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第十五章 ウサギに乗った女王様
第392話 最初に訪ねる町を決めたよ
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タロウと地方の視察に行こうと話した日。
おいらは、早速、宰相とオランに地方の様子を見に行きたいと相談したんだ。
「マロン、その考えはとても良いことなのじゃ。
為政者が正しく自分の国の現状を把握することは大切なのじゃ。
しかし、…。」
オランは地方へ視察に行くことは賛成してくれたのだけど。
言葉を最後まで言うこと無く、宰相の方へ目配せしたんだ。
「陛下、思い付きでそのような事を申されても困ります。
陛下が行幸するとなりますと、護衛や宿の手配が必要です。
そもそも行幸先を決めて、そこに対する根回しもしないといけません。
直ぐにと言う訳には参りませんぞ。」
おいら、宰相に叱られちゃったよ。
そう言えば、オランが自国に居る時に言ってたね。
王族が動くとなると、色々と大事になるから、おいそれと外に出ることは出来ないって。
「視察先に対する根回しは無しにしてちょうだい。
別に当地の貴族や代官に歓待して欲しいなんて思わないから。
目的は、おいらが王位に就いてから発布した色々な御触れが守られているかを確認する事だから。
抜き打ちで調べることに意味があるの。
事前に知らせたら、その場だけ取り繕うかも知れないじゃない。」
それに、道中はアルトの『積載庫』に乗せてもらうつもりなので宿の手配は要らないし。
護衛の騎士も、いつもの四人だけで十分だよ。
「はあ、陛下がお望みと申されるなら、行幸先への通知は無しにしますが。
やはり、すぐという訳には参りませんぞ。
陛下には、この王都でして頂かないといけないことが有りますし。
通知はしなくても、訪問地の選定はする必要がありますので。」
宰相は、急ぎでおいらがしないといけない仕事をかき集め、並行して行く先を検討するって言ってたよ。
**********
そんな訳で、出発は十日以上先延ばしになったんだ。
その夜、訪ねて来たアルトに地方へ行くのに乗せて欲しいとお願いしたら。
「良いわよ、任せといて。
丁度、私も色々回ってみようと思ってたのよ。
長年生きてきたけど、この国はあんまり馴染みが無かったからね。」
アルトは快く引き受けてくれたよ。
流石のアルトでも、用も無いのにウエニアール国まで来ることは無かったみたいで。
各地を回るのが楽しみだと言ってたよ。
そんな訳で、その日、おいらは日課のトレント回収に回っていたんだ。
王宮でする仕事があるんじゃないかって?
勿論、朝からずっと机の前に座らされたよ。…ひたすら文書に署名させられた。
宰相が書類の内容を説明してくれて、異存が無ければ署名するだけの簡単な仕事だよ。
子供のおいらには細かい事は分からないし、宰相が良く詰めてくれてるはずだからね。
素人が口を挟むより、プロに任せる方が良いと思うし。
冒険者研修施設、トレントの森と回ってトレントを回収したあと。
王宮に帰る前に、何か買い食いでもしようかと思って市場を覗いたの。
自家製の腸詰めを挟んだパンが美味しい店があって、おいらのお気に入りなんだ。
「何? パンの実が一つ銅貨十枚で買えるって。
なんて安いんだ。
出来ればいっぱい買って帰りたいが、カビさせても勿体ないし…。」
お目当てのパン屋の前で、そんな呟きが耳に入ったの。
「あんた、何言ってるんだい?
パンの実は一つ銅貨十枚って王宮の御触れにあっただろうに。
もう、二月も前のことだよ。
今時、それ以上の値段で売ってたら、お上からお叱りを受けちまう。」
パン屋のおばさんが、御触れのことをおじさんに教えたら。
「御触れ書き? 二ヶ月も前に?
妙だな、そんな話聞いたことが無いぞ。
王宮の通信使なら、遅くとも半月後には着くようなもんだがな…。」
またまた、そんな呟きが聞こえたよ。
「ねえ、おじさん、ちょっと教えて。
おじさんは何処から来たの?
