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第八章 ハテノ男爵領再興記
第175話 すごいノリノリだったよ
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その日、おいら達は、さっそくにっぽん爺の所に行ってみたんだ。
タロウがにっぽん爺なら、歌のレパートリーが沢山あると言うから。
アルトとおいら、それにタロウやペンネ姉ちゃん達五人も一緒にね。
「と言う訳で、この子達に歌たわせる曲を提供して欲しいの。
別におじいちゃんに作れって言う訳ではないわ。
『にっぽん』という場所で流行っていたノリの良い曲を教えてくれればいいの。
お願いできるかしら?」
アルトは計画のあらましを説明して、にっぽん爺に協力を依頼したの。
「そこにいる五人に歌ってもらう曲ですか。
いやあ、日本のアイドルグループよりも格段の美人揃いですな。
この老いぼれで、少しでも力になれるのなら是非とも協力されて下され。」
にっぽん爺は快く協力を申し出てくれたんだ。
町の広場でやっている『STD四十八』の興行をにっぽん爺は良く見に来ていたみたい。
タロウが教えてくれた曲を『STD四十八』の連中が歌うのを聞いて、故郷のことを懐かしんでいたみたい。
『STD四十八』の興行にタッチしているタロウが羨ましかったみたい。
自分も加わりたいと思ったようだけど、歳が歳なので遠慮していたんだって。
良く分からないけど、『にっぽん』って所ではにっぽん爺の方がタロウより年下だったらしいからね。
「そう、それは有り難いわ。
この子達五人以外に、五人の小隊が五つあって、それとは別に騎士団長と領主にも歌わせたいの。
だから、曲が沢山必要だし。
それぞれの声質や容姿にマッチした曲を出せるなら、それに越したことはないのだけど。
出来るかしら。」
快い返事に満足そうな笑みをたたえたアルトは更に踏み込んで要望を出したの。
お姉ちゃん達それぞれにあった曲を考えて欲しいと。
「この世界に飛ばされてきて早五十年…。
ラノベと違って日本の知識は全く役に立たず…。
このまま、朽ち果てていくものだと思ってたのに…。
やっと、日本の知識が役に立つときがキターーーーーー!」
何か、いつものにっぽん爺とテンションが違うよ。
『キターーーーーー!』なんて、タロウみたいな叫び声を上げてるし…。
実は、にっぽん爺も若い頃チューニ病を患ったことがあるのかな?
「私は日本にいた時は、アニソン歌手の追っかけをやったこともあって。
一時は、『坂』にハマってドルヲタをしてた時もあったんですよ。
良く、ヲタ芸なんかも披露したもんですが。
やっと、その時の経験が活かせます。
任せてください。
私がこの世界の秋〇康、つ〇く♂になって見せましょう。」
なんか、妙にノリノリでとても六十過ぎのお爺ちゃんには見えないよ。
そんなにっぽん爺を見てタロウは呟いてた、『これも知識チートって言うのかな?』って。
「そう、何だかわからないけど…。
やる気になってくれたのなら嬉しいわ。
でも、興奮しすぎでポックリ逝かないでよ。
そうだわ、老化には効かないけど、これ渡しておくわ。
年をとってくると色々と悪いところもあるでしょう。」
アルトは、『積載庫』から水筒を出してにっぽん爺に渡してた。
もちろん、中身は万病に効くとされる『妖精の泉』の水だよ。
これからって時に、興奮しすぎて卒中でも起こされたら困るって。
ついでに、さっきタロウが教えてくれた『にっぽん』って言う国の国歌を歌ってもらったの。
タロウが言うようにとっても上手だった。
でも、それを聞いたアルトは…。
「なあに、タロウ、全然違う曲じゃないの。
あっているの歌詞だけじゃない…。」
タロウを白い目で見て呆れてたよ。
タロウは、「絶対に文句言わないって約束したのに」ってボヤいてた。
**********
「アルト様、第一弾が刷り上がりました。
騎士団長のエクレア様です。」
数日後、ペンネ姉ちゃんが目の下に隈を作って一枚の紙を差し出してきたよ。
敢えて白ではなく生成りの紙を使い、そこに描かれたクッころさんの背景には白百合の花が鮮やかに描かれていた。
最初にペンネ姉ちゃん言ってた通りだね。
それで、肝心なクッころさんはと言うと、一目でクッころさんだと分かるほどそっくりに描かれてたよ。
でも、立ち姿のクッころさんはとっても凛々しく描かれていて、ちょっと違うと思う…。
騎士甲冑を装備すると動けなくなって崩れ落ちるポンコツ騎士が、おいらのイメージなんだけど。
余白には、『民の安寧は私が護る』と大きく描かれていて。
その下には、年齢と誕生日が描かれれていたんだ、ただ…。
「ねえ、ペンネ姉ちゃん、属性ってなに?
