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第二一章 またもや、頭の痛い連中を拾ったよ…
第734話 宰相から許可を取ったよ…
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どうやら、ウニアール国から来たペピーノ姉ちゃんはとても子供好きの様子で。
おいらが王都の子供達をウサギに乗せて遊んでいる様子を見て、おいらのことを気に入ってくれたみたいなの。
何かとっておきの宝物を見せたいと言って、是非にもウニアール国へ来て欲しいって。
それに関しては「宰相が良いって言ったらね。」って返答し、宰相に判断を委ねることにしたよ。
つい数日前に一週間ほどの休暇を取ったばかりだからね。
勝手に他国を訪問するなんて決めちゃったら、大目玉をくらうのが目に見えるもん。
そして、王宮へ戻って隣国の王女来訪を知らせると、宰相は泡を食っておいらの部屋に飛び込んできたよ。
まあ、王子を拉致同然で連れて来ての王女の来訪だものね。隣国の心証を悪くしたのではと心配したようだった。
「手順を踏まずにマロン陛下に拝謁したご無礼をお赦しください。
わたくし、ウニアール国王タマリロが一女ペピーノと申します。
この度は弟のピーマンとその取り巻きが、マロン陛下に多大なご迷惑をお掛けしたと伺い。
取り急ぎお詫びにまかり越しました。」
老体に鞭打って走ったために息を切らす宰相を前に、ペピーノ姉ちゃんは謝罪の言葉を述べて頭を下げたんだ。
それを聞いて宰相は、抗議に来た訳ではないと知り安堵の表情を浮かべてたよ。
「イチゲちゃん、父上から預かって来たアレを出して頂けるかしら?」
宰相との挨拶が済むとペピーノ姉ちゃんは何かを出すようにイチゲさんに指示したんだ。
「はい、はい、承知しているわよ。」
ペピーノ姉ちゃんの指示に従いイチゲさんは大量の荷物を部屋に出したよ。
そして。
「こちらはウニアール国王タマリロからの親書でございます。
そして、こちらはピーマンがご迷惑をお掛けしたことに対するお詫びの品でございます。
どうぞお納めください。」
ペピーノ姉ちゃんはカバンから一通の書簡を取り出して宰相に手渡したんだ。
書簡を受け取った宰相はその場で開封して中身に目を通すと、広げたままおいらに差し出したよ。
「陛下、こちらの親書には二つの目的が記されております。
一つは、ピーマン殿下の不祥事に対する謝罪でございますが。
今一つは先王ヒーナルの時代に疎遠になった二ヶ国間の国交を親密にしたいとあります。」
宰相の話では、この国とウニアール国は従来から国交が有り、決して敵対している訳ではないそうだけど。
ヒーナルが簒奪して以降は、国交が疎遠になっていたらしいの。
と言っても、それはウニアール国に限った話ではなく、他の国に関しても同様らしいけどね。
何処もヒーナルのような無法者が治める国と仲良くはしたくないだろうと、宰相は言ってたよ。
要するに武闘派で無法者のヒーナルを警戒して、他国はこの国と距離を取っていた訳だ。
おいらが即位するに当たり、トアール国とシタニアール国とは改めて友好条約を結んだし。
サニアール国とはヌル王国の進攻の際に関係を修復できたんだ。
ただ、今までウニアール国とは関係修復の機会が無かったの。
もとより国交断絶した訳では無く、自然と疎遠になっていただけだからね。
一応、おいらの即位式に際して招待状は送ったらしいけど。
おいらがヒーナルを廃してから即位式で公式にお披露目するまでの期間は二ヶ月。
ウニアール国まで親書が届くのに一月以上掛かるから、普通に考えれば参列できる訳無かったの。
そんな訳で、特に不都合が無かったこともあって、ウニアール国との関係は今まで放置されていたんだ。
**********
「我が国はこちらの先王をとても警戒しておりました。
そのため、なるべく距離を置くようにしていたのです。
二年前、新王が立ったとお知らせを頂いた際も。
あの無法者の影響力を完全に排除できたのか懐疑的だったものですから。
