64 / 848
第四章 魔物暴走(スタンピード)顛末記
第64話 オバチャンネットワークだって、お役立ちです!
しおりを挟む
妖精の森を出て見上げると、そこには澄み渡る空が広がってたよ。
一点の曇りもないと言うか、今のところおぞましい虫型魔物が飛んで来るのは見られない。
「まだ、『ハエ』、『蚊』、『ゴキブリ』が飛んでくる様子はないね。」
おいらがそう言うとノイエが言ったの。
「当たり前よ、アルトお姉さまが森の空を穢すモノを易々と通す訳ないじゃいない。
でもまあ、そのうち、森を抜けてこっちにやって来る虫けらが出てくるでしょうけどね。」
今は飛ぶのが速い個体が森に到達しているだけで数が少ないみたい。
そのくらいであれば、アルトがビリビリで迎撃してくれ、撃ち漏らしはないはずだとノイエは言うの。
ただ、虫型魔物は数がやたら多いので、スタンピードの本体が到達したらそうはいかないだろうって。
そのうち、アルトでも全部撃退するのは難しくなり、撃ち漏らしが出て来る筈だとノイエは言ってる。
ならば、一旦、町へ戻る時間はありそうだね。
「それじゃあ、アルトが防いでくれてる間に町に戻って警告して来るよ。
スタンピードが起こって、虫型の魔物が襲ってくるかもしれないって。
建物に中に逃げ込んでいれば、何とかやり過ごせるかも知れないから。」
虫型の魔物は、力自体はそんなに強くないみたいだし、『病原菌』を防げれば何とかなるかも知れないからね。
『病原菌』って、どんなものか知らないけど、建物の中まで入ってこなければ良いけど…。
「まあ、そのくらいなら時間の余裕はあるでしょうね。
一旦町に戻るのなら、早くした方が良いわ。
そんなに、多くの時間的な余裕は残されてないわよ。」
ノイエの助言に従って、おいらは急いで町に戻ることにしたんだ。
この間、『野外移動速度アップ』のスキルを取っておいてよかったよ。
おいらも、タロウと同じレベル五まで上げておいたんだ。
七十五%増しの速さは、ホント、侮れないね。あっという間に町に着いたよ。
町に着いて、足早に広場に差し掛かると。
「おや、マロンじゃないかい。
えらい速足で歩いて、何をそんなに慌ててるんだい?」
どうやって町のみんなに危険を知らせようかと考えてると、近所のオバチャンが声を掛けてきたの。
例の噂好きのオバチャン、この人に秘密を知られるあっという間に広まっちゃう危険人物。
「ちょうど良いところに!
ねえ、オバチャン、大変なの。
ちょっと離れたところで、スタンピードが起こってね。
虫型の魔物がここまで襲ってくるかもしれないの。
『ハエ』、『蚊』、『ゴキブリ』の魔物!」
「おやまあ、汚らしい虫けらばっかりだねえ。
なんか悪い病気を運んで来そうで、イヤだわ。」
うん、魔物じゃくなても、ハエなんて集ったモノを食べるとお腹壊すものね。
「そう、それ、襲ってくる連中、厄介な『病原菌』をまき散らすらしいんだ。
おいらの知り合いの妖精が、森の上空で撃退してるんでそんなに数は来ないと思うけど。
命にかかわる『病原菌』みたいだから、しばらく、建物にこもってた方が良いと思う。」
「ありゃまあ、そいつは一大事じゃないかい。
こうしちゃいられない。
近所の奥さん方に知らせて、家にこもるように言っとかないと。
マロン、大事なことを教えてくれて、有難うね。」
そう言って駆け出したオバチャン、さっそく近くの屋台に並んでたオバチャン仲間に言い触らしてた。
きっとこの調子で、家に帰る道すがら、あちこちで言い触らしてくれるね。
これで、オバチャンネットワークに乗っかって、あっという間に町に広まるはずだよ。
おいらが、触れて回る手間が省けて助かった。
「オバチャンネットワーク、怖えぇ…。」
おいらの隣で、タロウがなんか呟いてら。
********
おいらは、町の人達への周知はオバチャンネットワークに任せることにして一旦家に帰って来たよ。
タロウには、にっぽん爺に事情を説明しに行かせている。
おいらが家に帰ると、クッころさんは呑気に昼寝をしてた。
この人、本当に騎士になる気あるんだろうか…。
「クッころさん、起きて! 大変なの!」
「もう、イチゴとキウイは勘弁して…。もう、これ以上入らないわ…。」
おいらが起こそうと声をかけると、うなされるようにそんな声を上げたクッころさん。
三日三晩、『スキルの実』を食べ続けたのが、よっぽどの苦行だったみたい。
「寝ぼけてないで、早く起きて!
