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第二二章 チャラい王子としっかり者のお嫁さん達
第780話 また、そんな勝手なことを…
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昨晩夕食に饗された珍しいとされる食材、何となくクコさんの領地で栽培・養殖されてる気がしたんだ。
なので、オベルジーネ王子にクコさんの領地の特産品を尋ねてみたの。
「思い当たるモノが無いんだぁ~。
だから、ヒュドラ酒をクコちゃんにあげることにしたんじゃん。
少しでも領地の助けになるようにってねぇ。」
オベルジーネ王子はクコさんの領地を造る際に予め希望を尋ねたそうだよ。
水の豊富な土地、珍しい絹糸の採れる土地、温泉の湧いている土地、その中でどれが欲しいかと。
この時点で、他の女の人に与える領地を造る予定は無かったけど、それぞれの場所が結構離れているからね。
その三つ全てをカバーすると広大な面積になり、とても手に負えなくなると王子は言ってたよ。
「そしたら、クコちゃんは水が豊富な土地を望んだんだぁ~。
王都周辺は水が豊富な場所が少ないから、清らかな泉は憧れなんだってぇ。」
その辺中から滾々と泉が湧いていると聞くと、クコさんは目を輝かせてそこが良いと望んだんだって。
水が豊富なこと以外、然したる取り柄の無い土地だと王子が説明すると。
「そんなの問題ないです。
人間、水さえあれば何とか生きていけるものですから。」
クコさんはそう言ってカラカラと笑っていたらしいの。
「じゃあ、クコさんの領地が何を収益の柱にしているのか知らないの?」
「うん、ボクちん、領地経営には手を出さなくても良いと言われてるしぃ。
クコちゃんがボクちんに望んだのは、ロコトのことだけだもん。」
クコさん、王宮を出て領地に赴く時に言ったそうだよ。
領地の経営は勝手にするから、王子は気にしなくても良いと。
その代わり、ロコト君が立派な領主になれるように責任もって育て導いて欲しいってね。
具体的に望んだのは二つらしくて、一つは父親らしく定期的にロコト君と遊んで欲しいってこと。
もう一つは、ロコト君が怠惰や尊大にならないよう領主の範を示して欲しいってことなんだって。
今は、領民と親しく交わり、自ら狩りに行く姿を見せることで範を示しているそうだよ。
ロコト君がもう少し大きくなったら、実際に魔物狩りの現場に連れて行くつもりみたい。
「まあ、領民は農作業で生計が成り立っているようだしぃ。余り心配はしてないんだぁ。
税収はあまり上がらないかも知れないけど、クコちゃんは王宮からの報酬があるからねぇ。」
「うん? クコさん、王宮から報酬をもらってるの?」
「あれ、言ってなかったっけぇ。
クコちゃん、王宮官吏だよぉ~。第一王女補佐官。
ペピーノがちょくちょくクコちゃんの領地に行って仕事を振ってるしぃ。」
クコさん、王宮に滞在している間の約二年の間に『図書館の試練』を三つ共クリアしたらしい。その時十四歳、記録に残っている中ではペピーノ姉ちゃんに継ぐ最年少記録なんだって。
ペピーノ姉ちゃんはこれ幸いと、空席になっていた自分の首席補佐官の席にクコさんを据えたらしい。
ロコト君の領主代行としてあの領地へ赴いた訳だけど、ペピーノ姉ちゃんはクコさんを手放さず補佐官の身分のままなんだって。
ペピーノ姉ちゃんには妖精のイチゲさんって心強い味方が居るからね。
イチゲさんに乗せてもらって三日と空けずクコさんの許を訪れ、仕事を振ったり、相談・打ち合わせをしているみたいなの。
まあ、主席と言っても単なる職制上の呼称で、実際はクコさん一人しか居ないらしいけど報酬は大臣並みでとても良いらしい。
「ぶっちゃけ、クコちゃんの領地はどうでもいいんだぁ~。
