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第二章 ゴミスキルとおいらの平穏な日常
第25話 お風呂に行こう!
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*本日、お昼に1話投稿しています。
まだ読み出ない方は、お手数をおかけしますが一話戻ってお読みください。
よろしくお願いいたします。
********
無事スライムの買取を済まし、スライム屋を出るとまだ日は十分に高かった。
昨日はにっぽん爺のところで時間をくって行けなかったけど、今日は行けそうだね。
これでも一応、女の子だしね、身ぎれいにしておかないと。
そう決めたおいらは、家に急ぐことにしたんだ。
「じゃあね、タロウ。
おいら、お風呂に入るから先に帰るね。」
スライム屋に案内したから、もうタロウの世話をすることも無いからね。
早く家に戻って、桶と洗い布を取ってこないと。
おいらがタロウに別れを告げて歩き始めようとすると。
むんず…。
誰かが、おいらの上着の後ろ襟首を掴みやがった。
誰かっていっても、犯人はタロウしかいないけどね。
「何すんの!苦しいじゃない!」
おいらがタロウに文句をつけると…。
「おい、マロン、おまえ、今なんて言った?
風呂って言わなかったか?
おまえんち、風呂があるのか?
爺さんの家は無かったぞ。」
何を興奮しているのか分からないけど、早口でまくし立てるタロウ。
「家にはお風呂は無いよ。
にっぽん爺から聞いていない?
近くに共同浴場があるの。
タダで入れるよ。」
「そんな良いものがあったとは…。
昨日は爺さんと夜遅くまで、アニメの話をしてたもんだから。
細々とした生活の話は全然しなかったんだ。
なあ、マロン、俺をそこに案内してもらえるか。」
どうやら、タロウは風呂に入りたかったらしい。
風呂があると聞いて、興奮していたんだね。
おいら、『泡泡の実』を採る時に言ったんだけど。
やっぱり、聞いてなかったんだ…。
「うん、いいよ。
お風呂は一日中、真夜中でも入れるけど。
明かりが無いから夜は真っ暗なんだ。
だから、明るいうちに入るの。
昨日はにっぽん爺と話をしてて、遅くなったでしょう。
だから、お風呂に行けなかったんだ。
今日こそお風呂に入りたいから、帰ったらすぐに行くよ。」
「おう、分かったぜ。」
こうして、おいらはタロウをお風呂に案内することになったんだ。
タロウを連れてくのはちょっぴり心配だけど…。
まっ、大丈夫だよね。
********
家に帰り、桶と拭き布、それに泡泡の実を用意して玄関先で待っていると。
桶を抱えたタロウがやって来た。
「よっ、待たせたな。
爺さんに頼んで桶を借りて来たぜ。」
桶を掲げて見せるタロウ。
でも、桶の中には何も入っていないよ。
「ねえ、タロウ、拭き布も泡泡の実もないけど。
まさか、体を洗わないでお風呂に入るつもりなの?
それはルール違反だよ。」
「ああ?
公衆浴場だったらタオルと石鹸くらい売ってるものだろう。
売店で買えば良いじゃないか。」
また変な事を言い出した…。売店なんて何処にあると言うんだ。
「ねえ、タロウ。
お風呂じゃ、そんなもの売ってないよ。
売店はおろか、管理する人もいないんだから。」
「何だって、売店がないだと?
じゃあ、俺は何処でタオルを買えば良いんだ?」
『タオル』? 話の流れから言うと拭き布のことだよね。
仕方ないのでおいらは市の立つ広場を通って風呂行くことにしたんだ、回り道になるけど。
市場の露店で、拭き布と泡泡の実を買って共同浴場の前まで来ると…。
「おい、マロン、これが共同浴場だって?
俺には朽ち果てた廃墟に見えるんだが…。」
おいらたちの前にあるのは、屋根が落ちて、建物が半分崩れかけた建物だ。
この建物、元々は鉱山の鉱夫とその家族のためのお風呂だったらしいの。
鉱山で作業をすると凄く汚れるから、お風呂が必要だったみたい。
鉱山が閉鎖されてこの共同浴場も打ち捨てられたみたい。
それからは、この町の住民が勝手に使っているんだって。
誰も管理しなかったから、建物が朽ちちゃったらしいよ。
「だから言ったでしょう。誰も管理する人がいないって。」
「それじゃあ、お湯が沸かせないじゃないか。
一体どうやって、風呂のお湯を維持しているんだ。」
「うん?
お湯を沸かす必要なんてないよ。
地面から勝手に湧き出してるんだもの。
掃除なんかもしてないけど。
常にお湯が溢れてるんで、キレイなもんだよ。」
なんか、凄い量のお湯が湧き出てていて、常にお湯が入れ替わっているみたいなの。
だから、管理する人がいなくても、清潔な状態が保たれているって聞いたよ。
「なんだってー!そいつは温泉じゃないか!
それは楽しみだぜ。
おい早く行こうぜ。」
「あっ、ちょっと…。」
おいらが、止める間もなくタロウは男湯の方へ行っちゃった。
まったく、人の話を聞かないんだから…。
********
おいらが、脱衣所で服を脱いで浴場へ入ると。
「おお、これが温泉か!
スゲー広くて泳げそうだぜ。
建物が朽ちて良い具合に露天風呂になってるじゃないか。」
そんな事を大きな声で言って、タロウが大股開きで立っていた。
前も隠さずに…。
良かった、たまたま他の人がいなくて。
お風呂に入る時のマナーを教えておかないと、ヒンシュクをかうもんね。
「タロウ、お風呂に入る時は前を隠す。
最低限のマナーだよ!」
おいらが注意すると、振り返ったタロウは、一瞬呆けてから…。
「おい、マロン、おまえ、何で男湯にいるんだ。
幾ら子供だからって、八つにもなったら女湯に入るだろうが。」
だから、ちゃんと説明しようとしたのに、話を聞かないんだから…。
おいらはため息をついちゃったよ。
まだ読み出ない方は、お手数をおかけしますが一話戻ってお読みください。
よろしくお願いいたします。
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無事スライムの買取を済まし、スライム屋を出るとまだ日は十分に高かった。
昨日はにっぽん爺のところで時間をくって行けなかったけど、今日は行けそうだね。
これでも一応、女の子だしね、身ぎれいにしておかないと。
そう決めたおいらは、家に急ぐことにしたんだ。
「じゃあね、タロウ。
おいら、お風呂に入るから先に帰るね。」
スライム屋に案内したから、もうタロウの世話をすることも無いからね。
早く家に戻って、桶と洗い布を取ってこないと。
おいらがタロウに別れを告げて歩き始めようとすると。
むんず…。
誰かが、おいらの上着の後ろ襟首を掴みやがった。
誰かっていっても、犯人はタロウしかいないけどね。
「何すんの!苦しいじゃない!」
おいらがタロウに文句をつけると…。
「おい、マロン、おまえ、今なんて言った?
風呂って言わなかったか?
おまえんち、風呂があるのか?
爺さんの家は無かったぞ。」
何を興奮しているのか分からないけど、早口でまくし立てるタロウ。
「家にはお風呂は無いよ。
にっぽん爺から聞いていない?
