ゴミスキルだって、育てりゃ、けっこうお役立ちです!

アイイロモンペ

文字の大きさ
上 下
399 / 848
第十五章 ウサギに乗った女王様

第399話 あんまり弱い者イジメはしない方が良いよ…

しおりを挟む
 1階に下り、渡り廊下を通って中央棟へ急ぐ。
 幸い、広いロビーにも事務室にも人の気配はない。
 正面玄関のガラス戸を通して、厚い雲に覆われた空が見える。
 どうやら雨が降り出したようで、ガラスにどんどん水滴がついていく。
 一気に暗さを増した外界は、まるで余裕をなくした杏里の心象風景のようだ。
 下駄箱の列の隅が、アイテムを隠した来客用コーナーだった。
 隠してあったタオルで裸身を拭くと、まず乳首と陰部にロイヤルゼラチンを塗り込んだ。
 その上から薄いピンクのブラとパンティ、そして黒いパンティストッキングを身につけると、下着の上から白のブラウスを羽織り、黒のタイトミニを穿く。
 仕上げにフレームの細い銀縁眼鏡をかけると、杏里は社会人になったばかりのOLそのものの格好になった。
 久しぶりに衣服で肌を隠すことができ、少しほっとした気分だった。
 着替えを済ませ、ホールの大鏡の前でポーズをとってみる。
 悪くはなかった。
 露出度の高いコスチュームだけでは飽きられてしまうだろうと、あえてセレクトした地味目のアイテムである。
 が、成人女性並みに乳房と尻の発達した杏里には、ブラウスとタイトミニの組み合わせがよく似合う。
 次のターゲットは教員たちだけに、このスタイルは有効なはずだった。
 まあ、一部のロリコン教師には不評かもしれないけど…。
 ふとそんなことを思うと、苦い笑いがこみ上げてきた。
 職員室に行く途中で給湯室に寄り、水で性露丸マグナムの丸薬を喉に流し込む。
 これも下駄箱に隠してあったものである。
 残りはゴールである体育館の下駄箱に忍ばせてある一袋だけだから、今となっては貴重なエネルギー源だった。
 塗り薬と飲み薬の両方が効いてくるのを待つ。
 いい加減疲れ切っている身体の奥に火がともり、めらめらと燃え上がり始めるのがわかった。
 乳首が勃起し、薄いブラジャーの生地を押し上げる。
 一時乾きかけていた股の間のぬるぬる感も、また元に戻ってきたようだ。
 覚悟を決めて、職員室の引き戸の前に立つ。
 控えめにノックをすると、
「どうぞ」
 校長の大山のバリトンが返ってきた。
「笹原君だね。待っていたよ。何の仕掛けもないから、安心してお入り」
 半信半疑で戸を引いた。
 視界に広がったのは、いつもの職員室の光景だ。
 それぞれのデスクについて、教師たちがデスクワークにいそしんでいる。
 ただひとつ普段と異なるのは、杏里を見る彼らのまなざしが、異様にぎらついて見えることだった。
 一歩前に進み出ると、すぐ後ろで乱暴に引き戸が閉められた。
 その音を合図にしたかのように、教師たちが椅子をずらして立ち上がる。
 その時になって、ようやく杏里は気づいた。
 普段と大きく異なる、もうひとつの点に。
 デスクの陰から現れた、思わず眼を背けたくなるもの…。
 教師たちは、老若男女問わず、全員下半身裸なのだった。

しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています

水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。 森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。 公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。 ◇画像はGirly Drop様からお借りしました ◆エール送ってくれた方ありがとうございます!

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜

言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。 しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。 それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。 「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」 破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。 気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。 「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。 「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」 学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス! "悪役令嬢"、ここに爆誕!

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

処理中です...