ボクちんとしては、やっぱりクコちゃんを妃にしようと考えているしぃ。
そろそろ、ヨメナちゃんとシオンちゃんにはご退場願おうかと思ってるんだぁ~。
あの二人が居るとクコちゃんが怯えちゃうからねぇ。」
ヨメナちゃんとシオンちゃんってのは、たしか大蔵卿令嬢と軍務卿令嬢だったね。どっちがどっちかは忘れたけど。
このチャラ王子の妃候補の筆頭だったはず。
「でも、ジーネはクコさんが妃になるのを否定してたはずだよね。
気弱なクコさんは妃に向いてないって。もっと面の皮が厚くないとってね。
それに二人とも得難い才能があるんじゃなかった?」
確か、魔物の発生と騎士の配置の状況をリアルタイムで把握している軍務卿令嬢と国内のお金の流れを漏らさず把握している大蔵卿令嬢だったよね。
二人共、幼い頃から王妃となるべく徹底した教育を受けてきたので他のご令嬢では太刀打ちできないとか。
「ああ、それはクコちゃんが十四歳の時の話だねぇ。
ボクちんよりも、ペピーノがクコちゃんにご執心でさぁ。
ペピーノが色々工作をしたものだから、クコちゃんの評価が高くなっててねぇ。
もとより、若手官吏の中にはクコちゃんの信奉者も多いしぃ。
宮廷内ではクコちゃんの妃待望論が高まっているんだぁ~。」
ペピーノ姉ちゃんが頻繁にクコちゃんの領地を訪れて振っている仕事の数々。
本来、全てペピーノ姉ちゃんの功績になるところ、その何割かをクコさんの功績ってことで宮廷に報告してるらしい。
その中には国政上かなり重要な功績もあるそうで、本人の知らないところでクコさんの評価は上がっているだって。
「それに、ヨメナちゃんとシオンちゃんに期待される能力。
今となってはあれもクコちゃんの方が上だからねぇ。
やっぱり、イチゲちゃんを味方につけたのは大きいよねぇ~。」
イチゲちゃんとは、ペピーノ姉ちゃんに付き添っている妖精さん。
例えば、国内の魔物被害の発生や騎士団の配置についていえば…。
イチゲさんが他の妖精さんを使って、その情報をクコさんの許に集めているみたい。
地方から王都まで早馬を走らせるより妖精さんが空を飛ぶ方が早いから、誰よりも早く詳細な情報がクコさんの所に集まるらしい。
妖精さんネットワーク、恐るべしだね。
「でも、クコさん本人が嫌だと言うんじゃない?」
「どうかなぁ? あれでいて、クコちゃん、押しに弱いしぃ。
ペピーノが少しずつ外堀を埋めてくれてるみたいだしぃ。
タイミングを見てボクちんがプロポーズすれば首を縦に振ると思うんだぁ~。」
後は、クコさんの周りにいる信奉者達が、クコさんを妃に推せば嫌とは言えないだろうって。
そんな訳で、オベルジーネ王子はクコさんの領地の詳しいことを知らないらしい。
クコさんの領地を訪れる時は、もっぱらロコト君と過ごすことに時間を費やし領地経営の話はほとんどしないから。
困ったことがあれば、頻繁に訪れてるペピーノ姉ちゃんに相談しているだろう。王子はそう考えているんだって。
なるほど、それじゃ、クコさんがワサビの栽培やニジマスの養殖をしてても気付かないかも知れないね。
**********
「ねえ、クコさんは、フルティカさんとウルピカさんの事は知っているの?」
ウルピカさんの領地に、上手いタイミングでワサビとニジマスを売り込みに行ったみたいだし。
売り込みに行ったのがクコさんなら、ウルピカさんの存在を知っていると考えるのが自然だよね。
「嫌だなぁ~。知ってるはずないじゃん。
クコちゃんのお腹に居る子供のために領地開発をしてたんだよぉ。
その間に、別の女性を四人も孕ませたなんて口が裂けても言えないよぉ~。」
こいつ、フルティカさんやウルピカさんの前で三人とも最愛の女性だなんて言ってる癖に、やっぱり後ろめたいんじゃない。
王子が言ってないとしたら、ペピーノ姉ちゃんからでも聞いたのかな。
「ねえ、ワサビとかニジマスって食べたことある?」
「ワサビ? ニジマス?
