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第十章 続・ハテノ男爵領再興記
第229話 再会できて良かったね
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「アルト様、いったい何でしょうか。
いきなりお越しになられたかと思えば、すぐについてこいなどと…。」
ライム姉ちゃんが新たに雇い入れた五人を紹介している時のこと。
アルトが何処かへ飛んで行ったかと思えば、廊下からそんな声が聞こえてきたんだ。
「いいから、ライムの部屋に入るのよ。」
アルトは目的を伝えずに部屋に入れとだけ、パターツさんに伝えていたよ。
そのまま、アルトは部屋の扉を蹴とばしたみたいでノックの音が聞こえたの。
「はぁ…。
失礼します、ライム様、何かお呼びでしょうか?」
何も知らされないで、部屋に入ってきた様子のパターツさん。
そこに居並ぶおっちゃん達を目にして…。
「お父様?」
狐につままれたような表情で呟いたんだ。
そこにいるはずのない人を目にして、呆然と立ち竦むパターツさん。
「パターツか…。良くぞ無事に生き延びてくれた…。」
グラッセ子爵はそう言うと、パターツさんに歩み寄りギュッと抱きしめたんだ。
「生きて再び、娘を抱きしめることが出来るとは思いもしなかった。
もう二度と会うことは叶わないと諦めていたのに…。
良くぞ、無事で…。」
「お父様…。」
その後しばらくは、二人とも無言で抱きしめ合っていたよ。
「これはいったいどのような状況なのでしょうか?」
ライム姉ちゃんが首を傾げながら尋ねてきたよ。
パターツさんがウエニアール国の出身だとすら知らされてなかったからね。
「見ての通り、パターツさんはグラッセ子爵の娘よ。
八年前にウエニアール国で簒奪が行われた時、パターツさんは王宮に勤めていたのよ。
難を逃れてこの国の市中に潜伏していたの。」
「えっ、アルト様は最初からご存じだったのですか?
王都で偶々拾ったとしか伺ってなかったのですが…。」
「まあね、色々と訳有りなんでね。
あの時点ではライムには言わなかったの。」
「訳有りですか?」
ライム姉ちゃんは釈然としない表情で、更に尋ねたんだけど…。
「ドウス子爵夫人がご無事でこちらにいらっしゃるということは…。
マロン姫様はご存命なのでしょうか? 今、どちらに?」
抱擁するグラッセ親娘を目にして、雇い入れた五人の中から尋ねる声が上がったの。
「あら、あなた達、気付いてなかったの?
ずっと一緒にいたじゃない。」
「えっ!」
アルトの一言に驚きの声が上がり…。
その場にいるみんなの視線がおいらに集まったよ。
良いの? バラしちゃって?
**********
誰とは言っていないものの、マロン姫の存在を明かしてしまったアルト。
みんなの視線がおいらに注がれる中、ライム姉ちゃんが尋ねてきたの。
「もしかして、マロン姫というのはマロンちゃんのこと?
マロンちゃんって、ウエニアール国のお姫様だったの?」
ライム姉ちゃん、寝耳に水って感じの表情を浮かべていたよ。
「何かね、ウエニアール国でマロンに懸賞金が懸けられたみたいなの。
それを知ったパターツさんが、マロンの身を心配して王都へ駆けつけてきたのよ。
それで、偶然王都で出会うことになったの。」
アルトは、おいらに『尋ね人』をお触れ書きを出すように言い。
それを見せながら、今までの経緯を説明したんだ。
もちろん、ウエニアール国から送られてきた騎士の話も全部暴露しちゃったよ。
「シタニアール国の王宮でマロンがグラッセのお爺ちゃんを勧誘しなければ。
私が勧誘しようと思っていたのよ。
全員がマロンの姿を目撃しているからね。
マロンの正体に気付いた者がいないとは限らないからね。
シタニアール国へ帰したら拙いと思ったの。」
例えあの時点で気付いてなくても、いつか、ふとした弾みで気付くかもしれないからって。
あの場にいたおいらがマロン姫じゃないかと。
だから、アルトはこの五人を自分の目の届くところに置いておきたかったみたい。
そんなことを言った後、アルトは五人に脅迫していたよ。
「マロンの事を外部に漏らす者がいれば、この世界から消えてもらうわ。
それと、マロンを担ぎ出して、王権の奪還を図ろうなんて思うんじゃないわよ。
マロンは、平民の娘として平穏な生活を送っているのだから。」
グラッセ爺ちゃんはこの前約束してくれたけど、他の四人は今日初めて知ったんだもん。
おいらを担ぎ出して、王家の復活を図ろうという人がいないとも限らないもんね。
今の王様に恨みを持っている人も多いだろうから。
そんなことが起こらないように予め釘を刺したみたい。
全員、ウエニアール国の不良騎士五人が焼き殺されるところを間近に見ているものね。
アルトに逆らうとどうなるかよく理解しているようで、青い顔をして頷いていたよ。
「しかし、マロン姫様はそれでよろしいのですか?
お父上、お母上の仇を取りたいとは思わないのですか?
一生平民として暮らしていくことに納得されているのですか?」
五人の中の一人がそんな事を尋ねてきたんだ。
「おいら、何か月か前にパターツさんと出会うまで、自分がお姫様だなんて知らなかったもん。
物心ついてからずっと平民として暮らして来たんだもの、別に何の不満も無いよ。
それに会ったことも無い両親の仇打ちなんて言われてもピンとこないよ。
おいらには、ずっと大事に育ててくれた父ちゃんがいるからね。」
「そうですか…。
簒奪があったのは、姫様が産まれて間もない頃。
殿下やお妃様の記憶がなくても致し方ございません。
分かりました、姫様の事は一切漏らさないと誓います。」
やっぱり、おいらを担ぎ出したいという気持ちが、心のどこかにあったみたいだね。
おいらにその気がないと分かると。
みんな、少し落胆した表情で、アルトの指示に誓うと言ってくれたよ。
**********
ライム姉ちゃんからゼンベー爺ちゃんへの報告を終えると。
新たに雇い入れた五人は、ゼンベー爺ちゃんと家宰のセバスさんに任せたんだ。
それで、おいら達は騎士団の詰め所に向かったの。
そこに集まった騎士は、おいらの住む町の警備にあたっている五人を除いた四十五人。
その騎士達にアルトは告げたの。
「みんな、今回はお疲れさま。
みんなのおかげで、ハテノ男爵領の復興計画に大分目途が立って来たわ。
これから、今回の報酬を渡すから受け取ってね。」
アルトは一人一人の前に『生命の欠片』を積み上げたんだ。
講和の条件の中で、ハテノ男爵領に侵略してきた五十人の騎士から巻き上げた『生命の欠片』だね。
アルトはこれからやろうとしている計画のために、騎士団の一段の強化を検討していたんだ。
ハテノ男爵領騎士団が発足した時に、騎士団のお姉ちゃん達にアルトが『生命の欠片』を分け与えたよね。
そのおかげで、今レベル二十に揃えられていて、騎士団長のクッころさんだけがレベル三十なっているの。
でも、アルトが計画している作戦を実行するにはそれでは心許ないんだって。
アルトは騎士団員は最低でもレベル三十くらいにして、クッころさんはレベル五十くらいに上げたいそうなの。
でも、そんな高レベルの魔物って、魔物の領域まで行かないといないから。
どうやって、レベルを上げさせるか検討していたんだよ。
そんな時に、カモがネギをしょってやって来てくれたんだ。イナッカ辺境伯領の騎士団。
シタニアール国でも古くから続く辺境伯だから、仕える騎士のレベルも高いと踏んだらしいの。
「さすが、歴史ある辺境伯家の騎士団ね。
全員がレベル三十以上だったわ。
全く、せっかくの高レベルなのにロクに鍛錬もせずに。
若い娘の拉致しかしてないんじゃ宝の持ち腐れよね。
取り敢えず、全員にレベル三十まで上げるのに必要な『生命の欠片』を渡しておくわね。」
思惑通り、イナッカ辺境伯領の騎士団は高レベル揃いだったようで、アルトはご満悦だったよ。
騎士団のお姉ちゃん全員が『生命の欠片』をその身に取り込んだのを確認したアルト。
今度は、レモン兄ちゃんに向かって尋ねたの。
「レモン、人の間ではレベルを問うのはタブーらしいけど。
敢えて聞くわよ。
あんた、今、レベル幾つ?」
「私ですか。
私は王族と言っても、王位を継ぐ予定はありませんでしたからね。
恥ずかしながら、お情け程度のレベルしかありません。
現在、レベル十です。」
「悪かったね、人前でレベルを晒させてしまって。
じゃあ、あんたにもこれを渡しておくわ。
いざという時に、ライムを守ってもらわないといけないからね。
あんまりレベルが低いと困るわ。」
アルトはレモン兄ちゃんのレベルを教えてもらうと、やっぱり『生命の欠片』を積み上げたよ。
レモン兄ちゃん、目の前に積み上がった『生命の欠片』を見て息を飲んだよ。
「よろしいのですか?
