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第四章 魔物暴走(スタンピード)顛末記
第64話 オバチャンネットワークだって、お役立ちです!
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妖精の森を出て見上げると、そこには澄み渡る空が広がってたよ。
一点の曇りもないと言うか、今のところおぞましい虫型魔物が飛んで来るのは見られない。
「まだ、『ハエ』、『蚊』、『ゴキブリ』が飛んでくる様子はないね。」
おいらがそう言うとノイエが言ったの。
「当たり前よ、アルトお姉さまが森の空を穢すモノを易々と通す訳ないじゃいない。
でもまあ、そのうち、森を抜けてこっちにやって来る虫けらが出てくるでしょうけどね。」
今は飛ぶのが速い個体が森に到達しているだけで数が少ないみたい。
そのくらいであれば、アルトがビリビリで迎撃してくれ、撃ち漏らしはないはずだとノイエは言うの。
ただ、虫型魔物は数がやたら多いので、スタンピードの本体が到達したらそうはいかないだろうって。
そのうち、アルトでも全部撃退するのは難しくなり、撃ち漏らしが出て来る筈だとノイエは言ってる。
ならば、一旦、町へ戻る時間はありそうだね。
「それじゃあ、アルトが防いでくれてる間に町に戻って警告して来るよ。
スタンピードが起こって、虫型の魔物が襲ってくるかもしれないって。
建物に中に逃げ込んでいれば、何とかやり過ごせるかも知れないから。」
虫型の魔物は、力自体はそんなに強くないみたいだし、『病原菌』を防げれば何とかなるかも知れないからね。
『病原菌』って、どんなものか知らないけど、建物の中まで入ってこなければ良いけど…。
「まあ、そのくらいなら時間の余裕はあるでしょうね。
一旦町に戻るのなら、早くした方が良いわ。
そんなに、多くの時間的な余裕は残されてないわよ。」
ノイエの助言に従って、おいらは急いで町に戻ることにしたんだ。
この間、『野外移動速度アップ』のスキルを取っておいてよかったよ。
おいらも、タロウと同じレベル五まで上げておいたんだ。
七十五%増しの速さは、ホント、侮れないね。あっという間に町に着いたよ。
町に着いて、足早に広場に差し掛かると。
「おや、マロンじゃないかい。
えらい速足で歩いて、何をそんなに慌ててるんだい?」
どうやって町のみんなに危険を知らせようかと考えてると、近所のオバチャンが声を掛けてきたの。
例の噂好きのオバチャン、この人に秘密を知られるあっという間に広まっちゃう危険人物。
「ちょうど良いところに!
ねえ、オバチャン、大変なの。
ちょっと離れたところで、スタンピードが起こってね。
虫型の魔物がここまで襲ってくるかもしれないの。
『ハエ』、『蚊』、『ゴキブリ』の魔物!」
「おやまあ、汚らしい虫けらばっかりだねえ。
なんか悪い病気を運んで来そうで、イヤだわ。」
うん、魔物じゃくなても、ハエなんて集ったモノを食べるとお腹壊すものね。
「そう、それ、襲ってくる連中、厄介な『病原菌』をまき散らすらしいんだ。
おいらの知り合いの妖精が、森の上空で撃退してるんでそんなに数は来ないと思うけど。
命にかかわる『病原菌』みたいだから、しばらく、建物にこもってた方が良いと思う。」
「ありゃまあ、そいつは一大事じゃないかい。
こうしちゃいられない。
近所の奥さん方に知らせて、家にこもるように言っとかないと。
マロン、大事なことを教えてくれて、有難うね。」
そう言って駆け出したオバチャン、さっそく近くの屋台に並んでたオバチャン仲間に言い触らしてた。
きっとこの調子で、家に帰る道すがら、あちこちで言い触らしてくれるね。
これで、オバチャンネットワークに乗っかって、あっという間に町に広まるはずだよ。
おいらが、触れて回る手間が省けて助かった。
「オバチャンネットワーク、怖えぇ…。」
おいらの隣で、タロウがなんか呟いてら。
********
おいらは、町の人達への周知はオバチャンネットワークに任せることにして一旦家に帰って来たよ。
タロウには、にっぽん爺に事情を説明しに行かせている。
おいらが家に帰ると、クッころさんは呑気に昼寝をしてた。
この人、本当に騎士になる気あるんだろうか…。
「クッころさん、起きて! 大変なの!」
「もう、イチゴとキウイは勘弁して…。もう、これ以上入らないわ…。」
おいらが起こそうと声をかけると、うなされるようにそんな声を上げたクッころさん。
三日三晩、『スキルの実』を食べ続けたのが、よっぽどの苦行だったみたい。
「寝ぼけてないで、早く起きて!
