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第十五章 ウサギに乗った女王様
第428話 辺境で街道整備の事務所を訪ねたよ
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おいらがこの国に来て初めて訪れた辺境の町は、街道整備の恩恵もあって大分暮らし向きが良くなっているみたいだった。
広場で、往来の人達を眺めていても心なしか皆表情が明るくなっている気がしたよ。
そんな町の様子を見て一安心したおいらは次の目的地、街道整備の現場を訪ねることにしたんだ。
現場はここより、馬車で二日くらい南に行ったところ、トアール国との国境が目と鼻の先って場所なんだ。
それでも、アルトに乗せてもらえばすぐに到着するんだけどね。
鍛冶屋さんで話を聞かせてもらった翌朝、おいら達は街道整備の拠点としてる場所に到着したの。
そこは、街道の脇に設けられた基地で魔物除けのためか空堀と土塁に囲まれ、土塁の上には板塀が巡らされてたよ。
その板塀はタロウの背丈の三倍くらい高さがあって、ちょっとやそっとじゃ乗り越えられそうも無いの。
「おい、これは、開発拠点と言うより監獄に見えるぞ。
マロンは、魔物除けって言うが…。
実際、これは、街道整備の作業員が逃げ出さないためにあるんじゃないか?」
空堀に渡された橋の上で、板塀を見上げてタロウがそんな感想を漏らしていたよ。
ちなみに、立ち止まっている橋は跳ね上げ橋になっていて、鎖で引き上げると土塁に築かれた門を塞ぐ形になってるんだ。
もちろん、門にも扉があるので、二重に塞ぐ形になって、魔物の侵入を阻んでいるの。
阻んでいるのは魔物の侵入だよね? …たぶん。
そんな橋を渡って街道整備の拠点を訪れると、門には『街道整備局南西支局』って看板が掛かっていたよ。
その看板の横には、『関係者以外立ち入り厳禁』と書いた札が建てられてた。
「関係者以外立ち入り厳禁とは何とも物々しいのじゃ。
タロウの言う通り監獄のようなのじゃ。」
掲げられた木札を見て、オランまでそんな感想を漏らしてたよ。
おかしいな、犯罪者を送り込んだ現場はここじゃなかったはずだけど…。
「これは陛下ではございませんか。
視察でございますか?
遠路はるばるお運び頂き恐縮でございます。」
守衛の詰め所と思われる小さな東屋の中に座っていた騎士がおいらに気付いて迎え入れてくれたの。
そのまま、事務所まで案内してくれると言い、先導して歩き始めたよ。
事務所まで歩く道すがら、おいらは騎士に尋ねてみたんだ。
「ここ、空堀、土塁、板塀って随分と堅固な造りになっているけど。
この辺りって魔物の襲撃が多いのかな?」
タロウやオランの監獄のようだって感想が気になるからね。
「まあ、魔物もいると言えばいますが、然したる数でもないし。
この辺りに住み着いているのは、精々、ウサギとか、雑魚ばかりです。
こんなに人が集まっている所を襲って来るほど獰猛な魔物は居ませんね。
堅固な造りにしたのは、ここで働く作業員の脱走防止のためです。」
何と、タロウやオランの言う事の方が正しかったよ。
「脱走って、監獄じゃないんだから。
もう少し開放的な雰囲気にしても良いんじゃない?
雇い入れる時に書かせた誓約の条項にあったよね。
採用後一年間は退職を認めないって。
ちゃんと署名させたんだから逃げ出しはしないでしょう。」
別に犯罪を犯した訳じゃないんだから、監獄みたいな扱いはどうかと思うよ。
この敷地、高い塀に四方を囲まれて圧迫感すごいよ。息が詰まっちゃいそう。
「いえ、脱走防止と申しましても、作業員の逃亡を阻む目的よりも。
作業員の身の安全を守るための意味合いの方が強いのです。」
「どういう事?」
おいらがその言葉の意味を尋ねると、騎士は言い難そうな表情で。
「それが、ここに送られてくる者達は王都でチンピラをしていた者も多くて…。
そんな連中は、額に汗して働いたことがない連中ばかりなのです。
街道整備を開始して早々、肉体労働に音を上げて逃亡を企てた者が居りまして。
作業初日の深夜、夜陰に乗じてここから逃走を企てたのです。」
この支局を開設した当初は、土塁と空堀しか無かったそうなの。
大した魔物も居ない様子なので、板塀までは要らないだろうって
だから、意外と簡単に抜け出すことが出来たそうなの。
とは言え、ここ徒歩一日圏内に村一つないよね。
そんな僻地で夜の原野を歩くなんて、はっきり言って自殺行為なんじゃ?