さあ、聞いたことも無い食材だしぃ?
それがどうかしたぁ?」
「いや、別に。知らなければ良いんだ。」
おいら、二日後、クコさんの領地に戻ったら訊いてみようと思ったよ。
「ところで、ジーネ、あと二組、奥さんと子供を隠しているでしょう?」
「また、いきなりだねぇ。何でそう思う?」
「だって、以前、アネモネさんが言ってたもん。
ジーネは既に五ヶ所新たな領地を開拓してるって。
今回連れて来てもらった領地が三つ。
なら、あと二つあるはずだし。」
おいらがピーマン王子に付き添っている妖精さんから聞いたことを話すと。
「言ってた、言ってた。」、「この鬼畜、いったい何人の娘を孕ませば気が済むの…。」、おいらの後ろでそんな囁きが聞こえたよ。
「酷いなぁ。誤解だよぉ~。
確かに、今まで五つ領地を開拓したけどぉ~。
それは、リンカとネネのためだしぃ。
あの二人は絶対にボクちんの娘だと確信してるからね。
いずれ二人に贈与するために造ったんだぁ。」
二つの領地はオベルジーネ王子の領地として、今は代官を派遣して治めているらしい。
場所はここから大分離れた山岳地帯の麓みたい、それこそ綺麗なせせらぎがあるような。
この森に造らなかったのは、リンカちゃんとネネちゃんの出自を知る人が居ない場所が良いと思ったからみたい。
『お持ち帰りできるお姉さん』の娘だと蔑む人が居ないとも限らないから、なるべく遠くにしたんだって。
いずれ二人が年頃になったら、王子がお婿さんを探して来るつもりでいるらしいよ。
その時、結婚祝いに領地を送るんだって。なんとも剛毅な結婚祝いだね。
こいつ、言動はチャラいし、あちこちで子供を作るのもどうかと思うけど。
こいつなりに自分の娘達の将来には責任を持つつもりではいるんだね。そういったところはギリギリ好感が持てるよ。
なので、オベルジーネ王子にクコさんの領地の特産品を尋ねてみたの。
「思い当たるモノが無いんだぁ~。
だから、ヒュドラ酒をクコちゃんにあげることにしたんじゃん。
少しでも領地の助けになるようにってねぇ。」
オベルジーネ王子はクコさんの領地を造る際に予め希望を尋ねたそうだよ。
水の豊富な土地、珍しい絹糸の採れる土地、温泉の湧いている土地、その中でどれが欲しいかと。
この時点で、他の女の人に与える領地を造る予定は無かったけど、それぞれの場所が結構離れているからね。
その三つ全てをカバーすると広大な面積になり、とても手に負えなくなると王子は言ってたよ。
「そしたら、クコちゃんは水が豊富な土地を望んだんだぁ~。
王都周辺は水が豊富な場所が少ないから、清らかな泉は憧れなんだってぇ。」
その辺中から滾々と泉が湧いていると聞くと、クコさんは目を輝かせてそこが良いと望んだんだって。
水が豊富なこと以外、然したる取り柄の無い土地だと王子が説明すると。
「そんなの問題ないです。
人間、水さえあれば何とか生きていけるものですから。」
クコさんはそう言ってカラカラと笑っていたらしいの。
「じゃあ、クコさんの領地が何を収益の柱にしているのか知らないの?」
「うん、ボクちん、領地経営には手を出さなくても良いと言われてるしぃ。
クコちゃんがボクちんに望んだのは、ロコトのことだけだもん。」
クコさん、王宮を出て領地に赴く時に言ったそうだよ。
領地の経営は勝手にするから、王子は気にしなくても良いと。
その代わり、ロコト君が立派な領主になれるように責任もって育て導いて欲しいってね。
具体的に望んだのは二つらしくて、一つは父親らしく定期的にロコト君と遊んで欲しいってこと。
もう一つは、ロコト君が怠惰や尊大にならないよう領主の範を示して欲しいってことなんだって。
