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第二一章 またもや、頭の痛い連中を拾ったよ…
第704話 久し振りに休暇を取って家族旅行だよ
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貯水池造りからこっち色々と酷使されてきたけど、カゲベー会の後始末も終えてやっと休みが取れたよ。
「マロン陛下、お久しゅうございます。
今回はわたくしどもの領地にご視察でございますか?」
「うんにゃ、お休みだよ。
宰相ったら、おいらみたいな幼気な少女に一月以上も穴掘りをさせたんだ。
ムチャクチャ疲れが溜まったんで休みを分捕ってきたの。
せっかくレクチェ姉ちゃんの領地に離宮を造ったのに一度も来る機会が無かったからね。
温泉に浸かってのんびりしようと思って。」
マイナイ伯爵領へ着いたおいらは、最初に領主のレクチェ姉ちゃんの館を訪ねたの。
やっぱり、王族が何の断りも無く領内に滞在していたら、領主としてはいい気分じゃないだろうからね。
「まあ、お一人で貯水池を掘ったのですか? マロン陛下が?」
貯水池を自力で掘ったことを話したら、レクチェ姉ちゃんは目を丸くしてたよ。
「掘ると言っても、『妖精さんの不思議空間』に土砂を放り込むだけだから。
手間は大したこと無かったんだけどね。
やっぱり、薄暗い地下での長時間労働は幼児虐待だと思うんだ。」
「まあ、まあ、それは大変でしたね。
それじゃ、ごゆっくり体を休めていってくださいね。
丁度、明日から恒例の魔物狩りに出掛ける予定にしてまして。
マロン陛下の滞在中に『牛祭り』を開催できると思いますの。
よろしければ、お祭りを楽しんで行ってください。」
一筋の川を隔てて魔物の領域と接するマイナイ伯爵領では定期的に魔物狩りをする必要があるんだ。
それをサボると魔物が増え過ぎちゃって、餌不足とか、縄張り争いで魔物の領域から溢れる個体が出て来るから。
実際、前の領主が十年以上魔物狩りをサボったらスタンピードが起こるところだったし。
で、隣接する魔物の領域には牛型の魔物『酔牛』が沢山生息していて、このお肉が美味なんだ。
魔物狩りで手に入れた酔牛のお肉を、領主が領民に振る舞うのがこの街の伝統行事になっているの。
前領主が魔物狩りをサボっていたため、その伝統行事も十年程途絶えていたんだけど。
レクチェ姉ちゃんが領主を襲名してから『牛祭り』を再開したんだ。ちゃんと継続しているみたいだね。
「魔物狩りに行くんだ。
それなら、おいらも手伝うよ。」
「いえ、そんな畏れ多い。
マロン陛下は静養にいらしたのですから。
離宮でごゆっくりしてください。」
「元々、ローデンさんの所に挨拶に行くつもりだったし。
毎朝トレント狩りをしているから、サボると調子狂うんだよね。
まあ迷惑なら、無理について行くとは言わないけど。」
ローデンさんって言うのは、魔物の領域に森を構える妖精さん。
マイナイ伯爵が魔物狩りをする時に妖精の森で野営することを許可してくれているんだ。
前に行った時は、貴重な『グリーンシルク』の繭を沢山分けてくれたの。
おいらが手伝う気満々なので、レクチェ姉ちゃんは困った表情をしてたよ。
だから、おいら、無理強いはしないことにしたの。
女王のおいらが魔物狩りに同行して怪我でもしたら、レクチェ姉ちゃんに迷惑が掛かるだろうしね。
「いえ、迷惑だなんてとんでもない。
マロン陛下なら大歓迎です。
では、恐縮ですが明朝、この館にお越しいただけますか。」
でも、おいらの言い方がズルかったのか、レクチェ姉ちゃん、断り難くなったみたい。
慌てて魔物狩りに同行することを承諾してくれたんだ。
**********
レクチェ姉ちゃんの館を後にしてやって来たのはおいらの離宮。
「これがマロンちゃんの離宮なの?