「その人、どうなったの? 無事に保護できた?」
「いえ、それが、運の悪い男で…。
ここから脱走して程なく、夜行性の獣に襲われたようで…。
無残な姿で発見されました。」
ああ、やっぱり、気の毒な事になっちゃったんだ。
その事件の後、暫くは脱走する者はいなかったらしいのだけど…。
喉元過ぎれば何とかじゃないけど。
作業員が増えると、その事件を知らない人も出て来る訳で。
暫くして、新入りの根性無しが、やはり同じ目に遭ったそうなの。
脱走者の末路を見た者は、脱走しようとはしなくなるんだけど。
この現場は、次から次へと作業員が送られて来るからね。
いずれ同じことを繰り返す愚か者が出て来るんじゃないか。
ここの責任者は、そんな不安を感じたそうなんだ。
それで、土塁の上に堅固な塀を造る事にしたらしいの。
作業員に、ここから抜け出そうなんて、浅慮な考えを起させないようにね。
それなりの抑止効果はあるみたいだよ。
塀が出来て一月になるけどこの間、脱走者は出ていないそうだから。
**********
そんなことを騎士に尋ねながら少し歩いて、おいら達は支局長の部屋に通されたの。
支局長と挨拶を交わすと、おいらはさっそく街道整備の進行状況を尋ねることにしたよ。
「ここに来る前に、近くの町に立ち寄ったけど。
街道整備事業のおかげで、町の人の仕事が増え、稼ぎも増えたと喜んでいたよ。
悪政で寂れた辺境の活性化の面では上手くいってるようだね。
おいらも嬉しいよ、良くやってくれたね。
それで、肝心の街道整備の方は捗っているかな。
何か問題があれば、遠慮なく言ってちょうだい。」
「お褒めに与かり光栄です陛下。
お尋ねの街道整備の進捗状況ですが、不覚にも計画より大分遅れています。
一番の問題はやはり人手不足です。
着工してからもうすぐ三月になりますが、作業員は現状五百人にも届いていません。
当初の予定では、作業員を千人確保する計画でしたので。
単純に言って進捗ペースは半分に落ちるのですが…。
それに輪をかけて、作業員の質に問題がございまして。」
王都ではトシゾー団長以下、騎士団のみんなが作業員の募集に協力してくれているのだけど。
思うように作業員の確保が進んでないとは聞いていたんだ。
不足する分は、現場周辺の町や村から採用して欲しいと伝えておいたのだけど。
元々、人口が少ない地域なのでそれも難しいみたいだね。
第一、昨日訪ねた町へ行けば仕事があるのだから、好き好んでより辺境へ働きに出る若者は少ないかも。
「質の問題ってのは、真面目に働いてくれないの?」
「はあ、そう言った者もいると言う事ですな。
もとより、大部分の者が土木作業などしたことが無い者でして。
知識が無いのは指導すれば良いのですが…。
体力が無いのと、やる気が無いのは如何ともし難くて。」
支局長の話では全員が全員、体力もやる気もない訳では無いようで。
近隣の農村から採用して来た人達はとても良く働くらしいの。
農作業をやっていたので体力は相応に持ち合わせているし。
月々の給金が銀貨二百五十枚と言うのは、農村では中々稼げない金額だからね。
しかも、食事と宿舎、それに作業着は別途支給だから、実質的な給金はずっと高いんだ。
宰相なんて、優遇のし過ぎだと難色を示していたくらいだから。
「ただ、王都で採用して送り込まれてきた者達は…。」
支局長は言い難そうな口調になって、言葉が尻窄みになっちゃったよ。
たぶん、支局長は騎士やおいらが作業員の確保に協力している事を知っているんだね。
だから、騎士やおいらが送り込んできた人達が役立たずだとは言い難いんだと思う。
「遠慮せずに行って良いよ。
