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第五章 王都でもこいつらは・・・
第109話 さあ、本部の中にカチコミだ!
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アッチ会四天王(?)の一人というキョーカツとその手下を一撃で粗大ゴミにしてしまったアルト。
その様子を目の当たりにしたギルドの下っ端達は、みんな怯えちゃって腰が引けてるよ。
おいら達を遠巻きにして震えているだけで、反撃してくる気概もないみたい。
「さあ、あんな三下をかまっていても時間の無駄だわ。
こちらから、ギルドの本部に乗り込みましょう。」
そう言うとサッサと正面の扉に向かって飛んでっちゃった。
おいら達も慌ててそれに続いたよ。
アルトが、開け放たれたままになっていた扉に向かって飛んで行くと。
扉を塞ぐように立っていた下っ端達が慌ててアルトに道を空けてたよ。
扉を潜るとそこは天井の高い吹き抜けのホールになっていて、一番奥にはカウンターがあるんだ。
そこで、買い取りや依頼受付をしてるんだけど、配置は何処も同じだね。
おいらの住む辺境の町にあるギルドとの違いは、ホールが凄く広いことと…。
ホールに置かれたテーブルで飲んだくれている冒険者が異様に多いことかな。
「なんだ、てめえらは、ここは女子供の来るところじゃねえぜ。
てか、えらいベッピンさんを連れてるな。
なんだ、ギルドにその姉ちゃんを売りに来たんか。
それなら、奥のカウンターに連れてきな、高く買い取ってくれるぜ。
ウイックッ!」
飲んだくれている冒険者が、おいら達を目にしてそんな声を掛けてきたよ。
このギルド、人の売り買いもやってるんだ…。
「全く、こんな早い時間から飲んだくれていないで魔物狩りでもして来れば良いのに…。」
アルトが酔っ払いを見てため息をついてたよ。
見た感じホールで飲んだくれているのは、誰もがガラの悪い人達だけど。
そのほとんどが、ギルドで依頼を受けてる冒険者みたい。
ギルドの構成員じゃなくて、依頼で稼いだお金をギルドの酒場で吸い上げられているカモ達だね。
すると、手下を従えた偉そうなオッチャンがホールの隅にある階段を降りてきたのが見えたよ。
「兄貴、あいつらです!
あの羽虫が、キョーカツの兄貴を手に掛けたんです!」
チンピラの一人がおいら達を指さして叫んだよ。
どうやら、さっき伝言に走った下っ端が幹部を呼んで来たみたい。
「てめえらが、カチコミに来たって奴か。
羽虫と女子供が三人で、天下の広域指定冒険者ギルド『アッチ会』にカチコミたぁ。
舐めた真似をしてくれるじゃねえか。」
アニキと呼ばれた偉そうなオッチャンが威圧的な態度で言ったよ。
「そうよ、あんたらの下っ端がうちの身内にちょっかい出したんでね。
落とし前をつけてもらおうかと思ってね。
取り敢えず、親分のタマを貰っとこうと思うんで。
親分のところに連れてってくれない。」
その程度の威圧的な態度くらいでは、アルトが怯む訳も無く。
アルトは、挑発するように親分のもとに案内しろと要求したんだ。
「てめえ、この羽虫!
アッチ会若頭補佐筆頭のこのドーカツ様に向かってそんな口利くなんて良い度胸じゃねえか。
とっ捕まえて、好事家のペットにでも売り飛ばそうかと思ったが、気が変わった。
この場で、捻り潰してやるぜ!
おい、おまえら、やっちまえ!」
ドーカツが手下をけしかけると、命じられた連中が階段を駆け降りておいら達に向かった来たよ。
「もう、時間の無駄!」
バリ!バリ!バリ!
おいらやタロウが悠長に相手をするのは時間の無駄だと思ったみたい。
アルトが、ビリビリの一撃で片付けちゃったよ。
「てめえ、この羽虫!
