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第六章 帰って来た辺境の町、唐突に姿を現したのは・・・
第129話 年上のお姉さん、頑張ります!
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一番年上のお姉さん(?)の抜け駆けをきっかけに、積極的なお姉さん方が『STD四十八』のもとに駆け寄ったの。
長らく若い男の人がいなかったので、気弱なお姉さん方が依然として隅っこにいたんだけど…。
お目当てのお姉さんの方へ、『STD四十八』の連中から話し掛けに行く姿も見られたよ。
それで、やっとお見合いらしくなってきたんだ。
どんな話をしているのかと思って、聞き耳を立てると…。
「あら、いやだ、私ったらまだ名乗っていなかったわ。
私、ネイネイと申します。
失礼ですが、あなたは?」
抜け駆けをした最年長のお姉さんが、『花菱責めのサブ』に名前を尋ねてた。
ネイネイお姉さん、おっとりとした雰囲気なんだけど、一番積極的だね。
「ボクは、『花菱責めのサブ』、あっ、いえ、サブと申します。」
アルトの言い付け通り、ちゃんと自分を『ボク』と言うサブ。
何時ものように通り名を名乗ろうとして、慌てて言い直したんだ。
そうだね、ならず者をしていた時の『通り名』なんて使わない方が良いよね。
「あら、何かしら、その『花菱責め』と言うのは?」
でも、ネイネイお姉さんは聞き逃さないかったようで、サブに問い返したの。
すると、サブは恥じ入るような表情で。
「実は、ボク、つい最近までヤンチャをしていて。
アルト姉さんのおかげでやっとカタギの道へ戻ってこれたんです。
『花菱責めのサブ』と言うのはヤンチャをしていた時の通り名で…。
その頃、ボクたちの中で、何か一芸に秀でたものになろうと決めたんです。
技を極めて、周りの人からその通り名で呼ばれるくらいになろうと。
ボクも、通り名に恥じないように研鑽を積んだつもりではあるのですが…。」
あの妙ちくりんな通り名、そんな経緯があったんだ。
ただのゴロツキだと思っていたんだけど、意外と真面目に取り組むこともあるんだね。
無法者の時に取り組むんだから、剣技かな、派手な技でコケ脅しにするとか。
いや、連中の事だから、意表をついてダンスの技かも知れないね。
近くにいた『STD四十八』の連中からもこんな声が聞こえたよ。
「ああ、あいつは凄いよな。
『花菱責めのサブ』って言ったら、王都の人妻の中じゃ知らねえ者が無かったものな。」
「そうだよな、あいつが一番乗りだったものな。
自称ではなく、自然と周りが『花菱責めのサブ』と呼ぶようになったのは。」
『花菱責めのサブ』って自称じゃなくて、本当に通り名だったんだ。
「あのでっけえ王都で、そんな通り名が通用するなんて…。
あいつ、とんでもない鬼畜だな、どんだけの人妻を毒牙に掛けたんだ。」
おいらの隣で、タロウがボソッと呟いてたよ。
すると、ネイネイお姉さんもその話が気になったようで。
「何をそんなに恥じているのか知らないけど。
何事も真面目に取り組んで、一芸を極めようとするのは素晴らしいことだと思うわ。
王都で評判になるくらいなのだから、相当なモノなのでしょう。
胸を張ったら良いわ。
ところで、『花菱責め』と言うのはどんな技なのかしら。」
そう尋ねられたサブは恥ずかしそうに顔を赤くして、ネイネイお姉さんにこっそり耳打ちをしたの。
技の内容を他の人には聞かせたくないのかな、秘伝の技とか?
サブからの話を聞いていたネイネイお姉さん、話の途中で顔をポッと赤らめたんだ。
それで、サブの話が終る頃には恥ずかしそうに下を向いちゃった。
「九十年もそういう話に無縁じゃ、さぞかし刺激が強かっただろうな。」
サブとネイネイお姉さんのやり取りを見てたタロウがそんなことを言ってたよ。
俯いてたネイネイお姉さんだけど、少し間をおいて顔を上げると…。
意を決したようにサブに言ったんだ、顔を真っ赤にしたまま。
「あの、サブさん、もしも…、もしも良かったらね…。
これからずっと、私の花菱を責めてもらえないかしら。
もし、こんな年上でも良いと言ってくれるなら…。
これからずっと一緒にいて、私の花菱を責め続けて欲しいわ。」
うん? これはもしや、プロポーズってやつですか?
それにしては、何となく、言葉が怪しげだけど…。
「ネ、ネイネイさん、それは、もしかして、ボクと…。」
サブは、ネイネイお姉さんの言葉の意味を計りかねているようだけど。
そこに。
「「ちょっと、まったー!」」
あと二人いた年上のお姉さん方から制止の声が入ったんだ。
**********
「何よ、メイメイに、レイレイ。今良いところなんだから邪魔しないで。」
プロポーズ(たぶん)に水を差されたネイネイお姉さんが、二人に不満を漏らすと。
「邪魔すんなじゃないわよ、ちゃっかり一人だけ抜け駆けをして。
私達、若い娘の邪魔をしちゃいけないと思ったから控え目にしてたのに。
一番年増のあなたが、真っ先に唾を付けるなんて図々しいにもほどがあるわ。
聞けば、サブ君、年上が好みだそうじゃない。
だったら、私達二人にもチャンスがある訳じゃない。
先着順なんて決まりはないんだから、私達も候補に入れてもらうわ。
ここはサブ君の好みで選んで貰いましょうよ。」
そんな言葉を口にしたお姉さん、ネイネイお姉さんに比べて少し勝気な雰囲気だった。
姐御肌って言うのかな、若い耳長族のお姉さんに気を配ってし控えめにしていたみたい。
若い人のカップリングを優先してもらって、あぶれる男の人がいればお零れに与ろうと思っていたんだって。
「何よ、私が年齢で一番のハンデを持っているのですもの。
積極的に行かないと売れ残っちゃうじゃない。
それに、サブさん、とっても可愛くて私好みなのですもの。
胸がキュンときちゃって、この人しかいないと思ったのよ。」
この人は渡さないわよと言わんばかりに、サブの腕にしがみ付いたネイネイお姉さん。
「ネイネイさん…。」
サブは照れながらも、とても嬉しそうで満更でもない様子だったの。
「サブ君、私、メイメイって言うの。
ネイネイより少しだけ年下なんだけど。
サブ君より大分年上よ、私みたいな気の強そうな女は趣味じゃないかな?
ほら、レイレイもこっちへ来て挨拶しなさい。
あんたもサブ君のこと気になっているんでしょう。」
姐御肌のメイメイ姉ちゃんは、自己紹介するともう一人のお姉さんに水を向けたんだ。
レイレイと呼ばれたもう一人のお姉さんは伏目がちで凄く気の弱そうな感じだった。
でも、おいらの目には三人の中で一番の美人に見えたよ。
好みのタイプは人それぞれだろうとは思うけど。
レイレイお姉さんは、とても恥ずかしそうにサブを見詰めると。
「初めまして、レイレイと申します。
わたし、男の方と話すのは初めてで、緊張していて上手く話せないのですが。
年上でかまわないのであれば、わたしもお嫁さん候補に考えていただければ嬉しいかなって。」
自信無げに小さな声で言ったんだけど、それはとても透明感のあるキレイな声で心に染み入るようだったの。
「三人ともとても素敵で、今すぐ選べと言われても困ってしまいます。
お互いのことを良く知るため、少しゆっくりお話しをさせていただけませんか。」
おお、あのならず者とは思えないまともなセリフを吐いたよ、サブったら。
相当、アルトに厳しく躾けられたんだね。
「えええぇ、そんなぁ、今すぐ私に決めてくれても良いのよ。」
サブの言葉に、後から来た二人は嬉しそうに頷いたんだけど、ネイネイお姉さんだけは不満そうだったよ。
サブの腕を抱えたまで、残念そうな言葉を漏らしてた。
結局仕切り直しとなって、四人で話し始めちゃた。
しばらく、四人で和やかに話をしていたんだけど…。
傍から見ていると、サブは一番年上のネイネイお姉さんのことが一番お気に入りみたいだった。
おっとりした雰囲気で、母性を感じさせると言うか、甘えされてくれると言うか、そんな感じが気に入ったみたい。
でも、ぐいぐい押してくるメイメイ姉ちゃんみたいなタイプに、逆らえない性格でもあるみたいで…。
ネイネイお姉さんに決めたという、決断をしかねている様子だったの。
あいにくと男性陣の方に年上好みは他にいないようで、我こそはと割って入る者はいなかったよ。
『STD四十八』の連中、みんな二十歳前だもんね、普通に考えて三十歳手前は年が離れ過ぎてるか。
このまま、話はまとまらないのかなと思ってたら。
「あのぅ…、サブさんは私のような引っ込み思案なタイプはお嫌いですか?」
レイレイお姉さんは、相変わらず自信無さげに問い掛けたんだ。
「いえ、そんなことは無いです。
レイレイさん、とてもお綺麗なので、ボクも話をしていてドキドキしてしまいます。」
実際、お世辞抜きでレイレイさんって、無茶苦茶美人だもんね。
若い頃に、里に男の人がいたなら、きっと取り合いになっていたと思うよ。
それを聞いたレイレイさんが嬉しそうに微笑んで言ったの。
「元々、耳長族は男の人の割合が極端に低くて、女の人があぶれちゃうんです。
それで、昔から一人の男の人が、複数のお嫁さんをもらうのはありふれたことで…。
もし、サブさんさえよろしければ、私達三人をお嫁さんにしていただく訳にはいかないでしょうか。」
なんか、一番控え目で、一番口数が少なかったのに、とんでもないことを言い出したよ、この人。
一人の男の人にお嫁さんは一人に決まっていると思ってたおいらには衝撃的な提案だったよ。
気弱そうなレイレイお姉さんの予想外な提案に、サブの方が戸惑ってたら。
「おおぅ、レイレイ、良いことを言うじゃねえか。
そうだよな、何も、サブ君を独り占めする必要ないんだよな。
なあ、サブ君、私達の事が嫌いじゃなければ、三人まとめてどうだい。
なあに、サブ君、若いんだから、三人のお相手くらい楽勝だろう。
ミンミンの旦那なんて、あの年で二十人も相手してたんだから。」
メイメイ姉ちゃんが父ちゃんを引き合いに出しながら、サブに強引に迫ったよ。
「えええぇ、私だけのサブさんなのに…。」
ネイネイお姉さん、凄い悲しそうな声を上げてた。
で、肝心のサブの方だけど、やっぱり、ぐいぐい押してくるメイメイ姉ちゃんに逆らえないみたいで…。
「ボクで良いと言ってくれるなら、ボク頑張ります。
頑張って、三人にたくさん、子供を作ります。
こんなキレイな年上の嫁さんが三人も出来るなんて夢のようです。
アルト姉さんに従ってカタギに戻って良かった。」
サブの奴、メイメイ姉ちゃんに押し切られて三人ともお嫁さんにすることに決めちゃったの。
「けっ、不良少年が、更生したらモテモテだったってか。
あーあ、いいなー、イケメンは。
それだけで、人生得してるよなー。」
タロウが、嬉しそうなサブたちを見て僻んでいたよ。
意外なことに、集団お見合いで最初に結婚が決まったのは、最年長を含むかなり年上の三人だったの。
「あいつ、ひところは十人以上の人妻と付き合っていたんだから三人くらい楽勝だろう。
一日に三人、四人、平気でハシゴしてたもんな。」
男共からそんな声が聞こえてきたよ。やっぱり、サブってロクなことしてこなかったんだね。
まだ、お見合いは続くよ!
長らく若い男の人がいなかったので、気弱なお姉さん方が依然として隅っこにいたんだけど…。
お目当てのお姉さんの方へ、『STD四十八』の連中から話し掛けに行く姿も見られたよ。
それで、やっとお見合いらしくなってきたんだ。
どんな話をしているのかと思って、聞き耳を立てると…。
「あら、いやだ、私ったらまだ名乗っていなかったわ。
私、ネイネイと申します。
失礼ですが、あなたは?」
抜け駆けをした最年長のお姉さんが、『花菱責めのサブ』に名前を尋ねてた。
ネイネイお姉さん、おっとりとした雰囲気なんだけど、一番積極的だね。
「ボクは、『花菱責めのサブ』、あっ、いえ、サブと申します。」
アルトの言い付け通り、ちゃんと自分を『ボク』と言うサブ。
何時ものように通り名を名乗ろうとして、慌てて言い直したんだ。
そうだね、ならず者をしていた時の『通り名』なんて使わない方が良いよね。
「あら、何かしら、その『花菱責め』と言うのは?」
でも、ネイネイお姉さんは聞き逃さないかったようで、サブに問い返したの。
すると、サブは恥じ入るような表情で。
「実は、ボク、つい最近までヤンチャをしていて。
アルト姉さんのおかげでやっとカタギの道へ戻ってこれたんです。
『花菱責めのサブ』と言うのはヤンチャをしていた時の通り名で…。
その頃、ボクたちの中で、何か一芸に秀でたものになろうと決めたんです。
技を極めて、周りの人からその通り名で呼ばれるくらいになろうと。
ボクも、通り名に恥じないように研鑽を積んだつもりではあるのですが…。」
あの妙ちくりんな通り名、そんな経緯があったんだ。
ただのゴロツキだと思っていたんだけど、意外と真面目に取り組むこともあるんだね。
無法者の時に取り組むんだから、剣技かな、派手な技でコケ脅しにするとか。
いや、連中の事だから、意表をついてダンスの技かも知れないね。
近くにいた『STD四十八』の連中からもこんな声が聞こえたよ。
「ああ、あいつは凄いよな。
『花菱責めのサブ』って言ったら、王都の人妻の中じゃ知らねえ者が無かったものな。」
「そうだよな、あいつが一番乗りだったものな。
自称ではなく、自然と周りが『花菱責めのサブ』と呼ぶようになったのは。」
『花菱責めのサブ』って自称じゃなくて、本当に通り名だったんだ。
「あのでっけえ王都で、そんな通り名が通用するなんて…。
あいつ、とんでもない鬼畜だな、どんだけの人妻を毒牙に掛けたんだ。」
おいらの隣で、タロウがボソッと呟いてたよ。
すると、ネイネイお姉さんもその話が気になったようで。
「何をそんなに恥じているのか知らないけど。
何事も真面目に取り組んで、一芸を極めようとするのは素晴らしいことだと思うわ。
王都で評判になるくらいなのだから、相当なモノなのでしょう。
胸を張ったら良いわ。
ところで、『花菱責め』と言うのはどんな技なのかしら。」
そう尋ねられたサブは恥ずかしそうに顔を赤くして、ネイネイお姉さんにこっそり耳打ちをしたの。
技の内容を他の人には聞かせたくないのかな、秘伝の技とか?
サブからの話を聞いていたネイネイお姉さん、話の途中で顔をポッと赤らめたんだ。
それで、サブの話が終る頃には恥ずかしそうに下を向いちゃった。
「九十年もそういう話に無縁じゃ、さぞかし刺激が強かっただろうな。」
サブとネイネイお姉さんのやり取りを見てたタロウがそんなことを言ってたよ。
俯いてたネイネイお姉さんだけど、少し間をおいて顔を上げると…。
意を決したようにサブに言ったんだ、顔を真っ赤にしたまま。
「あの、サブさん、もしも…、もしも良かったらね…。
これからずっと、私の花菱を責めてもらえないかしら。
もし、こんな年上でも良いと言ってくれるなら…。
これからずっと一緒にいて、私の花菱を責め続けて欲しいわ。」
うん? これはもしや、プロポーズってやつですか?
それにしては、何となく、言葉が怪しげだけど…。
「ネ、ネイネイさん、それは、もしかして、ボクと…。」
サブは、ネイネイお姉さんの言葉の意味を計りかねているようだけど。
そこに。
「「ちょっと、まったー!」」
あと二人いた年上のお姉さん方から制止の声が入ったんだ。
**********
「何よ、メイメイに、レイレイ。今良いところなんだから邪魔しないで。」
プロポーズ(たぶん)に水を差されたネイネイお姉さんが、二人に不満を漏らすと。
「邪魔すんなじゃないわよ、ちゃっかり一人だけ抜け駆けをして。
私達、若い娘の邪魔をしちゃいけないと思ったから控え目にしてたのに。
一番年増のあなたが、真っ先に唾を付けるなんて図々しいにもほどがあるわ。
聞けば、サブ君、年上が好みだそうじゃない。
だったら、私達二人にもチャンスがある訳じゃない。
先着順なんて決まりはないんだから、私達も候補に入れてもらうわ。
ここはサブ君の好みで選んで貰いましょうよ。」
そんな言葉を口にしたお姉さん、ネイネイお姉さんに比べて少し勝気な雰囲気だった。
姐御肌って言うのかな、若い耳長族のお姉さんに気を配ってし控えめにしていたみたい。
若い人のカップリングを優先してもらって、あぶれる男の人がいればお零れに与ろうと思っていたんだって。
「何よ、私が年齢で一番のハンデを持っているのですもの。
積極的に行かないと売れ残っちゃうじゃない。
それに、サブさん、とっても可愛くて私好みなのですもの。
胸がキュンときちゃって、この人しかいないと思ったのよ。」
この人は渡さないわよと言わんばかりに、サブの腕にしがみ付いたネイネイお姉さん。
「ネイネイさん…。」
サブは照れながらも、とても嬉しそうで満更でもない様子だったの。
「サブ君、私、メイメイって言うの。
ネイネイより少しだけ年下なんだけど。
サブ君より大分年上よ、私みたいな気の強そうな女は趣味じゃないかな?
ほら、レイレイもこっちへ来て挨拶しなさい。
あんたもサブ君のこと気になっているんでしょう。」
姐御肌のメイメイ姉ちゃんは、自己紹介するともう一人のお姉さんに水を向けたんだ。
レイレイと呼ばれたもう一人のお姉さんは伏目がちで凄く気の弱そうな感じだった。
でも、おいらの目には三人の中で一番の美人に見えたよ。
好みのタイプは人それぞれだろうとは思うけど。
レイレイお姉さんは、とても恥ずかしそうにサブを見詰めると。
「初めまして、レイレイと申します。
わたし、男の方と話すのは初めてで、緊張していて上手く話せないのですが。
年上でかまわないのであれば、わたしもお嫁さん候補に考えていただければ嬉しいかなって。」
自信無げに小さな声で言ったんだけど、それはとても透明感のあるキレイな声で心に染み入るようだったの。
「三人ともとても素敵で、今すぐ選べと言われても困ってしまいます。
お互いのことを良く知るため、少しゆっくりお話しをさせていただけませんか。」
おお、あのならず者とは思えないまともなセリフを吐いたよ、サブったら。
相当、アルトに厳しく躾けられたんだね。
「えええぇ、そんなぁ、今すぐ私に決めてくれても良いのよ。」
サブの言葉に、後から来た二人は嬉しそうに頷いたんだけど、ネイネイお姉さんだけは不満そうだったよ。
サブの腕を抱えたまで、残念そうな言葉を漏らしてた。
結局仕切り直しとなって、四人で話し始めちゃた。
しばらく、四人で和やかに話をしていたんだけど…。
傍から見ていると、サブは一番年上のネイネイお姉さんのことが一番お気に入りみたいだった。
おっとりした雰囲気で、母性を感じさせると言うか、甘えされてくれると言うか、そんな感じが気に入ったみたい。
でも、ぐいぐい押してくるメイメイ姉ちゃんみたいなタイプに、逆らえない性格でもあるみたいで…。
ネイネイお姉さんに決めたという、決断をしかねている様子だったの。
あいにくと男性陣の方に年上好みは他にいないようで、我こそはと割って入る者はいなかったよ。
『STD四十八』の連中、みんな二十歳前だもんね、普通に考えて三十歳手前は年が離れ過ぎてるか。
このまま、話はまとまらないのかなと思ってたら。
「あのぅ…、サブさんは私のような引っ込み思案なタイプはお嫌いですか?」
レイレイお姉さんは、相変わらず自信無さげに問い掛けたんだ。
「いえ、そんなことは無いです。
レイレイさん、とてもお綺麗なので、ボクも話をしていてドキドキしてしまいます。」
実際、お世辞抜きでレイレイさんって、無茶苦茶美人だもんね。
若い頃に、里に男の人がいたなら、きっと取り合いになっていたと思うよ。
それを聞いたレイレイさんが嬉しそうに微笑んで言ったの。
「元々、耳長族は男の人の割合が極端に低くて、女の人があぶれちゃうんです。
それで、昔から一人の男の人が、複数のお嫁さんをもらうのはありふれたことで…。
もし、サブさんさえよろしければ、私達三人をお嫁さんにしていただく訳にはいかないでしょうか。」
なんか、一番控え目で、一番口数が少なかったのに、とんでもないことを言い出したよ、この人。
一人の男の人にお嫁さんは一人に決まっていると思ってたおいらには衝撃的な提案だったよ。
気弱そうなレイレイお姉さんの予想外な提案に、サブの方が戸惑ってたら。
「おおぅ、レイレイ、良いことを言うじゃねえか。
そうだよな、何も、サブ君を独り占めする必要ないんだよな。
なあ、サブ君、私達の事が嫌いじゃなければ、三人まとめてどうだい。
なあに、サブ君、若いんだから、三人のお相手くらい楽勝だろう。
ミンミンの旦那なんて、あの年で二十人も相手してたんだから。」
メイメイ姉ちゃんが父ちゃんを引き合いに出しながら、サブに強引に迫ったよ。
「えええぇ、私だけのサブさんなのに…。」
ネイネイお姉さん、凄い悲しそうな声を上げてた。
で、肝心のサブの方だけど、やっぱり、ぐいぐい押してくるメイメイ姉ちゃんに逆らえないみたいで…。
「ボクで良いと言ってくれるなら、ボク頑張ります。
頑張って、三人にたくさん、子供を作ります。
こんなキレイな年上の嫁さんが三人も出来るなんて夢のようです。
アルト姉さんに従ってカタギに戻って良かった。」
サブの奴、メイメイ姉ちゃんに押し切られて三人ともお嫁さんにすることに決めちゃったの。
「けっ、不良少年が、更生したらモテモテだったってか。
あーあ、いいなー、イケメンは。
それだけで、人生得してるよなー。」
タロウが、嬉しそうなサブたちを見て僻んでいたよ。
意外なことに、集団お見合いで最初に結婚が決まったのは、最年長を含むかなり年上の三人だったの。
「あいつ、ひところは十人以上の人妻と付き合っていたんだから三人くらい楽勝だろう。
一日に三人、四人、平気でハシゴしてたもんな。」
男共からそんな声が聞こえてきたよ。やっぱり、サブってロクなことしてこなかったんだね。
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