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第十九章 難儀な連中が現れたよ…
第653話 あれ、オタマジャクシは、カエルの子じゃないの?
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アカシアさんから異世界人が居ると聞いて、タロウに会いに来たと言うマリア(マロン)さん。
生物学的な興味で会いに来たらしいけど、タロウに一目惚れしてしまったらしい。
そのまま、六人目のお嫁さんとしてタロウの家に転がり込むことになったみたい。
「本妻のシフォンさんが心の広い人で良かったわ。
ダーリンをみんなで分かち合おうって考えだから。
来る者拒まずなんですもの。
寝室は毎晩賑やかで楽しいのよ。
長いこと生きて来たけど、こんな世界も在ったとはね。
目から鱗が落ちる感覚だったわ。」
マリアさんは言ってたよ。
普通、妻帯者の所に泥棒ネコが入り込んだ日には、下手したら血を見るって。
しかし、寝室が毎晩賑やかって…、それじゃ煩くて眠れないじゃない。
「それじゃ、マロンさんは暫くタロウの家に留まるつもりなの?」
アカシアさんの『積載庫』の中での冬眠はしばらく見送りなのかな。
「しばらくじゃないわよ。
ここでダーリンの赤ちゃんを産み育てるんだもの。
そして、最期はこの街で骨を埋めるの。
永い、永い、私の旅もここでお終いよ。」
タロウの腕に抱き付いたまま、そんな事を言ったマリアさん。
「えっ、テルル人の末裔を見守るんじゃないの?」
「もう十分でしょう。
人族の街がこんなに繁栄しているのだもの。
しっかりと大地に根を張っているし。
これ以上のお節介は過保護だわ。
もう私はお役御免よ。」
ここ数日、王都の様子を観察していたそうだけど。
街の人達が皆楽しそうにしていて、治安も良いようで安心したとマリアさんは言ってた。
夜の街なんか想像以上に賑わっていて、驚いたと言ってたよ。
深夜起きている人など誰も居ないと思って、『空飛ぶ車』に乗って来たそうだけど。
沢山の酔っ払いに目撃されるハメになって、正直焦ったって言ってたよ。
「じゃあ、もう、アカシアさんの森には帰らないんだ?」
「差し当って、一度帰らないといけないと思ってるの。
ダーリンから採取したサンプルを調べたいからね。
手持ちの顕微鏡と試薬で、ちょっとした検査をしたけど。
ここじゃ、細かい事までは調べられないから。
まあ、主成分がテルル人と同じタンパク質で…。
オタマジャクシの形状もテルル人と大差ないのは分かったわ。
それも、とっても元気に動き回っているし。
これで何で受精しずらいのかが、不思議なのよね。」
マリアさん、言ってたよ。
アルトは『魂のあり方』が違うと言ってるけど、抽象的で理解できないんだって。
何か、生殖細胞の組成に化学的な違いあるのか、受精を妨げる化学的な要因があるのか。
それを突き止めたいんだって。
分子レベルの検査が出来る機械は大掛かりで研究所に戻らないと出来ないそうだよ。
マリアさん、絶対にタロウの赤ちゃんが欲しいので、いったん森に戻って原因を究明して来るんだって。
ところで、オタマジャクシって…、いったい、タロウから採取したサンプルと何の関係があるの?
あれ、カエルの子供だよね。
**********
「そうそう、マロンちゃん。
さっきのアレ、メッだよ!
