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第十七章 所変わればと言うみたいだけど・・・
第530話 王子さまも、数が多いと大変なんだね…
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ヌル王国からやって来たジャスミン姉ちゃん。
占領地支配の駒として、制圧した国の王家に嫁がせるために連れて来られたらしい。
支配下に置いた国の次代の王を産むため、そして工作メイド隊なる物騒なお姉さん達を送り込む口実として。
「しかし、何番目の兄かは知りませんが、ウーロン王子は愚かですね。
サニアール国を支配下に置き、この大陸に橋頭堡を築いたところで満足しておけば良いのに。
欲をかくから、身を滅ぼすことになってしまって。
ホント、困ったちゃんですね。」
頬に手を当てておっとりと話すジャスミン姉ちゃんの姿は、全然困っているようには見えないよ。
ジャスミン姉ちゃんから聞いた話によると。
ヌル国王は性急にこの大陸を支配下に収めるつもりは無かったそうなの。
現ヌル国王は、海賊気質の武闘派だけど猪武者では無いそうで。
侵攻する場合は事前に良く下調べをしてから行動に移すのが常なんだって。
この大陸とオードゥラ大陸の間には『霧の海』と呼ばれる難所もあり。
海の怖ろしさを良く知ってる王は慎重な姿勢を見せていたらしいんだ。
先ずは商人に情報を集めさせて、旨味が有りそうなら支配下に置こうと考えていらしい。
ところが、そのウーロンなる王子が国王に申し出たらしい。
オードゥラ大陸の国を支配下に置き、トレントの木炭をあるだけ搾り取れば良いと。
そして、自分がオードゥラ大陸遠征の赴くと。
「王様って、オードゥラ大陸進出に慎重な姿勢を見せていたんじゃないの?
やっぱり、海賊の血が騒いだのかな?」
「違うのよマロンちゃん。
ヌル王国は王子が沢山いるからね、とってっもサバイバル競争が激しいのよ。
王子たちは功績を上げて、少しでも王の歓心を買おうとしてるの。
王はそんな兄弟間の競争心を上手く利用していてね。
少しでも利のある計画ならば、立案した王子に機会を与えているの。」
ヌル王国には王子様も沢山いるんだって。
ジャスミン姉ちゃんには、正確な人数も把握できないくらい。
数多いる王子の中で別格が二人いて、共に国王の正妃が儲けた王子らしい。
長男は既に王太子になっており、次男はその補佐役として側についているらしい。
次男の方は、王太子に不測の事態が生じた時のスペアだって。
そして、それ以外の王子様は十把一絡に扱われていて、とても待遇が悪いらしい。
最低限の衣食住が保証されるだけで、慎ましい生活をしているそうだよ。
部屋だって、王の愛妾として母親が王宮に与えられた部屋に居候している状態らしく。
その他大勢の王子は、肩身の狭い思いをしているみたい。
そもそも、正妃の子二人以外は、父親である国王と顔を合わすことさえ無いとか。
ジャスミン姉ちゃんの言では、多分王は王子の名前すら覚えていないだろうって。
ただ、その他大勢の王子が、捨扶持を与えられて飼い殺しにされているだけかと言えば…。
必ずしも、そうではないみたい。
何らかの功績を上げ存在感を示せば、それなりの立場が与えられるんだって。
王太子の補佐として宮廷での役職を貰えるとか、属国に総督として派遣されるとか。
何よりも、王宮の中に自分の部屋が与えられ、やっと王族らしい暮らしができるそうだよ。
