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第18章 冬、繫栄する島国で遭遇したのは
第538話 すんなりとは帰ってもらえませんでした…
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上手いこと私の秘密には触れないで追い返せるかと安堵していると。
目の前のオカルトマニアの青年は、この屋敷の中を見物したいなどと言い始めました。
これは、毅然と断っても良い場面ですよね。
マーブル青年の好奇心を満たすために、私のプライバシーを晒すいわれはありませんから。
私がそれを口にしようとした時。
「あらあら、この子ったら、幾つになっても子どものような事を言って。
ここが、『幽霊屋敷』の訳がないでしょう。
こうしてシャルロッテちゃんが住んでいるのですもの。
ダメよ、この屋敷には年頃の娘さんが沢山住んでいるのよ。
今、この屋敷にいる殿方はシャルロッテちゃんの御爺様お一人なの。
そんな女性の園を覗き見たいなんて、とても失礼な事だわ。」
メアリーさんナイスフォローです。
しかも何一つ嘘はついていません、『幽霊』はいませんからね。
そして、トリアさんも。
「そうですわ、覗き見趣味のマーブル兄にこの屋敷の中を歩かせる訳には参りませんわ。
住んでいる女性に粗相があってはいけませんもの。
さあ、聞き分けのないことを言っていないで帰りますわよ。」
そう告げると、マーブル青年の耳を引っ張って無理やりに立ち上がられました。
「耳を引っ張ったら痛いって…。
何だよ、ボクを覗きが趣味の変態にみたいに言って。
ベッキーの着替えを覗きに侵入したのは、クラスメート達に強要された事だと言っただろう。
ボクは、この屋敷の謎を探りたいだけなのに…。」
青年は精一杯抗弁しますが、二人は全く取り合いませんでした。
結局、二対一では敵うはずも無く、青年は渋々立ち去ることになったのです。
無事に、トリアさんとメアリーさんに青年を回収してもらえることになり。
ホッとしてホールまで見送った時にそれは起こりました。
**********
メアリーさんが先頭を歩き、それを追うようにトリアさんが歩きます。
キョロキョロと周りを見回しながら歩いているマーブル青年は遅れがちで。
そんなマーブル青年を逃がさないようにと、トリアさんが手を引いていました。
そのため、トリアさんがメアリーさんに遅れる形になっていたのです。
私はと言うと、マーブル青年が余計な事をしないように見張るために更に後ろを歩いていました。
そして、玄関ホールに差し掛かり、やっと追い返せると安堵したのですが。
「あら、メアリーさんとトリアさん、いらしていたのですか。
小アルビオン島の飢饉についての相談でしたか。
私、中々領地から出られないで。
何のお手伝いも出来ずに申し訳ございませんでした。」
この館の居住棟にある転移部屋の方向から来たリーナと鉢合わせしてしまったのです。
この時、リーナの角度からは、トリアさんが手を引いているマーブル青年は死角になっていたようで。
二人の姿を目に留めたリーナは、挨拶も兼ねて声を掛けてきたのです。
とても、バッドなタイミングです。
リーナとの会話の内容次第では、最大の秘密ともいえる転移魔法がブンヤさんに知れてしまいます。
転移魔法の事を明かすのは基本信頼のできる方のみ。
仕事の関係等で信頼できるか否か判断できない方に教える際は、『言霊』をつかって口止めしています。
「いいえ、カロリーネちゃんも忙しいでしょうからお気になさらないで。
ゆっくりお話しもしたいのですけど、今日は先を急ぐのでこれで失礼するわね。
また今度、ゆっくりお話ししましょうね。」
メアリーさんも拙いと思った様子で、早口でそう告げると急いで立ち去ろうとしました。
リーナの方も、メアリーさんを引き留めることはありませんでした
メアリーさんの表情を見て時間が無いのだと判断した様子です。
「そうですか、それではご機嫌よう、メアリーさん、トリアさん。
私は、ロッテの方に行きますね。
昨日、アリィシャちゃんから言伝のあった、アルム産のチーズを届けに来たのです。
今年も、『スノーフェスティバル』に使うそうですので。」