スタンピードが起こったの! この町が魔物の襲撃を受けるよ!」
「なんですって! 魔物は何処ですの!」
魔物と聞いて飛び起きたクッころさん、ハッキリ目を覚ましたようで警戒するように辺りを見回している。
こういう所はしっかり騎士の血を引いているんだね。
目を覚ましたクッころさんに、おいらは事情を説明したんだ。
「だから、クッころさんはしばらく、この家から出ないでね。
それと、これを渡しておくね。
これは、『妖精の泉』で汲んだ水、万病に効くんだ。
もし、魔物がまき散らした『病原菌』に感染したら飲んで。
一口で治るって言うから。」
おいらは、水筒に入れた『妖精の泉』の水をクッころさんに手渡したの。
そして、家を出ようとすると…。
「まちなさい、マロン。
あなた、何処へ行くつもりですの?」
クッころさんが尋ねてきたよ。
「おいら、アルトが撃ち漏らした魔物を、町の外で撃退しようと思って。
家の中にこもっていても、魔物がまき散らす『病原菌』を防げるか分からないから。
おいらなら、魔物を退治できるスキルを持っているからね。
魔物を町に入れないに越したことはないでしょう。」
すると、クッころさん。
「その心意気や、天晴です。
幼子、しかも、平民なのに騎士の鑑のような心意気です。
ならば、わたくしもご一緒しましょう。
民草を守って戦うのは騎士の役目ですわ。
マロンのような幼子を戦場に向かわせて。
自分は安全な場所で安穏としているなど騎士の名折れです。」
そう言って、クッころさんは騎士甲冑を身に着け始めたの。
そして、甲冑を着け終わり、ベッドから立ち上がろうとして…。。
立ち上がれずに、その場で崩れ落ちたよ。
なんだかなぁ…。
一点の曇りもないと言うか、今のところおぞましい虫型魔物が飛んで来るのは見られない。
「まだ、『ハエ』、『蚊』、『ゴキブリ』が飛んでくる様子はないね。」
おいらがそう言うとノイエが言ったの。
「当たり前よ、アルトお姉さまが森の空を穢すモノを易々と通す訳ないじゃいない。
でもまあ、そのうち、森を抜けてこっちにやって来る虫けらが出てくるでしょうけどね。」
今は飛ぶのが速い個体が森に到達しているだけで数が少ないみたい。
そのくらいであれば、アルトがビリビリで迎撃してくれ、撃ち漏らしはないはずだとノイエは言うの。
ただ、虫型魔物は数がやたら多いので、スタンピードの本体が到達したらそうはいかないだろうって。
そのうち、アルトでも全部撃退するのは難しくなり、撃ち漏らしが出て来る筈だとノイエは言ってる。
ならば、一旦、町へ戻る時間はありそうだね。
「それじゃあ、アルトが防いでくれてる間に町に戻って警告して来るよ。
スタンピードが起こって、虫型の魔物が襲ってくるかもしれないって。
建物に中に逃げ込んでいれば、何とかやり過ごせるかも知れないから。」
虫型の魔物は、力自体はそんなに強くないみたいだし、『病原菌』を防げれば何とかなるかも知れないからね。
『病原菌』って、どんなものか知らないけど、建物の中まで入ってこなければ良いけど…。
「まあ、そのくらいなら時間の余裕はあるでしょうね。
一旦町に戻るのなら、早くした方が良いわ。
そんなに、多くの時間的な余裕は残されてないわよ。」
ノイエの助言に従って、おいらは急いで町に戻ることにしたんだ。
この間、『野外移動速度アップ』のスキルを取っておいてよかったよ。
おいらも、タロウと同じレベル五まで上げておいたんだ。
七十五%増しの速さは、ホント、侮れないね。あっという間に町に着いたよ。
町に着いて、足早に広場に差し掛かると。
「おや、マロンじゃないかい。
えらい速足で歩いて、何をそんなに慌ててるんだい?」
どうやって町のみんなに危険を知らせようかと考えてると、近所のオバチャンが声を掛けてきたの。
例の噂好きのオバチャン、この人に秘密を知られるあっという間に広まっちゃう危険人物。
「ちょうど良いところに!
