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第十章 続・ハテノ男爵領再興記
第207話 ハテノ男爵領、順調に発展中だよ!
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ベヒーモス退治で、『ゴムの実』の果肉の効果を確認したアルトだけど。
これから『ゴムの実』を付けるトレントを増やして、『果肉』をもっと沢山溜めるって張り切ってたよ。
アルトが考えていることを実行するには、『果肉』がまだまだ足りないみたい。
それと、ノーム爺と何か相談していた。
新型の弓よりもっと威力のある飛び道具が欲しいんだって。
トドメを刺すために近寄らないといけないんじゃ、『果肉』の影響を受けちゃうからって。
そのゴムの実の果肉の影響がどんなものかと言うと…。
ベヒーモス退治から戻って来た時、おいらだけ『積載庫』から降ろされたんだ。
ベヒーモスを退治した後、父ちゃんとミンミン姉ちゃんは別の『特別席』に入れられていたの。
父ちゃんがゴムの実の果肉の影響を受けているみたいだから、二人きりにしてあげるんだって。
で、また半日くらい掛けて帰って来たんだけど。
おいらを積載庫から降ろしたアルトが言ったの。
「マロンのお父さん、まだ果肉の影響が抜けてないみたい…。
今、真っ最中だから、もう少し『特別席』を提供しておくわ。」
それからしばらくして、着崩して髪を乱したミンミン姉ちゃんが父ちゃんと一緒に出て来て…。
「『ゴムの実』の果肉って凄いわね…。
あんな獣のようになったモリィシーは初めてだったわ。
でも、なんて恐ろしいシロモノなの。
食べなくても、周りにばらまいただけで影響を受けるなんて。」
肩で息をしながら言ってたよ。
それも、アルトが確かめたかったことらしいよ。
そんなに強力な効果があるなら。
別に食べなくても、周りにまくだけでも影響を受けるんじゃないかってね。
ベヒーモスを退治して、おいらにどんな得があったかと言うと…。
レベルがドーンっと上がったよ、四十三だったレベルが一気に五十一にね。
ベヒーモスはレベル五十だったみたいで。
スキル『金貨収穫量増加』レベル十一の効果で、六倍の『生命の欠片』が手に入ったの。
もう、手に入った『生命の欠片』は数えられる数字じゃなかったよ。
父ちゃんが倒したベヒーモスはレベルが幾つだったかは聞かなかったけど。
ミンミン姉ちゃんと二人で分ければ良いと言って、アルトが渡してた『生命の欠片』。
父ちゃんとミンミン姉ちゃんが話し合って、結局他三人のお嫁さんにも分けたんだ。
もしもの時に、身を護れるようにレベルを上げておいた方が良いってね。
レベルについて聞くのはマナー違反だから、それでレベルが幾つになったのかは聞かなかったけどね。
そういえば、おいらが倒したベヒーモスはレベル五十だったみたいだけど。
魔物ってレベル五十くらいになると知恵がついて魔王になるんじゃいないの?