おいら達が支局長にならず者予備軍を押し付けちゃったんだから。
支局長が不満を持つのも仕方がない事だと思うよ。
だって、王都から送り込んだ連中って犯罪者じゃ無いものの。
冒険者の資格を取れなかった冒険者崩れや。
定職に就かずにブラブラしてた半端者達だからね。
だけど、ここで規則正しい生活と真っ当な仕事をさせて。
貯えも出来れば、真人間になるんじゃないかと思ったんだ。
一応、真面目に働かせるために監督役として騎士を派遣したんだけど。
あいつら、今でも全く役に立たないのかな。
作業の足手まといになるくらいなら、採用基準を考え直すけど。」
おいらが、ならず者予備軍を送り込んだことを詫びると。
「陛下に謝って頂くなど畏れ多いです。
確かに、不真面目で、体力もない連中ですが…。
陛下の計らいでいらした騎士が厳しく見張っているものですから。
皆、一月もすれば、それなりに使えるようになっています。
若者を更生させようとの陛下のお心を理解せずに、不平を申したことをお赦しください。」
土木技術者の支局長としては、即戦力にならないことに不満があったみたいだけど。
おいらの意図を理解してくれた様子で、しばらくは我慢してくれるようだった。
それにしても、監督役の騎士達、良く役目を果たしているみたいだね。
サボっている者には、生まれて来たのを後悔するくらい厳しいお仕置きが待ってるみたいだよ。
王都から送り込んだ連中は跳ねっ返りが多くて、最初は反抗的な態度を取る者も多いそうだけど。
その都度、騎士による鉄拳制裁が繰り返されて。
一月もすると借りてきた猫みたいに大人しくなり、渋々だけどちゃんと働くようになるみたい。
とは言え、そんな連中が一月くらいは役に立たないのは事実な訳で。
進捗管理が仕事の支局長にとっては、工事の遅れの原因となるので頭が痛いんだろうね。
広場で、往来の人達を眺めていても心なしか皆表情が明るくなっている気がしたよ。
そんな町の様子を見て一安心したおいらは次の目的地、街道整備の現場を訪ねることにしたんだ。
現場はここより、馬車で二日くらい南に行ったところ、トアール国との国境が目と鼻の先って場所なんだ。
それでも、アルトに乗せてもらえばすぐに到着するんだけどね。
鍛冶屋さんで話を聞かせてもらった翌朝、おいら達は街道整備の拠点としてる場所に到着したの。
そこは、街道の脇に設けられた基地で魔物除けのためか空堀と土塁に囲まれ、土塁の上には板塀が巡らされてたよ。
その板塀はタロウの背丈の三倍くらい高さがあって、ちょっとやそっとじゃ乗り越えられそうも無いの。
「おい、これは、開発拠点と言うより監獄に見えるぞ。
マロンは、魔物除けって言うが…。
実際、これは、街道整備の作業員が逃げ出さないためにあるんじゃないか?」
空堀に渡された橋の上で、板塀を見上げてタロウがそんな感想を漏らしていたよ。
ちなみに、立ち止まっている橋は跳ね上げ橋になっていて、鎖で引き上げると土塁に築かれた門を塞ぐ形になってるんだ。
もちろん、門にも扉があるので、二重に塞ぐ形になって、魔物の侵入を阻んでいるの。
阻んでいるのは魔物の侵入だよね? …たぶん。
そんな橋を渡って街道整備の拠点を訪れると、門には『街道整備局南西支局』って看板が掛かっていたよ。
その看板の横には、『関係者以外立ち入り厳禁』と書いた札が建てられてた。
「関係者以外立ち入り厳禁とは何とも物々しいのじゃ。
タロウの言う通り監獄のようなのじゃ。」
掲げられた木札を見て、オランまでそんな感想を漏らしてたよ。
おかしいな、犯罪者を送り込んだ現場はここじゃなかったはずだけど…。
「これは陛下ではございませんか。
視察でございますか?
遠路はるばるお運び頂き恐縮でございます。」
守衛の詰め所と思われる小さな東屋の中に座っていた騎士がおいらに気付いて迎え入れてくれたの。
そのまま、事務所まで案内してくれると言い、先導して歩き始めたよ。
事務所まで歩く道すがら、おいらは騎士に尋ねてみたんだ。
「ここ、空堀、土塁、板塀って随分と堅固な造りになっているけど。
この辺りって魔物の襲撃が多いのかな?」
タロウやオランの監獄のようだって感想が気になるからね。
「まあ、魔物もいると言えばいますが、然したる数でもないし。
この辺りに住み着いているのは、精々、ウサギとか、雑魚ばかりです。
こんなに人が集まっている所を襲って来るほど獰猛な魔物は居ませんね。
堅固な造りにしたのは、ここで働く作業員の脱走防止のためです。」
何と、タロウやオランの言う事の方が正しかったよ。
「脱走って、監獄じゃないんだから。
もう少し開放的な雰囲気にしても良いんじゃない?
雇い入れる時に書かせた誓約の条項にあったよね。
採用後一年間は退職を認めないって。
ちゃんと署名させたんだから逃げ出しはしないでしょう。」
別に犯罪を犯した訳じゃないんだから、監獄みたいな扱いはどうかと思うよ。
この敷地、高い塀に四方を囲まれて圧迫感すごいよ。息が詰まっちゃいそう。
「いえ、脱走防止と申しましても、作業員の逃亡を阻む目的よりも。
作業員の身の安全を守るための意味合いの方が強いのです。」
「どういう事?」
おいらがその言葉の意味を尋ねると、騎士は言い難そうな表情で。
「それが、ここに送られてくる者達は王都でチンピラをしていた者も多くて…。
そんな連中は、額に汗して働いたことがない連中ばかりなのです。
街道整備を開始して早々、肉体労働に音を上げて逃亡を企てた者が居りまして。
作業初日の深夜、夜陰に乗じてここから逃走を企てたのです。」
この支局を開設した当初は、土塁と空堀しか無かったそうなの。
大した魔物も居ない様子なので、板塀までは要らないだろうって
だから、意外と簡単に抜け出すことが出来たそうなの。
とは言え、ここ徒歩一日圏内に村一つないよね。
そんな僻地で夜の原野を歩くなんて、はっきり言って自殺行為なんじゃ?
「その人、どうなったの? 無事に保護できた?」
「いえ、それが、運の悪い男で…。
ここから脱走して程なく、夜行性の獣に襲われたようで…。
無残な姿で発見されました。」
ああ、やっぱり、気の毒な事になっちゃったんだ。
その事件の後、暫くは脱走する者はいなかったらしいのだけど…。
喉元過ぎれば何とかじゃないけど。
作業員が増えると、その事件を知らない人も出て来る訳で。
暫くして、新入りの根性無しが、やはり同じ目に遭ったそうなの。
脱走者の末路を見た者は、脱走しようとはしなくなるんだけど。
この現場は、次から次へと作業員が送られて来るからね。
いずれ同じことを繰り返す愚か者が出て来るんじゃないか。
ここの責任者は、そんな不安を感じたそうなんだ。
それで、土塁の上に堅固な塀を造る事にしたらしいの。
作業員に、ここから抜け出そうなんて、浅慮な考えを起させないようにね。
それなりの抑止効果はあるみたいだよ。
塀が出来て一月になるけどこの間、脱走者は出ていないそうだから。
**********
そんなことを騎士に尋ねながら少し歩いて、おいら達は支局長の部屋に通されたの。
支局長と挨拶を交わすと、おいらはさっそく街道整備の進行状況を尋ねることにしたよ。
「ここに来る前に、近くの町に立ち寄ったけど。
街道整備事業のおかげで、町の人の仕事が増え、稼ぎも増えたと喜んでいたよ。
悪政で寂れた辺境の活性化の面では上手くいってるようだね。
おいらも嬉しいよ、良くやってくれたね。
それで、肝心の街道整備の方は捗っているかな。
何か問題があれば、遠慮なく言ってちょうだい。」
「お褒めに与かり光栄です陛下。
