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第三章 女騎士(クッころさん)奮闘記
第54話 ギルド組長にお仕置きです
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*本日、お昼に1話投稿しています。
まだ読み出ない方は、お手数をおかけしますが一話戻ってお読みください。
よろしくお願いいたします。
********
アルトの前で土下座して、平身低頭詫びを入れるギルドの組長。
日頃、町でブイブイ言わせているギルドの組長が、手玉に取られているのが可笑しかったようで。
それまで、遠巻きに見ていたやじ馬たちが集まって来たよ。
死刑宣告にも等しいアルトの言葉を耳にして、恐怖で体を震わせながら。
「お願えしやす、どうか命だけはご勘弁を…。
もう金輪際、悪事は働きません、堅気に生きますから。
どうか、命だけは助けてくださいませ。
あっそうだ、私奴がエンコを詰めて差し出しますので。
それで、どおか、お気を鎮めて頂けませんでしょうか。」
組長は地面に額を擦り付けながら、半泣きで命乞いをしている。
もう周囲の目なんて気にしている余裕はないみたい。
「イヤだわ、殺す訳ないじゃない。
殺しはご法度ですもの。
族長の私が掟を破る訳にはいかないわよ。
それに、あんたの小汚い指なんて、見たくも無いわ。
そんな事より、あんたら、若い冒険者をトレントの餌にしてるって本当なの。
若いモンをトレントの前に突き飛ばして、そいつを食ってる間にトレントを狩るって聞いたわ。」
やじ馬たちが集まっている前で、ギルドの悪事を問い質すアルト。
問われた組長は、流石に周囲の注目を集めているのに気付いたようで。
「ええっと、それは…、」
口を濁すんだけど、更にアルトは畳み掛けるように凄んだの。
「なによ、ハッキリしなさい!
やっているのかと聞いているのよ!
嘘ついたら、どうなるか分かっているでしょうね。」
「申し訳ございません!
やっております!
ギルドに出入りしてる古株の冒険者に指示して。
若いのを餌にして、出来るだけ沢山、トレントを狩らせてるんでさあ。
そうせんと、ギルド本部に払う上納金が集まりませんので。」
組長、あっさりゲロったよ。
その時、周囲のやじ馬から、どよめきが漏れたんだ。
やっぱりあんまり知られてなかったみたいだね。
被害者は近くの農村から出て来たばっかりの若者だというからね。
しかも、ギルドの大部屋住いらしいから、町の人は気付きもしなかったかも。
「別に、私に謝る必要はないわよ。
さっきあんたが言った通り、私と妖精族に迷惑さえ掛けなければ。
私は、人のする事に干渉する気は無いからね。
ただ、それを聞いて良心の呵責がなくなったわ。
これで、心置きなく、あんたをトレントの餌に出来る。
あんたが若者にした仕打ちがどんなものか身をもって体験すると良いわ。」
出た、いんがおーほーってやつだね。おいらが三人組にしたやつ。
「嫌だ! それだけはご勘弁を!
生きたままトレントに食われるなんて、そんな地獄は絶対に嫌だ。」
「あら、贅沢ね。
あんたが、貴族の娘を襲わせた三人組、そうやって始末したんだけど。
ちゃんと、命だけは助けてあげたわよ。
養分を吸い尽くされる前にトレントを倒してね。
なんか、頭が壊れちゃったから、魔物の領域に捨てといたわ。
あなたも、殺さないから安心して。
トレントに食い殺される恐怖を十分に味わったら、死ぬ前に助けてあげる。
それから、三人組と同じ場所に送ってあげるから。
三人と力を併せて、頑張って生き抜いてね。」
「あんた、鬼か!
俺に、そんな生き地獄を味わせようってのか。
それなら、いっそ、一思いに殺してもらった方がなんぼか楽じゃねえか。」
「あっそ、それなら、一思いに殺してあげるわ。
殺しはご法度だから、やりたくないけど。
本人が望むなら、仕方がないわね。」
組長の言葉を耳にしてアルトは冷淡に言い放ったの。
それから、おいらに、こっそり耳打ちしたんだ。
「今から、『積載庫』レベル三の能力を見せてあげるからよく見ておきなさいよ。」
って。
********
「ひっ! 今のは言葉の綾でごぜえます!