貴重な『生命の欠片』をこんなに沢山頂いてしまって。
私、こんな数の『生命の欠片』を見るのは生まれて初めてなのですが。」
目を丸くして尋ねたレモン兄ちゃんだけど、アルトが頷くと『生命の欠片』を取り込んだの。
「凄い、体の中から力が湧いてくるようだ…。
今のレベルは…、えっ、レベル三十だって…。」
どうやら、アルトはレモン兄ちゃんも騎士団と同じレベルまで引き上げたらしいね。
「そのくらいないと、いざという時に足手まといになるからね。
有事に際しては身を挺してライムを守れるように、鍛錬を欠かすんじゃないわよ。」
突然レベルが上がって戸惑うレモン兄ちゃんに、アルトが釘を刺していたよ。
「あの、アルト様…。
騎士団をこんなに強化してどうするおつもりですか。
まさか、どっかの国に喧嘩を売るつもりではないですよね。」
レモン兄ちゃんは恐る恐る尋ねてきたんだ。
シタニアール国の王家もあんまり好戦的ではないみたいだからね。
アルトが戦を起こすつもなのではと警戒したみたい。
「私が戦争なんて起こさせる訳が無いでしょう。
人と人とが争うなんて、私が一番見たくない光景よ。
さっき言ったでしょう。
あんたに、この領地に婿入りして良かったと、思わせてあげるって。
ハテノ男爵領の再興の最終段階はね…。
ダイヤモンド鉱山の奪還よ!」
アルトはこの時初めて、おいらとライム姉ちゃん以外にプランを明かしたんだ。
いきなりお越しになられたかと思えば、すぐについてこいなどと…。」
ライム姉ちゃんが新たに雇い入れた五人を紹介している時のこと。
アルトが何処かへ飛んで行ったかと思えば、廊下からそんな声が聞こえてきたんだ。
「いいから、ライムの部屋に入るのよ。」
アルトは目的を伝えずに部屋に入れとだけ、パターツさんに伝えていたよ。
そのまま、アルトは部屋の扉を蹴とばしたみたいでノックの音が聞こえたの。
「はぁ…。
失礼します、ライム様、何かお呼びでしょうか?」
何も知らされないで、部屋に入ってきた様子のパターツさん。
そこに居並ぶおっちゃん達を目にして…。
「お父様?」
狐につままれたような表情で呟いたんだ。
そこにいるはずのない人を目にして、呆然と立ち竦むパターツさん。
「パターツか…。良くぞ無事に生き延びてくれた…。」
グラッセ子爵はそう言うと、パターツさんに歩み寄りギュッと抱きしめたんだ。
「生きて再び、娘を抱きしめることが出来るとは思いもしなかった。
もう二度と会うことは叶わないと諦めていたのに…。
良くぞ、無事で…。」
「お父様…。」
その後しばらくは、二人とも無言で抱きしめ合っていたよ。
「これはいったいどのような状況なのでしょうか?」
ライム姉ちゃんが首を傾げながら尋ねてきたよ。
パターツさんがウエニアール国の出身だとすら知らされてなかったからね。
「見ての通り、パターツさんはグラッセ子爵の娘よ。
八年前にウエニアール国で簒奪が行われた時、パターツさんは王宮に勤めていたのよ。
難を逃れてこの国の市中に潜伏していたの。」
「えっ、アルト様は最初からご存じだったのですか?