私のことを街の人々にバラしちゃって…。
私はこれから一般人としてひっそり生きていくんだから。
あれじゃ、悪目立ちしちゃうじゃない。」
この街に永住してのんびり余生を送るのだから、素性は知られたくなかったって。
「えっ、でも、マロンさんだって、ノリノリだったじゃない。
凄く楽しそうに空を飛んでたよ。」
おいら、即行でツッコミを入れたよ。
「ああ、あれね。
私もあのペテン師達に腹が立ったものだから。
懲らしめたくなっちゃって。
つい、自重するのを忘れちゃったわ。
この大陸に『宗教』なんてロクでもないものを持ち込むんだもの。」
「うん? テルルにもあんな連中が居たの?」
マリアさんがとても腹立たし気にしているものだから、つい尋ねちゃったよ。
「私が生まれた時には、いかがわしい宗教屋はいなかったわね。
みんな、核の炎で燃やされちゃったみたいよ。
まあ、『神』を騙って悪さばかりしてたみたいだし。
きっと、バチでもあたったんでしょう。」
マリアさんは『宗教』なんて何も信じてなかったけど、国には古い宗教があったそうだよ。
その宗教も、過去には他宗教と争いをしたり、異教徒を弾圧したりと大概だったらしいけど。
マリアさんが生まれた頃には、教会も寂れていて単なる祈りの場所になってたって。
そう言えば、見せてもらった映像の中で言ってたね。
マリアさんの国の一番偉い人、小惑星が衝突すると聞いた途端に職務放棄して教会に籠っちゃったとか。
「マロンちゃん、今回の処理はとても良かったわ。
『宗教』なんて迷信を、この大陸に蔓延らせたらダメよ。
テルルでは、歴史上何度も宗教の対立が戦争を引き起こしていたのだから。」
テルルでは、かなり昔から幾つも『宗教』があってそれぞれ奉ずる神が違ったそうなんだ。
大概の『宗教』は寛容と慈悲を謳うのだけど、何故か異教徒に対してはその寛容と慈悲の精神が発揮されないらしいよ。
信じる『神』が違うだけで、血塗れの闘争が繰り広げられていたんだって。
それどころか、同じ『神』を奉じるにもかかわらず、派閥が違うだけで三十年も争っていた『宗教』すらあるとか。
『汝の隣人を愛せよ』とか言ってる癖に、隣人が異教徒だと平気で迫害するとかあったらしいし。
「それは、『宗教』を禁止して取り締まれば良いの?」
「それはもっとダメよ。
そんな事をしたら、世の中が乱れるわ。」
いや、今言ったじゃない、『宗教』を蔓延らせたらダメって…。
「???」
「大前提として、人は何を信じるのも、何を話すのも自由よ。
思想、信条、言論、この三つを規制をしたら人々の不満が募るわ。
言いたいことを言って、信じたいモノを信じる。
これって、人間の自然な欲求なのですもの。
為政者がこれを禁止するなんて、とんでもないことよ。
『宗教』だって、個々人が信じているだけなら無害ですしね。」
「あっ、分った。
『神』をダシにして悪さをする連中を取り締まれば良いんだ。
今回の『教団』みたいに。」
「そう、その通り。
『教団』なんてものを作って、悪さをする事がいけないの。
だから、今回の対応は良かったわ。
『教団』そのものを禁止するのではなく。
連中がやりそうな悪事を前もって法で禁じたことね。
思想信条を禁じるのではなく、禁止行為を定めるの。」
『宗教』の悪いところは、自分達の教義を無理やり他者に押し付けることだとマリアさんは言うの。
それは、他者の『信仰しない自由』や『他の信仰をする自由』を侵すものだから。
だから、前もって『布教のルール』を定めておくことは大事だって。
その点、飲み屋の客引きみたいな勧誘や戸別訪問による勧誘、それに素性や目的を隠しての勧誘を禁止したのはグッドだって。
先祖の因縁なんて迷信で不安を煽って、物品を売りつけるなんて詐欺行為は問題外だと言ってたよ。
**********
「マロンちゃん、二つ大事なことを教えるから覚えておいて。
まず一つ、『宗教』と『信仰』は別物。
『宗教』はまやかしが多いけど、『信仰』は大切なものよ。」
「信仰は大切なものって?」
何か、マロンさんが難しいことを言い始めたよ。
「マロンちゃん、空に輝く『ソル』に感謝したこと無い?」
「勿論あるよ。
雨が続いて、洗濯物が乾かない時。
雨が止んでお陽様が出て来ると、思わず有り難うって言っちゃう。」
「そうでしょう。
惑星テルルはこの大陸ほど気候が穏やかじゃなかったわ。
それ故、古代テルルの民にとって『ソル』はとても大切なものだったの。
だって、ソルから降り注ぐ光は、春から秋にかけて自然の恵みをもたらし。
ソルが力を弱める冬には、凍てつく試練をもたらしたのだもの。
人々は、恵みと試練をもたらす『ソル』を敬い畏れ信仰の対象としたの。
