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第十三章 女の子には何かと準備も必要だよ
第324話 女の人ばかり集まると…
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即位式に招いたトアール国の王様とお后様、それにお付きの人達たちを、王都で拾うとすぐに出発することになったの。
カズヤ殿下に見送られて王宮を飛び立ったおいら達は一直線にウエニアール国を目指すよ。
アルトが頑張って飛んでも、ウエニアール国の王都までは三日掛かる予定なんだ。
食事時以外はずっと移動する予定で、外の景色ばかり眺めていても飽きが来るだろうとのことで。
アルトは、「おしゃべりでもしてたら。」と言って、女性陣だけを一部屋に集めてくれたの。
何故か、オランも女性陣に含まれていたけれど…。
「こうして、お話をするのは初めてね、マロンちゃん。
面識のなかった私まで、お招きいただき有り難うね。
私、ウエニアール国へ行くの初めてだからとても楽しみなの。
しかも、こんな風に空を飛んで行けるなんて思わなかったわ。
こんな風に空から景色を見るのも初めてだし。
乗り心地の悪い馬車と違ってとても快適だわ。」
トアール国のお后様、ミントさんがご機嫌そうに声を掛けてきたの。
「おいらも、ミントさんと一度お話してみたいと思ってたんだ、
今回は、遠い所、来てもらって有り難う。」
「あら、マロンちゃんみたいな可愛い子に、そう言ってもらえるとお世辞でも嬉しいわ。
でも、私みたいなおばさんとお話しても退屈なんじゃないかしら?」
「そんなこと無いよ。
お后様は気さくな人でとっても美人だと聞いていたので、一度会ってみたかったの。」
「あら、誰から聞いたのかかしら?
マロンちゃんは王都に住んでいた訳ではないのよね。
私、王都と公爵領以外では人前に出たことが無いのだけど。」
ミントさんは、おいらがトアール国で平民として育ったことを知っているようで。
辺境の町で育ったおいらが、余り人前に姿を現さないミントさんを知っていたことに不思議に思ったみたい。
「おいらの育った家の隣に住んでいたにっぽん爺に聞いたんだ。」
「にっぽん爺? 珍しい名前の方ですね。
その方、王都か、公爵領に住んでいたことがあるのかしら?」
おいらが淹れたお茶に砂糖を入れて、クルクルとスプーンでかき混ぜながらミントさんは尋ねてきたの。
流石に、にっぽん爺じゃ分からないか。
「にっぽん爺ってのは名前じゃないんだ。
『にっぽん』という凄く遠い国から来たお爺ちゃんなんでそう呼んでいるの。
本名は、カズト・ツチヤだっけかな。
二十年くらい前に王都に住んでたらしいよ。
『ゴムの実』ってのを発見して凄く稼いでいたって。」
おいらの言葉を耳にして、ミントさんはスプーンを取り落としたんだ。
そして。
「それは、真ですか?