死ぬのは嫌でごぜえます、何でも言う事を聞きますから命だけはご勘弁を!」
アルトの冷淡な言葉を受けた組長は、お尻を突いたままジリジリと後退りしているよ。
「もう遅いわ。、
さ・よ・う・な・ら。」
そう言った瞬間、組長が目の前から消えたの。
そして、次の瞬間。
「ギャアーーーーーー!」
空の上から、悲鳴が降ってきた。
何事かと思ったら、空の上、かなり高い所に黒い染みが見えて…。
それが、だんだん大きくなってきた。
よく見ると、組長が凄い速さで空から降って来たんだ。
「ギャアーーーーーー!」
悲鳴はより大きくなって、落下速度はより速さを増し、…。
恐怖に歪む組長の顔もハッキリ見えるようになったよ。
あの速さで、地面に激突したら絶対に助からないね。
あの小太り組長が、地面に激突してグッチャっと潰れる姿は見たくない。
激突する瞬間、おいらは顔を反らしたんだ。
すると、何時まで経っても、地面に激突した様子はないの。
変だなと思っていると…。
「ギャアーーーーーー!」
また、空の上から、悲鳴が降ってきた。
どうやら、アルトが地面に激突する前に組長を回収し、再び上空で放り出しているみたい。
なんて、器用な事を思っていると…。
「これが、『積載庫』レベル三の能力よ。
一つは、生き物を生きたまま『積載庫』に入れられるようになるの。
レベル一のマロンの『積載庫』には、『物』しか入れられないわよ。
もう一つは、視界の範囲で任意の場所でモノの出し入れが出来るようになるの。
マロンの『積載庫』は目の前にしか出し入れできないでしょう。
今、私は、『組長』という生き物を、『落下寸前の場所』で収納し、『上空』で出してるの。」
なんと、驚きの能力、レベル三まで上げるとそんなことが出来るようになるんだ。
『生き物』を積載する際は、『獣舎』、『二等』、『一等』、『特等』って分かれているらしい。
『獣舎』ってのはその場で糞尿を垂れ流されても大丈夫なんだって。
今回、組長はここに入れられたみたい。
確かに、色々垂れ流しそうだものね。
一方で『特等』はフカフカのベッドまで付いているんだって。
しかも、レベル三になると、所持者本人も中に入れるって言うの。
アルトは中に入って確認してきたみたい。
でも、レベル二になるのに、『スキルの実』を六万個食べないないといけないから…。
レベル三だと、十八万個か…、絶対無理、幾ら美味しくても限度があるよ。
人間には到達できない領域だね、アルトっていったい幾つなんだろう。
百年以上生きてるとは聞いてるけど…。
********
結局、アルトは、三回それを繰り返したの。
組長が気を失って悲鳴を上げられなくなるまでね。
三度目の落下が終って解放された時は、色々垂れ流してとってもばっちい状態だったよ。
しばらくして、目を覚ました組長だけど…。
「えーん!ままー!
もー、やだー!
たかいところこわいよー!ようせいこわいよー!
いいこにするからゆるしてー!」
と言って泣きじゃくったの、色々垂れ流しながら…。
「あら、恐怖のあまり、幼児退行しちゃったみたいね。
そのうち、元に戻るでしょうが…。
この方が無害で良いかもね。」
アルトは、子供のようになっちゃった組長のことをそんな風に言ってた。
でも、小太りの爺ちゃんが赤ん坊みたいに泣きじゃくるのって…、ハッキリ言ってキモい…。
まだ読み出ない方は、お手数をおかけしますが一話戻ってお読みください。
よろしくお願いいたします。
********
アルトの前で土下座して、平身低頭詫びを入れるギルドの組長。
日頃、町でブイブイ言わせているギルドの組長が、手玉に取られているのが可笑しかったようで。
それまで、遠巻きに見ていたやじ馬たちが集まって来たよ。
死刑宣告にも等しいアルトの言葉を耳にして、恐怖で体を震わせながら。
「お願えしやす、どうか命だけはご勘弁を…。
もう金輪際、悪事は働きません、堅気に生きますから。
どうか、命だけは助けてくださいませ。
あっそうだ、私奴がエンコを詰めて差し出しますので。
それで、どおか、お気を鎮めて頂けませんでしょうか。」
組長は地面に額を擦り付けながら、半泣きで命乞いをしている。
もう周囲の目なんて気にしている余裕はないみたい。
「イヤだわ、殺す訳ないじゃない。
殺しはご法度ですもの。
族長の私が掟を破る訳にはいかないわよ。
それに、あんたの小汚い指なんて、見たくも無いわ。
そんな事より、あんたら、若い冒険者をトレントの餌にしてるって本当なの。
若いモンをトレントの前に突き飛ばして、そいつを食ってる間にトレントを狩るって聞いたわ。」
やじ馬たちが集まっている前で、ギルドの悪事を問い質すアルト。
問われた組長は、流石に周囲の注目を集めているのに気付いたようで。
「ええっと、それは…、」
口を濁すんだけど、更にアルトは畳み掛けるように凄んだの。
「なによ、ハッキリしなさい!
やっているのかと聞いているのよ!
嘘ついたら、どうなるか分かっているでしょうね。」
「申し訳ございません!
やっております!
ギルドに出入りしてる古株の冒険者に指示して。
若いのを餌にして、出来るだけ沢山、トレントを狩らせてるんでさあ。
そうせんと、ギルド本部に払う上納金が集まりませんので。」
組長、あっさりゲロったよ。
その時、周囲のやじ馬から、どよめきが漏れたんだ。
やっぱりあんまり知られてなかったみたいだね。
被害者は近くの農村から出て来たばっかりの若者だというからね。
しかも、ギルドの大部屋住いらしいから、町の人は気付きもしなかったかも。
「別に、私に謝る必要はないわよ。
さっきあんたが言った通り、私と妖精族に迷惑さえ掛けなければ。
私は、人のする事に干渉する気は無いからね。
ただ、それを聞いて良心の呵責がなくなったわ。
これで、心置きなく、あんたをトレントの餌に出来る。
あんたが若者にした仕打ちがどんなものか身をもって体験すると良いわ。」
出た、いんがおーほーってやつだね。おいらが三人組にしたやつ。
「嫌だ! それだけはご勘弁を!