今は、領民と親しく交わり、自ら狩りに行く姿を見せることで範を示しているそうだよ。
ロコト君がもう少し大きくなったら、実際に魔物狩りの現場に連れて行くつもりみたい。
「まあ、領民は農作業で生計が成り立っているようだしぃ。余り心配はしてないんだぁ。
税収はあまり上がらないかも知れないけど、クコちゃんは王宮からの報酬があるからねぇ。」
「うん? クコさん、王宮から報酬をもらってるの?」
「あれ、言ってなかったっけぇ。
クコちゃん、王宮官吏だよぉ~。第一王女補佐官。
ペピーノがちょくちょくクコちゃんの領地に行って仕事を振ってるしぃ。」
クコさん、王宮に滞在している間の約二年の間に『図書館の試練』を三つ共クリアしたらしい。その時十四歳、記録に残っている中ではペピーノ姉ちゃんに継ぐ最年少記録なんだって。
ペピーノ姉ちゃんはこれ幸いと、空席になっていた自分の首席補佐官の席にクコさんを据えたらしい。
ロコト君の領主代行としてあの領地へ赴いた訳だけど、ペピーノ姉ちゃんはクコさんを手放さず補佐官の身分のままなんだって。
ペピーノ姉ちゃんには妖精のイチゲさんって心強い味方が居るからね。
イチゲさんに乗せてもらって三日と空けずクコさんの許を訪れ、仕事を振ったり、相談・打ち合わせをしているみたいなの。
まあ、主席と言っても単なる職制上の呼称で、実際はクコさん一人しか居ないらしいけど報酬は大臣並みでとても良いらしい。
「ぶっちゃけ、クコちゃんの領地はどうでもいいんだぁ~。
ボクちんとしては、やっぱりクコちゃんを妃にしようと考えているしぃ。
そろそろ、ヨメナちゃんとシオンちゃんにはご退場願おうかと思ってるんだぁ~。
あの二人が居るとクコちゃんが怯えちゃうからねぇ。」
ヨメナちゃんとシオンちゃんってのは、たしか大蔵卿令嬢と軍務卿令嬢だったね。どっちがどっちかは忘れたけど。
このチャラ王子の妃候補の筆頭だったはず。
「でも、ジーネはクコさんが妃になるのを否定してたはずだよね。
気弱なクコさんは妃に向いてないって。もっと面の皮が厚くないとってね。
それに二人とも得難い才能があるんじゃなかった?」
確か、魔物の発生と騎士の配置の状況をリアルタイムで把握している軍務卿令嬢と国内のお金の流れを漏らさず把握している大蔵卿令嬢だったよね。
二人共、幼い頃から王妃となるべく徹底した教育を受けてきたので他のご令嬢では太刀打ちできないとか。
「ああ、それはクコちゃんが十四歳の時の話だねぇ。
ボクちんよりも、ペピーノがクコちゃんにご執心でさぁ。
ペピーノが色々工作をしたものだから、クコちゃんの評価が高くなっててねぇ。
もとより、若手官吏の中にはクコちゃんの信奉者も多いしぃ。
宮廷内ではクコちゃんの妃待望論が高まっているんだぁ~。」
ペピーノ姉ちゃんが頻繁にクコちゃんの領地を訪れて振っている仕事の数々。
本来、全てペピーノ姉ちゃんの功績になるところ、その何割かをクコさんの功績ってことで宮廷に報告してるらしい。
その中には国政上かなり重要な功績もあるそうで、本人の知らないところでクコさんの評価は上がっているだって。
「それに、ヨメナちゃんとシオンちゃんに期待される能力。
今となってはあれもクコちゃんの方が上だからねぇ。
やっぱり、イチゲちゃんを味方につけたのは大きいよねぇ~。」
イチゲちゃんとは、ペピーノ姉ちゃんに付き添っている妖精さん。
例えば、国内の魔物被害の発生や騎士団の配置についていえば…。
イチゲさんが他の妖精さんを使って、その情報をクコさんの許に集めているみたい。
地方から王都まで早馬を走らせるより妖精さんが空を飛ぶ方が早いから、誰よりも早く詳細な情報がクコさんの所に集まるらしい。