舐めた真似しやがって、もう赦さねえ!」
怒声を上げたドーカツは剣を抜いて階段を駆け降りてきた。
「マロン、ちょっと悪いけど。
あいつ、生かして捕らえたいから無力化してもらえる。」
「うん、良いよ。親分のところに手土産にするんだね。」
アルトに頼まれて、おいらはドーカツの前に出たの。
「このガキ!そこを退かないと先に冥途に送ってやるぞ!」
と大声を上げながら、おいらに剣を振り下ろすドーカツ。
うーん、遅いよ、トレントの枝に比べて動きが凄く遅い。
別にスキル『回避』に頼るまでもなく、楽勝で避けられそうだけど…。
ここは、敢えて『回避』が発動するまでジッと待つことにしたんだ。
振り下ろされた剣がおいらを捕らえる寸前、『回避』がキッチリ発動し。
おいらの体は、上手にドーカツの背後に回り込んだの。
このスキル『回避』、単に攻撃を回避するだけじゃないんだ。
相手が二の太刀を浴びせ難い位置や、おいらが反撃し易い位置に回避してくれるというお役立ちスキルなの。
背後に回り込んだおいらは、膝カックンの要領でドーカツの膝の裏に蹴りを入れたんだ、爪先で。
軽く蹴ったつもりなんだけど、二つの『クリティカル』関連スキルがキッチリ仕事をして…。
グシャ!
なんて破砕音と共に、ドーカツの右膝を粉砕したよ。
「ギャアアアアア!」
オッチャンの悲鳴は耳障りだね。
剣を振り下ろした勢いのまま、ズドンと前のめりに倒れたドーカツ。
石の床に思いっ切り顔を打ち付けて、ピクリとも動かなくなっちゃった。
「げっ。
恫喝だけなら、アッチ会四天王随一と言われているドーカツの兄貴までやられちまった。
こりゃ、ヤベえぜ!」
『恫喝だけなら』って、こいつも脅すだけしか能のない見掛け倒し? それってどうなのよ。
「口ほどにも無いと思ったら…。
本当に口だけの奴だったのね。」
下っ端連中の中から聞こえた言葉を聞いて、アルトも呆れてたよ。
そのまま、ドーカツを『積載庫』の中に放り込んでた。
********
アルトは、その場にいた下っ端一人を脅して、親分の部屋まで案内させたんだ。
四天王が五人なら、あと三人いるはずだけど…。
その後は何の妨害も無く、親分の部屋に辿り着いたよ。
四階建て建物の四階、大通りを見下ろす位置に立派な扉の部屋があった。
『総長室』って札が掲げられていたよ。
「けっ、何が偉そうに総長よ。
サルほどしか能のない連中の一番上に立つ、サル山のボスザルみたいなもんなのに。」
アルトは、掲げられた札にいちゃんもんを付けながら、目の前にいつもの光の玉を生み出してた。
そして、
「こそこそ隠れてないで、とっとと出てらっしゃい!」
部屋の中に向かってそんな声を掛けながら、光の玉を放ったの。
例によって、大音響と共の扉は砕けちゃったんだけど…。
「「「「ウガァアーーーー!」」」」
いつもと違うのは、扉の向こうから、男達の苦悶の叫び声が聞こえてきたんだ。
「ここまで、妨害が無いからこんなことだと思っていたわ。
この部屋で待ち構えていて。
私達がのこのこやってきたら問答無用で斬り掛かってくるつもりだったのね。
最大戦力をここに集めて。」
どうやら、扉の向こうで腕利きの冒険者が何人か剣を抜いて待ち構えていたみたい。
まさかこちらが問答無用で扉をぶち壊すとは、連中も思ってなかったんだろうね。
待ち構えていた奴ら、扉と一緒に吹き飛ばされたみたい。
「思い切りぶちかましたから、死んじゃったかもしれないけど…。
事故だから掟を破った事にはならないわね。
不用意に扉の側にいた奴らが悪いのだしね。」
誰に聞かせるとなく、アルトはそんな自己弁護してたよ。
『殺しはご法度』っていう妖精族の掟って抜け道が多いね。
「てめえら、問答無用で扉をぶち壊すなんて。
礼儀ってモノを知らねえのか!」
いや、『こんにちは』って言って入っていたら、問答無用で斬り殺すつもりだったんでしょう。
そんな人達に礼儀とか言われても…。
「どこの誰だか知らねえが。
ここから先はこの俺、若頭補佐のイーカツと…。」
「同じく若頭補佐の俺様ダイカツが一歩も通さねえから覚悟しやがれ!」
見るからに武闘派っていう感じのオッチャン二人が剝き身の剣を振り被って掛かって来たよ。
たまたま、一番前に立っていたタロウに向かって。
「えっ、俺?