生きたままトレントに食われるなんて、そんな地獄は絶対に嫌だ。」
「あら、贅沢ね。
あんたが、貴族の娘を襲わせた三人組、そうやって始末したんだけど。
ちゃんと、命だけは助けてあげたわよ。
養分を吸い尽くされる前にトレントを倒してね。
なんか、頭が壊れちゃったから、魔物の領域に捨てといたわ。
あなたも、殺さないから安心して。
トレントに食い殺される恐怖を十分に味わったら、死ぬ前に助けてあげる。
それから、三人組と同じ場所に送ってあげるから。
三人と力を併せて、頑張って生き抜いてね。」
「あんた、鬼か!
俺に、そんな生き地獄を味わせようってのか。
それなら、いっそ、一思いに殺してもらった方がなんぼか楽じゃねえか。」
「あっそ、それなら、一思いに殺してあげるわ。
殺しはご法度だから、やりたくないけど。
本人が望むなら、仕方がないわね。」
組長の言葉を耳にしてアルトは冷淡に言い放ったの。
それから、おいらに、こっそり耳打ちしたんだ。
「今から、『積載庫』レベル三の能力を見せてあげるからよく見ておきなさいよ。」
って。
********
「ひっ! 今のは言葉の綾でごぜえます!
死ぬのは嫌でごぜえます、何でも言う事を聞きますから命だけはご勘弁を!」
アルトの冷淡な言葉を受けた組長は、お尻を突いたままジリジリと後退りしているよ。
「もう遅いわ。、
さ・よ・う・な・ら。」
そう言った瞬間、組長が目の前から消えたの。
そして、次の瞬間。
「ギャアーーーーーー!」
空の上から、悲鳴が降ってきた。
何事かと思ったら、空の上、かなり高い所に黒い染みが見えて…。
それが、だんだん大きくなってきた。
よく見ると、組長が凄い速さで空から降って来たんだ。
「ギャアーーーーーー!」
悲鳴はより大きくなって、落下速度はより速さを増し、…。
恐怖に歪む組長の顔もハッキリ見えるようになったよ。
あの速さで、地面に激突したら絶対に助からないね。
あの小太り組長が、地面に激突してグッチャっと潰れる姿は見たくない。
激突する瞬間、おいらは顔を反らしたんだ。
すると、何時まで経っても、地面に激突した様子はないの。
変だなと思っていると…。
「ギャアーーーーーー!」
また、空の上から、悲鳴が降ってきた。
どうやら、アルトが地面に激突する前に組長を回収し、再び上空で放り出しているみたい。
なんて、器用な事を思っていると…。
「これが、『積載庫』レベル三の能力よ。
一つは、生き物を生きたまま『積載庫』に入れられるようになるの。
レベル一のマロンの『積載庫』には、『物』しか入れられないわよ。
もう一つは、視界の範囲で任意の場所でモノの出し入れが出来るようになるの。
マロンの『積載庫』は目の前にしか出し入れできないでしょう。
今、私は、『組長』という生き物を、『落下寸前の場所』で収納し、『上空』で出してるの。」
なんと、驚きの能力、レベル三まで上げるとそんなことが出来るようになるんだ。
『生き物』を積載する際は、『獣舎』、『二等』、『一等』、『特等』って分かれているらしい。
『獣舎』ってのはその場で糞尿を垂れ流されても大丈夫なんだって。
今回、組長はここに入れられたみたい。
確かに、色々垂れ流しそうだものね。
一方で『特等』はフカフカのベッドまで付いているんだって。
しかも、レベル三になると、所持者本人も中に入れるって言うの。
アルトは中に入って確認してきたみたい。
でも、レベル二になるのに、『スキルの実』を六万個食べないないといけないから…。
レベル三だと、十八万個か…、絶対無理、幾ら美味しくても限度があるよ。
人間には到達できない領域だね、アルトっていったい幾つなんだろう。
百年以上生きてるとは聞いてるけど…。
********
結局、アルトは、三回それを繰り返したの。
組長が気を失って悲鳴を上げられなくなるまでね。
三度目の落下が終って解放された時は、色々垂れ流してとってもばっちい状態だったよ。
しばらくして、目を覚ました組長だけど…。
「えーん!ままー!
もー、やだー!
たかいところこわいよー!ようせいこわいよー!
いいこにするからゆるしてー!」
と言って泣きじゃくったの、色々垂れ流しながら…。
「あら、恐怖のあまり、幼児退行しちゃったみたいね。
そのうち、元に戻るでしょうが…。
この方が無害で良いかもね。」
アルトは、子供のようになっちゃった組長のことをそんな風に言ってた。
でも、小太りの爺ちゃんが赤ん坊みたいに泣きじゃくるのって…、ハッキリ言ってキモい…。
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