あのベヒーモス、喋れなかったし。
おいらがアルトにそれを尋ねたら…。
「全部が全部、知恵をつけて魔王になる訳じゃないわよ。
そんなことになったら、魔王で溢れちゃうじゃない。
この世界にはレベル五十を超える魔物なんて、ごまんといるのだもの。
闘争本能が強すぎる魔物から魔王が生まれることは少ないわ。
人が『厄災』と呼ぶ魔物の多くはレベル五十以上よ。」
なんだって。
だから、『シマリス』とか、『ハエ』とかあんまり闘争本能が強そうじゃない魔物から魔王が出るんだ。
**********
それから、少し時間が流れて…。
おいらは九歳になったよ。
それで、無事に妹が出来た、…二十人も。
耳長族の里はかつてないベビーブームだって。
赤ちゃんを産んだお姉ちゃんの殆どは『STD四十八』の連中のお嫁さんになっちゃったんで。
おいらの妹となっているのは、父ちゃんのお嫁さんになった三人の赤ちゃんだけだけどね。
父ちゃんは、可愛い赤ちゃんに囲まれて幸せそうだよ。
町も順調に発展しているよ。
領都は、トレントの木炭を買い付けにひっきりなしに人が訪れるようなったし。
ライム姉ちゃんの屋敷を開放しての公演会も、大好評で毎回満席になってるの。
領主のライム姉ちゃんや騎士団長のクッころさん、それにペンネ姉ちゃんを初めとする騎士団のみんな。
飛び切りの美人揃いで、高貴な身分の若い女の子が、色っぽい衣装で歌を披露するのが大人気。
それに加えて、普通なら平民は立ち入ることが出来ない貴族の屋敷が、会場だものね。
そんな物珍しさも手伝って、最近ではチケットが手に入らない事も有るらしいよ。
おいらの住む町も、『STD四十八』の興行は相変わらずの人気だし。
王都でも中々手に入らない『山の民』の刀剣や武具が手に入ることが口コミで広がって。
最近では、『山の民』の作品を目当てにやってくる人も増えてるみたい。
それと、町に人を呼ぶのに一役買っているのがもう一人。
それが、にっぽん爺。
にっぽん爺が次々と生み出すステージ衣装が大好評で。
同じようなデザインの服が欲しいと注文に来る人が増えているんだ。
ほとんどが、ギルドが経営する風呂屋や酒場の人らしいけど…。
泡姫さんや酌婦さんの制服を作って欲しいと、この国の各地から依頼が舞い込んでいるらしいよ。
製作を担当しているシフォン姉ちゃんも大忙しで、耳長族へ頼む仕事も増えているみたい。
アルトは、風紀を乱すような服が流行ることに、顔をしかめていたけど。
それで耳長族の収入が増えるのだから、仕方がないと思うことにしたみたい。
ベビーブームと言えば、おいらの住む町もそうなんだ。
シフォン姉ちゃんがやって来て三ヶ月を過ぎた辺りから、赤ちゃんが出来る夫婦が増えたんだって。
もう半年もしないで、出産ラッシュになるらしいよ。
何でも、最初はおいらとは反対側のタロウの隣の家の若奥さんで、次は裏の家の若奥さんだったらしいの。
シフォン姉ちゃんが漏らす声に触発されたって、近所のオバチャン達の間でもっぱらの評判だよ。
シフォン姉ちゃんが売り出したパンツも一役かっていると言う噂もあるけど、どういう意味なんだろう…。
**********
そんなある日。
おいらが日課のシューティング・ビーンズ狩りを終えて、町へ戻る途中のこと。
草原の中の道を歩いていると、珍しく西の方角から来る馬車が見えたの。
おいら達の住む町はこの国の南西の端っこにあって。
南には『シタニアール国』との国境になっている高い山脈があるんだ。
西には草原が広がっていて、しばらく行くとだだっ広い魔物の領域。
魔物の領域の更に先に『サニアール国』って国があるらしいけど。
魔物の領域を人が越えるのは難しいから、交易は全くないんだ。
この町より西側には、町はおろか、村一つないからね。
西の方角から馬車がやってくるなんて、本当に珍しいの。
おいらが西からやって来た人を見たのはノーム爺ぐらいだよ。
ノーム爺の話だと、西へ行くと魔物の領域の手前に南に折れる道があるそうだよ。
南の山脈の途切れた谷に沿って『シタニアール国』の町に繋がっているみたいなの。
おいらの住む町がダイヤモンド鉱山で栄えていた頃はその道を使って交易があったんだって。
スタンピードで鉱山が潰れて町が廃れちゃってからは交易が無くなったみたいなの。
おいらが西からやって来た馬車を物珍し気に見ていると。
「おや、こんな草原の中を小さなお嬢ちゃんが一人で出歩ているなんて珍しい。
お嬢ちゃん、こんな所にいると言うことは町はもう近いのかい?」
幌をかけた馬車の御者台に、御者と共に座っていたおっちゃんがおいらに尋ねてきたよ。
「うん、おいらの足で歩いても、ものの一時間も掛からないよ。」
「おお、そうかい。お嬢ちゃん、有り難うよ。
お嬢ちゃんも町へ帰るんだったら、乗って行かないかい。
『トレントの木炭』を買い付けに『シタニアール国』から来たんだけどね。
この辺のことは詳しくないんで、道すがら少し話を聞かせてはくれないか。」
やっぱり、『シタニアール国』からはるばるやって来た商人さんだったみたい。
町の話を聞かせて欲しいと言うんで、おいらは町まで乗せてもらう事にしたんだ。
これから『ゴムの実』を付けるトレントを増やして、『果肉』をもっと沢山溜めるって張り切ってたよ。
アルトが考えていることを実行するには、『果肉』がまだまだ足りないみたい。
それと、ノーム爺と何か相談していた。
新型の弓よりもっと威力のある飛び道具が欲しいんだって。
トドメを刺すために近寄らないといけないんじゃ、『果肉』の影響を受けちゃうからって。
そのゴムの実の果肉の影響がどんなものかと言うと…。
ベヒーモス退治から戻って来た時、おいらだけ『積載庫』から降ろされたんだ。
ベヒーモスを退治した後、父ちゃんとミンミン姉ちゃんは別の『特別席』に入れられていたの。
父ちゃんがゴムの実の果肉の影響を受けているみたいだから、二人きりにしてあげるんだって。
で、また半日くらい掛けて帰って来たんだけど。
おいらを積載庫から降ろしたアルトが言ったの。
「マロンのお父さん、まだ果肉の影響が抜けてないみたい…。
今、真っ最中だから、もう少し『特別席』を提供しておくわ。」
それからしばらくして、着崩して髪を乱したミンミン姉ちゃんが父ちゃんと一緒に出て来て…。
「『ゴムの実』の果肉って凄いわね…。
あんな獣のようになったモリィシーは初めてだったわ。
でも、なんて恐ろしいシロモノなの。
食べなくても、周りにばらまいただけで影響を受けるなんて。」
肩で息をしながら言ってたよ。
それも、アルトが確かめたかったことらしいよ。
そんなに強力な効果があるなら。
別に食べなくても、周りにまくだけでも影響を受けるんじゃないかってね。
ベヒーモスを退治して、おいらにどんな得があったかと言うと…。
レベルがドーンっと上がったよ、四十三だったレベルが一気に五十一にね。
ベヒーモスはレベル五十だったみたいで。
スキル『金貨収穫量増加』レベル十一の効果で、六倍の『生命の欠片』が手に入ったの。
もう、手に入った『生命の欠片』は数えられる数字じゃなかったよ。
父ちゃんが倒したベヒーモスはレベルが幾つだったかは聞かなかったけど。
ミンミン姉ちゃんと二人で分ければ良いと言って、アルトが渡してた『生命の欠片』。
父ちゃんとミンミン姉ちゃんが話し合って、結局他三人のお嫁さんにも分けたんだ。
もしもの時に、身を護れるようにレベルを上げておいた方が良いってね。
レベルについて聞くのはマナー違反だから、それでレベルが幾つになったのかは聞かなかったけどね。
そういえば、おいらが倒したベヒーモスはレベル五十だったみたいだけど。
魔物ってレベル五十くらいになると知恵がついて魔王になるんじゃいないの?
あのベヒーモス、喋れなかったし。
おいらがアルトにそれを尋ねたら…。
「全部が全部、知恵をつけて魔王になる訳じゃないわよ。
そんなことになったら、魔王で溢れちゃうじゃない。
この世界にはレベル五十を超える魔物なんて、ごまんといるのだもの。
闘争本能が強すぎる魔物から魔王が生まれることは少ないわ。
人が『厄災』と呼ぶ魔物の多くはレベル五十以上よ。」
なんだって。
だから、『シマリス』とか、『ハエ』とかあんまり闘争本能が強そうじゃない魔物から魔王が出るんだ。
**********
それから、少し時間が流れて…。
おいらは九歳になったよ。
それで、無事に妹が出来た、…二十人も。
耳長族の里はかつてないベビーブームだって。
赤ちゃんを産んだお姉ちゃんの殆どは『STD四十八』の連中のお嫁さんになっちゃったんで。
おいらの妹となっているのは、父ちゃんのお嫁さんになった三人の赤ちゃんだけだけどね。
