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第九章【間章】『ゴムの実』奇譚(若き日の追憶)
第187話 尻尾に火が点いてるのに何やってるの…
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さて、ゴムの実の『実演販売』と『お見合い茶屋』が貴族社会を震撼させている時、にっぽん爺がどうしてたかと言うと…。
「その頃の私は、貴族社会でそんなに大問題になっているとは露知らず…。
激化する色街の競争をどう勝ち抜くかで、コンカツと色々と新戦略を練っていたのだ。」
何と、呑気に色街で次に何を仕掛けるかを考えていたらしいの。
その頃、王都の色街ではちょっとした戦争が起きていたそうだよ。
にっぽん爺が仕掛けた新しいサービスのお店に、続々と新規参入があったみたいで。
色街戦争と呼ばれるくらいに、競争が激化してたんだって。
その対応に忙殺されて、『お見合い茶屋』が社会問題になっていることを見落としていたらしいの。
当時、『ゴムの実』を安定的に手に入れられるのはにっぽん爺が関与したお店だけ。
『ゴムの実』が必要不可欠な風呂屋と『お見合い茶屋』は新規参入が無くて経営が安定していたからだって。
一番競争が激化していたのが、『きゃんぎゃる茶屋』。
ただ、制服が過激なだけで、営業の内容は普通のお茶処だものね。
他の冒険者ギルドもこぞって新規参入したんで、お客の取り合いになっちゃって。
競合店は、ウエートレスの給金を上げてよりキレイで若い娘を集めたり、より過激な制服にしてお客を集めたりしたんだって。
制服なんて、「もう、それ隠せてないじゃん」とツッコミを入れたくなるほど過激になっていたみたいだよ。
コンカツはそれに追随しようとしたそうなんだけど、にっぽん爺は待ったをかけたらしいの。
それをすると収益の悪化を招くだけだと、それなら儲かっている間に撤退した方が良いってね。
でも、にっぽん爺には他ではマネのできないテコ入れ策があったらしいの。
それが、『連れ出し』オプション。
お客さんが気に入ったウエートレスさんと交渉して、店外デートをすることができるサービス。
ウエートレスさんとの交渉が成立したら、お店に『連れ出し料』を支払って店外に連れ出すんだって。
この『連れ出し料』は全額お店の取り分、だってウエートレスさんはお客さんと個別に交渉しているから…。
店外デートに応じるウエートレスさんは、ほぼ百%、お客さんからお小遣いをもらう約束になっていたみたい。
そこは『自由恋愛』で、お店は一切タッチしないんだって。
他にも『連れ出し』をするお客さんだけが選べる『制服買い取り』オプションってのもあったらしいよ。
そのオプションを付けると、制服のままウエートレスさんを外に連れ出すことが出来るみたい。
制服が返却されなかったり、汚されたり、破損されたりする可能性が高いので、最初から買い取りにしたんだって。
『連れ出し料』が銀貨十枚で『ゴムの実』が一つ付いて来たみたい。
それと、『制服買い取り』オプションは銀貨三十枚もしたそうだけど…。
連れ出すお客さんのほとんどは、『制服買い取り』を選んでいたって。
制服のまま楽しみたいお客さんが多かったようだと、にっぽん爺は呟いていた。
そう言えば、シフォン姉ちゃんもタロウとのお楽しみに使いたいって『きゃんぎゃる』の服を強請ってたね。
『連れ出し』オプションを設定する時に、店の大改装もしたんだって。
店の二階に広々としたデートルームを十部屋ほど作ったんだって、ドーンっと大きなベッドが置いてある部屋。
熱々の『おしぼり』付きで、二時間銀貨五枚で使えるそうだよ。
『きゃんぎゃる茶屋』の中から、階段で二階へ上がれるんだって。
王都には『ラブホテル』のような時間貸しで使える部屋が無いから、大好評だったって。