お尋ねの街道整備の進捗状況ですが、不覚にも計画より大分遅れています。
一番の問題はやはり人手不足です。
着工してからもうすぐ三月になりますが、作業員は現状五百人にも届いていません。
当初の予定では、作業員を千人確保する計画でしたので。
単純に言って進捗ペースは半分に落ちるのですが…。
それに輪をかけて、作業員の質に問題がございまして。」
王都ではトシゾー団長以下、騎士団のみんなが作業員の募集に協力してくれているのだけど。
思うように作業員の確保が進んでないとは聞いていたんだ。
不足する分は、現場周辺の町や村から採用して欲しいと伝えておいたのだけど。
元々、人口が少ない地域なのでそれも難しいみたいだね。
第一、昨日訪ねた町へ行けば仕事があるのだから、好き好んでより辺境へ働きに出る若者は少ないかも。
「質の問題ってのは、真面目に働いてくれないの?」
「はあ、そう言った者もいると言う事ですな。
もとより、大部分の者が土木作業などしたことが無い者でして。
知識が無いのは指導すれば良いのですが…。
体力が無いのと、やる気が無いのは如何ともし難くて。」
支局長の話では全員が全員、体力もやる気もない訳では無いようで。
近隣の農村から採用して来た人達はとても良く働くらしいの。
農作業をやっていたので体力は相応に持ち合わせているし。
月々の給金が銀貨二百五十枚と言うのは、農村では中々稼げない金額だからね。
しかも、食事と宿舎、それに作業着は別途支給だから、実質的な給金はずっと高いんだ。
宰相なんて、優遇のし過ぎだと難色を示していたくらいだから。
「ただ、王都で採用して送り込まれてきた者達は…。」
支局長は言い難そうな口調になって、言葉が尻窄みになっちゃったよ。
たぶん、支局長は騎士やおいらが作業員の確保に協力している事を知っているんだね。
だから、騎士やおいらが送り込んできた人達が役立たずだとは言い難いんだと思う。
「遠慮せずに行って良いよ。
おいら達が支局長にならず者予備軍を押し付けちゃったんだから。
支局長が不満を持つのも仕方がない事だと思うよ。
だって、王都から送り込んだ連中って犯罪者じゃ無いものの。
冒険者の資格を取れなかった冒険者崩れや。
定職に就かずにブラブラしてた半端者達だからね。
だけど、ここで規則正しい生活と真っ当な仕事をさせて。
貯えも出来れば、真人間になるんじゃないかと思ったんだ。
一応、真面目に働かせるために監督役として騎士を派遣したんだけど。
あいつら、今でも全く役に立たないのかな。
作業の足手まといになるくらいなら、採用基準を考え直すけど。」
おいらが、ならず者予備軍を送り込んだことを詫びると。
「陛下に謝って頂くなど畏れ多いです。
確かに、不真面目で、体力もない連中ですが…。
陛下の計らいでいらした騎士が厳しく見張っているものですから。
皆、一月もすれば、それなりに使えるようになっています。
若者を更生させようとの陛下のお心を理解せずに、不平を申したことをお赦しください。」
土木技術者の支局長としては、即戦力にならないことに不満があったみたいだけど。
おいらの意図を理解してくれた様子で、しばらくは我慢してくれるようだった。
それにしても、監督役の騎士達、良く役目を果たしているみたいだね。
サボっている者には、生まれて来たのを後悔するくらい厳しいお仕置きが待ってるみたいだよ。
王都から送り込んだ連中は跳ねっ返りが多くて、最初は反抗的な態度を取る者も多いそうだけど。
その都度、騎士による鉄拳制裁が繰り返されて。
一月もすると借りてきた猫みたいに大人しくなり、渋々だけどちゃんと働くようになるみたい。
とは言え、そんな連中が一月くらいは役に立たないのは事実な訳で。
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