この時、依然としてリーナの位置からはマーブル青年と私は目に入らなかったようです。
そんな風に別れを告げて、私の執務室の方へ歩を進めようとしました。
そこで、マーブル青年がメアリーさんに問い掛けます。
「おばあさま、そちらのお嬢様はお知り合いでしょうか。
どちらの貴族家のご令嬢ですか?」
リーナはこの時になってやっとマーブル青年の存在に気付いた様子でした。
流石に、メアリーさんも何と答えれば良いかと戸惑ったようです。
昨日、ジョージさんから、アルム地方の食べ物の屋台を要望された私達ですが。
取り急ぎ食材を確保するために、アリィシャちゃんにリーナのもとに飛んでもらったのです。
チーズフォンデュに欠かせないアルム産のチーズを大量に確保するために。
アリィシャちゃんの話では、リーナは注文したチーズを無償で提供してくれると答えたと言います。
アルム地方の振興が目的のお祭りなので、少しくらいは自分も協力したいとして。
リーナが自腹で地元の商人から買い上げて、提供してくれるとのことでしたが。
まさか、昨日の今日で届けてくれるとは思いもしませんでした。
この時、その場にいる誰もがどう答えたものかと考えた結果、その場を沈黙が支配しました。
何故なら、正直に答えたら、普通では考えらないことばかりになってしまいますから。
例えば、昨日の今日でチーズを届けられると言えば、王都の近くしか考えられません。
リーナの家名を口にしたら、王都に近くに領地を有する貴族にそんな家など無いことがわかるでしょう。
では、リーナの領地は何処にあるのかという話になってしまいます。
クラーシュバルツ王国…、昨日の今日で来られる訳がありません。
夏場でも十日かかる場所です。天候の荒れる冬場ですと倍の時間が掛かっても不思議ではありません。
さて、どうしたものか…。
**********
さてこの時点で、今この館に着いたばかりのリーナに今までの経緯を知る由もありません。
メアリーさんを御婆様と呼ぶ人物、しかもトリアさんが手を引いています。
いったい、誰がこの人物を不法侵入を図った不審者などと思うでしょうか。
トリアさん達二人と同行して来たものと判断するのは、ごく自然な事だと思います。
御多分に洩れずリーナもそう判断したようです。
「あら、メアリーさんのお孫さんでございますか。
お初にお目に掛ります。
私、カロリーネ・フォン・アルトブルクと申します。
アルムハイム公国に隣接する土地に領地を構えていますの。
よろしくお願いしますわね。」
穏やかな微笑みを浮かべて自己紹介したのです。
トリアさんもメアリーさんも、『あちゃぁ…。』という表情を浮かべていました。
きっと、私もそんな顔をしていたと思います。
「これはご丁寧に、恐縮です。
ボクは、当代のサウスミンスター公爵が三男でマーブルと申します。
よろしくお願いします。
アルム地方でその家名と言うことは…。
もしかして、カロリーネ嬢はクラーシュバルツ王国の王族でございますか?」
青年も名門貴族の御曹司にして、名門大学を卒業しています。
近隣各国の王族の家名くらいは、常識として覚えているようです。
「はい、現王が一女で、先年兄が凶刃に倒れたため王太女ということになっています。」
メアリーさん、トリアさんが一緒にいるのですから、私達の事情は心得ているのだと思っているのでしょう。
リーナは何ら警戒すること無く、ごく自然に自分の素性を明かしてしまいました。
これで、今までの小一時間かけて誤魔化してきたことが台無しです。
「そうでございますか。
クラーシュバルツ王国の王族の方に、そんな丁寧にされると恐縮してしまいます。
ところで、アルム地方と言えばこの時期はさぞかし雪が降っているのでしょうね。」
そんな、他意を感じさせない青年の言葉に、リーナは全く用心する事も無く。
「そうですのよ。
このところ、一晩で十インチ以上積もる日が続いてまして。
とうとう積雪が一階の窓の高さを越えてしまって、館の中は昼間でも暗くて困りますの。
その点、こちらは雪が降らなくて羨ましいですわ。
私も、時々この館にお邪魔して陽の光を浴びていますの。」
見事に罠にかかってしまいました。
「御婆様、これはどういう事でしょうか?
