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第18章 冬、繫栄する島国で遭遇したのは
第574話 工房の心臓部も案内しました
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発電施設の後は、いよいよオークレフトさんが部外者には絶対に見せない区画です。
「僕の工房で一番の秘密事項は機械の設計図面ですが、それは金庫の中に厳重に施錠してしまってありますし。
後は、僕の頭の中だけですので外部に漏れる心配は無いのです。
漏れる心配があるのは、第二の秘密とも言うべきこの作業場です。」
そう言ってオークレフトさんが案内してくれたのは、部品の加工作業を行っている作業場です。
「これは、何でしょうか。
何人もの工員が何かに向き合って黙々と作業をしているようですが。」
マーブル青年が何かというは、オークレフトさんが開発した工作機械です。
この作業場には、工作機械がズラリと並んでいるのですが。
工作機械はまだ普及していないとのことで、青年は初めて目にしたようです。
青年には、作業員たちが何かの台に向き合っているようにしか見えない様子です。
オークレフトさん曰く、ここに並ぶ機械を販売すれば冗談ではなく巨万の富を手に入れられるそうです。
ですが、それをしたら最後あっという間に模倣されて、この工房の優位性は無くなると言います。
マザーマシンは門外不出なのだそうです。
「ここの作業員が向き合っているのは、旋盤やボール盤その他様々なモノがありますが。
一括りに言えば、全て電気の力で動いている工作機械です。
全て僕が設計して作り上げたものです。
これを使えば、誰にでも精巧な部品を量産することが出来ます。
現時点で、これだけの性能を誇る工作機械はこの工房以外にはありません。
なので、部外者には一切見せないことにしています。」
オークレフトさんが如何に高性能な機械を設計したとしてもその部品を量産できないのでは意味がありません。
そして、高性能な機械ほど、精密な部品が用いられることがしばしばな様子で。
他の機械工房では、熟練工に頼って手作業で精巧な部品を作っているそうです。
当然、一日に何個も作れるはずも無く、部品の制約から生産できる機械の台数もそう増やせないそうです。
その点、大きな声では言えませんが、この作業場で働く作業員たちの多くは研修に合格できなかった少年達です。
真面目に機械を操作すれば、誰でも精密な部品が作れるような仕組みをオークレフトさんは作り上げたのです。
他の工房であれば高い給金で雇って少ない数の部品しか出来ない精密部品。
それをこの工房では、一番給金の安い少年達に大量に作らせているのです。
「そんなことが可能だなんて、信じられない…。
それじゃ、熟練の職人なんていらなくなってしまうでは無いですか。
でも、これも働き始めて間もない少年達に高い給金が払える理由なのですね。
少年達がしているのは単純労働だけど。
その実、少年達が作っているのは本来熟練の職人が作るような高度な部品だと。
この工房では他では作れない高付加価値な製品を作っていると言ってましたが。
それを支える部品作りにも秘密があったのですね。」
オークレフトさんの説明を聞いてマーブル青年も、この工房の利益の絡繰りに気付いたようでした。
**********
「初めまして、ジョンと言います。
『アルムハイム時計工房』の総支配人を任されています。
マーブルさんは、私やオークレフトさんと同じアルビオン人なのですね。」
オークレフトさんは自分の工房を一通り案内すると、次にジョンさんを紹介してくれました。
「そう言えば、お二人ともアルビオンから来られているのですね。
ジョンさんは、どのような縁でこちらに来られたのですか。」
「私の場合は、シャルロッテ様のお屋敷の裏の丘で行き倒れていたところを拾って頂いたのです。
あの時、シャルロッテ様に出会わなければ命を絶っていたかもしれませんし。
スラムの片隅で腐っていたかもしれません。
シャルロッテ様のおかげで私の時計を世に出すことが出来たし。
アルビオン王国にいた頃は思ってもいなかった高い給金を頂き感謝しています。」
ジョンさんの自己紹介の言葉を切っ掛けに、ジョンさんが私のもとに来た経緯に話が及びます。
ジョージさんが掛けた時計の懸賞に応募してきた話から、懸賞審査員の貴族に良いように使われたことなども。
「そんなことがあったのですか。
アルビオン王国も古い因習にとらわれた貴族共がいて困りますね。
でも、ジョンさんの開発した時計が海軍に採用されて良かったですね。」
ジョンさんの話を聞いて、自国の貴族のことを嘆いたマーブル青年。
ですが、青年ほど自由奔放な貴族もどうかと思いますよ…。
家を飛び出して新聞記者になったあげく、今度はアルム地方くんだりまできて雑用係ですからね。
サウスミンスター公爵もさぞかしお嘆きだと思いますが。
不遇を託っていたとのジョンさんの話を聞いたマーブル青年は、オークレフトさんの方に視線を向けます。
あなたもかと問い掛けるような視線を。
「僕は、アルビオン王国でもそれなりに良い待遇を受けてたよ。高給取りだったし。