王都へ何をしに?」
おいらが命じたことが順守されてないなんて、見逃せないからね。
でも、利に聡い商人なら、二ヶ月の間に王都の情報は掴んでいると思うけど…。
「俺か?
俺は、王都から東に行ったウノって町から来たんだ。
荷馬車で半月ほど掛かるところだぜ。
俺は鍛冶屋で。
王都へ来ればトレントの木炭が手に入ると聞いてやってきたんだよ。」
「ちなみに、ウノの町ではパンの実一つで幾らするの?」
「パンの実か?
一つ銅貨四十枚だったぞ。
九年前に急に四倍にも跳ね上がっちまってよ。
それ以来、パンに代わってイモで腹を膨らませてるよ。」
パンの実一つで銅貨四十枚ってボリ過ぎだよ。
エチゴヤが暴利を貪ってた王都だって銅貨三十枚だったのに…。
「ねえ、ウノの町でもパンの木を独占してるのはエチゴヤでしょう?
エチゴヤは店主が変わってから値下げをしたはずなんだけど。」
「うん? パンの木ってエチゴヤが持っているのか?
エチゴヤって、アコギな商売ばかりしている所だろう?
ならず者みてえな連中をいっぱい使ってるって評判の。
最近、店主が変わったのか?
俺、鍛冶のこと以外はとんと疎くてな…。
でも、エチゴヤに変わった様子は見えねえが。」
どうやら、このおじさんは根っからの職人さんで、自分の仕事に関係ない情報には無関心みたい。
「ねえ、ウノにあるエチゴヤって今でもならず者みたいなのを使っているの?
もしかして、その連中って、今でも剣をぶら下げてカタギの店の邪魔してる?」
「エチゴヤが商売敵の営業妨害をしてるかどうかは知らねえが。
俺が出て来た半月ほど前は、エチゴヤの店先でガラの悪い連中がたむろってたな。
もちろん、得物を腰にぶら下げて…。」
なにそれ、おいらが出した御触れは全然ウノの町に届いてないじゃない。
一体どうなんての?
「因みに、このくらいのお塩って幾らくらいするか分かる?」
おいらが塩の入った壺を『積載庫』から取り出して尋ねると…。
「その壺いっぱいでだいたい銅貨三十枚って所かな。
って、嬢ちゃん、今、その壺、何処から出したんだい。
さっきまで、手ぶらだったよな。」
塩は量り売りで、お店に壺を持って行って売ってもらうのが普通なんだ。
おいらが手にした壺が標準的な大きさで、塩の値段は銅貨十枚だよ。
銅貨三十枚って、この間までエチゴヤがボッていた時の値段だね。
「売価で、この壺いっぱいの塩が銅貨十枚。
それ以上取ったら、厳しい罰が課されることになってるんだ。
塩と言い、パンの実と言い、酷い犯罪だよ。
ウノの町は、王領なの? それとも領主がいるのかな?」
「いや、それより、その壺、いったい何処から?
って、その壺いっぱいの塩で銅貨十枚?