カロリーネ嬢は、ちょくちょくここに来られている様子なのですが。
アルム地方と言えば、大陸の奥深くに位置する地域ですよね。
そう気軽に来られる場所では無いはずなのですけど…。
昨日言伝があって、チーズを届けに来られたと言ってらしたし。」
まっ、当然、誰しもがその疑問を持ちますよね…。
目の前のオカルトマニアの青年は、この屋敷の中を見物したいなどと言い始めました。
これは、毅然と断っても良い場面ですよね。
マーブル青年の好奇心を満たすために、私のプライバシーを晒すいわれはありませんから。
私がそれを口にしようとした時。
「あらあら、この子ったら、幾つになっても子どものような事を言って。
ここが、『幽霊屋敷』の訳がないでしょう。
こうしてシャルロッテちゃんが住んでいるのですもの。
ダメよ、この屋敷には年頃の娘さんが沢山住んでいるのよ。
今、この屋敷にいる殿方はシャルロッテちゃんの御爺様お一人なの。
そんな女性の園を覗き見たいなんて、とても失礼な事だわ。」
メアリーさんナイスフォローです。
しかも何一つ嘘はついていません、『幽霊』はいませんからね。
そして、トリアさんも。
「そうですわ、覗き見趣味のマーブル兄にこの屋敷の中を歩かせる訳には参りませんわ。
住んでいる女性に粗相があってはいけませんもの。
さあ、聞き分けのないことを言っていないで帰りますわよ。」
そう告げると、マーブル青年の耳を引っ張って無理やりに立ち上がられました。
「耳を引っ張ったら痛いって…。
何だよ、ボクを覗きが趣味の変態にみたいに言って。
ベッキーの着替えを覗きに侵入したのは、クラスメート達に強要された事だと言っただろう。
ボクは、この屋敷の謎を探りたいだけなのに…。」
青年は精一杯抗弁しますが、二人は全く取り合いませんでした。
結局、二対一では敵うはずも無く、青年は渋々立ち去ることになったのです。
無事に、トリアさんとメアリーさんに青年を回収してもらえることになり。
ホッとしてホールまで見送った時にそれは起こりました。
**********
メアリーさんが先頭を歩き、それを追うようにトリアさんが歩きます。
キョロキョロと周りを見回しながら歩いているマーブル青年は遅れがちで。
そんなマーブル青年を逃がさないようにと、トリアさんが手を引いていました。
そのため、トリアさんがメアリーさんに遅れる形になっていたのです。
私はと言うと、マーブル青年が余計な事をしないように見張るために更に後ろを歩いていました。
そして、玄関ホールに差し掛かり、やっと追い返せると安堵したのですが。
「あら、メアリーさんとトリアさん、いらしていたのですか。
小アルビオン島の飢饉についての相談でしたか。
私、中々領地から出られないで。
何のお手伝いも出来ずに申し訳ございませんでした。」
この館の居住棟にある転移部屋の方向から来たリーナと鉢合わせしてしまったのです。
この時、リーナの角度からは、トリアさんが手を引いているマーブル青年は死角になっていたようで。
二人の姿を目に留めたリーナは、挨拶も兼ねて声を掛けてきたのです。
とても、バッドなタイミングです。
リーナとの会話の内容次第では、最大の秘密ともいえる転移魔法がブンヤさんに知れてしまいます。
転移魔法の事を明かすのは基本信頼のできる方のみ。
仕事の関係等で信頼できるか否か判断できない方に教える際は、『言霊』をつかって口止めしています。
「いいえ、カロリーネちゃんも忙しいでしょうからお気になさらないで。
ゆっくりお話しもしたいのですけど、今日は先を急ぐのでこれで失礼するわね。
また今度、ゆっくりお話ししましょうね。」
メアリーさんも拙いと思った様子で、早口でそう告げると急いで立ち去ろうとしました。
リーナの方も、メアリーさんを引き留めることはありませんでした
メアリーさんの表情を見て時間が無いのだと判断した様子です。
「そうですか、それではご機嫌よう、メアリーさん、トリアさん。
私は、ロッテの方に行きますね。
昨日、アリィシャちゃんから言伝のあった、アルム産のチーズを届けに来たのです。
今年も、『スノーフェスティバル』に使うそうですので。」
この時、依然としてリーナの位置からはマーブル青年と私は目に入らなかったようです。
そんな風に別れを告げて、私の執務室の方へ歩を進めようとしました。
そこで、マーブル青年がメアリーさんに問い掛けます。
「おばあさま、そちらのお嬢様はお知り合いでしょうか。
どちらの貴族家のご令嬢ですか?」
リーナはこの時になってやっとマーブル青年の存在に気付いた様子でした。
