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第三章 女騎士(クッころさん)奮闘記
第38話 ばっちぃから抱き付かないで…
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*本日、お昼に1話投稿しています。
まだ読み出ない方は、お手数をおかけしますが一話戻ってお読みください。
よろしくお願いいたします。
********
おいらは、スッポンを倒してしばらくはその場に留まってたんだ。
クッころさんが戻って来るかも知れないから。
いくら待っても、クッころさんは引き返してこなかったよ。
うさぎに追いかけられていた時は、おいらのことを心配して戻って来てくれたんだけど。
今回は逃げるのに必死で、おいらのことなど気に留めていられないのかも知れないね。
まあ、戻て来なければ、スッポンはどうしたと訊かれた時に誤魔化すのが楽で良いけど。
「諦めてどっかに行っちゃった」と言えば済むからね。
おいらは、改めて町に向かって歩き出したんだ。
しばらく歩くと、見知った白馬が止まっているのが見えた。
馬上にクッころさんの姿は見当たらず、どうしたのかと思って近づくと。
馬の足元に蹲って泣いているクッころさんの姿が。
力なくしゃがみ込んだ周りには盛大に水溜りが出来ていたよ…。
よく見れば、馬に付けた鞍からも何やら液体が滴り落ちている。
よっぽど、怖かったんだね。
「クッころさん、大丈夫ですか?」
「マ、マロン…。
うぇ…。」
近づいておいらが声をかけると…。
「うぇ?」
「うぇーん、怖かったですわー!」
クッころさんは泣きながらしがみ付いて来たよ。
やめて、そんな風にしがみ付かれると、おいらまで汚れちゃう。
ばっちぃ、ばっちぃよ…。
クッころさん…、まさか、スッポンにも粗相して追いかけられたんじゃ…。
********
お漏らしをしたクッころさんと一緒に家に帰ると、すぐにお風呂に連れて行ったよ。
着替えをさせてあげるにも、一旦体をキレイに洗わないとね。
お風呂に行くと、脱衣所にいつもの噂好きのオバチャンがいて…。
「おや、どうしたんだい。
お貴族様、酷い格好をしてるね。」
クッころさんの悲惨な姿に目敏く目を留めて、オバチャンが聞いたきたんだ。
しょうがないから、こうなった経緯をかいつまんで話すと。
「あっ、はっ、はっ!
今度は、スッポンに追いかけられたって。
そりゃあ災難だったね。さぞかし、怖かっただろよ。
漏らしちまうのも仕方がないさ。
しっかし、何でまた、スッポンなんかに追いかけられるハメになったんだい。
今度はスッポンにションベンでもかけたんかい?」
話しを聞いたオバチャンは大笑いだった。
やっぱり、おいらと同じこと考えてら…。
「失礼ですわ。
わたくしだって、ところかまわずお花を摘む訳ないじゃないですか。
草原を見回りしていたら、小山が道を塞いでたのですわ。」
クッころさんは、今日も今日とて、ワイバーン警戒の見回りと称する、単なる馬上散歩に出かけてたんだ。
草原のかなり奥まで進んで引き返して来たら、小山が道を塞いでたんだって。
言うまでもなくさっきのスッポンなんだけど、…。
スッポンを見た事ないクッころさんには、それがわからなかったみたい。
来た時は無かったのに、何時の間にこんな山が出来たんだろう不思議に思いつつも。
そんなに傾斜がきつい訳でもなかったんで、馬に乗ったまま小山を登ったんだって。
そのまま小山を降りてきたところで、気付かずに馬の後ろ足でスッポンの頭を蹴とばしたらしい。
頭を蹴とばされて怒ったスッポンが、クッころさんを追いかけてたってことだね。
「驚きましたわ、単なる山かと思っていたモノが魔物だったのですから。
凄く怒っていて、猛然と追いかけて来るのですもの…。
今度こそ、本当に死ぬかと思いましたわ。」
そう愚痴るクッころさんにオバチャンは。
「お貴族様、そんな草原の奥深くまで行ったんかい。
そいつは、魔物の池に棲むスッポンだね。
おおかた、今日は陽気が良いんで甲羅干しでもしてたんだろうよ。
いい気分で寝ていたところを、馬の蹄で頭を蹴とばされたらさぞかし怒ったろうね。」
そう言えば、クッころさんには注意してなかった。
タロウにスライムの狩場の説明をした時に言った魔物の水場になっている池のこと。
スライムがうじゃうじゃいるんだけど。
強い魔物が水を求めて沢山集まって来るから、『魔物の池』と呼んで普通の人は近付かないの。
オバチャンの言う通り、クッころさんは魔物の池の近くの道を通ってたんだね。
まさか、あんな草原の奥深くまで行ってたなんて思わなかったよ。
道から外れて池の方に行ってしまたら、もっと大変なことになってたね。
危ないからそっちへ行っちゃダメって、帰ったらよく注意しておかなくちゃ。
クッころさんの話を聞いてひとしきり大笑いしていたオバチャン。
さっそく、知り合いに言い触らすべく浴室に入って行ったよ。
今頃、お風呂に浸かってオバチャン仲間とクッころさんの話に花を咲かせてるに違いない。
これできっと、明日にはご近所中に知れ渡るんだろうね。