俺はこの中で一番雑魚だぞ。
冗談はよしこさんだぜ…。」
口では情けないことを言いつつ剣を抜いたタロウ。
「おお、そうか、弱いところから突くのは定石だろうが!」
自らを雑魚だと言っていたタロウを組み易しと見たんだろう。
イーカツはそんな言葉を吐きながら、余裕の表情で剣を振り下ろしたんだ。
「だから、危ないって、そんな剣に斬られたら死んじまうじゃねえか。」
相変わらず泣き言をもらしながら剣を避けたタロウ、躱しざまに剣の柄の尻でイーカツの後頭部を殴り付けたよ。
「キュウ…」
変な声を上げながら倒れ込むイーカツ。
「この野郎!やりやがったな!
楽には殺してやらねえから、覚悟しろよ!」
それを目にして、ダイカツが激怒したよ。
でも、それで、タロウはかえって余裕が出たみたい。
「アニメなんか見てて良く思ったんだけど…。
そんな、無駄口叩く間に、無言で攻撃した方が絶対に有利だろうって。
でも、相手をしてみるとその方が楽だな。
こっちに体勢を整える間を与えてくれるんだから。
相手がバカで助かったぜ。」
タロウはそんなことを呟きながら、振り下ろされた剣をいなすと。
今度は剣の柄をダイカツの鳩尾に叩き込んだの。
「ウゲッ!」
くぐもった声をもらしながら、地べたに倒れ伏し苦しそうに鳩尾を抱えるダイカツ。
「げっ!アッチ会四天王の次席と三席までやられちまった!
こりゃ、本当にヤバいぞ!」
部屋の中にいた捨て駒らしき三下が、狼狽してるよ。
これで四人やっつけた、四天王はあと一人かな?
やっぱ、これ、変だよね…。
その様子を目の当たりにしたギルドの下っ端達は、みんな怯えちゃって腰が引けてるよ。
おいら達を遠巻きにして震えているだけで、反撃してくる気概もないみたい。
「さあ、あんな三下をかまっていても時間の無駄だわ。
こちらから、ギルドの本部に乗り込みましょう。」
そう言うとサッサと正面の扉に向かって飛んでっちゃった。
おいら達も慌ててそれに続いたよ。
アルトが、開け放たれたままになっていた扉に向かって飛んで行くと。
扉を塞ぐように立っていた下っ端達が慌ててアルトに道を空けてたよ。
扉を潜るとそこは天井の高い吹き抜けのホールになっていて、一番奥にはカウンターがあるんだ。
そこで、買い取りや依頼受付をしてるんだけど、配置は何処も同じだね。
おいらの住む辺境の町にあるギルドとの違いは、ホールが凄く広いことと…。
ホールに置かれたテーブルで飲んだくれている冒険者が異様に多いことかな。
「なんだ、てめえらは、ここは女子供の来るところじゃねえぜ。
てか、えらいベッピンさんを連れてるな。
なんだ、ギルドにその姉ちゃんを売りに来たんか。
それなら、奥のカウンターに連れてきな、高く買い取ってくれるぜ。
ウイックッ!」
飲んだくれている冒険者が、おいら達を目にしてそんな声を掛けてきたよ。
このギルド、人の売り買いもやってるんだ…。
「全く、こんな早い時間から飲んだくれていないで魔物狩りでもして来れば良いのに…。」
アルトが酔っ払いを見てため息をついてたよ。
見た感じホールで飲んだくれているのは、誰もがガラの悪い人達だけど。
そのほとんどが、ギルドで依頼を受けてる冒険者みたい。
ギルドの構成員じゃなくて、依頼で稼いだお金をギルドの酒場で吸い上げられているカモ達だね。
すると、手下を従えた偉そうなオッチャンがホールの隅にある階段を降りてきたのが見えたよ。
「兄貴、あいつらです!
あの羽虫が、キョーカツの兄貴を手に掛けたんです!」
チンピラの一人がおいら達を指さして叫んだよ。
どうやら、さっき伝言に走った下っ端が幹部を呼んで来たみたい。
「てめえらが、カチコミに来たって奴か。
羽虫と女子供が三人で、天下の広域指定冒険者ギルド『アッチ会』にカチコミたぁ。
舐めた真似をしてくれるじゃねえか。」
アニキと呼ばれた偉そうなオッチャンが威圧的な態度で言ったよ。
「そうよ、あんたらの下っ端がうちの身内にちょっかい出したんでね。
落とし前をつけてもらおうかと思ってね。
取り敢えず、親分のタマを貰っとこうと思うんで。
親分のところに連れてってくれない。」
その程度の威圧的な態度くらいでは、アルトが怯む訳も無く。
アルトは、挑発するように親分のもとに案内しろと要求したんだ。
「てめえ、この羽虫!
アッチ会若頭補佐筆頭のこのドーカツ様に向かってそんな口利くなんて良い度胸じゃねえか。
とっ捕まえて、好事家のペットにでも売り飛ばそうかと思ったが、気が変わった。
この場で、捻り潰してやるぜ!
おい、おまえら、やっちまえ!」
ドーカツが手下をけしかけると、命じられた連中が階段を駆け降りておいら達に向かった来たよ。
「もう、時間の無駄!」
バリ!バリ!バリ!
おいらやタロウが悠長に相手をするのは時間の無駄だと思ったみたい。
アルトが、ビリビリの一撃で片付けちゃったよ。
「てめえ、この羽虫!
舐めた真似しやがって、もう赦さねえ!」
怒声を上げたドーカツは剣を抜いて階段を駆け降りてきた。
「マロン、ちょっと悪いけど。
あいつ、生かして捕らえたいから無力化してもらえる。」
「うん、良いよ。親分のところに手土産にするんだね。」
アルトに頼まれて、おいらはドーカツの前に出たの。
「このガキ!そこを退かないと先に冥途に送ってやるぞ!」
と大声を上げながら、おいらに剣を振り下ろすドーカツ。
うーん、遅いよ、トレントの枝に比べて動きが凄く遅い。
別にスキル『回避』に頼るまでもなく、楽勝で避けられそうだけど…。
ここは、敢えて『回避』が発動するまでジッと待つことにしたんだ。
振り下ろされた剣がおいらを捕らえる寸前、『回避』がキッチリ発動し。
おいらの体は、上手にドーカツの背後に回り込んだの。
このスキル『回避』、単に攻撃を回避するだけじゃないんだ。
相手が二の太刀を浴びせ難い位置や、おいらが反撃し易い位置に回避してくれるというお役立ちスキルなの。
背後に回り込んだおいらは、膝カックンの要領でドーカツの膝の裏に蹴りを入れたんだ、爪先で。
軽く蹴ったつもりなんだけど、二つの『クリティカル』関連スキルがキッチリ仕事をして…。
グシャ!
なんて破砕音と共に、ドーカツの右膝を粉砕したよ。
「ギャアアアアア!」
オッチャンの悲鳴は耳障りだね。
剣を振り下ろした勢いのまま、ズドンと前のめりに倒れたドーカツ。
石の床に思いっ切り顔を打ち付けて、ピクリとも動かなくなっちゃった。
「げっ。
恫喝だけなら、アッチ会四天王随一と言われているドーカツの兄貴までやられちまった。
こりゃ、ヤベえぜ!」
『恫喝だけなら』って、こいつも脅すだけしか能のない見掛け倒し? それってどうなのよ。
「口ほどにも無いと思ったら…。
本当に口だけの奴だったのね。」
下っ端連中の中から聞こえた言葉を聞いて、アルトも呆れてたよ。
そのまま、ドーカツを『積載庫』の中に放り込んでた。
********
アルトは、その場にいた下っ端一人を脅して、親分の部屋まで案内させたんだ。
四天王が五人なら、あと三人いるはずだけど…。
その後は何の妨害も無く、親分の部屋に辿り着いたよ。
四階建て建物の四階、大通りを見下ろす位置に立派な扉の部屋があった。
『総長室』って札が掲げられていたよ。
「けっ、何が偉そうに総長よ。
サルほどしか能のない連中の一番上に立つ、サル山のボスザルみたいなもんなのに。」
アルトは、掲げられた札にいちゃんもんを付けながら、目の前にいつもの光の玉を生み出してた。
そして、
「こそこそ隠れてないで、とっとと出てらっしゃい!」
部屋の中に向かってそんな声を掛けながら、光の玉を放ったの。
例によって、大音響と共の扉は砕けちゃったんだけど…。
「「「「ウガァアーーーー!」」」」
いつもと違うのは、扉の向こうから、男達の苦悶の叫び声が聞こえてきたんだ。
「ここまで、妨害が無いからこんなことだと思っていたわ。
この部屋で待ち構えていて。
私達がのこのこやってきたら問答無用で斬り掛かってくるつもりだったのね。
最大戦力をここに集めて。」
どうやら、扉の向こうで腕利きの冒険者が何人か剣を抜いて待ち構えていたみたい。
まさかこちらが問答無用で扉をぶち壊すとは、連中も思ってなかったんだろうね。
待ち構えていた奴ら、扉と一緒に吹き飛ばされたみたい。
「思い切りぶちかましたから、死んじゃったかもしれないけど…。
事故だから掟を破った事にはならないわね。
不用意に扉の側にいた奴らが悪いのだしね。」
誰に聞かせるとなく、アルトはそんな自己弁護してたよ。
『殺しはご法度』っていう妖精族の掟って抜け道が多いね。
「てめえら、問答無用で扉をぶち壊すなんて。
礼儀ってモノを知らねえのか!」
いや、『こんにちは』って言って入っていたら、問答無用で斬り殺すつもりだったんでしょう。
そんな人達に礼儀とか言われても…。
「どこの誰だか知らねえが。
ここから先はこの俺、若頭補佐のイーカツと…。」
「同じく若頭補佐の俺様ダイカツが一歩も通さねえから覚悟しやがれ!」
見るからに武闘派っていう感じのオッチャン二人が剝き身の剣を振り被って掛かって来たよ。
たまたま、一番前に立っていたタロウに向かって。
「えっ、俺?
俺はこの中で一番雑魚だぞ。
冗談はよしこさんだぜ…。」
口では情けないことを言いつつ剣を抜いたタロウ。
「おお、そうか、弱いところから突くのは定石だろうが!」
自らを雑魚だと言っていたタロウを組み易しと見たんだろう。
イーカツはそんな言葉を吐きながら、余裕の表情で剣を振り下ろしたんだ。
「だから、危ないって、そんな剣に斬られたら死んじまうじゃねえか。」
相変わらず泣き言をもらしながら剣を避けたタロウ、躱しざまに剣の柄の尻でイーカツの後頭部を殴り付けたよ。
「キュウ…」
変な声を上げながら倒れ込むイーカツ。
「この野郎!やりやがったな!
楽には殺してやらねえから、覚悟しろよ!」
それを目にして、ダイカツが激怒したよ。
でも、それで、タロウはかえって余裕が出たみたい。
「アニメなんか見てて良く思ったんだけど…。
そんな、無駄口叩く間に、無言で攻撃した方が絶対に有利だろうって。
でも、相手をしてみるとその方が楽だな。
こっちに体勢を整える間を与えてくれるんだから。
相手がバカで助かったぜ。」
タロウはそんなことを呟きながら、振り下ろされた剣をいなすと。
今度は剣の柄をダイカツの鳩尾に叩き込んだの。
「ウゲッ!」
くぐもった声をもらしながら、地べたに倒れ伏し苦しそうに鳩尾を抱えるダイカツ。
「げっ!アッチ会四天王の次席と三席までやられちまった!
こりゃ、本当にヤバいぞ!」
部屋の中にいた捨て駒らしき三下が、狼狽してるよ。
これで四人やっつけた、四天王はあと一人かな?
やっぱ、これ、変だよね…。
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