そのカズトと言う者、黒髪で隻眼隻腕の紳士ではありませんか?」
ミントさんったら、そんな問い掛けをしながらおいらに迫って来たよ。
「にっぽん爺、今はすっかり白髪になっているけど、隻眼隻腕ではあるよ。
カズミさんって名の娘さんが、ハテノ男爵領の騎士をしていて、時々泊っていくけど。
カズミさんは、カズヤ殿下そっくりの艶やかな黒髪をしているね。」
冒険者ギルドの『風呂屋』の支配人とコソコソやっている人を、紳士と呼んで良いのかは疑問だけどね。
おいらが、にっぽん爺の特徴を話すと…。
最初に反応したのはミントさんではなく、ライム姉ちゃんだった。
「ああ、やっとわかりました。
カズヤ殿下にお目に掛かった時、初対面な気がしなかったのです。
今までお目に掛かったことは無いはずなのに、どうしてかとモヤモヤしてたのですが。
カズミさん、そっくりなのですね。
艶やかな黒髪もさることながら、口元なども。
何か名前も似てますし、どうしてなのでしょう…。」
ポンと手を打ちながらそんなことを言って、最期は首を傾げていたよ。
「あの方が無事に生きていらっしゃる…。」
誰に聞かせると無く、そんな呟きを漏らしたミントさん。
その目元には、微かに涙を浮かべていたよ。
「あら、ミント陛下、どうなされたのです?」
ミントさんの様子がおかしいことに気付いたお義母さんが尋ねると。
「いえ、懐かしい方のお名前を耳にして…。
少々昔のことを思い出しただけでございます。
ご心配させてしまい恐縮です。」
ミントさんは努めて笑顔を見せるような仕種で、おいらに尋ねてきたの。
「ねえ、マロンちゃん。
もし、よろしければ、そのにっぽん爺のお話をもう少し聞かせて頂けるかしら。
今は、どんな暮らしをなされているの。
お金に困ってはいないかしら、体を壊していないかしら。」
「至って元気だよ。
おいらの育った家と同じ鉱山住宅に住んでいるから、質素な暮らしはしているけど。
町にいっぱい土地建物を持ってて、最近は大家の収入が沢山あるとかいってたし。
最近は、色々な服のデザインで荒稼ぎしているらしいよ。
おいらが即位式で着るドレスも、にっぽん爺がデザインしてくれたんだ。」
おいらは、それからしばらくにっぽん爺の近況を話してあげたんだ。
『STD四十八』や騎士のお姉ちゃんが興行で歌う歌を考えているのもにっぽん爺だし。
興行のステージ衣装やギルドの『風呂屋』の制服のデザインなんかもしているって。
おいらの話を聞いて。
「ああ、あの方のデザインする服はどれも素晴らしいですわ。
枯れかけた殿方でも、奮い立たせてしまうのですもの。
寝所であの服を着ましたら、旦那がケダモノになりましたもの。
ここ十年ご無沙汰でしたのに。」
「お母様、はしたないですわよ。」
お義母さんがにっぽん爺がデザインした服を大絶賛すると、ネーブル姉ちゃんが諫めていたよ。
はしたないって、あんな慎みの無い服を着ることがかな?
「まあっ、あの方が元気そうで安心しましたわ。
急に王都を追われることになって、無事でいるのか心配をしていたのです。
他に何か、あの方にまつわる面白いお話とかありませんか。」
「最近はギルドの『風呂屋』の支配人と新しいサービスの相談をしているよ。
何でも、にっぽん爺が知っている色々な技を伝授したいんだって。
生まれ故郷の『にっぽん』で培った知識を、この地に残したいって言ってた。
自分がこの地に生きた証にしたいんだって。
どんなことをするのかおいらには分からないけど。
泡姫さんに実地で指導なんかもしてるみたい。」
「まあ、『実演販売』ですか、懐かしいですわ。
真に、あの方の『実演販売』は天にも昇る心地でした。
今でも思い出すと、体の芯が疼いてしまいます。」
おいらの話を聞いていて、うっとりした表情になってそんな言葉を口にしたミントさん。
いや、それ、他の人に聞かれたら拙いんじゃないの。
「何ですか、その『実演販売』というのは。
興味あります、詳しくお聞かせ願えませんか。」
ほら、お義母さんが喰い付いた…。
すると、ミントさんはお義母さんとライム姉ちゃんに手招きし、ヒソヒソと内緒話を始めたんだ。
どうやら、おいらやネーブル姉ちゃんには聞かせることが出来ない話みたい。
「えっ、そんな事までするんですの。」
「……。」
「凄い、私、そんなことされたら乱れまくってしまいますわ。」
「……。」
「まあ、『ゴムの実』って、そんなに凄いものなのですか。
是非、手に入れてみたいものですわ。」
ミントさんの話を聞いたお義母さんは興奮して顔を上気させていたよ。
逆にライム姉ちゃんは恥ずかしそうに無言で俯いちゃった。
そして…。
「……。」
「えっ! カズヤ殿下はその方のお子さんなのですか!
両陛下は金髪なのに、黒髪とは珍しいこともあることだと思っていましたが…。
でも、良いのですか?
そんな秘密を知り合ったばかりの私達に漏らしてしまって。」
あああ、言っちゃった…。
たとえ誰しもが思っている事でも、本人が言ったらダメでしょう。
グレーが黒になっちゃうから…。
「ナイショですよ。」
「もちろん、そんな特大な危険物、おいそれと口には出来ませんわ。」
お義母さんが口止めに同意して、ライム姉ちゃんは無言で首を縦に振っていたよ。
ライム姉ちゃん、聞かなきゃよかったって顔をしてたよ。
「マロンちゃんは今まで知っていて黙っていてくれたのよね?」
外野にいたおいらに、ミントさんがいきなり振って来たよ。
「うん、にっぽん爺から聞いていたからね。
それに、にっぽん爺が『カズト』で、娘さんが『カズミ』だもの。
殿下が『カズヤ』なら、知らなくても気付くよ。
同じ黒髪だし。」
「まあ、お利口さんね。
人の秘密をベラベラ口にしない子って好きよ。
本当に、これから仲良くしましょうね。」
ミントさん、おいらまで共犯にしようっての…。
「ネーブルちゃんも、このことは絶対に他言無用よ。」
お義母さんがネーブル姉ちゃんに口止めすると。
「ええっ、どうしようかな。
私のお願いも聞いてくれないと、口が滑っちゃうかも。」
「あら、大人を脅迫するなんて、悪い子ね。
何か、欲しい物があるのなら聞いてあげるわよ。
言ってみなさい。」
素直に言うことを聞かないネーブル姉ちゃんに、何か欲しいモノがあるのかとお義母さんは尋ねたんだ。
「姉上、何か、悪い顔をしているのじゃ。」
オランがネーブル姉ちゃんの顔つきを見て言ってたよ。
うん、何か悪いことを考えている笑い顔をしているよね。
「別に何か物を強請ろうと言う訳じゃないわ。
カズヤ殿下って、艶やかな黒髪が素敵ね。
とてもハンサムで、私、一目で気に入ってしまったの。
まだ、婚約者がいないのでしたら、私がお嫁に行きたいなと…。」
ネーブル姉ちゃん、カズヤ殿下を見てそんなことを考えていたんだ。
ネーブル姉ちゃんの言葉を聞いて、ミントさん、凄いニコニコ顔になったよ。
あっ、これ、大歓迎って顔だよね。
カズヤ殿下に見送られて王宮を飛び立ったおいら達は一直線にウエニアール国を目指すよ。
アルトが頑張って飛んでも、ウエニアール国の王都までは三日掛かる予定なんだ。
食事時以外はずっと移動する予定で、外の景色ばかり眺めていても飽きが来るだろうとのことで。
アルトは、「おしゃべりでもしてたら。」と言って、女性陣だけを一部屋に集めてくれたの。
何故か、オランも女性陣に含まれていたけれど…。
「こうして、お話をするのは初めてね、マロンちゃん。
面識のなかった私まで、お招きいただき有り難うね。
私、ウエニアール国へ行くの初めてだからとても楽しみなの。
しかも、こんな風に空を飛んで行けるなんて思わなかったわ。
こんな風に空から景色を見るのも初めてだし。
乗り心地の悪い馬車と違ってとても快適だわ。」
トアール国のお后様、ミントさんがご機嫌そうに声を掛けてきたの。
「おいらも、ミントさんと一度お話してみたいと思ってたんだ、
今回は、遠い所、来てもらって有り難う。」
「あら、マロンちゃんみたいな可愛い子に、そう言ってもらえるとお世辞でも嬉しいわ。
でも、私みたいなおばさんとお話しても退屈なんじゃないかしら?」
「そんなこと無いよ。
お后様は気さくな人でとっても美人だと聞いていたので、一度会ってみたかったの。」
「あら、誰から聞いたのかかしら?