スタンピードが起こったの! この町が魔物の襲撃を受けるよ!」
「なんですって! 魔物は何処ですの!」
魔物と聞いて飛び起きたクッころさん、ハッキリ目を覚ましたようで警戒するように辺りを見回している。
こういう所はしっかり騎士の血を引いているんだね。
目を覚ましたクッころさんに、おいらは事情を説明したんだ。
「だから、クッころさんはしばらく、この家から出ないでね。
それと、これを渡しておくね。
これは、『妖精の泉』で汲んだ水、万病に効くんだ。
もし、魔物がまき散らした『病原菌』に感染したら飲んで。
一口で治るって言うから。」
おいらは、水筒に入れた『妖精の泉』の水をクッころさんに手渡したの。
そして、家を出ようとすると…。
「まちなさい、マロン。
あなた、何処へ行くつもりですの?」
クッころさんが尋ねてきたよ。
「おいら、アルトが撃ち漏らした魔物を、町の外で撃退しようと思って。
家の中にこもっていても、魔物がまき散らす『病原菌』を防げるか分からないから。
おいらなら、魔物を退治できるスキルを持っているからね。
魔物を町に入れないに越したことはないでしょう。」
すると、クッころさん。
「その心意気や、天晴です。
幼子、しかも、平民なのに騎士の鑑のような心意気です。
ならば、わたくしもご一緒しましょう。
民草を守って戦うのは騎士の役目ですわ。
マロンのような幼子を戦場に向かわせて。
自分は安全な場所で安穏としているなど騎士の名折れです。」
そう言って、クッころさんは騎士甲冑を身に着け始めたの。
そして、甲冑を着け終わり、ベッドから立ち上がろうとして…。。
立ち上がれずに、その場で崩れ落ちたよ。
なんだかなぁ…。
一点の曇りもないと言うか、今のところおぞましい虫型魔物が飛んで来るのは見られない。
「まだ、『ハエ』、『蚊』、『ゴキブリ』が飛んでくる様子はないね。」
おいらがそう言うとノイエが言ったの。
「当たり前よ、アルトお姉さまが森の空を穢すモノを易々と通す訳ないじゃいない。
でもまあ、そのうち、森を抜けてこっちにやって来る虫けらが出てくるでしょうけどね。」
今は飛ぶのが速い個体が森に到達しているだけで数が少ないみたい。
そのくらいであれば、アルトがビリビリで迎撃してくれ、撃ち漏らしはないはずだとノイエは言うの。
ただ、虫型魔物は数がやたら多いので、スタンピードの本体が到達したらそうはいかないだろうって。
そのうち、アルトでも全部撃退するのは難しくなり、撃ち漏らしが出て来る筈だとノイエは言ってる。
ならば、一旦、町へ戻る時間はありそうだね。
「それじゃあ、アルトが防いでくれてる間に町に戻って警告して来るよ。
スタンピードが起こって、虫型の魔物が襲ってくるかもしれないって。
建物に中に逃げ込んでいれば、何とかやり過ごせるかも知れないから。」
虫型の魔物は、力自体はそんなに強くないみたいだし、『病原菌』を防げれば何とかなるかも知れないからね。
『病原菌』って、どんなものか知らないけど、建物の中まで入ってこなければ良いけど…。
「まあ、そのくらいなら時間の余裕はあるでしょうね。
一旦町に戻るのなら、早くした方が良いわ。
そんなに、多くの時間的な余裕は残されてないわよ。」
ノイエの助言に従って、おいらは急いで町に戻ることにしたんだ。
この間、『野外移動速度アップ』のスキルを取っておいてよかったよ。
おいらも、タロウと同じレベル五まで上げておいたんだ。
七十五%増しの速さは、ホント、侮れないね。あっという間に町に着いたよ。
町に着いて、足早に広場に差し掛かると。
「おや、マロンじゃないかい。
えらい速足で歩いて、何をそんなに慌ててるんだい?」
どうやって町のみんなに危険を知らせようかと考えてると、近所のオバチャンが声を掛けてきたの。
例の噂好きのオバチャン、この人に秘密を知られるあっという間に広まっちゃう危険人物。
「ちょうど良いところに!
ねえ、オバチャン、大変なの。
ちょっと離れたところで、スタンピードが起こってね。
虫型の魔物がここまで襲ってくるかもしれないの。
『ハエ』、『蚊』、『ゴキブリ』の魔物!」
「おやまあ、汚らしい虫けらばっかりだねえ。
なんか悪い病気を運んで来そうで、イヤだわ。」
うん、魔物じゃくなても、ハエなんて集ったモノを食べるとお腹壊すものね。
「そう、それ、襲ってくる連中、厄介な『病原菌』をまき散らすらしいんだ。
おいらの知り合いの妖精が、森の上空で撃退してるんでそんなに数は来ないと思うけど。
命にかかわる『病原菌』みたいだから、しばらく、建物にこもってた方が良いと思う。」
「ありゃまあ、そいつは一大事じゃないかい。
こうしちゃいられない。
近所の奥さん方に知らせて、家にこもるように言っとかないと。
マロン、大事なことを教えてくれて、有難うね。」
そう言って駆け出したオバチャン、さっそく近くの屋台に並んでたオバチャン仲間に言い触らしてた。
きっとこの調子で、家に帰る道すがら、あちこちで言い触らしてくれるね。
これで、オバチャンネットワークに乗っかって、あっという間に町に広まるはずだよ。
おいらが、触れて回る手間が省けて助かった。
「オバチャンネットワーク、怖えぇ…。」
おいらの隣で、タロウがなんか呟いてら。
********
おいらは、町の人達への周知はオバチャンネットワークに任せることにして一旦家に帰って来たよ。
タロウには、にっぽん爺に事情を説明しに行かせている。
おいらが家に帰ると、クッころさんは呑気に昼寝をしてた。
この人、本当に騎士になる気あるんだろうか…。
「クッころさん、起きて! 大変なの!」
「もう、イチゴとキウイは勘弁して…。もう、これ以上入らないわ…。」
おいらが起こそうと声をかけると、うなされるようにそんな声を上げたクッころさん。
三日三晩、『スキルの実』を食べ続けたのが、よっぽどの苦行だったみたい。
「寝ぼけてないで、早く起きて!
スタンピードが起こったの! この町が魔物の襲撃を受けるよ!」
「なんですって! 魔物は何処ですの!」
魔物と聞いて飛び起きたクッころさん、ハッキリ目を覚ましたようで警戒するように辺りを見回している。
こういう所はしっかり騎士の血を引いているんだね。
目を覚ましたクッころさんに、おいらは事情を説明したんだ。
「だから、クッころさんはしばらく、この家から出ないでね。
それと、これを渡しておくね。
これは、『妖精の泉』で汲んだ水、万病に効くんだ。
もし、魔物がまき散らした『病原菌』に感染したら飲んで。
一口で治るって言うから。」
おいらは、水筒に入れた『妖精の泉』の水をクッころさんに手渡したの。
そして、家を出ようとすると…。
「まちなさい、マロン。
あなた、何処へ行くつもりですの?」
クッころさんが尋ねてきたよ。
「おいら、アルトが撃ち漏らした魔物を、町の外で撃退しようと思って。
家の中にこもっていても、魔物がまき散らす『病原菌』を防げるか分からないから。
おいらなら、魔物を退治できるスキルを持っているからね。
魔物を町に入れないに越したことはないでしょう。」
すると、クッころさん。
「その心意気や、天晴です。
幼子、しかも、平民なのに騎士の鑑のような心意気です。
ならば、わたくしもご一緒しましょう。
民草を守って戦うのは騎士の役目ですわ。
マロンのような幼子を戦場に向かわせて。
自分は安全な場所で安穏としているなど騎士の名折れです。」
そう言って、クッころさんは騎士甲冑を身に着け始めたの。
そして、甲冑を着け終わり、ベッドから立ち上がろうとして…。。
立ち上がれずに、その場で崩れ落ちたよ。
なんだかなぁ…。
1
お気に入りに追加
298
あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下
akechi
ファンタジー
ルル8歳
赤子の時にはもう孤児院にいた。
孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。
それに貴方…国王陛下ですよね?
*コメディ寄りです。
不定期更新です!

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる