7 / 848
第一章 異世界人?何それ?
第7話 スキルの実
しおりを挟む
*本日、お昼に1話投稿しています。
まだ読み出ない方は、お手数をおかけしますが一話戻ってお読みください。
よろしくお願いいたします。
********
「そっか。
でも、レベル五の魔物を倒せば、経験値が入るんだろう。
努力すれば、いけるんじゃないか?」
まだ、まだおっしゃんは、レベルを上げることを諦めきれない様子です。
「そう思うのであれば、街の外に出てウサギでも狩ってみれば良い。
私らと同じレベルゼロだけど、クマのような巨体だぞ。
それが、牙を剥いて襲ってくるんだ。
隻腕の私にはとても無理だと思ったね。」
ウサギ、この町の屋台の串焼きはたいていウサギの肉だね。
魔物狩りを生業にする冒険者が、二、三人掛かりで狩る魔物だ。
「なんだよ、クマみたいってのは。
ウサギって言えば、ちっこくって角がある魔物じゃないのかよ。
そんなバケモノ、倒せる訳がないじゃんか。」
また、訳のわからないことを言うおっしゃん。
ウサギに角が生えている訳ないじゃん。
「そう思うだろう。
レベルゼロですらそうなんだから、一般人にレベル五の魔物が狩れる訳ない。
レベル五の魔物を倒そうとしたら、兵が二十、三十人掛かりで対応する必要があるね。」
にっぽん爺の話を聞いて、おっしゃんは萎んじゃったよ。
「じゃあ、俺はどうやって生きて行けばいいんだ?
知識チートでマヨネーズでも作れってか?」
「ああ、それは悪手だね。
その辺の事は追々詳しく教えてあげるよ。
話すと長くなるからね。
一番確実なのは、マロンみたいに、シューティング・ビーンズを狩るか。
もしくは、スライムを捕まえる事だね。
毎日、こつこつ、それをやってお金を貯めるんだ。
お金が溜まったら、スキルの実を買う。
それで自分に役立つスキルを育てるんだ。
私は、そうやって今まで生活してきたからね。
スキルを育てたおかげで、この体でも不自由なく生活できているよ。」
「おっ、スキルの実?
やっと、ファンタジーぽくなって来たじゃん。
それって、どんなものだ。」
「スキルの実ってのは、植物系の魔物を狩るとドロップするんだ。
そんなのを見てると、本当にゲームみたいなんだけどね。
スキルの実を食べると、スキルが生えてくるんだよ。
マロン、シューティング・ビーンズを狩ったなら持っているんじゃないか。」
にっぽん爺が、おいらにスキルの実を見せろと振って来た。
もちろん、持っているけどね。
おいらはテーブルにスキルの実を並べたんだ。
にっぽん爺に言われて、おいらは持っていたスキルの実をテーブルの上に並べてく。
スキルの実は、にっぽん爺の説明通り、植物系の魔物を倒すると落とすんだ。
おいらが持ってるのは、さっき狩ったシューティング・ビーンズが落としたモノ。
「アンズ、プチトマト、姫リンゴ、キンカン?
おまえ、何時の間に四種類も魔物を倒したんだ?」
「うん?
これ、全部、シューティング・ビーンズが落としたんだよ。」
「うんな訳ないだろう。
何処の世界に、一つの植物に全く違う実が生るって言うんだ。」
赤、橙、黄色と、色を形も違うスキルの実を並べて行くと。
おっしゃんは、そんないちゃもんを付けて来た。
何処の世界って…、現にここにはあるんだもん。
「へっ?
これ、シューティング・ビーンズになる訳じゃないよ。
シューティング・ビーンズの実は、さっきの豆だもん。
にっぽん爺も言ったじゃない、植物系の魔物を狩ると落とすって。
地面に落ちてるんだよ。」
そう、おっしゃんの間違いは、これが魔物に生っていると考えてるところ。
これ、魔物を狩ると、それがいた地面に何時の間にか落ちてるんだ。
しかも、一つの魔物が何種類もの、似ても似つかないスキルの実を落とすの。
何処から現れるのかも知れない、スキルの実はそんな不思議な物体なんだ。
でも、何より不思議な事は、スキルの実を食べるとスキルが身につくこと。
しかも、それを食べ続けると、スキルが成長していくんだ。
何でそんな事が起こるのかは誰も知らないみたい。ホント、不思議…。
改めて不思議だと思いつつ、並べたスキルの実を眺めていると。
「おお、異世界らしいところあるじゃん。
これがスキルの実か、美味そうじゃんか。
どれ、どれ。」
おっしゃん、勝手においらのスキルの実に手を伸ばし、口に運ぼうとしやがった。
「あっ、ダメ!」
「こら、君、やめんか!」
おいらとにっぽん爺の声が重なるけど…。
「別に良いじゃん、一つくらいケチるなよ。
俺、朝から何にも食ってなくて、腹、減ってるんだ。」
おっしゃんは、おいらたちの制止を無視してスキルの実をかじりやがった。
「ニゲっ、何だ、この苦さは!