王家の離宮の割にこじんまりとしているのね。」
離宮を前にそんな失礼なことを言うのはマリアさん。
例によって、アルトがおいらの護衛としてタロウを連れて来たんだけど。
タロウが行くならと、当然のような顔をしてついて来たの。
「こじんまりとした離宮で悪かったね。
これは王家の離宮じゃなくて、おいらの離宮だからね。
これでも十分過ぎるくらい贅沢だと思ってるんだよ。」
「どうゆうこと?
マロンちゃんの離宮なら、王家の離宮なんじゃないの?」
「これは、おいらがトレント狩りや魔物狩りで稼いだお金で建てたんだ。
オランが民の血税で贅沢をしたらダメだと注意してくれたから。
国費は銅貨一枚も使って無いの。
だから、王家じゃなくて、おいらの離宮。」
そもそも離宮って呼び名がおかしいんだ。どう見ても『宮殿』じゃなくて『館』だから。
「ゴメン、ゴメン。別に貶した訳じゃないのよ。
少し意外だったから、離宮と言う割には小さくて。
それにしても、これをマロンちゃん個人の稼ぎで建てたというのは凄いわ。
その歳でいったいどんだけ蓄財していたの。
民の血税を無駄遣いしちゃいけないと注意したオラン君も立派だわ。
マロンちゃん、良いお婿さんを貰ったわね。」
おいらの言葉を聞いて、マリアさんは感心してたよ。
離宮を前にマリアさんとそんな会話を交わしていると。
「ねえちゃ、ねえちゃ。 ここがねえちゃのおうちなの?
ひろいおふよがあるんでしょ。
みんめい、ねえちゃといっしょにはいるの。」
妹のミンメイがおいらの袖を引っ張って、待ち切れないって感じで尋ねてきたの。
今回は、父ちゃん一家も連れて来たんだ。ここの温泉がとても良かったから。
父ちゃんやミンミン姉ちゃんにものんびりしてもらおうかと思って。
「うん、そうだよ。ここが姉ちゃんの新しいおうちなんだ。
しばらくはここで過ごすから、お風呂も寝るのも一緒だよ。」
「わーい! ねえちゃといっしょだ~!
ねえちゃ、ねえちゃ、はやくいこ~!」
おいらの返答が嬉しかったのか、ミンメイはおいらの袖を掴んだまま玄関に向かって走り出したよ。
部屋割を済ませると、さっそくミンメイを連れてお風呂に行ったよ。
この離宮の敷地は元々エチゴヤが経営する風呂屋が二件とカジノが建っていたんだ。
ヒーナルと結託して不正を働いていたエチゴヤをおいらが接収し、塩とパンの実の販売に事業を絞ったから。
不要となったこの敷地においらの離宮を建てることにしたの。
その際、風呂屋の浴室スペースがとても良い造りだったのでそのまま使うことにしたんだ。
敷地に風呂屋は二軒建っていたんでお風呂は二つ。
一方は野趣あふれる岩風呂で、もう一方はタロウがヒノキ風呂と呼んでいた木の浴槽だった。
当初は王族用と来客用にしようかと思ったんだけど、おいら、他の人が入っても気にしないので。
今回は取り合えず日替わりで男湯と女湯にすることにしたよ。
「このお風呂、広くて良いわね。
お湯も豊富で辺境の街の公衆浴場を思い出すわ。」
湯船に浸かったミンミン姉ちゃんがそんなことを呟いていた。
ここのお風呂は源泉かけ流しの温泉で、岩で造られた大きな浴槽も辺境の街にあった公衆浴場そっくりなんだ。
その慣れ親しんだ雰囲気もあって、お湯に浸かっているととても落ち着くの。
「ねえちゃとおふよ、うれしいな~。」
おいらに抱えられてお湯に浸かっているミンメイもご機嫌だったよ。
「でも、よろしいですか?
せっかくのお休みなのに魔物狩りなどに出掛けて。
一日では終わりませんから、数日森の中で過ごすことになりますよ。
このお風呂も入る機会が少なくなりますが。」
近衛騎士のタルト姉ちゃんが、おいらのことを気遣って尋ねてきたの。
「レクチェ姉ちゃんにも言ったじゃない。
元々、ローデンさんに挨拶しに行くつもりだったと。
そのついでだし、気にすることはないよ。」
おいらがそう返答すると。
「久しぶりの魔物の領域か。腕が鳴るぜ。
マロン陛下は話が分かる。
せっかくここまで来たんだ。
魔物狩り抜きだなんてがっかりだと思っていたぜ。
たっぷり酔牛を狩って、牛祭りに花を添えてやろうじゃないか。」
戦闘狂の気がある護衛騎士のジェレ姉ちゃんが、目を輝かせて嬉しそうにしてたよ。
確かに、あちこちでばら撒いていたら『積載庫』の中の牛肉も大分減って来たからね。
この機会に補充しておくのもいいかもね。
**********
お風呂から上がってリビングルームへ戻ると。
「マロン、明日は俺も魔物狩りに同行して良いか?
最近はトレント以外の魔物狩りをしてないからな。
感が鈍っているんじゃないかと心配なんだ。」
「おいらは別にかまわないけど…。
ミンミン姉ちゃん達を放って出掛けちゃって良いの?
せっかくのお休みなんだし、ここでのんびりしてた方が良いんじゃない?」
一緒に行きたいと言う父ちゃんに、おいらは家族サービスをした方が良いのではと伝えたの。
「大丈夫だって、ミンミン達の了承は得ているって。
ミンミン達は言ってくれたよ。
久し振りにマロンと一緒に狩りをして来れば良いって。」
どうやら、ミンミン姉ちゃん達はおいらが父ちゃんと一緒に過ごせるようにと気を遣ってくれたみたいだね。
父ちゃんはすっかり狩りについてくる気になっているんで、ここはミンミン姉ちゃん達の好意に甘えておくことにしたよ。
すると。
「まあ、いいんじゃない。
元々、私はミンミンやミンメイをローデンの所へ連れて行くつもりだったし。
ローデンも耳長族に会いたいと言ってたのよ。
タロウの所の娘達も連れて来たことだし、何曲か披露させるわ。」
いきなりミンミン姉ちゃんやミンメイを魔物の領域に連れて行くと言い出したアルト。
いや、アルトの『積載庫』の中に居れば安全だろうけど…。
気色悪いギーヴルに毒牙剥き出しで襲われたら、幼いミンメイにはトラウマになると思うよ。
「マロン陛下、お久しゅうございます。
今回はわたくしどもの領地にご視察でございますか?」
「うんにゃ、お休みだよ。
宰相ったら、おいらみたいな幼気な少女に一月以上も穴掘りをさせたんだ。
ムチャクチャ疲れが溜まったんで休みを分捕ってきたの。
せっかくレクチェ姉ちゃんの領地に離宮を造ったのに一度も来る機会が無かったからね。
温泉に浸かってのんびりしようと思って。」
マイナイ伯爵領へ着いたおいらは、最初に領主のレクチェ姉ちゃんの館を訪ねたの。
やっぱり、王族が何の断りも無く領内に滞在していたら、領主としてはいい気分じゃないだろうからね。
「まあ、お一人で貯水池を掘ったのですか? マロン陛下が?」
貯水池を自力で掘ったことを話したら、レクチェ姉ちゃんは目を丸くしてたよ。
「掘ると言っても、『妖精さんの不思議空間』に土砂を放り込むだけだから。
手間は大したこと無かったんだけどね。
やっぱり、薄暗い地下での長時間労働は幼児虐待だと思うんだ。」
「まあ、まあ、それは大変でしたね。
それじゃ、ごゆっくり体を休めていってくださいね。
丁度、明日から恒例の魔物狩りに出掛ける予定にしてまして。
マロン陛下の滞在中に『牛祭り』を開催できると思いますの。
よろしければ、お祭りを楽しんで行ってください。」
一筋の川を隔てて魔物の領域と接するマイナイ伯爵領では定期的に魔物狩りをする必要があるんだ。
それをサボると魔物が増え過ぎちゃって、餌不足とか、縄張り争いで魔物の領域から溢れる個体が出て来るから。
実際、前の領主が十年以上魔物狩りをサボったらスタンピードが起こるところだったし。
で、隣接する魔物の領域には牛型の魔物『酔牛』が沢山生息していて、このお肉が美味なんだ。
魔物狩りで手に入れた酔牛のお肉を、領主が領民に振る舞うのがこの街の伝統行事になっているの。
前領主が魔物狩りをサボっていたため、その伝統行事も十年程途絶えていたんだけど。
レクチェ姉ちゃんが領主を襲名してから『牛祭り』を再開したんだ。ちゃんと継続しているみたいだね。
「魔物狩りに行くんだ。
それなら、おいらも手伝うよ。」
「いえ、そんな畏れ多い。
マロン陛下は静養にいらしたのですから。
離宮でごゆっくりしてください。」
「元々、ローデンさんの所に挨拶に行くつもりだったし。
毎朝トレント狩りをしているから、サボると調子狂うんだよね。
まあ迷惑なら、無理について行くとは言わないけど。」
ローデンさんって言うのは、魔物の領域に森を構える妖精さん。
マイナイ伯爵が魔物狩りをする時に妖精の森で野営することを許可してくれているんだ。
前に行った時は、貴重な『グリーンシルク』の繭を沢山分けてくれたの。
おいらが手伝う気満々なので、レクチェ姉ちゃんは困った表情をしてたよ。
だから、おいら、無理強いはしないことにしたの。
女王のおいらが魔物狩りに同行して怪我でもしたら、レクチェ姉ちゃんに迷惑が掛かるだろうしね。
「いえ、迷惑だなんてとんでもない。
マロン陛下なら大歓迎です。
では、恐縮ですが明朝、この館にお越しいただけますか。」
でも、おいらの言い方がズルかったのか、レクチェ姉ちゃん、断り難くなったみたい。
慌てて魔物狩りに同行することを承諾してくれたんだ。
**********
レクチェ姉ちゃんの館を後にしてやって来たのはおいらの離宮。
「これがマロンちゃんの離宮なの?
王家の離宮の割にこじんまりとしているのね。」
離宮を前にそんな失礼なことを言うのはマリアさん。
例によって、アルトがおいらの護衛としてタロウを連れて来たんだけど。
タロウが行くならと、当然のような顔をしてついて来たの。
「こじんまりとした離宮で悪かったね。
これは王家の離宮じゃなくて、おいらの離宮だからね。
これでも十分過ぎるくらい贅沢だと思ってるんだよ。」
「どうゆうこと?
マロンちゃんの離宮なら、王家の離宮なんじゃないの?」
「これは、おいらがトレント狩りや魔物狩りで稼いだお金で建てたんだ。
オランが民の血税で贅沢をしたらダメだと注意してくれたから。
国費は銅貨一枚も使って無いの。
だから、王家じゃなくて、おいらの離宮。」
そもそも離宮って呼び名がおかしいんだ。どう見ても『宮殿』じゃなくて『館』だから。
「ゴメン、ゴメン。別に貶した訳じゃないのよ。
少し意外だったから、離宮と言う割には小さくて。
それにしても、これをマロンちゃん個人の稼ぎで建てたというのは凄いわ。
その歳でいったいどんだけ蓄財していたの。
民の血税を無駄遣いしちゃいけないと注意したオラン君も立派だわ。
マロンちゃん、良いお婿さんを貰ったわね。」
おいらの言葉を聞いて、マリアさんは感心してたよ。
離宮を前にマリアさんとそんな会話を交わしていると。
「ねえちゃ、ねえちゃ。 ここがねえちゃのおうちなの?
ひろいおふよがあるんでしょ。
みんめい、ねえちゃといっしょにはいるの。」
妹のミンメイがおいらの袖を引っ張って、待ち切れないって感じで尋ねてきたの。
今回は、父ちゃん一家も連れて来たんだ。ここの温泉がとても良かったから。
父ちゃんやミンミン姉ちゃんにものんびりしてもらおうかと思って。
「うん、そうだよ。ここが姉ちゃんの新しいおうちなんだ。
しばらくはここで過ごすから、お風呂も寝るのも一緒だよ。」
「わーい! ねえちゃといっしょだ~!