『ソル』を信仰の対象とする地域は、テルルのほぼ全てに見られたらしいわ。」
『ソル』に対する信仰は、春分、夏至、春分、冬至に『ソル』を奉る風習としてテルルの各地に存在したらしいの。
そう言えば、この大陸でもその四つの日にはお祭りをしてるね。あれって、テルルから伝わっているんだ。
マリアさんの話では、『ソル』だけじゃなくて『ルナ』も信仰の対象となっていたらしいの。
二十八日周期で満ち欠けを繰り返す『ルナ』は、潮の満ち引きや生物の生理現象に影響を及ぼしているそうで。
古代テルルの人々も、科学的な知見は無かったものの、経験的にそれに気付いていたらしい。
他にも『水』や『森』、人々に恵みをもたらすものには『神』が宿るとして信仰の対象にしたんだって。
「そうか、自然の恵みに感謝する気持ちを忘れないため。
それに加えて、『ソル』や『ルナ』の運行に関する知識とか。
『水』や『森』からの恵みを損なわないための知識とか。
そんな生活に欠かせない知識を伝承する為に『信仰』の形を取ったんだね。
自然の恵みに感謝して、自然と上手く付き合っていくために。」
「そうなの、だから古代から伝わる『信仰』は大切なものなの。
古代の人々が実体験から学んだ『科学』なのですもの。
テルルではそれを蔑ろにして、いつの間にか自然は克服する対象となったわ。
そして、人類の安寧を脅かすくらいに自然を破壊してしまったの。
この大陸の人々にはテルルの轍を踏んで欲しくは無いのよ。」
テルルが滅んだ直接的な原因は小惑星の衝突、あるいはその前にあった大きな戦争だけど。
それ以前に、無秩序な開発と資源浪費によって、テルルはかなり危い状態になっていたらしいの。
自然に対する敬意と畏怖を忘れた結果、大きなしっぺ返しを食ったとマリアさんは呆れていたよ。
生物学的な興味で会いに来たらしいけど、タロウに一目惚れしてしまったらしい。
そのまま、六人目のお嫁さんとしてタロウの家に転がり込むことになったみたい。
「本妻のシフォンさんが心の広い人で良かったわ。
ダーリンをみんなで分かち合おうって考えだから。
来る者拒まずなんですもの。
寝室は毎晩賑やかで楽しいのよ。
長いこと生きて来たけど、こんな世界も在ったとはね。
目から鱗が落ちる感覚だったわ。」
マリアさんは言ってたよ。
普通、妻帯者の所に泥棒ネコが入り込んだ日には、下手したら血を見るって。
しかし、寝室が毎晩賑やかって…、それじゃ煩くて眠れないじゃない。
「それじゃ、マロンさんは暫くタロウの家に留まるつもりなの?」
アカシアさんの『積載庫』の中での冬眠はしばらく見送りなのかな。
「しばらくじゃないわよ。
ここでダーリンの赤ちゃんを産み育てるんだもの。
そして、最期はこの街で骨を埋めるの。
永い、永い、私の旅もここでお終いよ。」
タロウの腕に抱き付いたまま、そんな事を言ったマリアさん。
「えっ、テルル人の末裔を見守るんじゃないの?」
「もう十分でしょう。
人族の街がこんなに繁栄しているのだもの。
しっかりと大地に根を張っているし。
これ以上のお節介は過保護だわ。
もう私はお役御免よ。」
ここ数日、王都の様子を観察していたそうだけど。
街の人達が皆楽しそうにしていて、治安も良いようで安心したとマリアさんは言ってた。
夜の街なんか想像以上に賑わっていて、驚いたと言ってたよ。
深夜起きている人など誰も居ないと思って、『空飛ぶ車』に乗って来たそうだけど。
沢山の酔っ払いに目撃されるハメになって、正直焦ったって言ってたよ。
「じゃあ、もう、アカシアさんの森には帰らないんだ?」
「差し当って、一度帰らないといけないと思ってるの。
ダーリンから採取したサンプルを調べたいからね。
手持ちの顕微鏡と試薬で、ちょっとした検査をしたけど。
ここじゃ、細かい事までは調べられないから。
まあ、主成分がテルル人と同じタンパク質で…。
オタマジャクシの形状もテルル人と大差ないのは分かったわ。
それも、とっても元気に動き回っているし。
これで何で受精しずらいのかが、不思議なのよね。」
マリアさん、言ってたよ。
アルトは『魂のあり方』が違うと言ってるけど、抽象的で理解できないんだって。
何か、生殖細胞の組成に化学的な違いあるのか、受精を妨げる化学的な要因があるのか。
それを突き止めたいんだって。
分子レベルの検査が出来る機械は大掛かりで研究所に戻らないと出来ないそうだよ。
マリアさん、絶対にタロウの赤ちゃんが欲しいので、いったん森に戻って原因を究明して来るんだって。
ところで、オタマジャクシって…、いったい、タロウから採取したサンプルと何の関係があるの?