父ちゃんは、可愛い赤ちゃんに囲まれて幸せそうだよ。
町も順調に発展しているよ。
領都は、トレントの木炭を買い付けにひっきりなしに人が訪れるようなったし。
ライム姉ちゃんの屋敷を開放しての公演会も、大好評で毎回満席になってるの。
領主のライム姉ちゃんや騎士団長のクッころさん、それにペンネ姉ちゃんを初めとする騎士団のみんな。
飛び切りの美人揃いで、高貴な身分の若い女の子が、色っぽい衣装で歌を披露するのが大人気。
それに加えて、普通なら平民は立ち入ることが出来ない貴族の屋敷が、会場だものね。
そんな物珍しさも手伝って、最近ではチケットが手に入らない事も有るらしいよ。
おいらの住む町も、『STD四十八』の興行は相変わらずの人気だし。
王都でも中々手に入らない『山の民』の刀剣や武具が手に入ることが口コミで広がって。
最近では、『山の民』の作品を目当てにやってくる人も増えてるみたい。
それと、町に人を呼ぶのに一役買っているのがもう一人。
それが、にっぽん爺。
にっぽん爺が次々と生み出すステージ衣装が大好評で。
同じようなデザインの服が欲しいと注文に来る人が増えているんだ。
ほとんどが、ギルドが経営する風呂屋や酒場の人らしいけど…。
泡姫さんや酌婦さんの制服を作って欲しいと、この国の各地から依頼が舞い込んでいるらしいよ。
製作を担当しているシフォン姉ちゃんも大忙しで、耳長族へ頼む仕事も増えているみたい。
アルトは、風紀を乱すような服が流行ることに、顔をしかめていたけど。
それで耳長族の収入が増えるのだから、仕方がないと思うことにしたみたい。
ベビーブームと言えば、おいらの住む町もそうなんだ。
シフォン姉ちゃんがやって来て三ヶ月を過ぎた辺りから、赤ちゃんが出来る夫婦が増えたんだって。
もう半年もしないで、出産ラッシュになるらしいよ。
何でも、最初はおいらとは反対側のタロウの隣の家の若奥さんで、次は裏の家の若奥さんだったらしいの。
シフォン姉ちゃんが漏らす声に触発されたって、近所のオバチャン達の間でもっぱらの評判だよ。
シフォン姉ちゃんが売り出したパンツも一役かっていると言う噂もあるけど、どういう意味なんだろう…。
**********
そんなある日。
おいらが日課のシューティング・ビーンズ狩りを終えて、町へ戻る途中のこと。
草原の中の道を歩いていると、珍しく西の方角から来る馬車が見えたの。
おいら達の住む町はこの国の南西の端っこにあって。
南には『シタニアール国』との国境になっている高い山脈があるんだ。
西には草原が広がっていて、しばらく行くとだだっ広い魔物の領域。
魔物の領域の更に先に『サニアール国』って国があるらしいけど。
魔物の領域を人が越えるのは難しいから、交易は全くないんだ。
この町より西側には、町はおろか、村一つないからね。
西の方角から馬車がやってくるなんて、本当に珍しいの。
おいらが西からやって来た人を見たのはノーム爺ぐらいだよ。
ノーム爺の話だと、西へ行くと魔物の領域の手前に南に折れる道があるそうだよ。
南の山脈の途切れた谷に沿って『シタニアール国』の町に繋がっているみたいなの。
おいらの住む町がダイヤモンド鉱山で栄えていた頃はその道を使って交易があったんだって。
スタンピードで鉱山が潰れて町が廃れちゃってからは交易が無くなったみたいなの。
おいらが西からやって来た馬車を物珍し気に見ていると。
「おや、こんな草原の中を小さなお嬢ちゃんが一人で出歩ているなんて珍しい。
お嬢ちゃん、こんな所にいると言うことは町はもう近いのかい?」
幌をかけた馬車の御者台に、御者と共に座っていたおっちゃんがおいらに尋ねてきたよ。
「うん、おいらの足で歩いても、ものの一時間も掛からないよ。」
「おお、そうかい。お嬢ちゃん、有り難うよ。
お嬢ちゃんも町へ帰るんだったら、乗って行かないかい。
『トレントの木炭』を買い付けに『シタニアール国』から来たんだけどね。
この辺のことは詳しくないんで、道すがら少し話を聞かせてはくれないか。」
やっぱり、『シタニアール国』からはるばるやって来た商人さんだったみたい。
町の話を聞かせて欲しいと言うんで、おいらは町まで乗せてもらう事にしたんだ。
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