ねえちゃ、ねえちゃ、はやくいこ~!」
おいらの返答が嬉しかったのか、ミンメイはおいらの袖を掴んだまま玄関に向かって走り出したよ。
部屋割を済ませると、さっそくミンメイを連れてお風呂に行ったよ。
この離宮の敷地は元々エチゴヤが経営する風呂屋が二件とカジノが建っていたんだ。
ヒーナルと結託して不正を働いていたエチゴヤをおいらが接収し、塩とパンの実の販売に事業を絞ったから。
不要となったこの敷地においらの離宮を建てることにしたの。
その際、風呂屋の浴室スペースがとても良い造りだったのでそのまま使うことにしたんだ。
敷地に風呂屋は二軒建っていたんでお風呂は二つ。
一方は野趣あふれる岩風呂で、もう一方はタロウがヒノキ風呂と呼んでいた木の浴槽だった。
当初は王族用と来客用にしようかと思ったんだけど、おいら、他の人が入っても気にしないので。
今回は取り合えず日替わりで男湯と女湯にすることにしたよ。
「このお風呂、広くて良いわね。
お湯も豊富で辺境の街の公衆浴場を思い出すわ。」
湯船に浸かったミンミン姉ちゃんがそんなことを呟いていた。
ここのお風呂は源泉かけ流しの温泉で、岩で造られた大きな浴槽も辺境の街にあった公衆浴場そっくりなんだ。
その慣れ親しんだ雰囲気もあって、お湯に浸かっているととても落ち着くの。
「ねえちゃとおふよ、うれしいな~。」
おいらに抱えられてお湯に浸かっているミンメイもご機嫌だったよ。
「でも、よろしいですか?
せっかくのお休みなのに魔物狩りなどに出掛けて。
一日では終わりませんから、数日森の中で過ごすことになりますよ。
このお風呂も入る機会が少なくなりますが。」
近衛騎士のタルト姉ちゃんが、おいらのことを気遣って尋ねてきたの。
「レクチェ姉ちゃんにも言ったじゃない。
元々、ローデンさんに挨拶しに行くつもりだったと。
そのついでだし、気にすることはないよ。」
おいらがそう返答すると。
「久しぶりの魔物の領域か。腕が鳴るぜ。
マロン陛下は話が分かる。
せっかくここまで来たんだ。
魔物狩り抜きだなんてがっかりだと思っていたぜ。
たっぷり酔牛を狩って、牛祭りに花を添えてやろうじゃないか。」
戦闘狂の気がある護衛騎士のジェレ姉ちゃんが、目を輝かせて嬉しそうにしてたよ。
確かに、あちこちでばら撒いていたら『積載庫』の中の牛肉も大分減って来たからね。
この機会に補充しておくのもいいかもね。
**********
お風呂から上がってリビングルームへ戻ると。
「マロン、明日は俺も魔物狩りに同行して良いか?
最近はトレント以外の魔物狩りをしてないからな。
感が鈍っているんじゃないかと心配なんだ。」
「おいらは別にかまわないけど…。
ミンミン姉ちゃん達を放って出掛けちゃって良いの?
せっかくのお休みなんだし、ここでのんびりしてた方が良いんじゃない?」
一緒に行きたいと言う父ちゃんに、おいらは家族サービスをした方が良いのではと伝えたの。
「大丈夫だって、ミンミン達の了承は得ているって。
ミンミン達は言ってくれたよ。
久し振りにマロンと一緒に狩りをして来れば良いって。」
どうやら、ミンミン姉ちゃん達はおいらが父ちゃんと一緒に過ごせるようにと気を遣ってくれたみたいだね。
父ちゃんはすっかり狩りについてくる気になっているんで、ここはミンミン姉ちゃん達の好意に甘えておくことにしたよ。
すると。
「まあ、いいんじゃない。
元々、私はミンミンやミンメイをローデンの所へ連れて行くつもりだったし。
ローデンも耳長族に会いたいと言ってたのよ。
タロウの所の娘達も連れて来たことだし、何曲か披露させるわ。」
いきなりミンミン姉ちゃんやミンメイを魔物の領域に連れて行くと言い出したアルト。
いや、アルトの『積載庫』の中に居れば安全だろうけど…。
気色悪いギーヴルに毒牙剥き出しで襲われたら、幼いミンメイにはトラウマになると思うよ。
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