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第一章 異世界人?何それ?

第7話 スキルの実

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*本日、お昼に1話投稿しています。
 まだ読み出ない方は、お手数をおかけしますが一話戻ってお読みください。
 よろしくお願いいたします。

     ********

「そっか。
 でも、レベル五の魔物を倒せば、経験値が入るんだろう。
 努力すれば、いけるんじゃないか?」

 まだ、まだおっしゃんは、レベルを上げることを諦めきれない様子です。

「そう思うのであれば、街の外に出てウサギでも狩ってみれば良い。
 私らと同じレベルゼロだけど、クマのような巨体だぞ。
 それが、牙を剥いて襲ってくるんだ。
 隻腕の私にはとても無理だと思ったね。」

 ウサギ、この町の屋台の串焼きはたいていウサギの肉だね。
 魔物狩りを生業にする冒険者が、二、三人掛かりで狩る魔物だ。
 
「なんだよ、クマみたいってのは。
 ウサギって言えば、ちっこくって角がある魔物じゃないのかよ。
 そんなバケモノ、倒せる訳がないじゃんか。」

 また、訳のわからないことを言うおっしゃん。
 ウサギに角が生えている訳ないじゃん。

「そう思うだろう。
 レベルゼロですらそうなんだから、一般人にレベル五の魔物が狩れる訳ない。
 レベル五の魔物を倒そうとしたら、兵が二十、三十人掛かりで対応する必要があるね。」

 にっぽん爺の話を聞いて、おっしゃんは萎んじゃったよ。

「じゃあ、俺はどうやって生きて行けばいいんだ?
 知識チートでマヨネーズでも作れってか?」

「ああ、それは悪手だね。
 その辺の事は追々詳しく教えてあげるよ。
 話すと長くなるからね。
 一番確実なのは、マロンみたいに、シューティング・ビーンズを狩るか。
 もしくは、スライムを捕まえる事だね。
 毎日、こつこつ、それをやってお金を貯めるんだ。
 お金が溜まったら、スキルの実を買う。
 それで自分に役立つスキルを育てるんだ。
 私は、そうやって今まで生活してきたからね。
 スキルを育てたおかげで、この体でも不自由なく生活できているよ。」

「おっ、スキルの実?
 やっと、ファンタジーぽくなって来たじゃん。
 それって、どんなものだ。」

「スキルの実ってのは、植物系の魔物を狩るとドロップするんだ。
 そんなのを見てると、本当にゲームみたいなんだけどね。
 スキルの実を食べると、スキルが生えてくるんだよ。
 マロン、シューティング・ビーンズを狩ったなら持っているんじゃないか。」

 にっぽん爺が、おいらにスキルの実を見せろと振って来た。
 もちろん、持っているけどね。

 おいらはテーブルにスキルの実を並べたんだ。

 にっぽん爺に言われて、おいらは持っていたスキルの実をテーブルの上に並べてく。
 スキルの実は、にっぽん爺の説明通り、植物系の魔物を倒すると落とすんだ。
 おいらが持ってるのは、さっき狩ったシューティング・ビーンズが落としたモノ。

「アンズ、プチトマト、姫リンゴ、キンカン?
 おまえ、何時の間に四種類も魔物を倒したんだ?」

「うん?
 これ、全部、シューティング・ビーンズが落としたんだよ。」

「うんな訳ないだろう。
 何処の世界に、一つの植物に全く違う実が生るって言うんだ。」

 赤、橙、黄色と、色を形も違うスキルの実を並べて行くと。
 おっしゃんは、そんないちゃもんを付けて来た。
 何処の世界って…、現にここにはあるんだもん。

「へっ?
 これ、シューティング・ビーンズになる訳じゃないよ。
 シューティング・ビーンズの実は、さっきの豆だもん。
 にっぽん爺も言ったじゃない、植物系の魔物を狩ると落とすって。
 地面に落ちてるんだよ。」

 そう、おっしゃんの間違いは、これが魔物にっていると考えてるところ。
 これ、魔物を狩ると、それがいた地面に何時の間にか落ちてるんだ。
 しかも、一つの魔物が何種類もの、似ても似つかないスキルの実を落とすの。
 何処から現れるのかも知れない、スキルの実はそんな不思議な物体なんだ。

 でも、何より不思議な事は、スキルの実を食べるとスキルが身につくこと。
 しかも、それを食べ続けると、スキルが成長していくんだ。
 何でそんな事が起こるのかは誰も知らないみたい。ホント、不思議…。

 改めて不思議だと思いつつ、並べたスキルの実を眺めていると。

「おお、異世界らしいところあるじゃん。
 これがスキルの実か、美味そうじゃんか。
 どれ、どれ。」

 おっしゃん、勝手においらのスキルの実に手を伸ばし、口に運ぼうとしやがった。

「あっ、ダメ!」

「こら、君、やめんか!」

 おいらとにっぽん爺の声が重なるけど…。

「別に良いじゃん、一つくらいケチるなよ。
 俺、朝から何にも食ってなくて、腹、減ってるんだ。」

 おっしゃんは、おいらたちの制止を無視してスキルの実をかじりやがった。

「ニゲっ、何だ、この苦さは!
 水! おい水をくれ!」

 そう、美味しそうな見た目に反して、ここにあるスキルの実はとっても不味いんだ。
 でも、スキルの実のヤバいところは、そこじゃなくて…。

「君、人の話は最後まで聞きなさいって言われなかったかい。
 日本で、学校の先生や親から。
 ほれ、これを飲みなさい。」

 にっぽん爺は、テーブルの上の水差しから、カップに注いだ水を差し出して言ったの。

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