スッポンに追いかけられた恐怖でチビったお貴族様って。
まだ読み出ない方は、お手数をおかけしますが一話戻ってお読みください。
よろしくお願いいたします。
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おいらは、スッポンを倒してしばらくはその場に留まってたんだ。
クッころさんが戻って来るかも知れないから。
いくら待っても、クッころさんは引き返してこなかったよ。
うさぎに追いかけられていた時は、おいらのことを心配して戻って来てくれたんだけど。
今回は逃げるのに必死で、おいらのことなど気に留めていられないのかも知れないね。
まあ、戻て来なければ、スッポンはどうしたと訊かれた時に誤魔化すのが楽で良いけど。
「諦めてどっかに行っちゃった」と言えば済むからね。
おいらは、改めて町に向かって歩き出したんだ。
しばらく歩くと、見知った白馬が止まっているのが見えた。
馬上にクッころさんの姿は見当たらず、どうしたのかと思って近づくと。
馬の足元に蹲って泣いているクッころさんの姿が。
力なくしゃがみ込んだ周りには盛大に水溜りが出来ていたよ…。
よく見れば、馬に付けた鞍からも何やら液体が滴り落ちている。
よっぽど、怖かったんだね。
「クッころさん、大丈夫ですか?」
「マ、マロン…。
うぇ…。」
近づいておいらが声をかけると…。
「うぇ?」
「うぇーん、怖かったですわー!」
クッころさんは泣きながらしがみ付いて来たよ。
やめて、そんな風にしがみ付かれると、おいらまで汚れちゃう。
ばっちぃ、ばっちぃよ…。
クッころさん…、まさか、スッポンにも粗相して追いかけられたんじゃ…。
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お漏らしをしたクッころさんと一緒に家に帰ると、すぐにお風呂に連れて行ったよ。
着替えをさせてあげるにも、一旦体をキレイに洗わないとね。
お風呂に行くと、脱衣所にいつもの噂好きのオバチャンがいて…。
「おや、どうしたんだい。
お貴族様、酷い格好をしてるね。」
クッころさんの悲惨な姿に目敏く目を留めて、オバチャンが聞いたきたんだ。
しょうがないから、こうなった経緯をかいつまんで話すと。
「あっ、はっ、はっ!
今度は、スッポンに追いかけられたって。
そりゃあ災難だったね。さぞかし、怖かっただろよ。
漏らしちまうのも仕方がないさ。
しっかし、何でまた、スッポンなんかに追いかけられるハメになったんだい。
今度はスッポンにションベンでもかけたんかい?」
話しを聞いたオバチャンは大笑いだった。
やっぱり、おいらと同じこと考えてら…。
「失礼ですわ。
わたくしだって、ところかまわずお花を摘む訳ないじゃないですか。
草原を見回りしていたら、小山が道を塞いでたのですわ。」
クッころさんは、今日も今日とて、ワイバーン警戒の見回りと称する、単なる馬上散歩に出かけてたんだ。
草原のかなり奥まで進んで引き返して来たら、小山が道を塞いでたんだって。
言うまでもなくさっきのスッポンなんだけど、…。
スッポンを見た事ないクッころさんには、それがわからなかったみたい。
来た時は無かったのに、何時の間にこんな山が出来たんだろう不思議に思いつつも。
そんなに傾斜がきつい訳でもなかったんで、馬に乗ったまま小山を登ったんだって。
そのまま小山を降りてきたところで、気付かずに馬の後ろ足でスッポンの頭を蹴とばしたらしい。
頭を蹴とばされて怒ったスッポンが、クッころさんを追いかけてたってことだね。
「驚きましたわ、単なる山かと思っていたモノが魔物だったのですから。
凄く怒っていて、猛然と追いかけて来るのですもの…。
今度こそ、本当に死ぬかと思いましたわ。」
そう愚痴るクッころさんにオバチャンは。
「お貴族様、そんな草原の奥深くまで行ったんかい。
そいつは、魔物の池に棲むスッポンだね。
おおかた、今日は陽気が良いんで甲羅干しでもしてたんだろうよ。
いい気分で寝ていたところを、馬の蹄で頭を蹴とばされたらさぞかし怒ったろうね。」
そう言えば、クッころさんには注意してなかった。
タロウにスライムの狩場の説明をした時に言った魔物の水場になっている池のこと。
スライムがうじゃうじゃいるんだけど。
強い魔物が水を求めて沢山集まって来るから、『魔物の池』と呼んで普通の人は近付かないの。
オバチャンの言う通り、クッころさんは魔物の池の近くの道を通ってたんだね。
まさか、あんな草原の奥深くまで行ってたなんて思わなかったよ。
道から外れて池の方に行ってしまたら、もっと大変なことになってたね。
危ないからそっちへ行っちゃダメって、帰ったらよく注意しておかなくちゃ。
クッころさんの話を聞いてひとしきり大笑いしていたオバチャン。
さっそく、知り合いに言い触らすべく浴室に入って行ったよ。
今頃、お風呂に浸かってオバチャン仲間とクッころさんの話に花を咲かせてるに違いない。
これできっと、明日にはご近所中に知れ渡るんだろうね。
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