そんな訳で、王子さま達はその他大勢から抜け出そうと必死に足搔いているみたい。
結果、熾烈なサバイバル競争が繰り広げられているらしいよ。
**********
「私もウーロンと言う兄とは初対面でしたが…。
とても、自己顕示欲が強い人物のように見えたわ。
俺が、俺がと、自分の意見を押し通すタイプで
自分の思い通りに行かないと直ぐにカリカリして…。
一緒に居て楽しい殿方ではございませんね。
私としては、何処か遠くで幸せになって頂きたいですわ。」
今回の船団の総指揮官について、そんな感想をもらしたジャスミン姉ちゃん。
ジャスミン姉ちゃんの話から、脳筋タイプのガタイの良いニイチャンを思い浮かべたけど。
そうではないく、見た目はおいらの想像と正反対みたい。
青白い顔をした痩せ型のニイチャンで、陰湿な雰囲気を漂わせているみたい。
そんなウーロン王子も、のし上がってやろう考えている王子の一人らしく。
この大陸のこと知り、チャンスだと考えたみたい。
一応、ウーロン王子なりに色々と嗅ぎ回ったらしく。
この大陸には鉄砲や大砲が無いことを知り、与し易いと考えたみたい。
それで、自分が遠征すると志願したらしいの。
王様、この大陸の戦力より、間にある『霧の海』のことを危惧して慎重な姿勢を取っていたのだけど。
侵攻したいとの申しを受けて、試しにやらせてみようと思ったらしい。
チャンスを与えると共に、ウーロン王子の資質を見定めるために。
追加の情報の一つでも手に入れば御の字くらいで送り出したのではないか。
ジャスミン姉ちゃんはそんな事を言ってた。
「ウーロンは一応、調べることは調べているのよ。
私がここに居るのも、ウーロンが船乗りから情報を掴んだからですもの。
サニアール国に歳の釣り合う王子が居るって。
それと、もう一つ有益な情報を掴んでいたわ。
『霧の海』って、王が懸念するほどの難所ではないと。
実際、一隻の船も損なうことなくサニアール国に着いたの。
確かに霧は出ていたけど、航路を見失うほどでもなかったですし。」
「ちょっと、待って。
『霧の海』が大したことなかったですって?
あれだけの船団が一隻も損なうことなく、通過できた?」
ジャスミン姉ちゃんの話を聞き、何か気になったのか、アルトが割って入ったの。
「はい、私は船旅、初めてなので心細かったですが…。
船乗り達は、慌てることなく冷静に船を操ってましたよ。」
「変ね…、ホント、あの娘、何してるのかしら…。」
アルトはジャスミン姉ちゃんの返事を聞くと、そんな呟きを漏らして心配そうな顔をしてたよ。
「アルト、何か、気掛かりなことがあるの?」
「ああ、気にしないで良いわ。
マロンが心配するほどの事じゃないから。
それより、何故、あなたがここに居るの?
サニアール国の王子に嫁がせるつもりで連れて来られたのでしょう。
花婿候補の王子二人は殺害しちゃったみたいだし。」
アルトはおいらの問い掛けに答えようとはせず、話題の転換を図ったよ。
これ以上は聞くなと言わんばかりに。
「それは、サニアール国の王宮を制圧した後に事情が変わったから?
彼の国では、トレントの苗木はおろか、トレントの木炭も満足に手に入らないことが。
ウーロンの手の者による調査で判明したものですから。
そして、入手可能な国がウエニアール国だと知ったウーロンは。
私の嫁ぎ先をウエニアール国に変更したのです。」
『事情が変わったから?』って何で、疑問形?
ジャスミン姉ちゃんは、事前に相談されていないの?
「はっ? この国、王族はおいら一人だよ。
ジャスミン姉ちゃんのお婿さんになるような人は居ないよ。」
「そうですよね、ウーロンっておバカですよね。
功を焦るあまり、情報収集を疎かにしちゃって。
オードゥラ大陸では、女性に王位継承権のある国は存在しませんから。
女王がいるなんて端から想定してなかったみたいですね。」
当初のウーロンの目論見では、苗木も木炭もサニアール国で入手できると考えていたみたい。
でも、王宮で聞き取り調査をした結果はウーロンを失望させたらしい。
サニアール国ではトレントの木炭は少量しか生産してないし、苗木に至っては誰も存在を知らなかったから。
この結果、ウーロンの頭の中でサニアール国の位置づけが大幅に低下したらしい。
重要物資の調達先から、単なる航海の補給地点に。
サニアール国に、わざわざ王女を嫁がせてヌル王国の王家に取り込むほどの価値は無く。
傀儡の王を立てて総督に服従させておけば良いと、ウーロンは思ったらしいよ。
父王好みの若い王女が二人も居たことも、ウーロンの気が変わった一因じゃないかって。
そして良く調べもせず、ウーロンは決断したらしい。
より戦略的に重要なウエニアール国を制圧し、ジャスミン姉ちゃんを嫁がせようと。
**********
「本当に浅はかですよね。
サニアール国では、目的の物資が手に入らないとの情報だって価値がありますし。
『霧の海』がさほどの難所では無くなっていたことなどは結構重要な情報ですよ。
しかも、この大陸へ進出する橋頭堡としてサニアール国を支配下に置いたのです。
私でしたら、そこで満足していったん帰国しますのに。
功を焦って、情報収集も不十分で計画外の侵攻など企てるから…。」
そんなセリフと共にため息を吐いたジャスミン姉ちゃん。
でも他国を侵略する駒にならずに済んで、自分的には良かったなんて言ってたよ。
ジャスミン姉ちゃん、弱い国を蹂躙して財貨を奪い取るヌル王国のやり方が気に食わないらしい。
国を乗っ取るために嫁がされるなんて、気乗りしなかったって。
「それじゃ、サニアール国にはどのくらいの戦力を残して来たか分かるかな?」
おいらは、やっと、当初尋ねたかった質問をすることが出来たよ。
「ウーロンはサニアール国にさほどの重きを置いて無いので。
王都を制圧するための最低限の戦力しか残してませんよ。
王都の沖合大砲の射程内に船を二隻停泊させ、何時でも砲撃出来る態勢を整えています。
砲手と乗組員併せて五十人ほどでしょうか。
それと王宮制圧部隊として、総督の指揮下に五十人を王宮に駐在させています。
ですが、一番厄介なのは…。
幼王のお世話の名目で側に置いた工作メイド十五人ですね。
幼王を直接人質に取っているようなものですし、何と言っても暗殺のプロですからね。」
工作メイド隊、そんなに沢山連れて来たんだ…。
「こら、貴様、何で、そんなことをペラペラと!
貴様の行い、国に帰ったら王に告発してやる。
厳罰を覚悟するんだな!」
ジャスミン姉ちゃんの証言に噓偽りはないようだね。
工作メイドの一人が烈火のごとく怒っているもの。
でも、このお姉ちゃん達、国に返してもらえると思っているのかな。
占領地支配の駒として、制圧した国の王家に嫁がせるために連れて来られたらしい。
支配下に置いた国の次代の王を産むため、そして工作メイド隊なる物騒なお姉さん達を送り込む口実として。
「しかし、何番目の兄かは知りませんが、ウーロン王子は愚かですね。
サニアール国を支配下に置き、この大陸に橋頭堡を築いたところで満足しておけば良いのに。
欲をかくから、身を滅ぼすことになってしまって。
ホント、困ったちゃんですね。」
頬に手を当てておっとりと話すジャスミン姉ちゃんの姿は、全然困っているようには見えないよ。
ジャスミン姉ちゃんから聞いた話によると。
ヌル国王は性急にこの大陸を支配下に収めるつもりは無かったそうなの。
現ヌル国王は、海賊気質の武闘派だけど猪武者では無いそうで。
侵攻する場合は事前に良く下調べをしてから行動に移すのが常なんだって。
この大陸とオードゥラ大陸の間には『霧の海』と呼ばれる難所もあり。
海の怖ろしさを良く知ってる王は慎重な姿勢を見せていたらしいんだ。
先ずは商人に情報を集めさせて、旨味が有りそうなら支配下に置こうと考えていらしい。
ところが、そのウーロンなる王子が国王に申し出たらしい。
オードゥラ大陸の国を支配下に置き、トレントの木炭をあるだけ搾り取れば良いと。
そして、自分がオードゥラ大陸遠征の赴くと。
「王様って、オードゥラ大陸進出に慎重な姿勢を見せていたんじゃないの?
やっぱり、海賊の血が騒いだのかな?」
「違うのよマロンちゃん。
ヌル王国は王子が沢山いるからね、とってっもサバイバル競争が激しいのよ。
王子たちは功績を上げて、少しでも王の歓心を買おうとしてるの。
王はそんな兄弟間の競争心を上手く利用していてね。
少しでも利のある計画ならば、立案した王子に機会を与えているの。」
ヌル王国には王子様も沢山いるんだって。
ジャスミン姉ちゃんには、正確な人数も把握できないくらい。
数多いる王子の中で別格が二人いて、共に国王の正妃が儲けた王子らしい。
長男は既に王太子になっており、次男はその補佐役として側についているらしい。
次男の方は、王太子に不測の事態が生じた時のスペアだって。
そして、それ以外の王子様は十把一絡に扱われていて、とても待遇が悪いらしい。
最低限の衣食住が保証されるだけで、慎ましい生活をしているそうだよ。
部屋だって、王の愛妾として母親が王宮に与えられた部屋に居候している状態らしく。
その他大勢の王子は、肩身の狭い思いをしているみたい。
そもそも、正妃の子二人以外は、父親である国王と顔を合わすことさえ無いとか。
ジャスミン姉ちゃんの言では、多分王は王子の名前すら覚えていないだろうって。
ただ、その他大勢の王子が、捨扶持を与えられて飼い殺しにされているだけかと言えば…。
必ずしも、そうではないみたい。
何らかの功績を上げ存在感を示せば、それなりの立場が与えられるんだって。
王太子の補佐として宮廷での役職を貰えるとか、属国に総督として派遣されるとか。
何よりも、王宮の中に自分の部屋が与えられ、やっと王族らしい暮らしができるそうだよ。
そんな訳で、王子さま達はその他大勢から抜け出そうと必死に足搔いているみたい。
結果、熾烈なサバイバル競争が繰り広げられているらしいよ。
**********
「私もウーロンと言う兄とは初対面でしたが…。
とても、自己顕示欲が強い人物のように見えたわ。
俺が、俺がと、自分の意見を押し通すタイプで
自分の思い通りに行かないと直ぐにカリカリして…。
一緒に居て楽しい殿方ではございませんね。
私としては、何処か遠くで幸せになって頂きたいですわ。」
今回の船団の総指揮官について、そんな感想をもらしたジャスミン姉ちゃん。
ジャスミン姉ちゃんの話から、脳筋タイプのガタイの良いニイチャンを思い浮かべたけど。
そうではないく、見た目はおいらの想像と正反対みたい。
青白い顔をした痩せ型のニイチャンで、陰湿な雰囲気を漂わせているみたい。
そんなウーロン王子も、のし上がってやろう考えている王子の一人らしく。
この大陸のこと知り、チャンスだと考えたみたい。
一応、ウーロン王子なりに色々と嗅ぎ回ったらしく。
この大陸には鉄砲や大砲が無いことを知り、与し易いと考えたみたい。
それで、自分が遠征すると志願したらしいの。
王様、この大陸の戦力より、間にある『霧の海』のことを危惧して慎重な姿勢を取っていたのだけど。
侵攻したいとの申しを受けて、試しにやらせてみようと思ったらしい。
チャンスを与えると共に、ウーロン王子の資質を見定めるために。
追加の情報の一つでも手に入れば御の字くらいで送り出したのではないか。
ジャスミン姉ちゃんはそんな事を言ってた。
「ウーロンは一応、調べることは調べているのよ。
私がここに居るのも、ウーロンが船乗りから情報を掴んだからですもの。
サニアール国に歳の釣り合う王子が居るって。
それと、もう一つ有益な情報を掴んでいたわ。
『霧の海』って、王が懸念するほどの難所ではないと。
実際、一隻の船も損なうことなくサニアール国に着いたの。
確かに霧は出ていたけど、航路を見失うほどでもなかったですし。」
「ちょっと、待って。
『霧の海』が大したことなかったですって?
あれだけの船団が一隻も損なうことなく、通過できた?」
ジャスミン姉ちゃんの話を聞き、何か気になったのか、アルトが割って入ったの。
「はい、私は船旅、初めてなので心細かったですが…。
船乗り達は、慌てることなく冷静に船を操ってましたよ。」
「変ね…、ホント、あの娘、何してるのかしら…。」
アルトはジャスミン姉ちゃんの返事を聞くと、そんな呟きを漏らして心配そうな顔をしてたよ。
「アルト、何か、気掛かりなことがあるの?」
「ああ、気にしないで良いわ。
マロンが心配するほどの事じゃないから。
それより、何故、あなたがここに居るの?
サニアール国の王子に嫁がせるつもりで連れて来られたのでしょう。
花婿候補の王子二人は殺害しちゃったみたいだし。」
アルトはおいらの問い掛けに答えようとはせず、話題の転換を図ったよ。
これ以上は聞くなと言わんばかりに。
「それは、サニアール国の王宮を制圧した後に事情が変わったから?
彼の国では、トレントの苗木はおろか、トレントの木炭も満足に手に入らないことが。
ウーロンの手の者による調査で判明したものですから。
そして、入手可能な国がウエニアール国だと知ったウーロンは。
私の嫁ぎ先をウエニアール国に変更したのです。」
『事情が変わったから?』って何で、疑問形?
ジャスミン姉ちゃんは、事前に相談されていないの?
「はっ? この国、王族はおいら一人だよ。
ジャスミン姉ちゃんのお婿さんになるような人は居ないよ。」
「そうですよね、ウーロンっておバカですよね。
功を焦るあまり、情報収集を疎かにしちゃって。
オードゥラ大陸では、女性に王位継承権のある国は存在しませんから。
女王がいるなんて端から想定してなかったみたいですね。」
当初のウーロンの目論見では、苗木も木炭もサニアール国で入手できると考えていたみたい。
でも、王宮で聞き取り調査をした結果はウーロンを失望させたらしい。
サニアール国ではトレントの木炭は少量しか生産してないし、苗木に至っては誰も存在を知らなかったから。
この結果、ウーロンの頭の中でサニアール国の位置づけが大幅に低下したらしい。
重要物資の調達先から、単なる航海の補給地点に。
サニアール国に、わざわざ王女を嫁がせてヌル王国の王家に取り込むほどの価値は無く。
傀儡の王を立てて総督に服従させておけば良いと、ウーロンは思ったらしいよ。
父王好みの若い王女が二人も居たことも、ウーロンの気が変わった一因じゃないかって。
そして良く調べもせず、ウーロンは決断したらしい。
より戦略的に重要なウエニアール国を制圧し、ジャスミン姉ちゃんを嫁がせようと。
**********
「本当に浅はかですよね。
サニアール国では、目的の物資が手に入らないとの情報だって価値がありますし。
『霧の海』がさほどの難所では無くなっていたことなどは結構重要な情報ですよ。
しかも、この大陸へ進出する橋頭堡としてサニアール国を支配下に置いたのです。
私でしたら、そこで満足していったん帰国しますのに。
功を焦って、情報収集も不十分で計画外の侵攻など企てるから…。」
そんなセリフと共にため息を吐いたジャスミン姉ちゃん。
でも他国を侵略する駒にならずに済んで、自分的には良かったなんて言ってたよ。
ジャスミン姉ちゃん、弱い国を蹂躙して財貨を奪い取るヌル王国のやり方が気に食わないらしい。
国を乗っ取るために嫁がされるなんて、気乗りしなかったって。
「それじゃ、サニアール国にはどのくらいの戦力を残して来たか分かるかな?」
おいらは、やっと、当初尋ねたかった質問をすることが出来たよ。
「ウーロンはサニアール国にさほどの重きを置いて無いので。
王都を制圧するための最低限の戦力しか残してませんよ。
王都の沖合大砲の射程内に船を二隻停泊させ、何時でも砲撃出来る態勢を整えています。
砲手と乗組員併せて五十人ほどでしょうか。
それと王宮制圧部隊として、総督の指揮下に五十人を王宮に駐在させています。
ですが、一番厄介なのは…。
幼王のお世話の名目で側に置いた工作メイド十五人ですね。
幼王を直接人質に取っているようなものですし、何と言っても暗殺のプロですからね。」
工作メイド隊、そんなに沢山連れて来たんだ…。
「こら、貴様、何で、そんなことをペラペラと!
貴様の行い、国に帰ったら王に告発してやる。
厳罰を覚悟するんだな!」
ジャスミン姉ちゃんの証言に噓偽りはないようだね。
工作メイドの一人が烈火のごとく怒っているもの。
でも、このお姉ちゃん達、国に返してもらえると思っているのかな。
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