何だそれ、いつの間にそんなお触れが出たんだ…。
嬢ちゃん、小っこいのに物知りなんだな。」
おじさんは、尚もおいらの『積載庫』から出した壺に関心を示してたものの。
おいらの言葉を咀嚼して、やっと塩でもぼられていたことに気付いたよ。
おじさんと話してたら、おいらに気付いたパン屋のおばちゃんが声を掛けてきたんだ。
「おや、陛下じゃないかい。
うれしいね、また腸詰ばさみのパンを買いに来てくれたのかい。
今日は、陛下から貰った炭で腸詰めを焼いてみたよ。
いつもより、炭の香りが良いって評判は上々だよ。
今日は、タダで良いよ、お礼さね。」
おばちゃんはおいらだけではなく、護衛のルッコラ姉ちゃんとジェレ姉ちゃんにも腸詰めを挟んだパンを渡してくれたよ。
「おばちゃん、有り難う。
でも、三つも貰ったら儲けが無くなっちゃうでしょう。
お礼にもう一袋おいてくね、木炭。」
おいらは、追加で一袋『トレントの木炭』をおばちゃんに渡したよ。
よく考えると、お礼のお礼と言うのも変な話だけど。
とっても美味しいパンをタダでもらったら申し訳ないものね。
「何か、かえって悪いことしちゃったね。
この炭高いんだろう。
どうだい、お替りを持ってかないかい。」
お言葉に甘えることにしたよ、オランへのお土産にしたかったからね。
「嬢ちゃん、今、そのでっかい袋何処から出した…。
えっ、陛下?」
「そうだよ。
あんた、さっきから嬢ちゃんなんて呼んでるけど。
この国の女王陛下さ、マロン陛下。
マロン陛下は小さいのに凄いんだよ。
ヒーナルの悪党を打ち倒したかと思えば。
タクトー会やエチゴヤの悪党共を次々に退治してくれたんだ。
おかげで、税は安くなるし、物の値段は下がるしでホント有り難いよ。
陛下は気さくに平民に話しかけてくれるし、王都で一番の人気者さね。」
いや、それ褒め過ぎだって、褒めたってもう何も出ないよ。
それはともかく。
「それで、ウノは王領なの? それとも領主がいるの?」
おいらが重ねて尋ねると。
おじさん、おいらを女王と知り呆気にとられてたんだけど。
ハッと我に返った様子で姿勢を正すと…。
「御下問に答えず、申し訳ございません、陛下。
ウノは、マイナイ伯爵の領地、マイナイ伯爵のお膝元でございます。」
鍛冶屋のおじさんは、そんな返事をしてくれたよ。
あんまり畏まらなくても良いのに…。
国王が出した御触れを周知徹底しないなんて、万死に値するよ。
王領なら、代官とそれを任命した役人を罰しないといけないと思ったけど…。
伯爵領なら、責任取らせるのは伯爵だけで良いね。
「そう、じゃあ、もう少し我慢してね。
一月もすれば、パンの実も塩も銅貨十枚で買えるようになると思うから。
多分、他の物も色々と値段が下がると思うよ。」
さて、地方視察、最初に訪ねるのマイナイ伯爵領の領都ウノに決まりだね。
おいらは、早速、宰相とオランに地方の様子を見に行きたいと相談したんだ。
「マロン、その考えはとても良いことなのじゃ。
為政者が正しく自分の国の現状を把握することは大切なのじゃ。
しかし、…。」
オランは地方へ視察に行くことは賛成してくれたのだけど。
言葉を最後まで言うこと無く、宰相の方へ目配せしたんだ。
「陛下、思い付きでそのような事を申されても困ります。
陛下が行幸するとなりますと、護衛や宿の手配が必要です。
そもそも行幸先を決めて、そこに対する根回しもしないといけません。
直ぐにと言う訳には参りませんぞ。」
おいら、宰相に叱られちゃったよ。
そう言えば、オランが自国に居る時に言ってたね。
王族が動くとなると、色々と大事になるから、おいそれと外に出ることは出来ないって。
「視察先に対する根回しは無しにしてちょうだい。
別に当地の貴族や代官に歓待して欲しいなんて思わないから。
目的は、おいらが王位に就いてから発布した色々な御触れが守られているかを確認する事だから。
抜き打ちで調べることに意味があるの。
事前に知らせたら、その場だけ取り繕うかも知れないじゃない。」
それに、道中はアルトの『積載庫』に乗せてもらうつもりなので宿の手配は要らないし。
護衛の騎士も、いつもの四人だけで十分だよ。
「はあ、陛下がお望みと申されるなら、行幸先への通知は無しにしますが。
やはり、すぐという訳には参りませんぞ。
陛下には、この王都でして頂かないといけないことが有りますし。
通知はしなくても、訪問地の選定はする必要がありますので。」
宰相は、急ぎでおいらがしないといけない仕事をかき集め、並行して行く先を検討するって言ってたよ。
**********
そんな訳で、出発は十日以上先延ばしになったんだ。
その夜、訪ねて来たアルトに地方へ行くのに乗せて欲しいとお願いしたら。
「良いわよ、任せといて。
丁度、私も色々回ってみようと思ってたのよ。
長年生きてきたけど、この国はあんまり馴染みが無かったからね。」
アルトは快く引き受けてくれたよ。
流石のアルトでも、用も無いのにウエニアール国まで来ることは無かったみたいで。
各地を回るのが楽しみだと言ってたよ。
そんな訳で、その日、おいらは日課のトレント回収に回っていたんだ。
王宮でする仕事があるんじゃないかって?
勿論、朝からずっと机の前に座らされたよ。…ひたすら文書に署名させられた。
宰相が書類の内容を説明してくれて、異存が無ければ署名するだけの簡単な仕事だよ。
子供のおいらには細かい事は分からないし、宰相が良く詰めてくれてるはずだからね。
素人が口を挟むより、プロに任せる方が良いと思うし。
冒険者研修施設、トレントの森と回ってトレントを回収したあと。
王宮に帰る前に、何か買い食いでもしようかと思って市場を覗いたの。
自家製の腸詰めを挟んだパンが美味しい店があって、おいらのお気に入りなんだ。
「何? パンの実が一つ銅貨十枚で買えるって。
なんて安いんだ。
出来ればいっぱい買って帰りたいが、カビさせても勿体ないし…。」
お目当てのパン屋の前で、そんな呟きが耳に入ったの。
「あんた、何言ってるんだい?
パンの実は一つ銅貨十枚って王宮の御触れにあっただろうに。
もう、二月も前のことだよ。
今時、それ以上の値段で売ってたら、お上からお叱りを受けちまう。」
パン屋のおばさんが、御触れのことをおじさんに教えたら。
「御触れ書き? 二ヶ月も前に?
妙だな、そんな話聞いたことが無いぞ。
王宮の通信使なら、遅くとも半月後には着くようなもんだがな…。」
またまた、そんな呟きが聞こえたよ。
「ねえ、おじさん、ちょっと教えて。
おじさんは何処から来たの?
王都へ何をしに?」
おいらが命じたことが順守されてないなんて、見逃せないからね。
でも、利に聡い商人なら、二ヶ月の間に王都の情報は掴んでいると思うけど…。
「俺か?
俺は、王都から東に行ったウノって町から来たんだ。
荷馬車で半月ほど掛かるところだぜ。
俺は鍛冶屋で。
王都へ来ればトレントの木炭が手に入ると聞いてやってきたんだよ。」
「ちなみに、ウノの町ではパンの実一つで幾らするの?」
「パンの実か?
一つ銅貨四十枚だったぞ。
九年前に急に四倍にも跳ね上がっちまってよ。
それ以来、パンに代わってイモで腹を膨らませてるよ。」
パンの実一つで銅貨四十枚ってボリ過ぎだよ。
エチゴヤが暴利を貪ってた王都だって銅貨三十枚だったのに…。
「ねえ、ウノの町でもパンの木を独占してるのはエチゴヤでしょう?
エチゴヤは店主が変わってから値下げをしたはずなんだけど。」
「うん? パンの木ってエチゴヤが持っているのか?
エチゴヤって、アコギな商売ばかりしている所だろう?
ならず者みてえな連中をいっぱい使ってるって評判の。
最近、店主が変わったのか?
俺、鍛冶のこと以外はとんと疎くてな…。
でも、エチゴヤに変わった様子は見えねえが。」
どうやら、このおじさんは根っからの職人さんで、自分の仕事に関係ない情報には無関心みたい。
「ねえ、ウノにあるエチゴヤって今でもならず者みたいなのを使っているの?
もしかして、その連中って、今でも剣をぶら下げてカタギの店の邪魔してる?」
「エチゴヤが商売敵の営業妨害をしてるかどうかは知らねえが。
俺が出て来た半月ほど前は、エチゴヤの店先でガラの悪い連中がたむろってたな。
もちろん、得物を腰にぶら下げて…。」
なにそれ、おいらが出した御触れは全然ウノの町に届いてないじゃない。
一体どうなんての?