ねえ、オバチャン、大変なの。
ちょっと離れたところで、スタンピードが起こってね。
虫型の魔物がここまで襲ってくるかもしれないの。
『ハエ』、『蚊』、『ゴキブリ』の魔物!」
「おやまあ、汚らしい虫けらばっかりだねえ。
なんか悪い病気を運んで来そうで、イヤだわ。」
うん、魔物じゃくなても、ハエなんて集ったモノを食べるとお腹壊すものね。
「そう、それ、襲ってくる連中、厄介な『病原菌』をまき散らすらしいんだ。
おいらの知り合いの妖精が、森の上空で撃退してるんでそんなに数は来ないと思うけど。
命にかかわる『病原菌』みたいだから、しばらく、建物にこもってた方が良いと思う。」
「ありゃまあ、そいつは一大事じゃないかい。
こうしちゃいられない。
近所の奥さん方に知らせて、家にこもるように言っとかないと。
マロン、大事なことを教えてくれて、有難うね。」
そう言って駆け出したオバチャン、さっそく近くの屋台に並んでたオバチャン仲間に言い触らしてた。
きっとこの調子で、家に帰る道すがら、あちこちで言い触らしてくれるね。
これで、オバチャンネットワークに乗っかって、あっという間に町に広まるはずだよ。
おいらが、触れて回る手間が省けて助かった。
「オバチャンネットワーク、怖えぇ…。」
おいらの隣で、タロウがなんか呟いてら。
********
おいらは、町の人達への周知はオバチャンネットワークに任せることにして一旦家に帰って来たよ。
タロウには、にっぽん爺に事情を説明しに行かせている。
おいらが家に帰ると、クッころさんは呑気に昼寝をしてた。
この人、本当に騎士になる気あるんだろうか…。
「クッころさん、起きて! 大変なの!」
「もう、イチゴとキウイは勘弁して…。もう、これ以上入らないわ…。」
おいらが起こそうと声をかけると、うなされるようにそんな声を上げたクッころさん。
三日三晩、『スキルの実』を食べ続けたのが、よっぽどの苦行だったみたい。
「寝ぼけてないで、早く起きて!
スタンピードが起こったの! この町が魔物の襲撃を受けるよ!」
「なんですって! 魔物は何処ですの!」
魔物と聞いて飛び起きたクッころさん、ハッキリ目を覚ましたようで警戒するように辺りを見回している。
こういう所はしっかり騎士の血を引いているんだね。
目を覚ましたクッころさんに、おいらは事情を説明したんだ。
「だから、クッころさんはしばらく、この家から出ないでね。
それと、これを渡しておくね。
これは、『妖精の泉』で汲んだ水、万病に効くんだ。
もし、魔物がまき散らした『病原菌』に感染したら飲んで。
一口で治るって言うから。」
おいらは、水筒に入れた『妖精の泉』の水をクッころさんに手渡したの。
そして、家を出ようとすると…。
「まちなさい、マロン。
あなた、何処へ行くつもりですの?」
クッころさんが尋ねてきたよ。
「おいら、アルトが撃ち漏らした魔物を、町の外で撃退しようと思って。
家の中にこもっていても、魔物がまき散らす『病原菌』を防げるか分からないから。
おいらなら、魔物を退治できるスキルを持っているからね。
魔物を町に入れないに越したことはないでしょう。」
すると、クッころさん。
「その心意気や、天晴です。
幼子、しかも、平民なのに騎士の鑑のような心意気です。
ならば、わたくしもご一緒しましょう。
民草を守って戦うのは騎士の役目ですわ。
マロンのような幼子を戦場に向かわせて。
自分は安全な場所で安穏としているなど騎士の名折れです。」
そう言って、クッころさんは騎士甲冑を身に着け始めたの。
そして、甲冑を着け終わり、ベッドから立ち上がろうとして…。。
立ち上がれずに、その場で崩れ落ちたよ。
なんだかなぁ…。
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