近くに共同浴場があるの。
タダで入れるよ。」
「そんな良いものがあったとは…。
昨日は爺さんと夜遅くまで、アニメの話をしてたもんだから。
細々とした生活の話は全然しなかったんだ。
なあ、マロン、俺をそこに案内してもらえるか。」
どうやら、タロウは風呂に入りたかったらしい。
風呂があると聞いて、興奮していたんだね。
おいら、『泡泡の実』を採る時に言ったんだけど。
やっぱり、聞いてなかったんだ…。
「うん、いいよ。
お風呂は一日中、真夜中でも入れるけど。
明かりが無いから夜は真っ暗なんだ。
だから、明るいうちに入るの。
昨日はにっぽん爺と話をしてて、遅くなったでしょう。
だから、お風呂に行けなかったんだ。
今日こそお風呂に入りたいから、帰ったらすぐに行くよ。」
「おう、分かったぜ。」
こうして、おいらはタロウをお風呂に案内することになったんだ。
タロウを連れてくのはちょっぴり心配だけど…。
まっ、大丈夫だよね。
********
家に帰り、桶と拭き布、それに泡泡の実を用意して玄関先で待っていると。
桶を抱えたタロウがやって来た。
「よっ、待たせたな。
爺さんに頼んで桶を借りて来たぜ。」
桶を掲げて見せるタロウ。
でも、桶の中には何も入っていないよ。
「ねえ、タロウ、拭き布も泡泡の実もないけど。
まさか、体を洗わないでお風呂に入るつもりなの?
それはルール違反だよ。」
「ああ?
公衆浴場だったらタオルと石鹸くらい売ってるものだろう。
売店で買えば良いじゃないか。」
また変な事を言い出した…。売店なんて何処にあると言うんだ。
「ねえ、タロウ。
お風呂じゃ、そんなもの売ってないよ。
売店はおろか、管理する人もいないんだから。」
「何だって、売店がないだと?
じゃあ、俺は何処でタオルを買えば良いんだ?」
『タオル』? 話の流れから言うと拭き布のことだよね。
仕方ないのでおいらは市の立つ広場を通って風呂行くことにしたんだ、回り道になるけど。
市場の露店で、拭き布と泡泡の実を買って共同浴場の前まで来ると…。
「おい、マロン、これが共同浴場だって?
俺には朽ち果てた廃墟に見えるんだが…。」
おいらたちの前にあるのは、屋根が落ちて、建物が半分崩れかけた建物だ。
この建物、元々は鉱山の鉱夫とその家族のためのお風呂だったらしいの。
鉱山で作業をすると凄く汚れるから、お風呂が必要だったみたい。
鉱山が閉鎖されてこの共同浴場も打ち捨てられたみたい。
それからは、この町の住民が勝手に使っているんだって。
誰も管理しなかったから、建物が朽ちちゃったらしいよ。
「だから言ったでしょう。誰も管理する人がいないって。」
「それじゃあ、お湯が沸かせないじゃないか。
一体どうやって、風呂のお湯を維持しているんだ。」
「うん?
お湯を沸かす必要なんてないよ。
地面から勝手に湧き出してるんだもの。
掃除なんかもしてないけど。
常にお湯が溢れてるんで、キレイなもんだよ。」
なんか、凄い量のお湯が湧き出てていて、常にお湯が入れ替わっているみたいなの。
だから、管理する人がいなくても、清潔な状態が保たれているって聞いたよ。
「なんだってー!そいつは温泉じゃないか!
それは楽しみだぜ。
おい早く行こうぜ。」
「あっ、ちょっと…。」
おいらが、止める間もなくタロウは男湯の方へ行っちゃった。
まったく、人の話を聞かないんだから…。
********
おいらが、脱衣所で服を脱いで浴場へ入ると。
「おお、これが温泉か!
スゲー広くて泳げそうだぜ。
建物が朽ちて良い具合に露天風呂になってるじゃないか。」
そんな事を大きな声で言って、タロウが大股開きで立っていた。
前も隠さずに…。
良かった、たまたま他の人がいなくて。
お風呂に入る時のマナーを教えておかないと、ヒンシュクをかうもんね。
「タロウ、お風呂に入る時は前を隠す。
最低限のマナーだよ!」
おいらが注意すると、振り返ったタロウは、一瞬呆けてから…。
「おい、マロン、おまえ、何で男湯にいるんだ。
幾ら子供だからって、八つにもなったら女湯に入るだろうが。」
だから、ちゃんと説明しようとしたのに、話を聞かないんだから…。
おいらはため息をついちゃったよ。
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