『総ウケ』って書いてあるけど。」
何か、一番下に属性ってモノが書かれていたんだ、タロウの言葉より意味不明な。
「エクレア団長は、誰からも愛されるお人柄と言うことよ。
私が主宰するサークルで作っている『或る女騎士の秘め事シリーズ』ではね。
エクレア様は、常に登場して皆から愛されるキャラなの。」
「ふーん、クッころさんって騎士団のみんなから慕われているんだね。
あれでいて、随分人望が厚いんだ。」
ポンコツなクッころさんしか知らないおいらは、ペンネ姉ちゃんの話を聞いて感心してたんだ。
そしたら、アルトがおいらを見て。
「マロンは、いつまでも、そのままの純粋な心を持ち続けていてね。
こんな、邪な心の持ち主になったらダメよ。」
しみじみと言うと、ペンネ姉ちゃんを睨みつけていたよ。
いったい、何なんだろう。
「まあ良いわ。
この間の本のような絵を描いてきたら、お仕置きしようかと思ったけど。
これなら、問題ないわ。
『民の安寧は私が護る』ってあおりもとっても良いと思う。
属性ってのは…、まあ良いわ、誰もわからないだろうし…。
これで、二十枚くらい刷っておいてもらおうかしら。
さっそく、領内に貼りまくるわよ。
後の娘の分もお願いね。」
一旦はペンネ姉ちゃんを睨んだものの、アルトは合格を出していたよ。
ペンネ姉ちゃん、嬉しそうにたくさん刷るって言ってた。
タロウがにっぽん爺なら、歌のレパートリーが沢山あると言うから。
アルトとおいら、それにタロウやペンネ姉ちゃん達五人も一緒にね。
「と言う訳で、この子達に歌たわせる曲を提供して欲しいの。
別におじいちゃんに作れって言う訳ではないわ。
『にっぽん』という場所で流行っていたノリの良い曲を教えてくれればいいの。
お願いできるかしら?」
アルトは計画のあらましを説明して、にっぽん爺に協力を依頼したの。
「そこにいる五人に歌ってもらう曲ですか。
いやあ、日本のアイドルグループよりも格段の美人揃いですな。
この老いぼれで、少しでも力になれるのなら是非とも協力されて下され。」
にっぽん爺は快く協力を申し出てくれたんだ。
町の広場でやっている『STD四十八』の興行をにっぽん爺は良く見に来ていたみたい。
タロウが教えてくれた曲を『STD四十八』の連中が歌うのを聞いて、故郷のことを懐かしんでいたみたい。
『STD四十八』の興行にタッチしているタロウが羨ましかったみたい。
自分も加わりたいと思ったようだけど、歳が歳なので遠慮していたんだって。
良く分からないけど、『にっぽん』って所ではにっぽん爺の方がタロウより年下だったらしいからね。
「そう、それは有り難いわ。
この子達五人以外に、五人の小隊が五つあって、それとは別に騎士団長と領主にも歌わせたいの。
だから、曲が沢山必要だし。
それぞれの声質や容姿にマッチした曲を出せるなら、それに越したことはないのだけど。
出来るかしら。」
快い返事に満足そうな笑みをたたえたアルトは更に踏み込んで要望を出したの。
お姉ちゃん達それぞれにあった曲を考えて欲しいと。
「この世界に飛ばされてきて早五十年…。
ラノベと違って日本の知識は全く役に立たず…。
このまま、朽ち果てていくものだと思ってたのに…。
やっと、日本の知識が役に立つときがキターーーーーー!」
何か、いつものにっぽん爺とテンションが違うよ。
『キターーーーーー!』なんて、タロウみたいな叫び声を上げてるし…。
実は、にっぽん爺も若い頃チューニ病を患ったことがあるのかな?