あれ、カエルの子供だよね。
**********
「そうそう、マロンちゃん。
さっきのアレ、メッだよ!
私のことを街の人々にバラしちゃって…。
私はこれから一般人としてひっそり生きていくんだから。
あれじゃ、悪目立ちしちゃうじゃない。」
この街に永住してのんびり余生を送るのだから、素性は知られたくなかったって。
「えっ、でも、マロンさんだって、ノリノリだったじゃない。
凄く楽しそうに空を飛んでたよ。」
おいら、即行でツッコミを入れたよ。
「ああ、あれね。
私もあのペテン師達に腹が立ったものだから。
懲らしめたくなっちゃって。
つい、自重するのを忘れちゃったわ。
この大陸に『宗教』なんてロクでもないものを持ち込むんだもの。」
「うん? テルルにもあんな連中が居たの?」
マリアさんがとても腹立たし気にしているものだから、つい尋ねちゃったよ。
「私が生まれた時には、いかがわしい宗教屋はいなかったわね。
みんな、核の炎で燃やされちゃったみたいよ。
まあ、『神』を騙って悪さばかりしてたみたいだし。
きっと、バチでもあたったんでしょう。」
マリアさんは『宗教』なんて何も信じてなかったけど、国には古い宗教があったそうだよ。
その宗教も、過去には他宗教と争いをしたり、異教徒を弾圧したりと大概だったらしいけど。
マリアさんが生まれた頃には、教会も寂れていて単なる祈りの場所になってたって。
そう言えば、見せてもらった映像の中で言ってたね。
マリアさんの国の一番偉い人、小惑星が衝突すると聞いた途端に職務放棄して教会に籠っちゃったとか。
「マロンちゃん、今回の処理はとても良かったわ。
『宗教』なんて迷信を、この大陸に蔓延らせたらダメよ。
テルルでは、歴史上何度も宗教の対立が戦争を引き起こしていたのだから。」
テルルでは、かなり昔から幾つも『宗教』があってそれぞれ奉ずる神が違ったそうなんだ。
大概の『宗教』は寛容と慈悲を謳うのだけど、何故か異教徒に対してはその寛容と慈悲の精神が発揮されないらしいよ。
信じる『神』が違うだけで、血塗れの闘争が繰り広げられていたんだって。
それどころか、同じ『神』を奉じるにもかかわらず、派閥が違うだけで三十年も争っていた『宗教』すらあるとか。
『汝の隣人を愛せよ』とか言ってる癖に、隣人が異教徒だと平気で迫害するとかあったらしいし。
「それは、『宗教』を禁止して取り締まれば良いの?」
「それはもっとダメよ。
そんな事をしたら、世の中が乱れるわ。」
いや、今言ったじゃない、『宗教』を蔓延らせたらダメって…。
「???」
「大前提として、人は何を信じるのも、何を話すのも自由よ。
思想、信条、言論、この三つを規制をしたら人々の不満が募るわ。
言いたいことを言って、信じたいモノを信じる。
これって、人間の自然な欲求なのですもの。
為政者がこれを禁止するなんて、とんでもないことよ。
『宗教』だって、個々人が信じているだけなら無害ですしね。」
「あっ、分った。
『神』をダシにして悪さをする連中を取り締まれば良いんだ。
今回の『教団』みたいに。」
「そう、その通り。
『教団』なんてものを作って、悪さをする事がいけないの。
だから、今回の対応は良かったわ。
『教団』そのものを禁止するのではなく。
連中がやりそうな悪事を前もって法で禁じたことね。
思想信条を禁じるのではなく、禁止行為を定めるの。」