ただ、人付き合いが苦手なのに、嫌な実業家の担当になって仕事に嫌気がさしてね。
それ以上に、王都の不潔さが我慢できなかったんだよ。
そんな時に、シャルロッテ様と出会って自分から売り込んだんだ。」
私と出会った時のことを話したオークレフトさん。
一番のポイントは自分の好き勝手にさせてもらえるのではと感じた事だと言っていました。
実際、好きかってやっているし、オーナーの私を遠慮なく扱き使いますからね。
そして、マーブル青年に如何にこの地が水も空気もキレイで住み易いかを力説していました。
オークレフトさん、王都の悪臭に悩まされて夜も眠れなかったと言ってましたものね。
この地を気に入ってもらえ、可愛いお嫁さんももらって、この地に根付いてくれるのなら何よりです。
**********
マーブル青年には、まず最初にジョンさんの作っている時計の内部をみてもらいました。
『ムーブメント』と呼ばれる時計の心臓部を見て、その精巧さに驚嘆していた青年ですが。
その後、腰を抜かすほど驚く光景を見ることになりました。
オークレフトさんがジョンさんの依頼に応えて作った時計部品用の工作機械の数々です。
今でもアルビオン王国の高級時計は、部品の一点一点を熟練の職人が手作りしています。
ジョンさんも、アルビオン王国にいた頃は部品取りから手作業でしていたそうです。
そんな、極めて小さく、かつ精巧な部品を少年達が量産しているのです。
「まさか、こんなに微細な部品まで機械化しているとは予想だにしませんでした。
世界一高精度な時計の部品がこんな風に量産されているなんて…。」
「さすがに、この部品をそのまま使うことは出来ませんよ。
ここでしてもらうのは部品取りと粗加工までです。
やはり、ここまで微細な部品となると仕上げ加工は熟練の腕に頼ることになります。
そのために、熟練の職人集団を二つ引き抜いていただきましたから。
部品の仕上げ加工と組み立てをお願いししてします。」
作業場をみて感心していたマーブル青年にジョンさんはそんな補足をしています。
とても精巧な時計ですので、熟練の技に頼る部分が少なからずあると説明していました。
工房を一通り見終えた後で…。
「凄いです、何が凄いって一言で言い表せないくらい凄いです。
オークレフトさんが、ブンヤを忌避している理由が嫌と言うほど飲み込めました。
確かに、おいそれとは外部には漏らせない事が沢山ありますものね。
アルビオン王国で超一流の時計職人が月に一つ作れるかどうかと言う品質の時計を。
まさか月に何百も作る体制を整えているなんて驚きです。
しかも、それを支えているのが熟練の無い少年達だなんて…。」
マーブル青年は工房をとても称賛していました。
これで、精霊だけではなく、工房にも関心を持って仕事をしてくれれば助かるのですが…。
「僕の工房で一番の秘密事項は機械の設計図面ですが、それは金庫の中に厳重に施錠してしまってありますし。
後は、僕の頭の中だけですので外部に漏れる心配は無いのです。
漏れる心配があるのは、第二の秘密とも言うべきこの作業場です。」
そう言ってオークレフトさんが案内してくれたのは、部品の加工作業を行っている作業場です。
「これは、何でしょうか。
何人もの工員が何かに向き合って黙々と作業をしているようですが。」
マーブル青年が何かというは、オークレフトさんが開発した工作機械です。
この作業場には、工作機械がズラリと並んでいるのですが。
工作機械はまだ普及していないとのことで、青年は初めて目にしたようです。
青年には、作業員たちが何かの台に向き合っているようにしか見えない様子です。
オークレフトさん曰く、ここに並ぶ機械を販売すれば冗談ではなく巨万の富を手に入れられるそうです。
ですが、それをしたら最後あっという間に模倣されて、この工房の優位性は無くなると言います。
マザーマシンは門外不出なのだそうです。
「ここの作業員が向き合っているのは、旋盤やボール盤その他様々なモノがありますが。
一括りに言えば、全て電気の力で動いている工作機械です。
全て僕が設計して作り上げたものです。
これを使えば、誰にでも精巧な部品を量産することが出来ます。
現時点で、これだけの性能を誇る工作機械はこの工房以外にはありません。
なので、部外者には一切見せないことにしています。」
オークレフトさんが如何に高性能な機械を設計したとしてもその部品を量産できないのでは意味がありません。
そして、高性能な機械ほど、精密な部品が用いられることがしばしばな様子で。
他の機械工房では、熟練工に頼って手作業で精巧な部品を作っているそうです。
当然、一日に何個も作れるはずも無く、部品の制約から生産できる機械の台数もそう増やせないそうです。
その点、大きな声では言えませんが、この作業場で働く作業員たちの多くは研修に合格できなかった少年達です。
真面目に機械を操作すれば、誰でも精密な部品が作れるような仕組みをオークレフトさんは作り上げたのです。
他の工房であれば高い給金で雇って少ない数の部品しか出来ない精密部品。
それをこの工房では、一番給金の安い少年達に大量に作らせているのです。
「そんなことが可能だなんて、信じられない…。