妖精さんネットワーク、恐るべしだね。
「でも、クコさん本人が嫌だと言うんじゃない?」
「どうかなぁ? あれでいて、クコちゃん、押しに弱いしぃ。
ペピーノが少しずつ外堀を埋めてくれてるみたいだしぃ。
タイミングを見てボクちんがプロポーズすれば首を縦に振ると思うんだぁ~。」
後は、クコさんの周りにいる信奉者達が、クコさんを妃に推せば嫌とは言えないだろうって。
そんな訳で、オベルジーネ王子はクコさんの領地の詳しいことを知らないらしい。
クコさんの領地を訪れる時は、もっぱらロコト君と過ごすことに時間を費やし領地経営の話はほとんどしないから。
困ったことがあれば、頻繁に訪れてるペピーノ姉ちゃんに相談しているだろう。王子はそう考えているんだって。
なるほど、それじゃ、クコさんがワサビの栽培やニジマスの養殖をしてても気付かないかも知れないね。
**********
「ねえ、クコさんは、フルティカさんとウルピカさんの事は知っているの?」
ウルピカさんの領地に、上手いタイミングでワサビとニジマスを売り込みに行ったみたいだし。
売り込みに行ったのがクコさんなら、ウルピカさんの存在を知っていると考えるのが自然だよね。
「嫌だなぁ~。知ってるはずないじゃん。
クコちゃんのお腹に居る子供のために領地開発をしてたんだよぉ。
その間に、別の女性を四人も孕ませたなんて口が裂けても言えないよぉ~。」
こいつ、フルティカさんやウルピカさんの前で三人とも最愛の女性だなんて言ってる癖に、やっぱり後ろめたいんじゃない。
王子が言ってないとしたら、ペピーノ姉ちゃんからでも聞いたのかな。
「ねえ、ワサビとかニジマスって食べたことある?」
「ワサビ? ニジマス?
さあ、聞いたことも無い食材だしぃ?
それがどうかしたぁ?」
「いや、別に。知らなければ良いんだ。」
おいら、二日後、クコさんの領地に戻ったら訊いてみようと思ったよ。
「ところで、ジーネ、あと二組、奥さんと子供を隠しているでしょう?」
「また、いきなりだねぇ。何でそう思う?」
「だって、以前、アネモネさんが言ってたもん。
ジーネは既に五ヶ所新たな領地を開拓してるって。
今回連れて来てもらった領地が三つ。
なら、あと二つあるはずだし。」
おいらがピーマン王子に付き添っている妖精さんから聞いたことを話すと。
「言ってた、言ってた。」、「この鬼畜、いったい何人の娘を孕ませば気が済むの…。」、おいらの後ろでそんな囁きが聞こえたよ。
「酷いなぁ。誤解だよぉ~。
確かに、今まで五つ領地を開拓したけどぉ~。
それは、リンカとネネのためだしぃ。
あの二人は絶対にボクちんの娘だと確信してるからね。
いずれ二人に贈与するために造ったんだぁ。」
二つの領地はオベルジーネ王子の領地として、今は代官を派遣して治めているらしい。
場所はここから大分離れた山岳地帯の麓みたい、それこそ綺麗なせせらぎがあるような。
この森に造らなかったのは、リンカちゃんとネネちゃんの出自を知る人が居ない場所が良いと思ったからみたい。
『お持ち帰りできるお姉さん』の娘だと蔑む人が居ないとも限らないから、なるべく遠くにしたんだって。
いずれ二人が年頃になったら、王子がお婿さんを探して来るつもりでいるらしいよ。
その時、結婚祝いに領地を送るんだって。なんとも剛毅な結婚祝いだね。
こいつ、言動はチャラいし、あちこちで子供を作るのもどうかと思うけど。
こいつなりに自分の娘達の将来には責任を持つつもりではいるんだね。そういったところはギリギリ好感が持てるよ。
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