「私は日本にいた時は、アニソン歌手の追っかけをやったこともあって。
一時は、『坂』にハマってドルヲタをしてた時もあったんですよ。
良く、ヲタ芸なんかも披露したもんですが。
やっと、その時の経験が活かせます。
任せてください。
私がこの世界の秋〇康、つ〇く♂になって見せましょう。」
なんか、妙にノリノリでとても六十過ぎのお爺ちゃんには見えないよ。
そんなにっぽん爺を見てタロウは呟いてた、『これも知識チートって言うのかな?』って。
「そう、何だかわからないけど…。
やる気になってくれたのなら嬉しいわ。
でも、興奮しすぎでポックリ逝かないでよ。
そうだわ、老化には効かないけど、これ渡しておくわ。
年をとってくると色々と悪いところもあるでしょう。」
アルトは、『積載庫』から水筒を出してにっぽん爺に渡してた。
もちろん、中身は万病に効くとされる『妖精の泉』の水だよ。
これからって時に、興奮しすぎて卒中でも起こされたら困るって。
ついでに、さっきタロウが教えてくれた『にっぽん』って言う国の国歌を歌ってもらったの。
タロウが言うようにとっても上手だった。
でも、それを聞いたアルトは…。
「なあに、タロウ、全然違う曲じゃないの。
あっているの歌詞だけじゃない…。」
タロウを白い目で見て呆れてたよ。
タロウは、「絶対に文句言わないって約束したのに」ってボヤいてた。
**********
「アルト様、第一弾が刷り上がりました。
騎士団長のエクレア様です。」
数日後、ペンネ姉ちゃんが目の下に隈を作って一枚の紙を差し出してきたよ。
敢えて白ではなく生成りの紙を使い、そこに描かれたクッころさんの背景には白百合の花が鮮やかに描かれていた。
最初にペンネ姉ちゃん言ってた通りだね。
それで、肝心なクッころさんはと言うと、一目でクッころさんだと分かるほどそっくりに描かれてたよ。
でも、立ち姿のクッころさんはとっても凛々しく描かれていて、ちょっと違うと思う…。
騎士甲冑を装備すると動けなくなって崩れ落ちるポンコツ騎士が、おいらのイメージなんだけど。
余白には、『民の安寧は私が護る』と大きく描かれていて。
その下には、年齢と誕生日が描かれれていたんだ、ただ…。
「ねえ、ペンネ姉ちゃん、属性ってなに?
『総ウケ』って書いてあるけど。」
何か、一番下に属性ってモノが書かれていたんだ、タロウの言葉より意味不明な。
「エクレア団長は、誰からも愛されるお人柄と言うことよ。
私が主宰するサークルで作っている『或る女騎士の秘め事シリーズ』ではね。
エクレア様は、常に登場して皆から愛されるキャラなの。」
「ふーん、クッころさんって騎士団のみんなから慕われているんだね。
あれでいて、随分人望が厚いんだ。」
ポンコツなクッころさんしか知らないおいらは、ペンネ姉ちゃんの話を聞いて感心してたんだ。
そしたら、アルトがおいらを見て。
「マロンは、いつまでも、そのままの純粋な心を持ち続けていてね。
こんな、邪な心の持ち主になったらダメよ。」
しみじみと言うと、ペンネ姉ちゃんを睨みつけていたよ。
いったい、何なんだろう。
「まあ良いわ。
この間の本のような絵を描いてきたら、お仕置きしようかと思ったけど。
これなら、問題ないわ。
『民の安寧は私が護る』ってあおりもとっても良いと思う。
属性ってのは…、まあ良いわ、誰もわからないだろうし…。
これで、二十枚くらい刷っておいてもらおうかしら。
さっそく、領内に貼りまくるわよ。
後の娘の分もお願いね。」
一旦はペンネ姉ちゃんを睨んだものの、アルトは合格を出していたよ。
ペンネ姉ちゃん、嬉しそうにたくさん刷るって言ってた。
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