水! おい水をくれ!」
そう、美味しそうな見た目に反して、ここにあるスキルの実はとっても不味いんだ。
でも、スキルの実のヤバいところは、そこじゃなくて…。
「君、人の話は最後まで聞きなさいって言われなかったかい。
日本で、学校の先生や親から。
ほれ、これを飲みなさい。」
にっぽん爺は、テーブルの上の水差しから、カップに注いだ水を差し出して言ったの。
まだ読み出ない方は、お手数をおかけしますが一話戻ってお読みください。
よろしくお願いいたします。
********
「そっか。
でも、レベル五の魔物を倒せば、経験値が入るんだろう。
努力すれば、いけるんじゃないか?」
まだ、まだおっしゃんは、レベルを上げることを諦めきれない様子です。
「そう思うのであれば、街の外に出てウサギでも狩ってみれば良い。
私らと同じレベルゼロだけど、クマのような巨体だぞ。
それが、牙を剥いて襲ってくるんだ。
隻腕の私にはとても無理だと思ったね。」
ウサギ、この町の屋台の串焼きはたいていウサギの肉だね。
魔物狩りを生業にする冒険者が、二、三人掛かりで狩る魔物だ。
「なんだよ、クマみたいってのは。
ウサギって言えば、ちっこくって角がある魔物じゃないのかよ。
そんなバケモノ、倒せる訳がないじゃんか。」
また、訳のわからないことを言うおっしゃん。
ウサギに角が生えている訳ないじゃん。
「そう思うだろう。
レベルゼロですらそうなんだから、一般人にレベル五の魔物が狩れる訳ない。
レベル五の魔物を倒そうとしたら、兵が二十、三十人掛かりで対応する必要があるね。」
にっぽん爺の話を聞いて、おっしゃんは萎んじゃったよ。
「じゃあ、俺はどうやって生きて行けばいいんだ?
知識チートでマヨネーズでも作れってか?」
「ああ、それは悪手だね。
その辺の事は追々詳しく教えてあげるよ。
話すと長くなるからね。
一番確実なのは、マロンみたいに、シューティング・ビーンズを狩るか。
もしくは、スライムを捕まえる事だね。
毎日、こつこつ、それをやってお金を貯めるんだ。
お金が溜まったら、スキルの実を買う。
それで自分に役立つスキルを育てるんだ。
私は、そうやって今まで生活してきたからね。
スキルを育てたおかげで、この体でも不自由なく生活できているよ。」
「おっ、スキルの実?
やっと、ファンタジーぽくなって来たじゃん。
それって、どんなものだ。」
「スキルの実ってのは、植物系の魔物を狩るとドロップするんだ。
そんなのを見てると、本当にゲームみたいなんだけどね。
スキルの実を食べると、スキルが生えてくるんだよ。
マロン、シューティング・ビーンズを狩ったなら持っているんじゃないか。」
にっぽん爺が、おいらにスキルの実を見せろと振って来た。
もちろん、持っているけどね。
おいらはテーブルにスキルの実を並べたんだ。
にっぽん爺に言われて、おいらは持っていたスキルの実をテーブルの上に並べてく。
スキルの実は、にっぽん爺の説明通り、植物系の魔物を倒すると落とすんだ。
おいらが持ってるのは、さっき狩ったシューティング・ビーンズが落としたモノ。
「アンズ、プチトマト、姫リンゴ、キンカン?
おまえ、何時の間に四種類も魔物を倒したんだ?」
「うん?
これ、全部、シューティング・ビーンズが落としたんだよ。」
「うんな訳ないだろう。
何処の世界に、一つの植物に全く違う実が生るって言うんだ。」
赤、橙、黄色と、色を形も違うスキルの実を並べて行くと。
おっしゃんは、そんないちゃもんを付けて来た。
何処の世界って…、現にここにはあるんだもん。
「へっ?
これ、シューティング・ビーンズになる訳じゃないよ。
シューティング・ビーンズの実は、さっきの豆だもん。
にっぽん爺も言ったじゃない、植物系の魔物を狩ると落とすって。
地面に落ちてるんだよ。」
そう、おっしゃんの間違いは、これが魔物に生っていると考えてるところ。
これ、魔物を狩ると、それがいた地面に何時の間にか落ちてるんだ。
しかも、一つの魔物が何種類もの、似ても似つかないスキルの実を落とすの。
何処から現れるのかも知れない、スキルの実はそんな不思議な物体なんだ。
でも、何より不思議な事は、スキルの実を食べるとスキルが身につくこと。
しかも、それを食べ続けると、スキルが成長していくんだ。
何でそんな事が起こるのかは誰も知らないみたい。ホント、不思議…。
改めて不思議だと思いつつ、並べたスキルの実を眺めていると。
「おお、異世界らしいところあるじゃん。
これがスキルの実か、美味そうじゃんか。
どれ、どれ。」
おっしゃん、勝手においらのスキルの実に手を伸ばし、口に運ぼうとしやがった。
「あっ、ダメ!」
「こら、君、やめんか!」
おいらとにっぽん爺の声が重なるけど…。
「別に良いじゃん、一つくらいケチるなよ。
俺、朝から何にも食ってなくて、腹、減ってるんだ。」
おっしゃんは、おいらたちの制止を無視してスキルの実をかじりやがった。
「ニゲっ、何だ、この苦さは!
水! おい水をくれ!」
そう、美味しそうな見た目に反して、ここにあるスキルの実はとっても不味いんだ。
でも、スキルの実のヤバいところは、そこじゃなくて…。
「君、人の話は最後まで聞きなさいって言われなかったかい。
日本で、学校の先生や親から。
ほれ、これを飲みなさい。」
にっぽん爺は、テーブルの上の水差しから、カップに注いだ水を差し出して言ったの。
10
お気に入りに追加
298
あなたにおすすめの小説

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。

転生幼女は幸せを得る。
泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる