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第十六章 里帰り、あの人達は…
第493話 良くもまあ、こんな悪事を思い付くものだね…
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エロスキー子爵を捕らえて階段を降りて行くと。
外壁をぶち抜いてすっかり風通しの良くなったパーティーホールでは、騎士のみんなが待っていたよ。
既に捕物は終えて、部屋の中にいた男共は全員縄を打たれて床に転がされていたよ。
もちろん、全員丸裸で…。
一方で、捕えられていた娘さん達は、全員保護されて部屋の隅に集まってた。
全部で三十人ほど、みんな、スフレ姉ちゃんくらいの若い娘さんだったよ。
シフォン姉ちゃん達が手際よく動いてくれたみたいで、キレイな布で体を拭かれて服を羽織っていた。
ただ、娘さん達は皆、生気の無い顔で虚ろな目をしていたんだ。
男共から救い出されたのに喜んでいる様子が無かったの。
「あっ、マロンちゃん、アルト様、お疲れさまです。
マロンちゃん、あの『水』を持ってるわよね。
この娘達に分けてもらえないかな。
みんな、ヤバい薬を盛られて、トリップしてるみたいなの。」
シフォン姉ちゃんは『妖精の泉』の水が欲しいと訴えたの。
やっぱり、娘さん達が前後不覚になってるのはアブナイ葉っぱが原因みたいだね。
おいらが、カップに入れて泉の水を差し出すと、シフォン姉ちゃんは一番近くにいた娘さんに与えていたよ。
すると、…。
「助けてください。
良い仕事を紹介すると言われて、この屋敷に連れて来られたのです。
この部屋に入って、煙を吸ったら意識が朦朧としてきちゃって…。
気が付くと、男達に寄って集って服を剥ぎ取られて…。
それから、…うわあーん!」
意識を取り戻した娘さんは、シフォン姉ちゃんに助けを求めて事情を話し始めたんだけど。
途中で気持ちが昂って、号泣し始めちゃったんだ。
「泣きたくなるのも分かるわ、可哀想に。
仕事を求めて王都に出て来た早々、こんな男共の毒牙にかかるなんて。
この若さだから、きっと初めてだっただろうに。」
シフォン姉ちゃんはそんなことを呟きながら、泣きじゃくる娘さんの背中を優しく撫でてたよ。
それから、みんなで、捕らわれていた娘さんに泉の水を飲ませたの。
「あら、不幸中の幸いと言って良いのかしら…。
全員、泉の水で戻ってこれたのね。
この子達、ずっと薬漬けになっていた訳じゃ無さそうね。」
正気に戻った娘さん達を見てアルトが変な感心の仕方をしてたよ。
「どういう事?」
「『泉の水』で治せるのは、酩酊状態だけなの。
『ラリッパ草』は常習者になると、脳が壊れちゃうのよ。
そうなるともうお手上げ、『泉の水』でも治せないわ。」
泉の水を使っても、欠損してしまった四肢を元に戻すことは出来ないのだけど。
それと同じで、完全に壊れちゃった脳を治すことは出来ないみたい。
そのことから、アルトは言ったんだ。
ここに居る娘さんは、みんな、薬を使われて間もないはずだと。
うん? じゃあ、今まで拉致された娘さんは何処にいるんだろう?
**********
娘さん達が全員正気を取り戻すと、次は愚か者達だね。
縄を打って転がした男の数は二十名ほど、みんな、丸裸で身分が分かるようなものは身に着けていないよ。
見たところ、四十歳過ぎのおっさんが大部分で、その中に二十代のニイチャンが何人か混じってるけど。
どうやら、さっきの伯爵同様、親子でパーティーに参加してたみたい。
ただ、捕まえた男達もパニックを起こす程度に意識はあったものの。
しこたまアブナイ葉っぱの煙を吸っていたようで、殆どの者が酩酊状態だったよ。
「アルト、こいつ等にも水を与える?
この状態じゃ、尋問も出来ないよね。」
「バカね、こいつ等、このまま昼行灯の前に突き出してやるわ。
ご禁制の薬を使ってた動かぬ証拠じゃない。
『積載庫』の中で時間を止めて、酩酊状態のままにしとくわ。
第一、こいつ等、貴族は何をしても良いって思ってる連中だから。
酩酊状態から正気に戻った途端に騒ぎ出すわよ。
そしたら、煩いだけじゃない。」
アルトはそう言うと、さっさと『積載庫』の中に放り込んじゃったよ。
アルトの持つレベル三『積載庫』は、こういう時に便利だよね。
積載庫内の時間の流れを幾らでも操れるから。
そして、建物の外では…。
「団長、館から逃亡を図ろうとした者、我々の職務を妨害しようとした者を捕らえました。」
近衛騎士の面々もきちんと仕事をしてくれたようで、数十人の男達が捕縛されていたよ。
その半数ぐらいがこの屋敷の用心棒みたいで、武装していたの。
どうやら、パーティーホールの男達を奪還しようと試みて、近衛騎士達と戦闘になったみたい。
近衛騎士と戦った連中はボロボロになっていたよ。
「良し、みんな、ご苦労だった。
では、全員でこの建物の中を隈なく捜索するのだ。
証拠品となりそうなものは、全て押収するぞ。」
モカさんの指示に従って、近衛騎士達は一斉に建物の中に走り込んで行ったよ。
モカさんが信頼する騎士を選りすぐっただけあってキビキビと動いてた。
残されたモカさんとおいら達はと言うと。
「さて、それじゃ、私達は『畑』を押さえるとしましょうか。」
アルトの言葉に従って向かったのは屋敷の裏庭、そこはというと…。
「これは全て、ご禁制の葉っぱですか?
まさか、王都の目と鼻の先で…、こんな大規模に…。」
アルトが打ち上げた光の玉に照らされた裏庭は、広大な薬草畑になっていたんだ。
薬草畑は、高い塀で囲まれた敷地いっぱいに広がっていたよ。
「あれまー、何だべな、あんの光は?」
そんな声が聞こえた方向に目を凝らすと。
敷地の隅っこにみすぼらしい小屋が幾つも建っていて、そこからみすぼらしい姿の老人が姿を見せたの。
老人は光に照らされたおいら達に気付いて近付いて来たんだ。
そして、尋ねてきたの。
「あんのう、あんたら、何方さんかね?
ここ、子爵様の別邸で、無断で入ったら拙いんだべ。」
「私達は、ご禁制の薬草が栽培されていると知り摘発にやって来た騎士団の者ですが。
あなたは?」
モカさんの返答を聞いた老人は安堵の表情を浮かべ。
「あんれまー、騎士様だべか。
よお来てくださった、私達を助けておくんなされ。」
それから聞かされた話では。
老人は高利貸から借りた借金が返済できず、この畑で奴隷働きをさせられているらしいの。
もちろん、アブナイ葉っぱの栽培作業だよ。
もう、二十年もパンの実と水だけの食生活をしているらしいよ。
毎日朝から晩まで休みなしに働かされて、食事も満足に与えられないんだって。
パンの実は外壁に沿って植えられたパンの木から勝手に採って食べて、水は井戸から自分で汲んで飲むらしいの。
パンの実は毎日たくさん実を付けるので、飢える事だけは無いらしいよ。
ここには、そんな人が数十人奴隷同然に使われているそうなんだ。
中でも、おぞましいのが…。
「なんだって!
拉致した娘の中で見目の良くない娘は、ここで奴隷の繁殖用に使っているって。」
余りのことに、モカさんが思わず声を荒げたよ。
どういう事かと言うと。
エロスキー子爵の手下がどうやって娘さんを拉致するかと言えば。
田舎から到着する駅馬車を待ち構えていて、降りて来たばかりの娘さん達を狙って声を掛けるんだって。
良い働き口があるから話を聞かないかと。
ただ、田舎から仕事を求めて王都へ来る娘さんの中には、何人かのグループで来る人達がいるそうで。
そんなグループでは、全員が貴族連中のお気に召す美人さんとは限らないらしいの。
でも、真っ当な仕事を紹介すると声を掛けてるのに、美人さんだけに声を掛けると怪しまれるでしょう。
ヤバい仕事ではないかと警戒されちゃうもんね、風呂屋の泡姫さんとか。
で、子爵家の連中、何を考えたかと言うと見目麗しい娘さんがいるグループ全員に声を掛けて。
見目麗しい娘さんは貴族連中のお相手をさせ、そうでない娘さんは奴隷の繁殖用に使ってるんだって。
昼間はアブナイ葉っぱの栽培を手伝わせて、夜は男奴隷の相手をさせてるらしいの。
それで男奴隷のガス抜きをして、子爵家に従順になるよう懐柔しているんだって。
そして、娘さんが子供を産んだら、その子供をここで奴隷として使うらしい。
男の子なら、五歳くらいから手伝いに使えるからお得らしいんだ。
食事は自然に生るパンの実と水だけだから、育てるのに必要なのは衣服だけだって。
それも、子爵家で正規の使用人が着古したお仕着せの服をお下がりで与えているらしいの。
老人はもう二十年以上ここに居るらしいけど、その間、毎年子供が生まれるのを目にしているって。
ここで生まれ育って、外の世界を知らない生粋の奴隷もかなりいるらしいよ。
そして、奴隷が必要以上に増えると闇で売り捌くんだって。
因みに、ここトアール国では奴隷は認められていないよ。
他人を奴隷にするのも、奴隷を売買するのも、共に重罪で捕まったら縛り首なんだ。
「モカ、あんた、ここに奴隷として捕らわれている人達を何とかしなさい。
どうせ、エロスキー子爵家は取り潰すのでしょう。
子爵家の資産を使って、この人達の生活を保障してあげれば良いわ。
それと、お爺さん、ここに捕らわれている人達を至急集めなさい。
私が今すぐここから連れ出してあげるから。
ここは危ないわ。」
老人の話を聞き終えたアルトは、モカさんにここで奴隷として捕らわれている人達のフォローを指示したの。
そして、切羽詰まった様子で、捕らわれている人達を集めろと急かしたんだ。
ここは危ないって、いったい何が危ないの…。
外壁をぶち抜いてすっかり風通しの良くなったパーティーホールでは、騎士のみんなが待っていたよ。
既に捕物は終えて、部屋の中にいた男共は全員縄を打たれて床に転がされていたよ。
もちろん、全員丸裸で…。
一方で、捕えられていた娘さん達は、全員保護されて部屋の隅に集まってた。
全部で三十人ほど、みんな、スフレ姉ちゃんくらいの若い娘さんだったよ。
シフォン姉ちゃん達が手際よく動いてくれたみたいで、キレイな布で体を拭かれて服を羽織っていた。
ただ、娘さん達は皆、生気の無い顔で虚ろな目をしていたんだ。
男共から救い出されたのに喜んでいる様子が無かったの。
「あっ、マロンちゃん、アルト様、お疲れさまです。
マロンちゃん、あの『水』を持ってるわよね。
この娘達に分けてもらえないかな。
みんな、ヤバい薬を盛られて、トリップしてるみたいなの。」
シフォン姉ちゃんは『妖精の泉』の水が欲しいと訴えたの。
やっぱり、娘さん達が前後不覚になってるのはアブナイ葉っぱが原因みたいだね。
おいらが、カップに入れて泉の水を差し出すと、シフォン姉ちゃんは一番近くにいた娘さんに与えていたよ。
すると、…。
「助けてください。
良い仕事を紹介すると言われて、この屋敷に連れて来られたのです。
この部屋に入って、煙を吸ったら意識が朦朧としてきちゃって…。
気が付くと、男達に寄って集って服を剥ぎ取られて…。
それから、…うわあーん!」
意識を取り戻した娘さんは、シフォン姉ちゃんに助けを求めて事情を話し始めたんだけど。
途中で気持ちが昂って、号泣し始めちゃったんだ。
「泣きたくなるのも分かるわ、可哀想に。
仕事を求めて王都に出て来た早々、こんな男共の毒牙にかかるなんて。
この若さだから、きっと初めてだっただろうに。」
シフォン姉ちゃんはそんなことを呟きながら、泣きじゃくる娘さんの背中を優しく撫でてたよ。
それから、みんなで、捕らわれていた娘さんに泉の水を飲ませたの。
「あら、不幸中の幸いと言って良いのかしら…。
全員、泉の水で戻ってこれたのね。
この子達、ずっと薬漬けになっていた訳じゃ無さそうね。」
正気に戻った娘さん達を見てアルトが変な感心の仕方をしてたよ。
「どういう事?」
「『泉の水』で治せるのは、酩酊状態だけなの。
『ラリッパ草』は常習者になると、脳が壊れちゃうのよ。
そうなるともうお手上げ、『泉の水』でも治せないわ。」
泉の水を使っても、欠損してしまった四肢を元に戻すことは出来ないのだけど。
それと同じで、完全に壊れちゃった脳を治すことは出来ないみたい。
そのことから、アルトは言ったんだ。
ここに居る娘さんは、みんな、薬を使われて間もないはずだと。
うん? じゃあ、今まで拉致された娘さんは何処にいるんだろう?