『宗教』の悪いところは、自分達の教義を無理やり他者に押し付けることだとマリアさんは言うの。
それは、他者の『信仰しない自由』や『他の信仰をする自由』を侵すものだから。
だから、前もって『布教のルール』を定めておくことは大事だって。
その点、飲み屋の客引きみたいな勧誘や戸別訪問による勧誘、それに素性や目的を隠しての勧誘を禁止したのはグッドだって。
先祖の因縁なんて迷信で不安を煽って、物品を売りつけるなんて詐欺行為は問題外だと言ってたよ。
**********
「マロンちゃん、二つ大事なことを教えるから覚えておいて。
まず一つ、『宗教』と『信仰』は別物。
『宗教』はまやかしが多いけど、『信仰』は大切なものよ。」
「信仰は大切なものって?」
何か、マロンさんが難しいことを言い始めたよ。
「マロンちゃん、空に輝く『ソル』に感謝したこと無い?」
「勿論あるよ。
雨が続いて、洗濯物が乾かない時。
雨が止んでお陽様が出て来ると、思わず有り難うって言っちゃう。」
「そうでしょう。
惑星テルルはこの大陸ほど気候が穏やかじゃなかったわ。
それ故、古代テルルの民にとって『ソル』はとても大切なものだったの。
だって、ソルから降り注ぐ光は、春から秋にかけて自然の恵みをもたらし。
ソルが力を弱める冬には、凍てつく試練をもたらしたのだもの。
人々は、恵みと試練をもたらす『ソル』を敬い畏れ信仰の対象としたの。
『ソル』を信仰の対象とする地域は、テルルのほぼ全てに見られたらしいわ。」
『ソル』に対する信仰は、春分、夏至、春分、冬至に『ソル』を奉る風習としてテルルの各地に存在したらしいの。
そう言えば、この大陸でもその四つの日にはお祭りをしてるね。あれって、テルルから伝わっているんだ。
マリアさんの話では、『ソル』だけじゃなくて『ルナ』も信仰の対象となっていたらしいの。
二十八日周期で満ち欠けを繰り返す『ルナ』は、潮の満ち引きや生物の生理現象に影響を及ぼしているそうで。
古代テルルの人々も、科学的な知見は無かったものの、経験的にそれに気付いていたらしい。
他にも『水』や『森』、人々に恵みをもたらすものには『神』が宿るとして信仰の対象にしたんだって。
「そうか、自然の恵みに感謝する気持ちを忘れないため。
それに加えて、『ソル』や『ルナ』の運行に関する知識とか。
『水』や『森』からの恵みを損なわないための知識とか。
そんな生活に欠かせない知識を伝承する為に『信仰』の形を取ったんだね。
自然の恵みに感謝して、自然と上手く付き合っていくために。」
「そうなの、だから古代から伝わる『信仰』は大切なものなの。
古代の人々が実体験から学んだ『科学』なのですもの。
テルルではそれを蔑ろにして、いつの間にか自然は克服する対象となったわ。
そして、人類の安寧を脅かすくらいに自然を破壊してしまったの。
この大陸の人々にはテルルの轍を踏んで欲しくは無いのよ。」
テルルが滅んだ直接的な原因は小惑星の衝突、あるいはその前にあった大きな戦争だけど。
それ以前に、無秩序な開発と資源浪費によって、テルルはかなり危い状態になっていたらしいの。
自然に対する敬意と畏怖を忘れた結果、大きなしっぺ返しを食ったとマリアさんは呆れていたよ。
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