「因みに、このくらいのお塩って幾らくらいするか分かる?」
おいらが塩の入った壺を『積載庫』から取り出して尋ねると…。
「その壺いっぱいでだいたい銅貨三十枚って所かな。
って、嬢ちゃん、今、その壺、何処から出したんだい。
さっきまで、手ぶらだったよな。」
塩は量り売りで、お店に壺を持って行って売ってもらうのが普通なんだ。
おいらが手にした壺が標準的な大きさで、塩の値段は銅貨十枚だよ。
銅貨三十枚って、この間までエチゴヤがボッていた時の値段だね。
「売価で、この壺いっぱいの塩が銅貨十枚。
それ以上取ったら、厳しい罰が課されることになってるんだ。
塩と言い、パンの実と言い、酷い犯罪だよ。
ウノの町は、王領なの? それとも領主がいるのかな?」
「いや、それより、その壺、いったい何処から?
って、その壺いっぱいの塩で銅貨十枚?
何だそれ、いつの間にそんなお触れが出たんだ…。
嬢ちゃん、小っこいのに物知りなんだな。」
おじさんは、尚もおいらの『積載庫』から出した壺に関心を示してたものの。
おいらの言葉を咀嚼して、やっと塩でもぼられていたことに気付いたよ。
おじさんと話してたら、おいらに気付いたパン屋のおばちゃんが声を掛けてきたんだ。
「おや、陛下じゃないかい。
うれしいね、また腸詰ばさみのパンを買いに来てくれたのかい。
今日は、陛下から貰った炭で腸詰めを焼いてみたよ。
いつもより、炭の香りが良いって評判は上々だよ。
今日は、タダで良いよ、お礼さね。」
おばちゃんはおいらだけではなく、護衛のルッコラ姉ちゃんとジェレ姉ちゃんにも腸詰めを挟んだパンを渡してくれたよ。
「おばちゃん、有り難う。
でも、三つも貰ったら儲けが無くなっちゃうでしょう。
お礼にもう一袋おいてくね、木炭。」
おいらは、追加で一袋『トレントの木炭』をおばちゃんに渡したよ。
よく考えると、お礼のお礼と言うのも変な話だけど。
とっても美味しいパンをタダでもらったら申し訳ないものね。
「何か、かえって悪いことしちゃったね。
この炭高いんだろう。
どうだい、お替りを持ってかないかい。」
お言葉に甘えることにしたよ、オランへのお土産にしたかったからね。
「嬢ちゃん、今、そのでっかい袋何処から出した…。
えっ、陛下?」
「そうだよ。
あんた、さっきから嬢ちゃんなんて呼んでるけど。
この国の女王陛下さ、マロン陛下。
マロン陛下は小さいのに凄いんだよ。
ヒーナルの悪党を打ち倒したかと思えば。
タクトー会やエチゴヤの悪党共を次々に退治してくれたんだ。
おかげで、税は安くなるし、物の値段は下がるしでホント有り難いよ。
陛下は気さくに平民に話しかけてくれるし、王都で一番の人気者さね。」
いや、それ褒め過ぎだって、褒めたってもう何も出ないよ。
それはともかく。
「それで、ウノは王領なの? それとも領主がいるの?」
おいらが重ねて尋ねると。
おじさん、おいらを女王と知り呆気にとられてたんだけど。
ハッと我に返った様子で姿勢を正すと…。
「御下問に答えず、申し訳ございません、陛下。
ウノは、マイナイ伯爵の領地、マイナイ伯爵のお膝元でございます。」
鍛冶屋のおじさんは、そんな返事をしてくれたよ。
あんまり畏まらなくても良いのに…。
国王が出した御触れを周知徹底しないなんて、万死に値するよ。
王領なら、代官とそれを任命した役人を罰しないといけないと思ったけど…。
伯爵領なら、責任取らせるのは伯爵だけで良いね。
「そう、じゃあ、もう少し我慢してね。
一月もすれば、パンの実も塩も銅貨十枚で買えるようになると思うから。
多分、他の物も色々と値段が下がると思うよ。」
さて、地方視察、最初に訪ねるのマイナイ伯爵領の領都ウノに決まりだね。
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