**********
娘さん達が全員正気を取り戻すと、次は愚か者達だね。
縄を打って転がした男の数は二十名ほど、みんな、丸裸で身分が分かるようなものは身に着けていないよ。
見たところ、四十歳過ぎのおっさんが大部分で、その中に二十代のニイチャンが何人か混じってるけど。
どうやら、さっきの伯爵同様、親子でパーティーに参加してたみたい。
ただ、捕まえた男達もパニックを起こす程度に意識はあったものの。
しこたまアブナイ葉っぱの煙を吸っていたようで、殆どの者が酩酊状態だったよ。
「アルト、こいつ等にも水を与える?
この状態じゃ、尋問も出来ないよね。」
「バカね、こいつ等、このまま昼行灯の前に突き出してやるわ。
ご禁制の薬を使ってた動かぬ証拠じゃない。
『積載庫』の中で時間を止めて、酩酊状態のままにしとくわ。
第一、こいつ等、貴族は何をしても良いって思ってる連中だから。
酩酊状態から正気に戻った途端に騒ぎ出すわよ。
そしたら、煩いだけじゃない。」
アルトはそう言うと、さっさと『積載庫』の中に放り込んじゃったよ。
アルトの持つレベル三『積載庫』は、こういう時に便利だよね。
積載庫内の時間の流れを幾らでも操れるから。
そして、建物の外では…。
「団長、館から逃亡を図ろうとした者、我々の職務を妨害しようとした者を捕らえました。」
近衛騎士の面々もきちんと仕事をしてくれたようで、数十人の男達が捕縛されていたよ。
その半数ぐらいがこの屋敷の用心棒みたいで、武装していたの。
どうやら、パーティーホールの男達を奪還しようと試みて、近衛騎士達と戦闘になったみたい。
近衛騎士と戦った連中はボロボロになっていたよ。
「良し、みんな、ご苦労だった。
では、全員でこの建物の中を隈なく捜索するのだ。
証拠品となりそうなものは、全て押収するぞ。」
モカさんの指示に従って、近衛騎士達は一斉に建物の中に走り込んで行ったよ。
モカさんが信頼する騎士を選りすぐっただけあってキビキビと動いてた。
残されたモカさんとおいら達はと言うと。
「さて、それじゃ、私達は『畑』を押さえるとしましょうか。」
アルトの言葉に従って向かったのは屋敷の裏庭、そこはというと…。
「これは全て、ご禁制の葉っぱですか?
まさか、王都の目と鼻の先で…、こんな大規模に…。」
アルトが打ち上げた光の玉に照らされた裏庭は、広大な薬草畑になっていたんだ。
薬草畑は、高い塀で囲まれた敷地いっぱいに広がっていたよ。
「あれまー、何だべな、あんの光は?」
そんな声が聞こえた方向に目を凝らすと。
敷地の隅っこにみすぼらしい小屋が幾つも建っていて、そこからみすぼらしい姿の老人が姿を見せたの。
老人は光に照らされたおいら達に気付いて近付いて来たんだ。
そして、尋ねてきたの。
「あんのう、あんたら、何方さんかね?
ここ、子爵様の別邸で、無断で入ったら拙いんだべ。」
「私達は、ご禁制の薬草が栽培されていると知り摘発にやって来た騎士団の者ですが。
あなたは?」
モカさんの返答を聞いた老人は安堵の表情を浮かべ。
「あんれまー、騎士様だべか。
よお来てくださった、私達を助けておくんなされ。」
それから聞かされた話では。
老人は高利貸から借りた借金が返済できず、この畑で奴隷働きをさせられているらしいの。
もちろん、アブナイ葉っぱの栽培作業だよ。
もう、二十年もパンの実と水だけの食生活をしているらしいよ。
毎日朝から晩まで休みなしに働かされて、食事も満足に与えられないんだって。
パンの実は外壁に沿って植えられたパンの木から勝手に採って食べて、水は井戸から自分で汲んで飲むらしいの。
パンの実は毎日たくさん実を付けるので、飢える事だけは無いらしいよ。
ここには、そんな人が数十人奴隷同然に使われているそうなんだ。
中でも、おぞましいのが…。
「なんだって!
拉致した娘の中で見目の良くない娘は、ここで奴隷の繁殖用に使っているって。」
余りのことに、モカさんが思わず声を荒げたよ。
どういう事かと言うと。
エロスキー子爵の手下がどうやって娘さんを拉致するかと言えば。
田舎から到着する駅馬車を待ち構えていて、降りて来たばかりの娘さん達を狙って声を掛けるんだって。
良い働き口があるから話を聞かないかと。
ただ、田舎から仕事を求めて王都へ来る娘さんの中には、何人かのグループで来る人達がいるそうで。
そんなグループでは、全員が貴族連中のお気に召す美人さんとは限らないらしいの。
でも、真っ当な仕事を紹介すると声を掛けてるのに、美人さんだけに声を掛けると怪しまれるでしょう。
ヤバい仕事ではないかと警戒されちゃうもんね、風呂屋の泡姫さんとか。
で、子爵家の連中、何を考えたかと言うと見目麗しい娘さんがいるグループ全員に声を掛けて。
見目麗しい娘さんは貴族連中のお相手をさせ、そうでない娘さんは奴隷の繁殖用に使ってるんだって。
昼間はアブナイ葉っぱの栽培を手伝わせて、夜は男奴隷の相手をさせてるらしいの。
それで男奴隷のガス抜きをして、子爵家に従順になるよう懐柔しているんだって。
そして、娘さんが子供を産んだら、その子供をここで奴隷として使うらしい。
男の子なら、五歳くらいから手伝いに使えるからお得らしいんだ。
食事は自然に生るパンの実と水だけだから、育てるのに必要なのは衣服だけだって。
それも、子爵家で正規の使用人が着古したお仕着せの服をお下がりで与えているらしいの。
老人はもう二十年以上ここに居るらしいけど、その間、毎年子供が生まれるのを目にしているって。
ここで生まれ育って、外の世界を知らない生粋の奴隷もかなりいるらしいよ。
そして、奴隷が必要以上に増えると闇で売り捌くんだって。
因みに、ここトアール国では奴隷は認められていないよ。
他人を奴隷にするのも、奴隷を売買するのも、共に重罪で捕まったら縛り首なんだ。
「モカ、あんた、ここに奴隷として捕らわれている人達を何とかしなさい。
どうせ、エロスキー子爵家は取り潰すのでしょう。
子爵家の資産を使って、この人達の生活を保障してあげれば良いわ。
それと、お爺さん、ここに捕らわれている人達を至急集めなさい。
私が今すぐここから連れ出してあげるから。
ここは危ないわ。」
老人の話を聞き終えたアルトは、モカさんにここで奴隷として捕らわれている人達のフォローを指示したの。
そして、切羽詰まった様子で、捕らわれている人達を集めろと急かしたんだ。
ここは危ないって、いったい何が危ないの…。
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