳長族のお姉さん達に悪さする『勇者』が出てこないとも限らんからな。幾らマロンの御用達とは言え俺達は所詮平民だから、勘違い貴族共が悪さをしてくる恐れは幾らでもあるのだろう。
シフォンは言うんだ。俺が貴族になれば、冒険者崩れは勿論のこと、馬鹿貴族共も手出しは出来ないだろうって。流石に貴族家の使用人に手出しする『勇者』は居ないはずって。
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「私はどうでもいいわ。ダーリンの好きにして。
何人たりとも、この家のみんなに手出しはさせないし。
今更、貴族身分なんて骨とう品を貰ってもね。」
マリア姐さんは心底興味なさげに言ってたよ。
実際、この屋敷の中だけなら何処よりも安全なのは確かだと思う。なんて言っても、この屋敷にはアルト姐さん級の妖精が群れを成して住んでいるのだから。
マリア姐さんが押し掛け女房としてやって来た頃のことだ。この屋敷に耳長族のお姉さん十人以上と居候を含めて沢山の若い女性、それに中庭の池に住む『海の民』二人を見てマリア姐さんが言ったんだ。この屋敷は無用心極まりないと。
俺の留守中は護りが脆弱だってことで、マリア姐さんは『始まりの森』から一群の妖精を護衛として連れて来たんだ。アルト姐さんと同じくハイスペックな第一世代の妖精さんばかりを。基本、屋敷の敷地からは出ないのだけど、女性だけで外出する時は護衛として付き添っている。
まあ、マリア姐さんは地球より遥かに進んだ文明を持っていた惑星からの来訪者だし、貴族なんてものに興味は無いのだろうな。
それに、マリア姐さんの『積載庫』にはこの世界からしたらオーパーツもののアイテムが沢山収納されているらしい。その気になれば幾らでも富が築けるみたいで、お金にも全く執着が無いんだ。
定職につかずにブラブラしているけど、この屋敷の中での貢献度が一番大きいのもマリア姐さんだしな。
妖精の護衛もそうだけど、マリア姐さんのおかげでこの屋敷は世界中で唯一の電化住宅だから。『積載庫』に保存してあったソーラーパネルを設置して、各部屋にLED照明を設置してくれたし、冷蔵庫もあるんだぜ。流石に屋敷が大きすぎてエアコンは無理だったけど、元々ここは常春の気候で夏と冬が無いからエアコンは不要だしな。
それに定職について無いとは言っても、子供が産まれるまではしょっちゅうトアール国の辺境の街まで行ってカレッジの設立に協力してたし。『積載庫』にあった服飾技術の資料とか、惑星テルルで流行したドレスの資料とかをシフォンに提供してアトリエ・シフォンの経営に協力もしているんだ。
マリア姐さんの言では、この大陸に生命を根付かせるまで身を粉して働いたのだから、余生はのんびり暮らしたいそうだ。
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