マロン陛下のご即位に際してはご招待戴いたにも関わらず。
何のお祝いもせず大変ご無礼を致しました。」
おいらと宰相の会話を聞いていたペピーノ姉ちゃんがありのままを説明してくれたよ。
簒奪者ヒーナルが王座を追われたとの知らせを受けた時、ウニアール国では懐疑的な意見が多かったらしい。
この国ではヒーナル派の貴族や騎士が大多数なので、旧王家が一時的に王位を奪還できても維持は難しい。
そう考える人達が大多数だったみたい。
おいらがちゃんと国を治めることができるか、ウニアール国では交易商を介して情報収集してたんだって。
商人の情報から、おいらが即位してからこの国の状況がとても改善し、キーン一族も完全に排除できたと判断したのはつい最近のことらしい。
その矢先に、アネモネさんがピーマン王子がおいらに粗相を働いたとの情報をもたらしたそうで。
タマリロ王は国交改善を図る絶好の機会と判断したみたい。
早々に謝罪の使節を送ることを決めたそうで、それにペピーノ姉ちゃんが立候補したんだって。
「我が国としましては、ヒーナル王が即位する以前の親密な関係を復したいと望んでおります。
父タマリロも是非貴国の首脳にも我が国を来訪して戴きたいと申しておりました。」
そう告げたペピーノ姉ちゃんはチラリをおいらの方を見たよ。
それは、おいらに遊びに来いと言ったことへのフリかな?
だから、おいらも話の流れに乗ることにしたよ。
「せっかくのペピーノ殿下のお誘いだし。
おいら、ちょっとウニアール国まで行ってこようと思うんだけど。
宰相はどう思う。」
ウニアール国へ行ってみたいと宰相に許可を求めたの。
つい先日、お休みを取ったばかりだから、予想通り宰相は渋い顔をしてたけど。
「そうですな、四ヶ月後にピーマン殿下御一行をお返ししないとなりませんからな。
誰かを派遣するつもりではあったのですが。
まだお若い陛下には広い世の中を見て戴いた方が、今後のためになりますか。
これから四ヶ月、また寝食を忘れて働いて戴ければ何とかなりますでしょう。」
宰相はおいらが経験を積むためとして、ウニアール国訪問を許してくれたよ。
ただし、また死ぬほど働かされそうだけどね…。
おいらが王都の子供達をウサギに乗せて遊んでいる様子を見て、おいらのことを気に入ってくれたみたいなの。
何かとっておきの宝物を見せたいと言って、是非にもウニアール国へ来て欲しいって。
それに関しては「宰相が良いって言ったらね。」って返答し、宰相に判断を委ねることにしたよ。
つい数日前に一週間ほどの休暇を取ったばかりだからね。
勝手に他国を訪問するなんて決めちゃったら、大目玉をくらうのが目に見えるもん。
そして、王宮へ戻って隣国の王女来訪を知らせると、宰相は泡を食っておいらの部屋に飛び込んできたよ。
まあ、王子を拉致同然で連れて来ての王女の来訪だものね。隣国の心証を悪くしたのではと心配したようだった。
「手順を踏まずにマロン陛下に拝謁したご無礼をお赦しください。
わたくし、ウニアール国王タマリロが一女ペピーノと申します。
この度は弟のピーマンとその取り巻きが、マロン陛下に多大なご迷惑をお掛けしたと伺い。
取り急ぎお詫びにまかり越しました。」
老体に鞭打って走ったために息を切らす宰相を前に、ペピーノ姉ちゃんは謝罪の言葉を述べて頭を下げたんだ。
それを聞いて宰相は、抗議に来た訳ではないと知り安堵の表情を浮かべてたよ。
「イチゲちゃん、父上から預かって来たアレを出して頂けるかしら?」
宰相との挨拶が済むとペピーノ姉ちゃんは何かを出すようにイチゲさんに指示したんだ。
「はい、はい、承知しているわよ。」
ペピーノ姉ちゃんの指示に従いイチゲさんは大量の荷物を部屋に出したよ。
そして。
「こちらはウニアール国王タマリロからの親書でございます。
そして、こちらはピーマンがご迷惑をお掛けしたことに対するお詫びの品でございます。
どうぞお納めください。」
ペピーノ姉ちゃんはカバンから一通の書簡を取り出して宰相に手渡したんだ。