流石に、メアリーさんも何と答えれば良いかと戸惑ったようです。
昨日、ジョージさんから、アルム地方の食べ物の屋台を要望された私達ですが。
取り急ぎ食材を確保するために、アリィシャちゃんにリーナのもとに飛んでもらったのです。
チーズフォンデュに欠かせないアルム産のチーズを大量に確保するために。
アリィシャちゃんの話では、リーナは注文したチーズを無償で提供してくれると答えたと言います。
アルム地方の振興が目的のお祭りなので、少しくらいは自分も協力したいとして。
リーナが自腹で地元の商人から買い上げて、提供してくれるとのことでしたが。
まさか、昨日の今日で届けてくれるとは思いもしませんでした。
この時、その場にいる誰もがどう答えたものかと考えた結果、その場を沈黙が支配しました。
何故なら、正直に答えたら、普通では考えらないことばかりになってしまいますから。
例えば、昨日の今日でチーズを届けられると言えば、王都の近くしか考えられません。
リーナの家名を口にしたら、王都に近くに領地を有する貴族にそんな家など無いことがわかるでしょう。
では、リーナの領地は何処にあるのかという話になってしまいます。
クラーシュバルツ王国…、昨日の今日で来られる訳がありません。
夏場でも十日かかる場所です。天候の荒れる冬場ですと倍の時間が掛かっても不思議ではありません。
さて、どうしたものか…。
**********
さてこの時点で、今この館に着いたばかりのリーナに今までの経緯を知る由もありません。
メアリーさんを御婆様と呼ぶ人物、しかもトリアさんが手を引いています。
いったい、誰がこの人物を不法侵入を図った不審者などと思うでしょうか。
トリアさん達二人と同行して来たものと判断するのは、ごく自然な事だと思います。
御多分に洩れずリーナもそう判断したようです。
「あら、メアリーさんのお孫さんでございますか。
お初にお目に掛ります。
私、カロリーネ・フォン・アルトブルクと申します。
アルムハイム公国に隣接する土地に領地を構えていますの。
よろしくお願いしますわね。」
穏やかな微笑みを浮かべて自己紹介したのです。
トリアさんもメアリーさんも、『あちゃぁ…。』という表情を浮かべていました。
きっと、私もそんな顔をしていたと思います。
「これはご丁寧に、恐縮です。
ボクは、当代のサウスミンスター公爵が三男でマーブルと申します。
よろしくお願いします。
アルム地方でその家名と言うことは…。
もしかして、カロリーネ嬢はクラーシュバルツ王国の王族でございますか?」
青年も名門貴族の御曹司にして、名門大学を卒業しています。
近隣各国の王族の家名くらいは、常識として覚えているようです。
「はい、現王が一女で、先年兄が凶刃に倒れたため王太女ということになっています。」
メアリーさん、トリアさんが一緒にいるのですから、私達の事情は心得ているのだと思っているのでしょう。
リーナは何ら警戒すること無く、ごく自然に自分の素性を明かしてしまいました。
これで、今までの小一時間かけて誤魔化してきたことが台無しです。
「そうでございますか。
クラーシュバルツ王国の王族の方に、そんな丁寧にされると恐縮してしまいます。
ところで、アルム地方と言えばこの時期はさぞかし雪が降っているのでしょうね。」
そんな、他意を感じさせない青年の言葉に、リーナは全く用心する事も無く。
「そうですのよ。
このところ、一晩で十インチ以上積もる日が続いてまして。
とうとう積雪が一階の窓の高さを越えてしまって、館の中は昼間でも暗くて困りますの。
その点、こちらは雪が降らなくて羨ましいですわ。
私も、時々この館にお邪魔して陽の光を浴びていますの。」
見事に罠にかかってしまいました。
「御婆様、これはどういう事でしょうか?
カロリーネ嬢は、ちょくちょくここに来られている様子なのですが。
アルム地方と言えば、大陸の奥深くに位置する地域ですよね。
そう気軽に来られる場所では無いはずなのですけど…。
昨日言伝があって、チーズを届けに来られたと言ってらしたし。」
まっ、当然、誰しもがその疑問を持ちますよね…。
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2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
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