『ラブホテル』? 確かに聞いたことが無い言葉だね。
それと、にっぽん爺はもう一工夫したそうなんだ。
『ゴムの実』を渡すと言うことは、それが必要になることをするのが前提でしょう。
『きゃんぎゃる茶屋』のウエートレスさんは、そういう仕事が無いから働いてみようと思った人が多いから。
コンカツには、絶対にウエートレスさんに『連れ出し』オプションを強要するなと釘を刺したようなの。
それが前提になっちゃうと、『素人っぽい』初心で可愛い娘が集まらくなっちゃうからって。
自分から希望するウエートレスさんだけに限定して、お客さんにもわかるようにしたんだって。
『連れ出し』OKのウエートレスさんには、目立つところに付けさせたみたいだよ。
可愛い三頭身の女の子が『私をお外に連れてって♡』と言ってるバッチを。
お客さんも、連れ出しNGのウエートレスさんに声を掛けて、気まずい思いをしなくて済むからね。
これが、大ヒットで二階の十室は常に満室状態で、順番待ちが常態化していたそうだし。
原価銀貨十枚の制服が、銀貨三十枚で飛ぶように売れたんだって。
コンカツが尋ねたら、一番『連れ出し』が多いウエートレスさんは本業の泡姫さんも真っ青な稼ぎだったって。
お店も大繁盛、ウエートレスさんも大満足で『きゃんぎゃる茶屋』は絶好調になったそうだよ。
『きゃんぎゃる茶屋』が大繁盛する一方で、新規参入してきた他のお店は全部潰れちゃったそうなんだ。
まずは、にっぽん爺が予言した通りの事が起きたらしいの。
ウエートレスさんの給金を上げ過ぎて儲けが少なくなった上に、制服が過激になり過ぎて普通の娘さんが敬遠しちゃったんだって。
若くて、可愛いウエートレスさんを集めるために給金を上げたのに、競合店に集まって来たのはハスッパな娘ばかりだったみたい。
そして、なにより、他のギルド系列の競合店はにっぽん爺の仕掛けた罠にハマっちゃったの。
収益が悪化した競合店は、『きゃんぎゃる茶屋』が絶好調なのを見てこぞって『連れ出し』オプションをマネたんだって。
これは、絶対にマネしちゃいけないのに…。
何故なら、このオプション、『ゴムの実』があるのが前提のサービスだから。
『ゴムの実』を持っていない競合店がマネをしたらどうなるかと言うと…。
赤ちゃんができちゃうウエートレスさんと、病気に罹るウエートレスさんが続出したんだって。
しかも、冒険者ギルドって基本ならず者の集まりだからね…。
ウエートレスさんを脅して、全員に『連れ出し』オプションを受けるように強要してたんだって。
にっぽん爺からアドバイスを受けて絶対に強要はしなかった『きゃんぎゃる茶屋』と違ってね。
安全安心なお店だからとウエートレスさんになったお姉ちゃんが多いのに、病気になったり、赤ちゃんができちゃったり。
それも、当初は無かった『連れ出し』オプションをお店から強要されたがために。
それが噂で広がったから、誰もウエートレスさんに応募して来なくなったそうだよ。
ダメ押しは、お客さんから病気をもらったウエートレスさんが、次々と別のお客さんに病気をうつしちゃったこと。
風呂屋の泡姫さんは、本業だからあれでも病気には細心の注意を払っているらしいよ。
お客さんを観察して明らかにヤバいと思ったら、支配人に頼んで穏便にお引き取り頂いたりね。
それでも『ゴムの実』を使わないと、かなりの割合で病気に罹っちゃうんだって風呂屋のお仕事は。
ウエートレスさんは病気などには無頓着な素人娘だから、泡姫さんよりはるかにリスクが大きかったみたい。
しかも、自分が病気だとは知らないで『連れ出し』オプションを続けて、沢山のお客さんに広げちゃったんだって。
他のギルド系列の競合店は何処も、『あの店は危ない』と噂が立って、客足が遠のいて潰れちゃったみたい。
その点、『きゃんぎゃる茶屋』はと言うと。
