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第三章 女騎士(クッころさん)奮闘記

第41話 初めてのレベルアップ!

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 『生命の欠片』をどうやって手に入れたのかと問い、ジト目でおいらを見詰めるアルト。

「実は、少し前に『積載庫』を手に入れたんだ。
 それで、昨日倒したスッポンをチェックしてて、『生命の欠片』を見つけたの。」

「そう言えば、マロンは『スキルの実』の正しい食べ方をしてたわね。
 『スキルの実』って、完熟してから食べないと効果が大幅に低下するのよね。
 苦い『スキルの実』を幾ら我慢して食べても『積載庫』には至らないのよ。
 本当に無駄なの。
 でも、マロン、凄いわ。
 その幼さで、『積載庫』持ちになるなんて。
 恐らく人間で『積載庫』を持っているのはマロンだけよ。」

 そっか、苦い『スキルの実』は効果が落ちるんだ。
 どうりで、変だと思ったんだ。
 タロウの『クリティカル発生率アップ』の時の話、レベル一で一%アップと言うのもアレッと思ったけど。
 レベル十の予想が三百%アップって言うのも低いと思ったの、おいら、レベル九で二千%アップだったから。

「効果が低いって、同じレベルでも効果が違うということ?
 レベルの上がり方が遅いんじゃなくて?」

「そうよ、レベルは『スキルの実』を食べた数で勝手に上がって行っちゃうのよ。
 多くのスキルはレベル十で天井だから、完熟してないスキルの実を食べるのって本当に無駄なの。
 もっとも、あんまり厳密じゃなくて百個食べるうちの一、二個未熟なモノがあっても平気みたいだけど。」

 苦い『スキルの実』の効果って、十分の一くらいしか無いんだって。
 それなら、納得だよ。
 
「それで、『生命の欠片』を結晶化するにはどうしたら良いの?」

 おいらが本題に話を戻すと、アルトが教えてくれる。

「『積載庫』の中の『生命の欠片』が光っていたら『合成』可能なのよ。
 もし光っていたら、そのままジッと見詰めていなさい。
 そのうち、『結晶に合成しますか?』って聞いて来るから。
 そしたら、ハイと答えれば良いわ、あとは勝手にしてくれるから。」
 
 アルトの説明だと、『生命の欠片』は百個揃うと『結晶』に合成可能らしい。
 合成可能ならば、ピカピカ光ってるって。
 そう言えば、『生命の欠片』は光ってたね。

「じゃあ、おいら、やってみる!」

 おいらが『積載庫』の中を確認すると、『生命の欠片』はちゃんと光ってた。
 それをジッと見つめていると、例の女の人の声でアルトの言う通りに尋ねて来たんだ。

 おいら、思わず声に出して「ハイ!」って言っちゃったよ。

 すると、…。

    ********

「ねえ、アルト、合成したら『生命の欠片』が消えちゃったよ。
 いくら探しても『生命の欠片』もその『結晶』も見当たらないよ。」

 さっき、スッポンの生血を精力剤にした時は、生血が消えて精力剤が現れたのに。
 今回は、『生命の欠片』が消えても『結晶』が出て来ないの。

「おかしいわね、『生命の欠片(結晶)』ってのが残るはずだけど…。」

 おいらの言葉を聞いてアルトは首を傾げてたんだ。

「いくら探しても、『生命の欠片(結晶)』ってのは見当たらないよ。
 ねえ、それってどんなモノなの?」

「そうね、ちょうど良いことに、拾った『生命の欠片』が百個以上溜まってるわ。
 合成して見せてあげる。」

 そう言ったアルトは僅かばかりの合成時間の後、『生命の欠片(結晶)』を見せてくれたんだ。

「はい、これが『生命の欠片』の『結晶』よ。
 私は要らないから、マロンに上げるわ。」

「えっ、これって?」

 それなら、あるよ『積載庫』の中に腐るほど。でも…。

「うん? どうかした?」

「これなら、おいら、沢山持っているよ。
 おいら、こんな数を数えたこと無いから自信が無いけど。
 四百京くらい?
 でも、おいらの『積載庫』の中では、『金貨』って書いてあるの。」

「いったい、なんなの、その天文学的数字…。
 どこで、そんなに手に入れたのよ?」

「うーん、実は、ワイバーンをちょこちょこって。」

「この間のはぐれワイバーン、あれマロンが倒しちゃったの?
 呆れた…。
 まあ、良いわ、その話はあとでゆっくり聞かせてもらうわ。
 それで、マロンの『積載庫』では『金貨』になってるのね。
 何でかしら、バグってことはないと思うけど…。」

 取り敢えず、合成したら消えた理由は分かったよ、『金貨』の方に含まれちゃったんだ。
 数が余りに大きいんで、一桁目の数字なんて覚えてなかったよ。

「まあ、『金貨』となっている原因はあとで調べるとして。
 私があげた一枚、体に取り込みたいと念じてみて。」

 おいらは、アルトに言われた通り、『生命の欠片』の結晶を体に取り込みたいと念じてみたんだ。
 すると、おいらの体に溶け込むように消えていく『生命の欠片』の結晶。

 それと同時に、頭の中で鐘が鳴り響いたよ。
 不意を突かれたんで、ドキッとして、思わず硬直すると。

「その表情、頭の中で鐘の音が響いて驚いたんでしょう。
 レベルアップおめでとう。
 能力値を確認すると、レベルが一になっているはずよ。」

 言われた通り、レベルを確認すると確かに一になってたよ。
 レベルも、スキルと同じでレベル二に上げる時は『生命の欠片(結晶)』が三枚。
 レベル三に上げる時は九枚必要らしいの。

 いったい、四百京って、レベル幾つまで上がるんだろう?
 あのワイバーンってレベル幾つだったんだ、本当に…。
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