書簡を受け取った宰相はその場で開封して中身に目を通すと、広げたままおいらに差し出したよ。
「陛下、こちらの親書には二つの目的が記されております。
一つは、ピーマン殿下の不祥事に対する謝罪でございますが。
今一つは先王ヒーナルの時代に疎遠になった二ヶ国間の国交を親密にしたいとあります。」
宰相の話では、この国とウニアール国は従来から国交が有り、決して敵対している訳ではないそうだけど。
ヒーナルが簒奪して以降は、国交が疎遠になっていたらしいの。
と言っても、それはウニアール国に限った話ではなく、他の国に関しても同様らしいけどね。
何処もヒーナルのような無法者が治める国と仲良くはしたくないだろうと、宰相は言ってたよ。
要するに武闘派で無法者のヒーナルを警戒して、他国はこの国と距離を取っていた訳だ。
おいらが即位するに当たり、トアール国とシタニアール国とは改めて友好条約を結んだし。
サニアール国とはヌル王国の進攻の際に関係を修復できたんだ。
ただ、今までウニアール国とは関係修復の機会が無かったの。
もとより国交断絶した訳では無く、自然と疎遠になっていただけだからね。
一応、おいらの即位式に際して招待状は送ったらしいけど。
おいらがヒーナルを廃してから即位式で公式にお披露目するまでの期間は二ヶ月。
ウニアール国まで親書が届くのに一月以上掛かるから、普通に考えれば参列できる訳無かったの。
そんな訳で、特に不都合が無かったこともあって、ウニアール国との関係は今まで放置されていたんだ。
**********
「我が国はこちらの先王をとても警戒しておりました。
そのため、なるべく距離を置くようにしていたのです。
二年前、新王が立ったとお知らせを頂いた際も。
あの無法者の影響力を完全に排除できたのか懐疑的だったものですから。
マロン陛下のご即位に際してはご招待戴いたにも関わらず。
何のお祝いもせず大変ご無礼を致しました。」
おいらと宰相の会話を聞いていたペピーノ姉ちゃんがありのままを説明してくれたよ。
簒奪者ヒーナルが王座を追われたとの知らせを受けた時、ウニアール国では懐疑的な意見が多かったらしい。
この国ではヒーナル派の貴族や騎士が大多数なので、旧王家が一時的に王位を奪還できても維持は難しい。
そう考える人達が大多数だったみたい。
おいらがちゃんと国を治めることができるか、ウニアール国では交易商を介して情報収集してたんだって。
商人の情報から、おいらが即位してからこの国の状況がとても改善し、キーン一族も完全に排除できたと判断したのはつい最近のことらしい。
その矢先に、アネモネさんがピーマン王子がおいらに粗相を働いたとの情報をもたらしたそうで。
タマリロ王は国交改善を図る絶好の機会と判断したみたい。
早々に謝罪の使節を送ることを決めたそうで、それにペピーノ姉ちゃんが立候補したんだって。
「我が国としましては、ヒーナル王が即位する以前の親密な関係を復したいと望んでおります。
父タマリロも是非貴国の首脳にも我が国を来訪して戴きたいと申しておりました。」
そう告げたペピーノ姉ちゃんはチラリをおいらの方を見たよ。
それは、おいらに遊びに来いと言ったことへのフリかな?
だから、おいらも話の流れに乗ることにしたよ。
「せっかくのペピーノ殿下のお誘いだし。
おいら、ちょっとウニアール国まで行ってこようと思うんだけど。
宰相はどう思う。」
ウニアール国へ行ってみたいと宰相に許可を求めたの。
つい先日、お休みを取ったばかりだから、予想通り宰相は渋い顔をしてたけど。
「そうですな、四ヶ月後にピーマン殿下御一行をお返ししないとなりませんからな。
誰かを派遣するつもりではあったのですが。
まだお若い陛下には広い世の中を見て戴いた方が、今後のためになりますか。
これから四ヶ月、また寝食を忘れて働いて戴ければ何とかなりますでしょう。」
宰相はおいらが経験を積むためとして、ウニアール国訪問を許してくれたよ。
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