にっぽん爺が、『連れ出し』オプションをしたいと言う全員に講習会を開いたんだって。
病気の恐ろしさや危ないお客の見分け方を教え、…。
更に、実演を交えて『ゴムの実』の正しい使い方を念入りに教えたそうだよ。
他にも念のため、二階のデートルームにはベッドサイドに紐をぶら下げたんだって。
紐を引くと一階の『きゃんぎゃる茶屋』の事務所にある拍子木が鳴るそうだよ。
店外デートの相手に病気の疑いがあれば鳴らして、駆け付けた怖い兄ちゃんがお引き取り願うんだって。
その甲斐あって、病気になったり、赤ちゃんができたりといった事故はゼロだったらしいの。
お客さんにも、ウエートレスさんにも、『きゃんぎゃる茶屋』は安全安心なお店だと評判になったみたい。
競合店も無くなって、『きゃんぎゃる茶屋』の経営は安泰になったって。
**********
競合店の参入は、『エステ』でもあったみたい。
冒険者ギルドって、楽して儲ける事ばかり考えているから、儲かると思ってたらすぐに真似してくるみたい。
しかも、昔から色街関係の仕事は冒険者ギルドの十八番で、女の人を食い物にするのは慣れているからね。
そこが、にっぽん爺との違いだと言っていたよ。
にっぽん爺は女の人を食い物にしようとは思わなかったそうなの。
素人の娘さんに楽しんで稼いでもらって、それでお店も儲かる仕組みを作りたかったんだって。
そんな環境を作れば、素人の若くて可愛い娘さんが集まって、自然にお客さんも集まってくるって言ってたよ。
だから、『きゃんぎゃる茶屋』の時も、『連れ出し』オプションは強要しなかったものね。
『エステ』もライトなサービスだと言うこともあり、素人の娘さんを集めた競合店がどんどん出店してきたんだって。
もちろん、全部がアッチカイ以外の冒険者ギルドの系列店だよ。
基本サービスの肩や首、それに足腰のマッサージの他、オプションなんかも全部『エステ』をマネしたみたい。
にっぽん爺は言ってた、ここで既に失敗していたって。
にっぽん爺は初期の段階で、競合店は早々になくなるだろうと思っていたんだって。
でも、競合店がスタッフのお姉ちゃんの報酬を上げて、より若くて可愛い娘を集めようとしたみたいで。
『エステ』からも、スタッフのお姉ちゃんが引き抜かれることがあったみたい。
更に、より過激なオプションを作ってお客さんを集めようとしたみたいで、『エステ』は押されてたんだって。
その過激なオプションと言うのは、『一線を越えた』サービスらしいよ。
何それって聞いたら、ナイショって返されちゃった…。
にっぽん爺は、競合店のそんな動きを「自分の首を絞めるなんて馬鹿な奴ら」だと、冷めた目で見ていたって。
でも、コンカツの方は、売り上げの減少やスタッフのお姉ちゃんの引き抜きに焦っちゃったらしいよ。
にっぽん爺に『エステ』も『一線を越えた』サービスをオプションに加えようと相談して来たみたい。
それに対してにっぽん爺はこう答えたんだって。
「『エステ』のスタッフは、そのサービスが無いからと安心して応募してきたんだ。
後出しで、そんなオプションを付ければ、スタッフの娘さん達の信頼を失うぞ。
一般家庭の娘さん達にとって『純潔の証』は、おいそれと手放せるものではない。
しかし、競合店がそんなサービスをし始めると…。
お客さんの方が『エステ』のスタッフに無理を言うかも知れん。
同じオプションをさせろとな。
いっその事、『エステ』では『一線を越えた』要求は厳禁にしてしまおう。
それで、スタッフの皆を安心させてあげるのが良いと思う。」
にっぽん爺は、素人の若くて可愛い娘さんが働きやすい環境にこだわったんだって。
一時、押されていても、長い目で見ればその方が絶対利益になるからと。
で、『エステ』の個室に貼り紙をしたんだって。
『そこ!それは禁止です!
このお店では、一線を越えるサービスは厳禁です!
違反したらお仕置きですよ!