王都で偶々拾ったとしか伺ってなかったのですが…。」
「まあね、色々と訳有りなんでね。
あの時点ではライムには言わなかったの。」
「訳有りですか?」
ライム姉ちゃんは釈然としない表情で、更に尋ねたんだけど…。
「ドウス子爵夫人がご無事でこちらにいらっしゃるということは…。
マロン姫様はご存命なのでしょうか? 今、どちらに?」
抱擁するグラッセ親娘を目にして、雇い入れた五人の中から尋ねる声が上がったの。
「あら、あなた達、気付いてなかったの?
ずっと一緒にいたじゃない。」
「えっ!」
アルトの一言に驚きの声が上がり…。
その場にいるみんなの視線がおいらに集まったよ。
良いの? バラしちゃって?
**********
誰とは言っていないものの、マロン姫の存在を明かしてしまったアルト。
みんなの視線がおいらに注がれる中、ライム姉ちゃんが尋ねてきたの。
「もしかして、マロン姫というのはマロンちゃんのこと?
マロンちゃんって、ウエニアール国のお姫様だったの?」
ライム姉ちゃん、寝耳に水って感じの表情を浮かべていたよ。
「何かね、ウエニアール国でマロンに懸賞金が懸けられたみたいなの。
それを知ったパターツさんが、マロンの身を心配して王都へ駆けつけてきたのよ。
それで、偶然王都で出会うことになったの。」
アルトは、おいらに『尋ね人』をお触れ書きを出すように言い。
それを見せながら、今までの経緯を説明したんだ。
もちろん、ウエニアール国から送られてきた騎士の話も全部暴露しちゃったよ。
「シタニアール国の王宮でマロンがグラッセのお爺ちゃんを勧誘しなければ。
私が勧誘しようと思っていたのよ。
全員がマロンの姿を目撃しているからね。
マロンの正体に気付いた者がいないとは限らないからね。
シタニアール国へ帰したら拙いと思ったの。」
例えあの時点で気付いてなくても、いつか、ふとした弾みで気付くかもしれないからって。
あの場にいたおいらがマロン姫じゃないかと。
だから、アルトはこの五人を自分の目の届くところに置いておきたかったみたい。
そんなことを言った後、アルトは五人に脅迫していたよ。
「マロンの事を外部に漏らす者がいれば、この世界から消えてもらうわ。
それと、マロンを担ぎ出して、王権の奪還を図ろうなんて思うんじゃないわよ。
マロンは、平民の娘として平穏な生活を送っているのだから。」
グラッセ爺ちゃんはこの前約束してくれたけど、他の四人は今日初めて知ったんだもん。
おいらを担ぎ出して、王家の復活を図ろうという人がいないとも限らないもんね。
今の王様に恨みを持っている人も多いだろうから。
そんなことが起こらないように予め釘を刺したみたい。
全員、ウエニアール国の不良騎士五人が焼き殺されるところを間近に見ているものね。
アルトに逆らうとどうなるかよく理解しているようで、青い顔をして頷いていたよ。
「しかし、マロン姫様はそれでよろしいのですか?
お父上、お母上の仇を取りたいとは思わないのですか?
一生平民として暮らしていくことに納得されているのですか?」
五人の中の一人がそんな事を尋ねてきたんだ。
「おいら、何か月か前にパターツさんと出会うまで、自分がお姫様だなんて知らなかったもん。
物心ついてからずっと平民として暮らして来たんだもの、別に何の不満も無いよ。
それに会ったことも無い両親の仇打ちなんて言われてもピンとこないよ。
おいらには、ずっと大事に育ててくれた父ちゃんがいるからね。」
「そうですか…。
簒奪があったのは、姫様が産まれて間もない頃。
殿下やお妃様の記憶がなくても致し方ございません。
分かりました、姫様の事は一切漏らさないと誓います。」
やっぱり、おいらを担ぎ出したいという気持ちが、心のどこかにあったみたいだね。
おいらにその気がないと分かると。
みんな、少し落胆した表情で、アルトの指示に誓うと言ってくれたよ。
**********
ライム姉ちゃんからゼンベー爺ちゃんへの報告を終えると。
新たに雇い入れた五人は、ゼンベー爺ちゃんと家宰のセバスさんに任せたんだ。
それで、おいら達は騎士団の詰め所に向かったの。
そこに集まった騎士は、おいらの住む町の警備にあたっている五人を除いた四十五人。