それじゃ、熟練の職人なんていらなくなってしまうでは無いですか。
でも、これも働き始めて間もない少年達に高い給金が払える理由なのですね。
少年達がしているのは単純労働だけど。
その実、少年達が作っているのは本来熟練の職人が作るような高度な部品だと。
この工房では他では作れない高付加価値な製品を作っていると言ってましたが。
それを支える部品作りにも秘密があったのですね。」
オークレフトさんの説明を聞いてマーブル青年も、この工房の利益の絡繰りに気付いたようでした。
**********
「初めまして、ジョンと言います。
『アルムハイム時計工房』の総支配人を任されています。
マーブルさんは、私やオークレフトさんと同じアルビオン人なのですね。」
オークレフトさんは自分の工房を一通り案内すると、次にジョンさんを紹介してくれました。
「そう言えば、お二人ともアルビオンから来られているのですね。
ジョンさんは、どのような縁でこちらに来られたのですか。」
「私の場合は、シャルロッテ様のお屋敷の裏の丘で行き倒れていたところを拾って頂いたのです。
あの時、シャルロッテ様に出会わなければ命を絶っていたかもしれませんし。
スラムの片隅で腐っていたかもしれません。
シャルロッテ様のおかげで私の時計を世に出すことが出来たし。
アルビオン王国にいた頃は思ってもいなかった高い給金を頂き感謝しています。」
ジョンさんの自己紹介の言葉を切っ掛けに、ジョンさんが私のもとに来た経緯に話が及びます。
ジョージさんが掛けた時計の懸賞に応募してきた話から、懸賞審査員の貴族に良いように使われたことなども。
「そんなことがあったのですか。
アルビオン王国も古い因習にとらわれた貴族共がいて困りますね。
でも、ジョンさんの開発した時計が海軍に採用されて良かったですね。」
ジョンさんの話を聞いて、自国の貴族のことを嘆いたマーブル青年。
ですが、青年ほど自由奔放な貴族もどうかと思いますよ…。
家を飛び出して新聞記者になったあげく、今度はアルム地方くんだりまできて雑用係ですからね。
サウスミンスター公爵もさぞかしお嘆きだと思いますが。
不遇を託っていたとのジョンさんの話を聞いたマーブル青年は、オークレフトさんの方に視線を向けます。
あなたもかと問い掛けるような視線を。
「僕は、アルビオン王国でもそれなりに良い待遇を受けてたよ。高給取りだったし。
ただ、人付き合いが苦手なのに、嫌な実業家の担当になって仕事に嫌気がさしてね。
それ以上に、王都の不潔さが我慢できなかったんだよ。
そんな時に、シャルロッテ様と出会って自分から売り込んだんだ。」
私と出会った時のことを話したオークレフトさん。
一番のポイントは自分の好き勝手にさせてもらえるのではと感じた事だと言っていました。
実際、好きかってやっているし、オーナーの私を遠慮なく扱き使いますからね。
そして、マーブル青年に如何にこの地が水も空気もキレイで住み易いかを力説していました。
オークレフトさん、王都の悪臭に悩まされて夜も眠れなかったと言ってましたものね。
この地を気に入ってもらえ、可愛いお嫁さんももらって、この地に根付いてくれるのなら何よりです。
**********
マーブル青年には、まず最初にジョンさんの作っている時計の内部をみてもらいました。
『ムーブメント』と呼ばれる時計の心臓部を見て、その精巧さに驚嘆していた青年ですが。
その後、腰を抜かすほど驚く光景を見ることになりました。
オークレフトさんがジョンさんの依頼に応えて作った時計部品用の工作機械の数々です。
今でもアルビオン王国の高級時計は、部品の一点一点を熟練の職人が手作りしています。
ジョンさんも、アルビオン王国にいた頃は部品取りから手作業でしていたそうです。
そんな、極めて小さく、かつ精巧な部品を少年達が量産しているのです。
「まさか、こんなに微細な部品まで機械化しているとは予想だにしませんでした。
世界一高精度な時計の部品がこんな風に量産されているなんて…。」
「さすがに、この部品をそのまま使うことは出来ませんよ。
ここでしてもらうのは部品取りと粗加工までです。
やはり、ここまで微細な部品となると仕上げ加工は熟練の腕に頼ることになります。
そのために、熟練の職人集団を二つ引き抜いていただきましたから。
部品の仕上げ加工と組み立てをお願いししてします。」
作業場をみて感心していたマーブル青年にジョンさんはそんな補足をしています。
とても精巧な時計ですので、熟練の技に頼る部分が少なからずあると説明していました。
工房を一通り見終えた後で…。
「凄いです、何が凄いって一言で言い表せないくらい凄いです。
オークレフトさんが、ブンヤを忌避している理由が嫌と言うほど飲み込めました。
確かに、おいそれとは外部には漏らせない事が沢山ありますものね。
アルビオン王国で超一流の時計職人が月に一つ作れるかどうかと言う品質の時計を。
まさか月に何百も作る体制を整えているなんて驚きです。
しかも、それを支えているのが熟練の無い少年達だなんて…。」
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