ルールを守って楽しく遊びましょうね♡』
可愛い三頭身の女の子がそう言って、貼り紙を見ている人を指差していたそうだよ。
可愛い三頭身の女の子、大活躍だね…。
実際、競合店がそういうサービスを始めたら、予想通り『エステ』の娘さんにも要求するお客さんが出て来たみたい。
そんなお客さんは、怖いお兄さんが摘まみ出してくれて、出禁にしたみたいだよ。
これは『エステ』で働く娘さん達に安心感を与えたようで、良いスタッフの定着率が上がったんだって。
それが娘さん達の口コミで伝わり、常時若くて可愛い娘さんがスタッフに応募してくる状況だったみたい。
でも、依然として売上げは過激なサービスをする競合店に押されていて…。
にっぽん爺は半年もすれば競合店はみんな撤退すると悠然としてらしいけど。
助言をするだけのにっぽん爺と違い、実際に経営をしているコンカツは気が気で無かったようなの。
何か、テコ入れとなる案は無いかと、しつこく懇願して来たらしいよ
「その頃の私は、貴族社会でそんなに大問題になっているとは露知らず…。
激化する色街の競争をどう勝ち抜くかで、コンカツと色々と新戦略を練っていたのだ。」
何と、呑気に色街で次に何を仕掛けるかを考えていたらしいの。
その頃、王都の色街ではちょっとした戦争が起きていたそうだよ。
にっぽん爺が仕掛けた新しいサービスのお店に、続々と新規参入があったみたいで。
色街戦争と呼ばれるくらいに、競争が激化してたんだって。
その対応に忙殺されて、『お見合い茶屋』が社会問題になっていることを見落としていたらしいの。
当時、『ゴムの実』を安定的に手に入れられるのはにっぽん爺が関与したお店だけ。
『ゴムの実』が必要不可欠な風呂屋と『お見合い茶屋』は新規参入が無くて経営が安定していたからだって。
一番競争が激化していたのが、『きゃんぎゃる茶屋』。
ただ、制服が過激なだけで、営業の内容は普通のお茶処だものね。
他の冒険者ギルドもこぞって新規参入したんで、お客の取り合いになっちゃって。
競合店は、ウエートレスの給金を上げてよりキレイで若い娘を集めたり、より過激な制服にしてお客を集めたりしたんだって。
制服なんて、「もう、それ隠せてないじゃん」とツッコミを入れたくなるほど過激になっていたみたいだよ。
コンカツはそれに追随しようとしたそうなんだけど、にっぽん爺は待ったをかけたらしいの。
それをすると収益の悪化を招くだけだと、それなら儲かっている間に撤退した方が良いってね。
でも、にっぽん爺には他ではマネのできないテコ入れ策があったらしいの。
それが、『連れ出し』オプション。
お客さんが気に入ったウエートレスさんと交渉して、店外デートをすることができるサービス。
ウエートレスさんとの交渉が成立したら、お店に『連れ出し料』を支払って店外に連れ出すんだって。
この『連れ出し料』は全額お店の取り分、だってウエートレスさんはお客さんと個別に交渉しているから…。
店外デートに応じるウエートレスさんは、ほぼ百%、お客さんからお小遣いをもらう約束になっていたみたい。
そこは『自由恋愛』で、お店は一切タッチしないんだって。
他にも『連れ出し』をするお客さんだけが選べる『制服買い取り』オプションってのもあったらしいよ。
そのオプションを付けると、制服のままウエートレスさんを外に連れ出すことが出来るみたい。
制服が返却されなかったり、汚されたり、破損されたりする可能性が高いので、最初から買い取りにしたんだって。
『連れ出し料』が銀貨十枚で『ゴムの実』が一つ付いて来たみたい。
それと、『制服買い取り』オプションは銀貨三十枚もしたそうだけど…。
連れ出すお客さんのほとんどは、『制服買い取り』を選んでいたって。
制服のまま楽しみたいお客さんが多かったようだと、にっぽん爺は呟いていた。
そう言えば、シフォン姉ちゃんもタロウとのお楽しみに使いたいって『きゃんぎゃる』の服を強請ってたね。
『連れ出し』オプションを設定する時に、店の大改装もしたんだって。
店の二階に広々としたデートルームを十部屋ほど作ったんだって、ドーンっと大きなベッドが置いてある部屋。
熱々の『おしぼり』付きで、二時間銀貨五枚で使えるそうだよ。
『きゃんぎゃる茶屋』の中から、階段で二階へ上がれるんだって。
王都には『ラブホテル』のような時間貸しで使える部屋が無いから、大好評だったって。
『ラブホテル』? 確かに聞いたことが無い言葉だね。
それと、にっぽん爺はもう一工夫したそうなんだ。
『ゴムの実』を渡すと言うことは、それが必要になることをするのが前提でしょう。
『きゃんぎゃる茶屋』のウエートレスさんは、そういう仕事が無いから働いてみようと思った人が多いから。
コンカツには、絶対にウエートレスさんに『連れ出し』オプションを強要するなと釘を刺したようなの。
それが前提になっちゃうと、『素人っぽい』初心で可愛い娘が集まらくなっちゃうからって。
自分から希望するウエートレスさんだけに限定して、お客さんにもわかるようにしたんだって。
『連れ出し』OKのウエートレスさんには、目立つところに付けさせたみたいだよ。
可愛い三頭身の女の子が『私をお外に連れてって♡』と言ってるバッチを。
お客さんも、連れ出しNGのウエートレスさんに声を掛けて、気まずい思いをしなくて済むからね。
これが、大ヒットで二階の十室は常に満室状態で、順番待ちが常態化していたそうだし。
原価銀貨十枚の制服が、銀貨三十枚で飛ぶように売れたんだって。
コンカツが尋ねたら、一番『連れ出し』が多いウエートレスさんは本業の泡姫さんも真っ青な稼ぎだったって。
お店も大繁盛、ウエートレスさんも大満足で『きゃんぎゃる茶屋』は絶好調になったそうだよ。
『きゃんぎゃる茶屋』が大繁盛する一方で、新規参入してきた他のお店は全部潰れちゃったそうなんだ。
まずは、にっぽん爺が予言した通りの事が起きたらしいの。
ウエートレスさんの給金を上げ過ぎて儲けが少なくなった上に、制服が過激になり過ぎて普通の娘さんが敬遠しちゃったんだって。
若くて、可愛いウエートレスさんを集めるために給金を上げたのに、競合店に集まって来たのはハスッパな娘ばかりだったみたい。
そして、なにより、他のギルド系列の競合店はにっぽん爺の仕掛けた罠にハマっちゃったの。
収益が悪化した競合店は、『きゃんぎゃる茶屋』が絶好調なのを見てこぞって『連れ出し』オプションをマネたんだって。
これは、絶対にマネしちゃいけないのに…。
何故なら、このオプション、『ゴムの実』があるのが前提のサービスだから。
『ゴムの実』を持っていない競合店がマネをしたらどうなるかと言うと…。
赤ちゃんができちゃうウエートレスさんと、病気に罹るウエートレスさんが続出したんだって。
しかも、冒険者ギルドって基本ならず者の集まりだからね…。
ウエートレスさんを脅して、全員に『連れ出し』オプションを受けるように強要してたんだって。
にっぽん爺からアドバイスを受けて絶対に強要はしなかった『きゃんぎゃる茶屋』と違ってね。
安全安心なお店だからとウエートレスさんになったお姉ちゃんが多いのに、病気になったり、赤ちゃんができちゃったり。
それも、当初は無かった『連れ出し』オプションをお店から強要されたがために。
それが噂で広がったから、誰もウエートレスさんに応募して来なくなったそうだよ。
ダメ押しは、お客さんから病気をもらったウエートレスさんが、次々と別のお客さんに病気をうつしちゃったこと。
風呂屋の泡姫さんは、本業だからあれでも病気には細心の注意を払っているらしいよ。
お客さんを観察して明らかにヤバいと思ったら、支配人に頼んで穏便にお引き取り頂いたりね。
それでも『ゴムの実』を使わないと、かなりの割合で病気に罹っちゃうんだって風呂屋のお仕事は。
ウエートレスさんは病気などには無頓着な素人娘だから、泡姫さんよりはるかにリスクが大きかったみたい。
しかも、自分が病気だとは知らないで『連れ出し』オプションを続けて、沢山のお客さんに広げちゃったんだって。
他のギルド系列の競合店は何処も、『あの店は危ない』と噂が立って、客足が遠のいて潰れちゃったみたい。
その点、『きゃんぎゃる茶屋』はと言うと。
にっぽん爺が、『連れ出し』オプションをしたいと言う全員に講習会を開いたんだって。
病気の恐ろしさや危ないお客の見分け方を教え、…。
更に、実演を交えて『ゴムの実』の正しい使い方を念入りに教えたそうだよ。
他にも念のため、二階のデートルームにはベッドサイドに紐をぶら下げたんだって。
紐を引くと一階の『きゃんぎゃる茶屋』の事務所にある拍子木が鳴るそうだよ。
店外デートの相手に病気の疑いがあれば鳴らして、駆け付けた怖い兄ちゃんがお引き取り願うんだって。
その甲斐あって、病気になったり、赤ちゃんができたりといった事故はゼロだったらしいの。