マロンちゃんは王都に住んでいた訳ではないのよね。
私、王都と公爵領以外では人前に出たことが無いのだけど。」
ミントさんは、おいらがトアール国で平民として育ったことを知っているようで。
辺境の町で育ったおいらが、余り人前に姿を現さないミントさんを知っていたことに不思議に思ったみたい。
「おいらの育った家の隣に住んでいたにっぽん爺に聞いたんだ。」
「にっぽん爺? 珍しい名前の方ですね。
その方、王都か、公爵領に住んでいたことがあるのかしら?」
おいらが淹れたお茶に砂糖を入れて、クルクルとスプーンでかき混ぜながらミントさんは尋ねてきたの。
流石に、にっぽん爺じゃ分からないか。
「にっぽん爺ってのは名前じゃないんだ。
『にっぽん』という凄く遠い国から来たお爺ちゃんなんでそう呼んでいるの。
本名は、カズト・ツチヤだっけかな。
二十年くらい前に王都に住んでたらしいよ。
『ゴムの実』ってのを発見して凄く稼いでいたって。」
おいらの言葉を耳にして、ミントさんはスプーンを取り落としたんだ。
そして。
「それは、真ですか?
そのカズトと言う者、黒髪で隻眼隻腕の紳士ではありませんか?」
ミントさんったら、そんな問い掛けをしながらおいらに迫って来たよ。
「にっぽん爺、今はすっかり白髪になっているけど、隻眼隻腕ではあるよ。
カズミさんって名の娘さんが、ハテノ男爵領の騎士をしていて、時々泊っていくけど。
カズミさんは、カズヤ殿下そっくりの艶やかな黒髪をしているね。」
冒険者ギルドの『風呂屋』の支配人とコソコソやっている人を、紳士と呼んで良いのかは疑問だけどね。
おいらが、にっぽん爺の特徴を話すと…。
最初に反応したのはミントさんではなく、ライム姉ちゃんだった。
「ああ、やっとわかりました。
カズヤ殿下にお目に掛かった時、初対面な気がしなかったのです。
今までお目に掛かったことは無いはずなのに、どうしてかとモヤモヤしてたのですが。
カズミさん、そっくりなのですね。
艶やかな黒髪もさることながら、口元なども。
何か名前も似てますし、どうしてなのでしょう…。」
ポンと手を打ちながらそんなことを言って、最期は首を傾げていたよ。
「あの方が無事に生きていらっしゃる…。」
誰に聞かせると無く、そんな呟きを漏らしたミントさん。
その目元には、微かに涙を浮かべていたよ。
「あら、ミント陛下、どうなされたのです?」
ミントさんの様子がおかしいことに気付いたお義母さんが尋ねると。
「いえ、懐かしい方のお名前を耳にして…。
少々昔のことを思い出しただけでございます。
ご心配させてしまい恐縮です。」
ミントさんは努めて笑顔を見せるような仕種で、おいらに尋ねてきたの。
「ねえ、マロンちゃん。
もし、よろしければ、そのにっぽん爺のお話をもう少し聞かせて頂けるかしら。
今は、どんな暮らしをなされているの。
お金に困ってはいないかしら、体を壊していないかしら。」
「至って元気だよ。
おいらの育った家と同じ鉱山住宅に住んでいるから、質素な暮らしはしているけど。
町にいっぱい土地建物を持ってて、最近は大家の収入が沢山あるとかいってたし。
最近は、色々な服のデザインで荒稼ぎしているらしいよ。
おいらが即位式で着るドレスも、にっぽん爺がデザインしてくれたんだ。」
おいらは、それからしばらくにっぽん爺の近況を話してあげたんだ。
『STD四十八』や騎士のお姉ちゃんが興行で歌う歌を考えているのもにっぽん爺だし。
興行のステージ衣装やギルドの『風呂屋』の制服のデザインなんかもしているって。
おいらの話を聞いて。
「ああ、あの方のデザインする服はどれも素晴らしいですわ。
枯れかけた殿方でも、奮い立たせてしまうのですもの。
寝所であの服を着ましたら、旦那がケダモノになりましたもの。
ここ十年ご無沙汰でしたのに。」
「お母様、はしたないですわよ。」
お義母さんがにっぽん爺がデザインした服を大絶賛すると、ネーブル姉ちゃんが諫めていたよ。
はしたないって、あんな慎みの無い服を着ることがかな?
