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第四章 魔物暴走(スタンピード)顛末記
第70話 その時、警報が鳴り響いたの
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アルトからスタンピードが終結したとの知らせを受けたおいら。
まずは町に帰ってタロウやクッころさんに、スタンピードの終結を伝えることにしたんだ。
ノイエが、『生命の欠片』が沢山あるかも知れないと言っていたけど。
『積載庫』の中にある『虫』の遺骸の確認は後回しにしたよ。
正直、気色悪くて、あんまり乗り気がしないしね。
おいらが妖精の森を立ち去ろうとしたその時のこと。
頭の中でけたましい音が鳴り響いたの、何かを警告するような大音響が。
慌てて、能力値を思い浮かべると、スキル『積載庫』が赤く点滅を繰り返したんだ。
『積載庫』に意識を集中すると、そこに『警告』という文字が浮かんだの。
そして、
「『積載庫』が深刻なバイオハザードの危険に晒されています。
滅菌処理を施しますか?
対象物 『ハエ』型魔物の遺骸、『蚊』型魔物の遺骸、『ゴキブリ』型魔物の遺骸。
尚、対象物に滅菌処理を施すと、以後、対象物を『生物兵器』として使用することは出来ません。」
と、例の抑揚のない女の人の声が聞こえたんだ。
バイオハザード? 生物兵器? なにそれ?
良く分からない言葉が並んでいるけど、何んかとんでもなく物々しい感じだったんだよ。
放っておくとヤバい気がしたんで、おいらは速攻で「はい」と答えたの。
すると、警告音は鳴り響いたままで、『積載庫』に点滅する『滅菌中』の文字が重なり…。
その文字が、『滅菌終了』と変わるとやっと煩い警告音が止んだの。
警告音が止むと同時に、『滅菌終了』の文字も消えたよ。
念のため『積載庫』の中を確認すると…。
『ハエ』型魔物の遺骸:滅菌済み、廃棄物(利用できるモノがありません)
『蚊』型魔物の口ばし:滅菌済み、刺突武器として利用できる。
『蚊』型魔物の遺骸:滅菌済み、廃棄物(利用できるモノがありません)
『ゴキブリ』型魔物の遺骸:滅菌済み、油分多し、乾燥させると燃料になる(ただし、燃やすと強烈な悪臭を発する)
って表示されてた。
どうやら、魔物が持っていた『病原菌』を退治してくれたみたいだね。
残った遺骸は、『蚊』の口ばしだけが利用価値があるみたいで、解体されてた。
あとは、そのままゴミにするしかないみたい。
『ゴキブリ』は…、微妙だね。捨てるかどうか迷うとこだよ、強烈な悪臭って…。
ホント、『積載庫』ってどんな仕組みになってるんだろうね、便利ではあるけど…。
ついでに、ノイエに助言された通り『生命の欠片』も確認して見たんだ。
ノイエも言ってたけど、『ハエ』とか結構レベルの高い個体がいたみたいだね。
おいらの『積載庫』の中でも百万枚近く『生命の欠片』が増えてたよ。
でも、レベル四十一になるには八百京くらい必要だから、百万枚だと本当に端数だね。
********
やかましい警告音も止んだので、改めて町へ戻ろうとすると。
「あっ、待って、アタシも一緒に行くわ。
あのおバカさんに、話があるから。」
そう言って、ノイエがおいらの肩の上に乗ってきたんだ。
なんか、ノイエはクッころさんに用事があるみたいだね。
こうして、ノイエと共に町に戻ってくると…。
「おや、マロン、お帰りよ。
タロウから聞いたよ、スタンピードが通り過ぎたかも知れないんだってね。」
町の広場で、噂好きのオバチャンがおいらを見つけて声を掛けてきたんだ。
近所のオバチャン達が集まって井戸端会議をしていたみたい。
「おはよう、オバチャン。
ちょうど良いところで会ったよ。
今、妖精の森の長のところで話を聞いて来たところなんだ。
今回のスタンピードは収まったって言ってたよ。もう安心だって。」
「あら、それは良かったよ。
早速みんなに知らせて来なきゃ。
ギルドのロクでなし以外に被害が無くて本当に良かったよ。
マロン、今回は事前に知らせてくれて有り難う、おかげで命拾いしたよ。」
おいらに礼を言うと、オバチャンはさっそくご近所さんに言い触らしに行ったよ。
一緒に井戸端会議をしていたオバチャン達も、同時に散っていった。
これで、スタンピード終結の情報は町中に伝わるね。
家に帰ると、クッころさん、タロウ、それににっぽん爺が待っていた。
どうやら、みんな揃っておいらの知らせを待っていたみたい。
おいらが、スタンピードの終結を告げると。
「マロン、お疲れさまでした。
マロンの活躍は二人から聞いているよ、小さな体でよく頑張ったね。
そして本当に有り難う、マロンのおかげでこうして生き延びることが出来たよ。
この歳になって、『ゴキブリ』にかじられてお陀仏だなんてぞっとしないからね。」
にっぽん爺はいつもの穏やかな表情で、おいらに感謝の気持ちを告げると家に帰って行ったよ。
「よーし、俺も帰って寝ることにするか。
この三日、緊張してロクに眠れなかったからな。
今日は、気分良く眠れそうだぜ。」
そう言って帰ろうとするタロウに…。
「あっ、タロウ、アルトが『妖精の剣』、早く返せって言ってたよ。
借りパクしようとしたら、キツイお仕置きだって。」
おいらが、アルトからの伝言を伝えると苦い顔をしてたよ。
こいつ、ホントに『妖精の剣』を持ち逃げするつもりだったのか…。
********
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まずは町に帰ってタロウやクッころさんに、スタンピードの終結を伝えることにしたんだ。
ノイエが、『生命の欠片』が沢山あるかも知れないと言っていたけど。
『積載庫』の中にある『虫』の遺骸の確認は後回しにしたよ。
正直、気色悪くて、あんまり乗り気がしないしね。
おいらが妖精の森を立ち去ろうとしたその時のこと。
頭の中でけたましい音が鳴り響いたの、何かを警告するような大音響が。
慌てて、能力値を思い浮かべると、スキル『積載庫』が赤く点滅を繰り返したんだ。
『積載庫』に意識を集中すると、そこに『警告』という文字が浮かんだの。
そして、
「『積載庫』が深刻なバイオハザードの危険に晒されています。
滅菌処理を施しますか?