その騎士達にアルトは告げたの。
「みんな、今回はお疲れさま。
みんなのおかげで、ハテノ男爵領の復興計画に大分目途が立って来たわ。
これから、今回の報酬を渡すから受け取ってね。」
アルトは一人一人の前に『生命の欠片』を積み上げたんだ。
講和の条件の中で、ハテノ男爵領に侵略してきた五十人の騎士から巻き上げた『生命の欠片』だね。
アルトはこれからやろうとしている計画のために、騎士団の一段の強化を検討していたんだ。
ハテノ男爵領騎士団が発足した時に、騎士団のお姉ちゃん達にアルトが『生命の欠片』を分け与えたよね。
そのおかげで、今レベル二十に揃えられていて、騎士団長のクッころさんだけがレベル三十なっているの。
でも、アルトが計画している作戦を実行するにはそれでは心許ないんだって。
アルトは騎士団員は最低でもレベル三十くらいにして、クッころさんはレベル五十くらいに上げたいそうなの。
でも、そんな高レベルの魔物って、魔物の領域まで行かないといないから。
どうやって、レベルを上げさせるか検討していたんだよ。
そんな時に、カモがネギをしょってやって来てくれたんだ。イナッカ辺境伯領の騎士団。
シタニアール国でも古くから続く辺境伯だから、仕える騎士のレベルも高いと踏んだらしいの。
「さすが、歴史ある辺境伯家の騎士団ね。
全員がレベル三十以上だったわ。
全く、せっかくの高レベルなのにロクに鍛錬もせずに。
若い娘の拉致しかしてないんじゃ宝の持ち腐れよね。
取り敢えず、全員にレベル三十まで上げるのに必要な『生命の欠片』を渡しておくわね。」
思惑通り、イナッカ辺境伯領の騎士団は高レベル揃いだったようで、アルトはご満悦だったよ。
騎士団のお姉ちゃん全員が『生命の欠片』をその身に取り込んだのを確認したアルト。
今度は、レモン兄ちゃんに向かって尋ねたの。
「レモン、人の間ではレベルを問うのはタブーらしいけど。
敢えて聞くわよ。
あんた、今、レベル幾つ?」
「私ですか。
私は王族と言っても、王位を継ぐ予定はありませんでしたからね。
恥ずかしながら、お情け程度のレベルしかありません。
現在、レベル十です。」
「悪かったね、人前でレベルを晒させてしまって。
じゃあ、あんたにもこれを渡しておくわ。
いざという時に、ライムを守ってもらわないといけないからね。
あんまりレベルが低いと困るわ。」
アルトはレモン兄ちゃんのレベルを教えてもらうと、やっぱり『生命の欠片』を積み上げたよ。
レモン兄ちゃん、目の前に積み上がった『生命の欠片』を見て息を飲んだよ。
「よろしいのですか?
貴重な『生命の欠片』をこんなに沢山頂いてしまって。
私、こんな数の『生命の欠片』を見るのは生まれて初めてなのですが。」
目を丸くして尋ねたレモン兄ちゃんだけど、アルトが頷くと『生命の欠片』を取り込んだの。
「凄い、体の中から力が湧いてくるようだ…。
今のレベルは…、えっ、レベル三十だって…。」
どうやら、アルトはレモン兄ちゃんも騎士団と同じレベルまで引き上げたらしいね。
「そのくらいないと、いざという時に足手まといになるからね。
有事に際しては身を挺してライムを守れるように、鍛錬を欠かすんじゃないわよ。」
突然レベルが上がって戸惑うレモン兄ちゃんに、アルトが釘を刺していたよ。
「あの、アルト様…。
騎士団をこんなに強化してどうするおつもりですか。
まさか、どっかの国に喧嘩を売るつもりではないですよね。」
レモン兄ちゃんは恐る恐る尋ねてきたんだ。
シタニアール国の王家もあんまり好戦的ではないみたいだからね。
アルトが戦を起こすつもなのではと警戒したみたい。
「私が戦争なんて起こさせる訳が無いでしょう。
人と人とが争うなんて、私が一番見たくない光景よ。
さっき言ったでしょう。
あんたに、この領地に婿入りして良かったと、思わせてあげるって。
ハテノ男爵領の再興の最終段階はね…。
ダイヤモンド鉱山の奪還よ!」
アルトはこの時初めて、おいらとライム姉ちゃん以外にプランを明かしたんだ。
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