「まあっ、あの方が元気そうで安心しましたわ。
急に王都を追われることになって、無事でいるのか心配をしていたのです。
他に何か、あの方にまつわる面白いお話とかありませんか。」
「最近はギルドの『風呂屋』の支配人と新しいサービスの相談をしているよ。
何でも、にっぽん爺が知っている色々な技を伝授したいんだって。
生まれ故郷の『にっぽん』で培った知識を、この地に残したいって言ってた。
自分がこの地に生きた証にしたいんだって。
どんなことをするのかおいらには分からないけど。
泡姫さんに実地で指導なんかもしてるみたい。」
「まあ、『実演販売』ですか、懐かしいですわ。
真に、あの方の『実演販売』は天にも昇る心地でした。
今でも思い出すと、体の芯が疼いてしまいます。」
おいらの話を聞いていて、うっとりした表情になってそんな言葉を口にしたミントさん。
いや、それ、他の人に聞かれたら拙いんじゃないの。
「何ですか、その『実演販売』というのは。
興味あります、詳しくお聞かせ願えませんか。」
ほら、お義母さんが喰い付いた…。
すると、ミントさんはお義母さんとライム姉ちゃんに手招きし、ヒソヒソと内緒話を始めたんだ。
どうやら、おいらやネーブル姉ちゃんには聞かせることが出来ない話みたい。
「えっ、そんな事までするんですの。」
「……。」
「凄い、私、そんなことされたら乱れまくってしまいますわ。」
「……。」
「まあ、『ゴムの実』って、そんなに凄いものなのですか。
是非、手に入れてみたいものですわ。」
ミントさんの話を聞いたお義母さんは興奮して顔を上気させていたよ。
逆にライム姉ちゃんは恥ずかしそうに無言で俯いちゃった。
そして…。
「……。」
「えっ! カズヤ殿下はその方のお子さんなのですか!
両陛下は金髪なのに、黒髪とは珍しいこともあることだと思っていましたが…。
でも、良いのですか?
そんな秘密を知り合ったばかりの私達に漏らしてしまって。」
あああ、言っちゃった…。
たとえ誰しもが思っている事でも、本人が言ったらダメでしょう。
グレーが黒になっちゃうから…。
「ナイショですよ。」
「もちろん、そんな特大な危険物、おいそれと口には出来ませんわ。」
お義母さんが口止めに同意して、ライム姉ちゃんは無言で首を縦に振っていたよ。
ライム姉ちゃん、聞かなきゃよかったって顔をしてたよ。
「マロンちゃんは今まで知っていて黙っていてくれたのよね?」
外野にいたおいらに、ミントさんがいきなり振って来たよ。
「うん、にっぽん爺から聞いていたからね。
それに、にっぽん爺が『カズト』で、娘さんが『カズミ』だもの。
殿下が『カズヤ』なら、知らなくても気付くよ。
同じ黒髪だし。」
「まあ、お利口さんね。
人の秘密をベラベラ口にしない子って好きよ。
本当に、これから仲良くしましょうね。」
ミントさん、おいらまで共犯にしようっての…。
「ネーブルちゃんも、このことは絶対に他言無用よ。」
お義母さんがネーブル姉ちゃんに口止めすると。
「ええっ、どうしようかな。
私のお願いも聞いてくれないと、口が滑っちゃうかも。」
「あら、大人を脅迫するなんて、悪い子ね。
何か、欲しい物があるのなら聞いてあげるわよ。
言ってみなさい。」
素直に言うことを聞かないネーブル姉ちゃんに、何か欲しいモノがあるのかとお義母さんは尋ねたんだ。
「姉上、何か、悪い顔をしているのじゃ。」
オランがネーブル姉ちゃんの顔つきを見て言ってたよ。
うん、何か悪いことを考えている笑い顔をしているよね。
「別に何か物を強請ろうと言う訳じゃないわ。
カズヤ殿下って、艶やかな黒髪が素敵ね。
とてもハンサムで、私、一目で気に入ってしまったの。
まだ、婚約者がいないのでしたら、私がお嫁に行きたいなと…。」
ネーブル姉ちゃん、カズヤ殿下を見てそんなことを考えていたんだ。
ネーブル姉ちゃんの言葉を聞いて、ミントさん、凄いニコニコ顔になったよ。
あっ、これ、大歓迎って顔だよね。
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