対象物 『ハエ』型魔物の遺骸、『蚊』型魔物の遺骸、『ゴキブリ』型魔物の遺骸。
尚、対象物に滅菌処理を施すと、以後、対象物を『生物兵器』として使用することは出来ません。」
と、例の抑揚のない女の人の声が聞こえたんだ。
バイオハザード? 生物兵器? なにそれ?
良く分からない言葉が並んでいるけど、何んかとんでもなく物々しい感じだったんだよ。
放っておくとヤバい気がしたんで、おいらは速攻で「はい」と答えたの。
すると、警告音は鳴り響いたままで、『積載庫』に点滅する『滅菌中』の文字が重なり…。
その文字が、『滅菌終了』と変わるとやっと煩い警告音が止んだの。
警告音が止むと同時に、『滅菌終了』の文字も消えたよ。
念のため『積載庫』の中を確認すると…。
『ハエ』型魔物の遺骸:滅菌済み、廃棄物(利用できるモノがありません)
『蚊』型魔物の口ばし:滅菌済み、刺突武器として利用できる。
『蚊』型魔物の遺骸:滅菌済み、廃棄物(利用できるモノがありません)
『ゴキブリ』型魔物の遺骸:滅菌済み、油分多し、乾燥させると燃料になる(ただし、燃やすと強烈な悪臭を発する)
って表示されてた。
どうやら、魔物が持っていた『病原菌』を退治してくれたみたいだね。
残った遺骸は、『蚊』の口ばしだけが利用価値があるみたいで、解体されてた。
あとは、そのままゴミにするしかないみたい。
『ゴキブリ』は…、微妙だね。捨てるかどうか迷うとこだよ、強烈な悪臭って…。
ホント、『積載庫』ってどんな仕組みになってるんだろうね、便利ではあるけど…。
ついでに、ノイエに助言された通り『生命の欠片』も確認して見たんだ。
ノイエも言ってたけど、『ハエ』とか結構レベルの高い個体がいたみたいだね。
おいらの『積載庫』の中でも百万枚近く『生命の欠片』が増えてたよ。
でも、レベル四十一になるには八百京くらい必要だから、百万枚だと本当に端数だね。
********
やかましい警告音も止んだので、改めて町へ戻ろうとすると。
「あっ、待って、アタシも一緒に行くわ。
あのおバカさんに、話があるから。」
そう言って、ノイエがおいらの肩の上に乗ってきたんだ。
なんか、ノイエはクッころさんに用事があるみたいだね。
こうして、ノイエと共に町に戻ってくると…。
「おや、マロン、お帰りよ。
タロウから聞いたよ、スタンピードが通り過ぎたかも知れないんだってね。」
町の広場で、噂好きのオバチャンがおいらを見つけて声を掛けてきたんだ。
近所のオバチャン達が集まって井戸端会議をしていたみたい。
「おはよう、オバチャン。
ちょうど良いところで会ったよ。
今、妖精の森の長のところで話を聞いて来たところなんだ。
今回のスタンピードは収まったって言ってたよ。もう安心だって。」
「あら、それは良かったよ。
早速みんなに知らせて来なきゃ。
ギルドのロクでなし以外に被害が無くて本当に良かったよ。
マロン、今回は事前に知らせてくれて有り難う、おかげで命拾いしたよ。」
おいらに礼を言うと、オバチャンはさっそくご近所さんに言い触らしに行ったよ。
一緒に井戸端会議をしていたオバチャン達も、同時に散っていった。
これで、スタンピード終結の情報は町中に伝わるね。
家に帰ると、クッころさん、タロウ、それににっぽん爺が待っていた。
どうやら、みんな揃っておいらの知らせを待っていたみたい。
おいらが、スタンピードの終結を告げると。
「マロン、お疲れさまでした。
マロンの活躍は二人から聞いているよ、小さな体でよく頑張ったね。
そして本当に有り難う、マロンのおかげでこうして生き延びることが出来たよ。
この歳になって、『ゴキブリ』にかじられてお陀仏だなんてぞっとしないからね。」
にっぽん爺はいつもの穏やかな表情で、おいらに感謝の気持ちを告げると家に帰って行ったよ。
「よーし、俺も帰って寝ることにするか。
この三日、緊張してロクに眠れなかったからな。
今日は、気分良く眠れそうだぜ。」
そう言って帰ろうとするタロウに…。
「あっ、タロウ、アルトが『妖精の剣』、早く返せって言ってたよ。
借りパクしようとしたら、キツイお仕置きだって。」
おいらが、アルトからの伝言を伝えると苦い顔をしてたよ。
こいつ、ホントに『妖精の剣』を持ち逃げするつもりだったのか…。
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