お客さんにも、ウエートレスさんにも、『きゃんぎゃる茶屋』は安全安心なお店だと評判になったみたい。
競合店も無くなって、『きゃんぎゃる茶屋』の経営は安泰になったって。
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競合店の参入は、『エステ』でもあったみたい。
冒険者ギルドって、楽して儲ける事ばかり考えているから、儲かると思ってたらすぐに真似してくるみたい。
しかも、昔から色街関係の仕事は冒険者ギルドの十八番で、女の人を食い物にするのは慣れているからね。
そこが、にっぽん爺との違いだと言っていたよ。
にっぽん爺は女の人を食い物にしようとは思わなかったそうなの。
素人の娘さんに楽しんで稼いでもらって、それでお店も儲かる仕組みを作りたかったんだって。
そんな環境を作れば、素人の若くて可愛い娘さんが集まって、自然にお客さんも集まってくるって言ってたよ。
だから、『きゃんぎゃる茶屋』の時も、『連れ出し』オプションは強要しなかったものね。
『エステ』もライトなサービスだと言うこともあり、素人の娘さんを集めた競合店がどんどん出店してきたんだって。
もちろん、全部がアッチカイ以外の冒険者ギルドの系列店だよ。
基本サービスの肩や首、それに足腰のマッサージの他、オプションなんかも全部『エステ』をマネしたみたい。
にっぽん爺は言ってた、ここで既に失敗していたって。
にっぽん爺は初期の段階で、競合店は早々になくなるだろうと思っていたんだって。
でも、競合店がスタッフのお姉ちゃんの報酬を上げて、より若くて可愛い娘を集めようとしたみたいで。
『エステ』からも、スタッフのお姉ちゃんが引き抜かれることがあったみたい。
更に、より過激なオプションを作ってお客さんを集めようとしたみたいで、『エステ』は押されてたんだって。
その過激なオプションと言うのは、『一線を越えた』サービスらしいよ。
何それって聞いたら、ナイショって返されちゃった…。
にっぽん爺は、競合店のそんな動きを「自分の首を絞めるなんて馬鹿な奴ら」だと、冷めた目で見ていたって。
でも、コンカツの方は、売り上げの減少やスタッフのお姉ちゃんの引き抜きに焦っちゃったらしいよ。
にっぽん爺に『エステ』も『一線を越えた』サービスをオプションに加えようと相談して来たみたい。
それに対してにっぽん爺はこう答えたんだって。
「『エステ』のスタッフは、そのサービスが無いからと安心して応募してきたんだ。
後出しで、そんなオプションを付ければ、スタッフの娘さん達の信頼を失うぞ。
一般家庭の娘さん達にとって『純潔の証』は、おいそれと手放せるものではない。
しかし、競合店がそんなサービスをし始めると…。
お客さんの方が『エステ』のスタッフに無理を言うかも知れん。
同じオプションをさせろとな。
いっその事、『エステ』では『一線を越えた』要求は厳禁にしてしまおう。
それで、スタッフの皆を安心させてあげるのが良いと思う。」
にっぽん爺は、素人の若くて可愛い娘さんが働きやすい環境にこだわったんだって。
一時、押されていても、長い目で見ればその方が絶対利益になるからと。
で、『エステ』の個室に貼り紙をしたんだって。
『そこ!それは禁止です!
このお店では、一線を越えるサービスは厳禁です!
違反したらお仕置きですよ!
ルールを守って楽しく遊びましょうね♡』
可愛い三頭身の女の子がそう言って、貼り紙を見ている人を指差していたそうだよ。
可愛い三頭身の女の子、大活躍だね…。
実際、競合店がそういうサービスを始めたら、予想通り『エステ』の娘さんにも要求するお客さんが出て来たみたい。
そんなお客さんは、怖いお兄さんが摘まみ出してくれて、出禁にしたみたいだよ。
これは『エステ』で働く娘さん達に安心感を与えたようで、良いスタッフの定着率が上がったんだって。
それが娘さん達の口コミで伝わり、常時若くて可愛い娘さんがスタッフに応募してくる状況だったみたい。
でも、依然として売上げは過激なサービスをする競合店に押されていて…。
にっぽん爺は半年もすれば競合店はみんな撤退すると悠然としてらしいけど。
助言をするだけのにっぽん爺と違い、実際に経営をしているコンカツは気が気で無かったようなの。
何か、テコ入れとなる案は無いかと、しつこく懇願して来たらしいよ
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